リュエデゲール

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登録日:2012/01/12(木) 22:39:30
更新日:2024/03/13 Tue 01:39:19NEW!
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ニーベルンゲンの歌 騎士 勇士 辺境伯 好漢 気前が良い リュエデゲール



リュエデゲールとは「ニーベルンゲンの歌」に登場する人物にしてベッヒェラーレンを治める辺境伯である。


気前が良く礼儀正しい騎士らしい人間であり、作中でも度々「好漢」と讃えられ、多くの人間から慕われていた。


それ故に作中において彼が見まわれる悲劇は作品全体の悲壮感を一層高める事となるのだった。



以下、ネタバレ




彼が最初に物語に登場するのは、既にジークフリートが死んでいるニーベルンゲンの歌の後半部分、彼が仕えるフン族の王エッツェルが妃を失い、新たな妃を探すところ。


エッツェルが周囲の人間に「次の嫁はクリームヒルトが良いでしょう」と勧められた際にエッツェルがラインの国に詳しい人間に相談を求め、
それに名乗りを挙げたのが彼だった。


クリームヒルトを幼少の時期より知る彼はクリームヒルトの美しさを王に教えた。
ならば、と王は彼に「自分がクリームヒルトと結婚できるよう取り計らうならば、旅に必要な物は全て与えるし、恩賞も望む限り与えよう」と言うが、
それに対して辺境泊は、
「いいえ、私は自分の私財でラインに参ります。恩賞も構いません」
と返すのだった。
真面目な男である。



~ブルゴンドにて~


彼がブルゴンドを訪れると旧友ハゲネを始め多くの人間に歓迎された。
肝心のクリームヒルトの嫁入り話では、未亡人であり未だにジークフリートの死を深く悲しんでいた彼女を何とか説得する事に成功。
無事婚礼は成功し、彼の任務は果たされた。



…が、彼はクリームヒルトの底に渦巻く復讐の念に気づかず、また遠い地に嫁ぐ事を心配する彼女に


「クリームヒルトの身に起こるいかなる事に対しても償いをする」



と彼が約束した事が後々に多くの勇士達を巻き込む悲劇を生む事になったのだった。


余談だが、クリームヒルト婚礼の際には馬上試合を見学する時の椅子を誂えた。




~それから七年~



クリームヒルトが前夫ジークフリートの仇討ちをすべくブルゴンドの一族、というかハゲネ(ハーゲン)をフン族の地に呼び寄せる際に再び登場。



ブルゴンドの一族がフン族の地を訪れる途中、自らの領地で一行をもてなした。


この時も気前の良さが発揮され、一行が遠慮する程に豪勢に彼らをもてなした。


そして自らの家臣と共にエッツェルの下に一行を先導した。


この時、辺境伯は一行に様々な贈り物を与え、
王であるグンテルには鎧を、
勇士であるゲールノートには立派なを、
同じく勇士であるハゲネには盾を、
そしてグンテルの弟ギゼルヘルには己の娘を嫁入りさせ、
彼らを大いに喜ばせたのだった。



こうして再びエッツェルの下にブルゴンドの人間を連れて行った辺境伯だが、
この後に起こる悲劇は彼に深い後悔を与え、また彼は自らの誠実さ故に命を落とす事になったのだ。



~エッツェルの館での戦い~


クリームヒルトの憎しみによりフン族とブルゴンドの間に争いが引き起こされると、
当初はブルゴンドとの友情故に彼らとの戦いを避けたのだが(これはブルゴンド側も同じ気持ちだった)、
とあるフン族の戦士が彼を侮辱し、またクリームヒルトに婚礼の際の約束を持ち出されたので結局はブルゴンドと戦わざるを得なくなった。



さて彼が戦場に姿を現すと娘婿であるギゼルヘルはこれを和解の使者と勘違いして喜んだが、
辺境伯が完全武装なのを見たバイオリン弾きにして屈強な戦士であるフォルケルの指摘通り、辺境伯は彼らに戦いを告げるのであった。
当然ながらギゼルヘルを筆頭にブルゴンドの人間は戸惑い彼を問い詰めたが、彼が退けない立場にある事を知ると戦う決意を固める。



しかしそこでハゲネが何を思ったか、
「以前戴いた盾が壊れたので、貴方が持っているような盾を持てたら幸せだ」
と言う。
普通ならば今から戦う者にこのような事を言われても相手にしないだろう、しかし彼は言った。
「よろしい、この盾を差し上げよう願わくばブルゴンドの国へこれを持ち帰えられるよう
と。
この彼の最後まで変わらぬ気前の良さ、優しさに



全騎士が泣いた



これには傲岸冷酷と評判のハゲネも心を動かし、ハゲネとその親友フォルケルは辺境伯には手を出さない事を誓う。
またギゼルヘルも義理の父である彼とは戦わなかった。



まあ、三人とも戦わなかったのは辺境伯本人だけで、辺境伯の家臣には一切容赦しませんでしたが。



さて、いざ戦闘が始まれば辺境伯も修羅のごとく戦い、ブルゴンドの勇士を次々討ち取ってゆく。
さすがにブルゴンドも彼を放置する訳にはいかず、勇士ゲールノートが彼に戦いを挑む。


勇士の名に恥じない戦いを繰り広げた後、辺境伯はゲールノートによって討たれて死んだ



そう、彼がゲールノートに贈り物として与えた剣でもって彼は命を落としたのである。
しかしゲールノートもまた辺境伯の一撃によって命を落とし、贈り物に対する悪しき報いを贖う事になったのだった。



~死後~



彼の死には多くの人間が涙を流した。
争いの端を開き辺境伯をけしかけたクリームヒルトすらこの勇士の死に涙した。


死が判明するまでは「ブルゴンドと和平するつもりだ」「帰り忠だ」と罵ってましたがね。


そして彼の死は更なる争いを呼び、悲劇は終幕向かって急速に歩を進める事なったのだった。





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