乱数調整

ページ名:乱数調整

登録日:2010/12/29 Wed 23:16:46
更新日:2023/10/03 Tue 13:45:29NEW!
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乱数調整とは、運やランダム性が要素として存在しているゲームの一部で可能な、特定の操作によってランダム性を自由に操る行為である。
最初期ではスペースインベーダーにおけるUFO撃墜時に得られる得点のコントロール、
最近ではポケモンの個体値厳選やドラゴンクエストIXの川崎ロッカーの地図での宝箱厳選等が有名と思われる。



【概要】

ゲームは当然のことながらプログラムによって動いている。
キャラクターのセリフやレベルアップによるステータスの上昇値、更にランダム要素まで全てプログラムによって決定されていると言える。


しかし、現在のプログラミング技術では完璧なランダム性を作る事が困難であり、
代用として様々な要素を元に"ほぼ"完璧なランダム性を生み出す疑似乱数というものが用いられる。
通常はこの疑似乱数をどうこうすることはできないのだが、中にはどうこうできてしまうものもある。


長くなってしまったが、この疑似乱数を決定する為の様々な要素を意図的に操作してランダム要素を意のままにしてしまうのが乱数調整である。
ここでは振った後のサイコロを狙った目に置き直すように「偶然」を無理矢理「必然」にするのが改造(チート)、手の動きを完全に制御して狙った目を出すように「偶然」に到る方法を一分の狂いなく再現して「必然」にするのが乱数調整だと解釈する



【主な乱数調整方法】

擬似乱数を作成する場合、最初に「初期seed」と呼ばれる値を作り、これを元に乱数を作る。


そして乱数を出来るだけランダムな値にする為に、プレイヤーが特定の行動をした時に乱数のサイクルを進めたり、
最近のゲームでは現在の時刻を初期seedとして利用したりすることが多いようである。


乱数調整ではこれを逆から考えて、ゲーム本体の時刻をずらす等で初期seedを操り、
乱数が消費される特定の行動を知り、利用する事で望んだ乱数を出すことが出来る。


…しかし、もちろんプログラマーもそう甘くは見ていない。


プログラム内部では、非常に複雑な計算が行われている為、望んだものを出すのは困難を極める。
さらに初期seedがフレーム単位で変わる場合も多く、タイミングを図るのも非常に大変である。


いわゆるツールアシステッドプレイでは、この乱数をフレーム単位で調整出来るが故に、必ず会心の一撃を出したり、望んでいるアイテムを一発で引き当てられるのである。
そして乱数を調整するために無駄のない無駄な動きが取り入れられる。



【乱数調整の是非】

前述の通り、乱数調整はゲームからランダム要素を無くすとも言える行為である。


乱数調整に関する話題でよく持ち上がるポケモンを例にすると、
運任せで時間のかかる個体値厳選を短時間で終わらせてしまう事ができる*1
しかし、乱数調整は外部ツールの使用を前提とする*2ものの、改造コードとは違い不正にデータを弄ることはない。
つまり、ソフトやハードの方から不正なデータ、行動と認識される事はほぼ無いのだ。


これはこれで非常に便利なのだが、ゲーム性を否定する行為、出来る人と出来ない人で格差を生む行為として否定派も多く、
乱数調整が話題に上がると肯定派と否定派とで終わりの見えない論争が始まってしまう。
動画共有サイトで乱数調整の使用が疑われる場面が出てくると「乱数厨消えろ」のような悪意あるコメントがなされ空気が悪くなったりすることもある。


ここで重要となるのは、議論が始まったり悪意あるコメントがなされた時点で気分を害する人も存在するという点。
当たり前のことではあるが、乱数調整を肯定する人がいる以上無闇に否定していいものでもない。
相手の意見を尊重しつつ自分の意見を述べるのが議論の基本中の基本なのだから。






【乱数調整がよく使われるゲーム】

スペースインベーダー

UFOの得点がランダムだが、その得点に係る乱数は「ショット1発毎に乱数が進む」「ステージ開始時に乱数はリセット」「乱数のループが短い」という単純な物で、あっさりと法則が解明されている。具体的にはステージ開始から8発目が最高得点になる300点、以降15発ごとにループする。



ポケットモンスターシリーズ

理想の個体値や色違いのポケモンを厳選する際の最も効率的な手法として乱数調整が利用される。


第三世代はエメラルドのタマゴ以外のあらゆる厳選環境があまりにも劣悪だったため、対戦用の優良個体を狙う上では必須級の存在だった。
正攻法ではリアル数か月を要すると言われたコロシアムやXDの準伝説がとくに有名。
エメラルドでもタマゴに限り乱数調整であれば現実的なやり方で理想個体5Vやめざパが出来る*3都合この世代で強いポケモンを用意するならかなり重要な存在であった。


第四〜第五世代においてはインターネットを通じた対戦・交流が盛んになった一方で、理想個体厳選が非常に手間のかかる物であった。
更に第五世代ではレーティングバトル(レート対戦)の実装により、競技志向のプレイヤーが増加し高個体値ポケモンの需要が激増、従って乱数調整も盛んに活用されていた。
また、DSの内部時計と起動時間から現在のSEED値が特定しやすく、乱数調整は容易であったため、大会参加者やレート上位プレイヤーのほとんどは乱数調整で獲得した個体を使用していたほど。
乱数調整の是非が一番論争になっていたのもこの時期だろう。


六世代以降の作品は乱数調整が困難になっている*4が、その代わりに個体値厳選の難易度が大幅に緩和されたため、論争についてはほぼ終結している。
(乱数調整を)使わなくても十分な強さのポケモンを短時間で入手可能になったため、使う必要がなくなった」側面が大きい。



ファイアーエムブレムシリーズ

同じ手順で進めれば必ず同じ乱数結果になる仕様の「聖戦の系譜」で、多くのプレイヤーが別の手順をはさんで乱数消費して結果を変えるというプレイを行なった。
GBAでは経路によって2つ分乱数を消費するといった乱数調整も行われた。


蒼炎、新暗黒でもマイナーではあるが使われることがある。
また、覚醒は章内セーブを駆使すると聖戦のような乱数調整で行動や成長の結果をずらすことが可能。



モンスターハンターシリーズ

ポータブル3rdでは、ソフトの起動時間を操作して任意の乱数テーブルに入ることが神おまを狙う炭鉱夫の必須作業だった。
これを利用して金冠サイズのモンスターに任意で遭遇することも可能だった。


3Gおよび4では、任意のスキル値のお守りを狙い撃つ「スナイプ」という乱数調整が存在した。



サガシリーズ

ロマンシングサガ3では状況再現と呼ばれる。
レアな強敵に会ったり、低確率な高レベル時のレベルアップを起こしたりすることが可能。


ロマンシング サガ ミンストレルソングでは、超レアアイテム「青の剣」を発掘するために狂人たちはBGMを頼りにピンポイントで掘り当てる領域に至った。



世界樹の迷宮Ⅲ 星海の来訪者

NPCと共闘する「大航海クエスト」の一部で電源投入直後に適当な行動をとるとNPCだけでクリアできてしまえるため、経験値稼ぎとして利用された。



【余談】

本来の意味としては前述の通り外部ツール等を用いて意図した乱数を呼び出すことではあるが、
俗語としては「単に今の流れが悪いから乱数テーブルを差し替える」と言う意味でも使われる。
この場合は別に外部ツールに頼る必要はなく、単にゲーム内で回り道をしたり意味もなくメニュー操作をするなどと言った行為を呼ぶ。
勿論それで良い結果に向かう確信があってやっているわけではなく、正直オカルトないしは気分転換、或いはプラシーボ効果のような何かではあるのだが


また素人目に見てもなぜこんな事をしたのかわからないような奇妙なプレイを「乱数調整」などとネタにする場合もある。
言うまでもなくただのプレイングミスである。


それから、乱数調整が確立されたメジャーなゲームであっても、乱数によっては専用ツールですら検索結果が間違っているケースもある。そういうケースがあるため、自分でどの乱数でどの状況が発生するか調査する猛者もいるほどである。


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*1 手順のミスや細かなズレ等で1回でできないこともある。
*2 なお、ソフトやハードに直接干渉はしない。
*3 というか通常の方法では確率が低すぎる。
*4 厳密には第七世代まで孵化乱数、野生乱数、固定乱数、配達員乱数のいずれも可能であり、第八世代においてもマックスレイドバトルで乱数調整を行う手段が確立されていた。しかし、そのほとんどが効率的ではなく、自己満足の側面が強い。

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