登録日:2022/05/21 Sat 00:09:42
更新日:2024/06/18 Tue 13:52:10NEW!
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ウルトラシリーズ ウルトラマン ガセ ゼットン星人 ゾフィー ゾーフィ 宇宙人
ゾーフィとは、『ウルトラマン』に登場する宇宙人。
種別:宇宙人
体長:2m
体重:50kg軽すぎ*1
外見はウルトラマンに酷似している…が、これはそっくりに変身しているだけのようである。トサカが黒く染まっているのが特徴。
宇宙恐竜ゼットンを操り地球に攻撃をしかけるが、自身は頭脳に優れる代わりに戦闘能力は低く、科学特捜隊のスーパーガンで倒されるほど弱いようだ。
追記・修正お願いします。
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…結論から言ってしまうと、資料不足による誤情報である。
『ウルトラQ』『ウルトラマン』が立て続けのメガヒットを飛ばし、世間は空前の「怪獣ブーム」に湧いていた1967年。
子供向け雑誌が毎号怪獣特集を組み続けたのは言うまでもないが、なんと大人向けの週刊誌『週刊朝日』までもが「ただいま120匹 怪獣大行進」と銘打った20ページもの特集を打つに至った。
この週刊朝日で1967年4月7日号に掲載された記事は、ゴジラシリーズやウルトラシリーズ等に登場した怪獣を一覧にし、9日*2放送の『ウルトラマン』最終回の登場怪獣まで掲載する豪華仕様*3。
その登場怪獣リストの一番下に
怪獣名 | 通称 | 身長㍍ | 体重㌧ | 主要武器 | 弱点 | 出身地 |
---|---|---|---|---|---|---|
ゼットン | 宇宙恐竜 | 60 | 3万 | 口から火の玉 | ペンシル爆弾 | 宇宙 |
ゾーフィ | 宇宙人 | 2 | 50㌔ | ゼットンをあやつる | スーパーガン |
ゼットンを操る宇宙人ゾーフィの誕生である。
どうしてこうなってしまったのか、当時の資料は残っていない。
ウルトラファンの皆様はご存知であろうが、「ゼットン星人」なる宇宙人の操る宇宙恐竜ゼットンに敗れたウルトラマンを救うため、光の国の宇宙人ゾフィ*4が登場する。
そして、巨大化していない身長約2mのゼットン星人はスーパーガン*5で倒されたというのもその通り。
裏取りする余裕もなかっただろう週刊朝日に与えられた情報が
…というものだとすれば見事に三段論法が成立してしまう。
情報の裏取りする余裕や発想もなかったであろうから、ゼットンを操る宇宙人とはゾフィのことだと思ってしまうのも無理はない話であろう。
何しろこの当時ゼットンを操っている宇宙人には固有の名前がなく、単に「宇宙人」と呼ばれていたのだ。
「ゼットン星人」の名前が円谷プロの資料に初めて登場するのは、翌1968年11月のことである。
とはいえ、この間違いを犯したのが「週刊朝日」だけであれば、「ゼットンを操る宇宙人ゾーフィ」はさほど有名になることもなく消えていったであろう。
ところが、この「週刊朝日」の怪獣一覧表は資料としてよほど優秀だったようで、この後「宇宙人ゾーフィ」が掲載された子供向け書籍が頻発する。
一例としては、「ぼくら」1967年8月号および11月号付録、大伴昌司著「怪獣ウルトラ図鑑」(1968年5月)などがある。
いずれも身長や体重、「ゼットンを操る」「スーパーガンに弱い」という解説、何より「ゾーフィ」というつづりが「週刊朝日」と一致しており、これを参考としたかもしくは孫引きした可能性が高いだろう。
媒体によっては「宇宙恐竜」を「宇宙恐龍」と、さらに誤字を重ねているものもある。
おまけに、「週刊朝日」はゾーフィについて文字情報だけで姿は載せていなかったのに、
これらの子供向け書籍は『ウルトラマン』最終回の放送後であるために中途半端に本編の情報を仕入れており、ゾーフィの姿としてゾフィのイラストが掲載されてしまう。
かくして、「ゼットンを操る宇宙人」と「同じ回に登場するゾフィ」を混同し、「ゼットンを操る宇宙人ゾーフィ」という謎の存在が誕生してしまう事となった。
1967年当時は家庭用ビデオはおろか、再放送もろくになかった時代である。
故に怪獣などのキャラクターに関する情報も不足しがちで、改訂される前の脚本などを資料としたために、誤った情報が怪獣図鑑の類に載っていることはそう珍しくはなかった。
例えばゲスラは「カカオ豆につく害虫を食べるトカゲが変異した」というのが公式設定だが、
古い本では初期設定であった「ゲラン蜂の幼虫が変異した」という記述がされている場合もある*7。
一応1970年ごろには「ゾフィはウルトラマンを助けに来たM78星雲の宇宙警備隊員である」という正しい記述がされるようになった…が、
外見に関してはいまだ資料不足だったらしく、71年にはっきりとした写真が提供されるまではイラストで代用されていた。
そのイラスト類も、身体の模様や、胸部のボタン状の部分(スターマーク)の位置が実際と異なるものが多く、
「ウルトラマンと同じ姿だが、赤い線が二重で胸に丸い模様が並んでいる」くらいの情報から推測して描いていたと考えられる。
結局、1972年の『ウルトラマンA』でウルトラ兄弟の設定が本格化し、宇宙警備隊隊長としてゾフィ本人が度々客演するようになるまで、ゾフィの正しい姿は中々広まらなかったのであった。
【余談】
- なぜ脚本の表記である「ゾフィ」ではなく「ゾーフィ」になってしまったのかは不明。
ただ、昭和ウルトラシリーズでは、サドラとサドラー、マグラーとマグラ、キーラとキーラー、ビラ星人とヴィラ星人、キングジョーとキングジョオ、パンドンとバンドン、スペシウム光線とスペシュウム光線など、多少の表記ゆれはよくある事であった。
何よりゾフィー本人も脚本ではゾフィだったのに怪獣図鑑などでゾフィーと呼ばれてしまい、1984年にゾフィーで確定するまで表記が揺れ続けた経緯の持ち主である。
更に言えば得意としている光線の名前も誤植によるものな上に、「エムハチナナ」「エムハチジュウナナ」(現在はこちら)と微妙に統一されていなかった時期もある。
- 2000年代のインターネット界隈では、ゾフィーがネタキャラ扱いされていた時期があったが、案の定この「ゾーフィ」もゾフィー弄りの格好のダシとなっていた。
ゾフィー同様にネタキャラとして愛されている某ライダーの誤植ネタを連想した人も多い。
- 本物のゼットン星人は身長2m・体重60kgとされており、同身長で体重50kgのゾーフィと比べ若干健康的である。
ゾフィーの名誉のために正確な情報の追記・修正をお願いします。
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“嘘から出た実”。私の好きな言葉です。
!!!この先、映画『シン・ウルトラマン』の重大なネタバレがあります。!!!
「君がこの男の生命を奪ったのか
"リピアー"
いや、この星に合わせ"ウルトラマン"と呼ぼう。
私の名は"ゾーフィ"。
光の星の掟を破った君に変わり、この星の"人類"と呼ばれる原住生物の"監視者"となった。
同時に私は"裁定者"でもある」
[[ゾーフィ(シン・ウルトラマン)>宇宙人ゾーフィ]]
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シン・ウルトラマン 山寺宏一 嘘から出た実 裁定者 ウルトラシリーズ 光の星 金色 ゼットン 天体制圧用最終兵器ゼットン ネクスト 本編より先に立った項目 ウルトラマン神変 ラスボス 帰ってくれウルトラマン 痛みを知るただ1人であれ ゾフィー ゾーフィ まさかの公式 逆輸入 コメント欄ログ化項目 外星人バイバイ
ゾーフィとは、2022年公開の映画『シン・ウルトラマン』に登場する外星人(宇宙人)。
「ウルトラマン」…及び"光の星"の生命体・リピアーの同胞である。
CV:山寺宏一
●目次
【容姿】
ウルトラマン特有の赤色や銀色ではなく、黄金色の身体に黒のラインが特徴的な"光の星"の外星人。
造形はリピアーと変わらないものの、胸のラインが一本多く、『ウルトラマン』最終回のゾフィーのように鶏冠部分が黒い。
また、左目が右目より僅かに丸っぽい造形で傾きが浅く、口角が若干右寄りで、微妙に左右非対称*8。
劇中で巨大化するリピアーとは対照的に、一場面を除き人間サイズで、殆どが直立不動だったので、見る人によっては言いようのない不安感・恐怖感を覚えるあの特徴的な顔つきも相俟って底知れない雰囲気を醸し出している。
【劇中における動向】
禍威獣*9ネロンガを光波熱線で撃滅し、圧倒的な力を地球人類に知らしめたリピアーは、降着時に生じた衝撃の余波から逃げ遅れた子供を庇い、「他人のために命を投げ出した」地球人・神永新二に興味を抱き、死亡した彼と一体化。
地球人のことを学びながら新二として過ごし、「ウルトラマン」として禍威獣や外星人たちを排除していた。
そして、ベーターボックスを用いて計画を進めていた外星人第0号メフィラスと、それを阻止しようとするリピアーとの戦闘中。
互いの光線技による鍔迫り合いで、メフィラスは地球人と融合した影響でエネルギーの消費が激しいリピアーに対し優位に立つ。
…だがその際、リピアーの背後に金色の宇宙人が佇んでいるのを目撃する。
メフィラスはすぐさま戦闘を中断し、リピアーに「厄介なものが来ている」と告げる。
そして、戦闘直前にリピアーに言われたことに従い、ベーターボックスを持ちその場を去った。
…このリピアーによく似た金色の宇宙人こそ、ゾーフィ。
リピアーと相対したゾーフィは、「光の星」の掟に背いて他星の生命体と融合した彼に代わり地球人を監視すると告げる。
さらにゾーフィが見せたのは…「天体制圧用最終兵器ゼットン」*10。
「メフィラスが起こしていた行動により、生物兵器としての有用性が判明した地球人類が悪用される前に根絶する」
と裁定を下す。
「私は母星の決定を過ちと判断する」と否定的なリピアーだが、「光の星」の掟に忠実で「宇宙に星の数ほどいる知的生命体のうち、一種類を殲滅したとて大勢に影響はない」と考えるゾーフィは聞き入れない。
それどころか「過ちか。それは君が地球人との融合を行ったことだ」と断じて、ゼットンを起動。
「この星の人類にとって、自分たちは唯一無二だ」
「この星の知的生命体は、命を賭す程の価値があるとするか…ウルトラマン」
地球上のどんな兵器でも破壊することは不可能…それでも、「人間を信じて最後まで抗う」として、ゼットンとの戦いに臨むリピアー。
…しかし、その力の差は圧倒的で、やはり敗北を喫する。
ゾーフィは満身創痍の重傷を負ったリピアーに抵抗をやめて人類の最後を見届けるよう進言。
だが「ゼットンを倒すヒント」を託していた禍特対*11の面々、そして人類の協力で、ついにリピアーにゼットンを撃破される。
この一連の出来事を見届けていたゾーフィは、ゼットンを破壊したことで生じた次元の歪みに飲み込まれ、異次元空間に囚われたリピアーの「生きたい」という意思を察知して救出。
ゼットンを倒した人類の勇気と叡智および生命力を認め、地球を静観すると告げ、リピアーを光の星へ連れ帰ろうとする。
しかし、自分のことは省みようともせず新二の身を案じ、今後マルチバース中の外星人達から狙われることは避けられない地球人類を憂うリピアーにゾーフィは言葉をかける。
「ウルトラマン、そんなに人間が好きになったのか…」
リピアーの意思を汲み取ったゾーフィは、彼を連れ帰るためにベーターカプセルでリピアーと新二を分離させ、新二を地球へと送り返したのであった。
【総評】
誤情報にすぎなかったはずの「宇宙人ゾーフィ」がいちキャラクターとして拾われ、映像作品に登場したことは多くのファンを驚愕させた。
一方で、ゾーフィの台詞から本作における「光の星」は、宇宙の秩序のためとあらば星や生命を滅ぼすことをも厭わない方針であることが窺え、
元になったキャラがキャラなだけにこれらの描写がショッキングだったという感想も少なくない。実際マルチバースの一つではその極端さから封印処分されてしまってるし…
大のウルトラマン好きで知られる庵野秀明氏だからこそ出来たサプライズとも言える*12。
星系単位だから見過ごしがちだが、スケールを小さくすると「雑草駆除で山ごと吹き飛ばす」「バルサンを焚く感覚でゼットンを出す」と言い換えることができるほど無茶苦茶なことをやっている…
とはいえ、ゾーフィ自身は最後まで同胞であるリピアーのことを気遣い、ゼットンを撃破した地球人の叡智を認め、「滅ぼすには惜しい種族」として撤回するなど、まったくの非情な人物というわけでもない。
もしかすると、地球人の可能性を愚直なまでに信じ続けたリピアをきっかけとして、この宇宙の「光の星」も変わっていく……そんなことが起きないとも言い切れない。
【シン・余談】
- スターマークがないため、名乗るまでマスクと体のラインが似ているジャックと誤認した視聴者も多い。前述の通り実際にマスクの3Dデータはそちらから。
元は「ゾフィーのマスクを流用したと言われる『帰ってきたウルトラマン』のウルトラマンのマスク」とややこしいが、回り回ってゾフィー本人の顔とも言える。
- 映画公開前に明かされていたメインビジュアルに記載されていた「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」という一文*13が、
原典でゾフィーが発した「ウルトラマン、そんなに地球人が好きになったのか」とほぼ一致していたため、ゾフィーにあたる存在が登場するという予想を立てていたファンも少なくなかった。 - 映画本編で実際に言った台詞は前述のように「ウルトラマン、そんなに人間が好きになったのか」というものなので、
メインビジュアルの言葉はあくまでキャッチコピーであって実は言ってない台詞……という訳でもなく、
「ゾーフィ&ゼットン名場面映像」にて、山寺ボイスでちゃんと言っている。 公開後はゾフィーとゾーフィのセリフを混ぜて「ゼットンを2個持ってきた」なんてネタもある。おいやめろ
- 金色の身体に黒のラインという配色だが、ウルトラマンをデザインした成田亨氏が1996年に発表し、亡くなるまで製作し続けていた「ネクスト」の金と黒の身体の超人と一致する。
また、『ウルトラマンG』の制作にあたり、円谷プロからの依頼を受けて1989年にデザインを描き起こした「ウルトラマン神変」も想起させる。*14
なおこの配色、人によって見え方に差がある*15ので「劇場のスクリーンで見る限りだと銀色に青のラインに見えた」という証言も出ている。 - なんの偶然か、公開当時配信されていたウルトラマンのスピンオフ作品の敵もまた金と黒の巨人である。
- 担当声優の山寺宏一氏は、日本アニメ(ーター)見本市の企画で製作されたショートアニメ『ザ・ウルトラマン ジャッカル対ウルトラマン』でもゾフィー役を担当している。
他にも劇場版『オーブ』のガピヤ星人サデス役等でウルトラシリーズには何度か出演している。 - ちなみに、演じる山寺氏はマネージャーから「ウルトラマンのゾーフィ役のオファーが来ました」と連絡を受けた際、「ゾフィーの間違いでしょ?」と思ったが、本当にゾーフィだったので驚いたらしい。
- 2022年5月23日には公式より情報解禁されると共に、ソフビや可動フィギュアなどの商品化も発表された。そして同年6月4日には「ムービーモンスターシリーズ」としてソフビが発売。
基本的にはウルトラマンのリペイントだが頭部は新規造形であり、ウルトラマンとは似てるようで異なるあの特徴的な顔つきも見事に再現されている。
また、劇中ではその姿を見たメフィラスがすぐさま戦闘を中断し撤退を図ったことからか、魔除け的なものとして購入するファンも多いらしく、設置場所である種の大喜利めいたことが起こっている。
追記・修正は外星人同士の戦いを見守りながらお願いします。
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*2 最終回とほぼ同時に掲載されていることから、円谷プロから提供された情報にもとづいて執筆したもの
*3 最終回の2日前にリークしたように見えるが、日本の雑誌は「◯月◯日号」といった日付よりだいぶ早く発売日を設定する慣習があるため、4月7日より流通開始は早い。当時の週刊朝日の号数と発売日のずれは不明だが、2022年現在は10日。
*4 現在は「ゾフィー」が公式だが、脚本での表記は「ゾフィ」
*5 ただし光線拳銃スーパーガンではなく、大型光線銃マルス133。
*6 「ゼットン星人」の名前が円谷プロの資料に初めて登場するのは、翌1968年11月
*7 ゲスラは当初イモムシの怪獣として脚本を執筆していたが、着ぐるみの都合でトカゲの怪獣に姿が変更になった
*8 ウルトラマンジャックの初期マスクが3Dモデルに使われているため。
*9 本作における「怪獣」の表記。"禍威獣"は外星人が他星侵略のために用いる生物兵器。光の国もとい光の星は宇宙の秩序を守るため他星文明による明らかな侵略行為が認められた場合の武力介入、原生文明の監視を使命としている。
*10 「兵器」と聞いて「ゼットン」と気付いたり、そのスペックを理解していたり、メフィラスが即撤退したことを踏まえると、恐らく宇宙ではゾーフィの存在はかなり恐ろしいものという認識が広まっている可能性がある。既にいくつもの星が吹き飛んでいる可能性も…
*11 「禍威獣特設対策室専従班」の略。原典の科学特捜隊に相当する。
*12 ちなみに庵野氏本人は比較的最近に教えてもらうまで上述のゾーフィのことは知らなかったとデザインワークスで言及している。
*13 白背景の中央にベーターカプセルが置かれているもの。
*14 結局デザイン料について成田氏・円谷プロ間で折り合いが付かず、「ウルトラマン神変」が映像作品に登場することはなかった。
*15 いつか話題になった、ボーダーのドレスが人によって黒と青、金と白に見える錯視と同じ現象。
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