レールガン

ページ名:レールガン

登録日:2011/06/08 Wed 10:43:03
更新日:2025/07/29 Tue 22:23:49NEW!
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レールガンとは

火薬ではなく電磁力で弾体を加速・発射する大砲。
EMLの一種であり、日本語では「電磁投射砲」「電磁加速砲」と呼ばれる。
大事なことなので二度言うが、



『電磁投射砲』


もしくは


『電磁加速砲』


である



原理

基本原理は1900年頃から既に分かっていた。


    ←発射先 ━━━━━━━┳━←━┓+の電極   《┏━━━┫≡  ↑   《《┃ 弾 ↓≡  □←電源    《┗━━━┫≡  ↑ ━━━━━━━┻━→━┛-の電極

その根本理論は高校物理で習う、『フレミングの左手の法則』であり、電磁力で物体を加速する装置。
二本並べた「電極(レール)」の間に「弾(導体)」を挟み、そこに電流が流れると磁界が生じ、「弾を流れる電流」と「レールが発生する磁界」の相互作用で推進力を産み、弾が加速する。
導体と弾*1を分ける場合もある…というか、多くはそうする。


こう書くと複雑そうに見えるが、例えば銅の丸棒を3本用意し、二本を平行に並べ、


┃┃


その上にもう一本を置いて橋をかけ「H」型にする。


H


この最初に置いた左右の二本の間に十分な電流を流すと真ん中に置いた一本が前後どちらかに転がっていく(方向は電源を繋いだ位置で変わる)。
実際にやると火事やら感電やら色々危ないので注意が必要だが、銅の棒3本と電源で構成された装置で成立する至極シンプルな原理が元となっている。


理論上、弾はレールと電力が続く限りどこまでも(相対性理論により亜光速まで)加速可能。
そのため火薬の爆発力を用いる従来の砲よりも高速で弾丸を撃ち出せることになる。
更に火薬や燃料の場合に比べて問題になる薬莢やら文字通り爆発することによる爆発的廃熱などの問題*2を抑えることも望める。
弾そのものの小型化やら軽量化なども図れるだろう…などと銃身が長くなりがちな短所さえ除けば何だか至れり尽くせりに見える。


また、火薬(爆発)による推力と違って工夫せずとも弾の回転や速度を安定させることが出来るので施条(ライフリング)も不要。
(※ただし、発射後のことを考えると弾の形状は工夫する必要がある)




歴史

もちろん、そんな美味しい話を各国が放っておくはずもなく特にWW2の際、ドイツ・日本で研究されていた。
…しかし対空砲一個につき、発電所が二個必要との結果が出て挫折。
ついでに摩擦や電流を流した時の熱(ジュール熱)などで超音速発射すら出来なかったとの説すら…。


要は大量の電気を喰うので、最近になってようやく実用化の目処が立ち始めた。
実用化には小型かつ高出力電源装置が必須なので、本体と電源両方の開発が必要。
現在だと特に電源の開発が難航している模様で、まだまだ効率が良いものとは言い難いだろう。


他にも



弾が高速になると磁場が弾に追いつかなくなって…
表皮効果で抵抗値が爆上がりして…
レールが摩擦と熱で磨り減って…
大電流で熱が…


等々、フィクションに追い付くには山ほどの困難が立ち塞がっている。
熱問題に関しては通常の銃においても今でも完全に解決しているとは言えない部分であり、仮に初発が良くても連射性はどうなのか?という辺りも問題と言えるだろう。



アメリカ海軍はAGSの後継として研究していた。噂ではマッハ7で砲弾を発射できるとかなんとか。
…が、2021年に開発中止が発表された。


自衛隊も開発を進めており、最終的に自走化を目指すとのこと。*3
その実験内容はYouTubeにあるので是非。
2023年に護衛艦に搭載して洋上射撃試験に成功と発表された。


また、上記の問題であった数々の問題も「殆ど解消」できている状態であり、

  • 大電力の供給問題
    • 近年の発電・バッテリー技術の向上で、20フィートコンテナ4つ分で必要分の電力供給が可能に
  • 表皮効果や摩擦熱によるエロージョン(損傷)によるレール砲身の短寿命
    • 高硬度の銅合金と高度な放電制御で2000m/s超の連続発射が最低でも120発は撃てるように

と、アメリカ海軍の計画よりもかなり小振りな設計(彼らはトマホークや艦砲射撃の代替と考えていたので大口径の15kg砲弾を2500m/sで飛ばすというアメリカンサイズ。自衛隊の試作砲は40mmの320g砲弾程度)ではあるもの、かなり実用化に近づいている。
というか、元々のアメリカ軍が大規模過ぎただけで、高い初速で砲弾エネルギー(威力)を稼げるなら、これくらいのサイズがちょうどよかったのかもしれない。


また兵器・装置として実用的なものを作るのが難しいというだけで原理自体は旧いものであるため、性能や実用性を無視すれば人間が携行できるサイズで動作するものを、個人宅で作ることも可能である。
こちらも動画サイト等で実際に作ってみた人達の作品を拝むことができる。




用途

平和利用

宇宙開発では実用化されており、人工衛星等のスペースデブリ対策の実験用に、研究施設に据付けられたものが存在する。


将来的にはロケットの代わりに宇宙ステーションに物資を送る、宇宙空間に設置して宇宙船や探査機を他の星へ向けて発射するカタパルト/マスドライバーとしても期待されているとか。



兵器として

先述の通り、主に兵器としての研究が有名。
劣化ウラン弾×レールガンの組み合わせで驚異的な威力を発揮することは想像に難くないが、幸か不幸か実用化はされていない。
まあ劣化ウランは製造・運用側には結構大きな長所があるものの、使用後に問題を残すのでなるべく別の物で頑張ってくださいと言わざるを得ない。
威力が高まれば高まる程飛散が激しくなるので尚更やばい。


SDI(スターウォーズ構想…運動エネルギーによる弾道ミサイル迎撃システムとして)
戦車砲
艦砲
高射砲
対隕石砲
最終的には携行火器にも?


などなど。


SFのせいで凄まじい威力を持つ未来の超兵器のイメージがあるが、現実の最大のメリットはミサイル等と比較して弾が安くて高威力なことにある。
磁力にさえ反応すればどんなものでも飛ばせるので、早い話、銃弾は砲身に収まるサイズの鉄のカタマリでOK。
炸薬を用いない運動エネルギー弾(鉄芯)などの加速にも応用できる。
夢のない話である。やはり兵器などフィクションの中だけで十分だ…




混同されがちなもの

  • ごく稀に列車砲とも間違われるが、列車砲は「Railway Gun」となる。この項目に詳しくあるが、あっちは字義通り列車に大砲を乗っけたもの。
  • 漫画やアニメ的表現からレーザーやビームと誤解されることもあるが、弾はあくまでも実弾である。途中でビームになったりもしない*4


ガウス砲

コイルガンとも呼ばれる。詳しくはEMLの項目で。


ガウス砲のレールガンとの違い

  • 弾に電気が流れない
  • 初速がゆっくりなので地球上では兵器に向いてない
  • 使用する電気が少ない
  • 家で作れる
  • かつては銃刀法の対象外だった。現在は所持が禁止されている。


リニアモーター

リニアモーターとは、電磁石同士の引き合いと反発を連続的に起こす事により加速・減速する機構の事。


リニア(ここでは砲とする)のレールガンとの違い

  • 砲身に大量の電磁石が必要
  • 弾にも電磁石が必要。
  • 砲身と弾の磁極を頻繁に切り替える必要がある
  • 家で作るのはなかなか難しい

以上より、「弾」が消耗品である兵器には不向き。
一方、再利用可能な「台車」の加速に用いるのであれば、カタパルト/マスドライバーとしての運用も可能と思われる。



フィクションでの例

ガンと付くだけあって主に武器として採用されることが多い。
近代軍事ものでは大抵凄まじい威力だが、SFやロボットものではエネルギー弾を発射したり必殺兵器だったり豆鉄砲扱いだったりと扱いにバラつきがある。
射程が長い傾向にあるとは思われる。
たまに「レールガンなのに弱いってのはおかしいのでは?」という意見も見られるが、レールガンはあくまでも弾を発射する方法に過ぎないので、既存の火砲と同等の性能で設計されているのなら何らおかしくはない。


一応兵器ではなく純然たる加速装置としてのカタパルトだとか、加速させ続けてワープだとかの応用を見せる時も有る。



個人携行型


兵器搭載型



カテゴリとしては『ACNX』で初登場。背部武器の一つ。
発射時にENを消費し、発射に1秒程のチャージ時間が入る代わりに高威力で非常に弾速が速いエネルギー系武器となっている。
呼称こそ「ガン」だが他のキャノン系武器と同様に二脚では構えが必要。
『ACLR』では手持ち版も登場したがシリーズ最悪クラスの産廃だった。
レールガンなのにEN属性な点については、上記手持ちレールガンの設定画に「粒子加速レール」という文字が見られる事から、
レールガンの原理で高エネルギー粒子を射出する武器である可能性がある。


『AC4』以降は実弾武器となり、発射前チャージが無くなった他、
『ACV』では同作のレーザーライフル系と同様のチャージ武器となるなど、
「発射時にENを消費する」「重量級武器」という点を除いて作品によってブレが大きいカテゴリとなっている。



固定砲台

巨大隕石ユリシーズから人類を守る為に造られた、8基セットの隕石迎撃砲。ユージア大陸の中央付近に設置され、大陸全土をほぼ射程内に収めている。
その名の通り、弾頭の撃発に火薬、加速に電磁力を使用したハイブリッド式。
複合方式としたのは撃発にまで電磁力を使用すると砲身が負荷に耐え切れずに溶け落ちるためである。




それはレールガンか?

能力名がそのまま「超電磁砲レールガン」であり、関係ない一部メディアですらこの名称を使ってしまった例があるほどレールガン使いとして有名なヒロインだが、実はそもそもレールガンかどうなのか読者の間で意見が分かれる事例。


というのも、片手でコインを撃ち出す技をレールガンと呼称しており、「コイルガン*7やプラズマガンと称した方が描写に合っているのでは?」と一部読者からツッコミの声があげられている。
しかし、一応二本の電極を空中に擬似的に作って弾丸に接触させ続ければ恐らく可能……だと思われる。
(実際に『超電磁砲』の過去編では「仮想のレールをイメージして、それに沿って磁場を形成する」と原理について説明されていた。)


また、彼女の体細胞クローンの一人であるドリーは、自らの髪の毛を擬似的にレール状にして簡易的なレールガンを放つ技を披露している。


こちらは「電磁抜刀レールガン」。明らかにレールガンとは言えないでしょうという事例。
まあ作品がかっこよければいいんだよ!というノリであるし、ファンタジーとして見るならあながち間違いとは言えない。


こちらは「電磁銃レールガン」。
ある事情から特異な帯電体質となり、オリハルコン製の鈍器を帯電させることで出来るようになった帯電させただけではレールガンにはなりませんよね?という事例。
しかしながらこのオリハルコンというのは凄い金属であり、そのせいでどうにか出来てしまった(他の金属では無理かもしれない)という可能性もある。
少なくともレールガンを実装する上での副次的な問題はトレインの超人っぷりとこの金属ならば問題にならない。


顎と腹部の間に磁場を発生させて攻撃エネルギーを撃ち出す「プチレールガン」を幼虫時代に使用。
25mのモスラ幼虫の何が「プチ」なのか、もはやレールガンと名前が同じだけの何か別の武器ではないのかという事例。


磁力を自在に操るモンスターであるルコディオラ、
その中でも辿異種と呼ばれる、異常なまでの磁力を扱えるようになった個体のみが使用する。
両翼を丸めて形成したレールの中央に砂鉄の塊を生成し、それを電磁力で射出する。
明言こそされていないものの、その原理はまさにレールガンそのものであり、
砂鉄の塊が地面を抉りつつ一瞬でエリアの果てまで飛んでいく様は圧巻。


「頂点捕食者」と呼ばれるモンスターの1匹で電撃を操る飛竜。
二本の角をレールの如く前方に曲げて放つ電撃がそう見える事からプレイヤーからは「レールガン」と呼ばれる事があるが、実際にはただの放電であり弾は存在しない。


  • 『猛射つ』/『禁断の魔術』の犯人(ガリレオシリーズ)

ある人物を殺害する為の凶器として使用。
『禁断の魔術』は短編『猛射つ』を改稿した長編であるが、レールガン周りの描写が多少違っている。


レールガンは名前だけでビームキャノンに近い。




追記・修正はレールガンを開発してからお願いします。



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*1 「投射物」または「プロジェクタイル」とも呼ばれる
*2 火薬などは使い勝手こそ良いものの短所も多く、古くから動作不良・事故・有害性にそれらを乗り越えるための改良などの逸話は数え切れない。
*3 自走化できるということは艦載砲にも固定砲台にもできるということである
*4 但し、「プラズマ化した(してしまった)弾頭を発射している」「レールガンの技術を利用したレーザー砲である」なら、実弾ではないレールガンも全く不自然ではない
*5 以前は一部のミッション中のみで常用は不可だったが、現在は購入が可能
*6 改造により主砲をレールガンに換装可能な戦車
*7 こっちは「妹達」の一人が使っている

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