バレンタイン殺人事件(名探偵コナン)

ページ名:バレンタイン殺人事件_名探偵コナン_

登録日:2012/07/12 Thu 02:17:58
更新日:2024/04/13 Sat 15:42:27NEW!
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園子が燃えている…


『バレンタイン殺人事件』とは、『名探偵コナン』において、江戸川コナンが解決した事件のうちの一件。
1996年2月12日にテレビアニメ6話として放送された、原作漫画には無い、記念すべき初のアニメオリジナルエピソードである。
脚本は井上敏樹氏が担当。


原作33巻に収録されている『バレンタインの真実』とは全く無関係の話なので注意。



※以下ネタバレが含まれますので、未視聴の方はご注意ください。



【あらすじ】

年に一度のバレンタインデーも間近の日、
蘭と園子は先日2人をナンパした米花大学の若松という男にテニス部のバレンタインパーティーに招待され出席することになる。
コナンは偶然その現場を目撃し、パーティーにこっそり付いていく。
だがパーティーの途中、主催者である克彦が突然倒れ息を引き取ってしまう。


【事件関係者】

  • 皆川克彦

CV:堀川亮(現・堀川りょう)
米花大学テニス部キャプテンでパーティーの主催者。
酒が入ると態度がデカくなり周囲に当たり散らす。甘い物が苦手なヘビースモーカーで、タバコはフィルターを取って吸う。
好美に好意を持っているが、直道に恨まれている。
パーティー中、自宅の庭でチョコを食べた直後に苦しみ出し、そのまま中毒死する。
なお、中の人は後に西の高校生探偵を担当している。

  • 若松俊秀

CV:檀臣幸
米花大学テニス部で、蘭と園子をパーティーに誘ったゴリラ男。
自称「気は優しくて力持ち、涙もろくて情に熱い」だが、克彦からは「脳みそまで筋肉のような男」と言われている。実際、彼の劇中の行動を見る限り克彦の評価はあながち間違いではない。
蘭に好意を持っているが、アプローチがかなり強引で、その考え方もかなり浅はかで短絡的。
こっそり手を繋いでいきなりキスしようとして間違えてコナンにキスしてしまい、挙句にコナンを投げ飛ばしたりとかなり短気で横暴なウザキャラ。(この時コナンは頭突きで仕返しした)
蘭の趣味が空手だと聞いても、自分自身の女性に対する思い込みや偏見のもと、全く信じようとしない。
なお、若松を演じた檀臣幸氏は原作のバレンタインエピソードである『バレンタインの真実』で二垣佳貴を演じている。

  • 田中直道

CV:飛田展男
米花大学テニス部員。
根暗な為、しょっちゅう克彦にいびられている。
かおりに好意を持っているため、そのかおりをいつも泣かせている克彦を恨んでいる。
後の原作回である『空飛ぶ密室 工藤新一最初の事件』には彼らしき乗客がモブとして登場している。
なお、中の人は後に警視庁公安部警部補を演じている。

  • 渡辺好美

CV:玉川紗己子
米花大学テニス部員。
克彦にチョコを渡すが、克彦がそれを食べた直後に倒れ息絶えたため、殺人の疑いをかけられてしまう。
なお、中の人は後にとある人物の姉を演じている。

  • 関谷かおり

CV:伊倉一恵
米花大学テニス部員で克彦の幼なじみ。
克彦に好意を持っていてチョコを渡そうとするが、克彦からは「友達でいたいから」と拒否された。

  • 皆川小百合

CV:川島千代子
克彦の母。初対面時の園子から「若い」と評される美人。途中からパーティに合流したコナンのことを快く家に招き入れた。
本編では名前が不明だったが、アニメコミックスにて名前が表記されている。

  • 皆川進

CV:森田千明
克彦の弟。
克彦とは年が離れている。
虫歯持ちで、かおりから克彦に受け取りを拒否されたチョコを貰うが母に没収され、こっぴどく怒られる。



【主要人物】

ご存知主人公。
アニメでは初めて麻酔銃を使用(原作では『豪華客船連続殺人事件から)。
蘭を俊秀から守る為にピッキングで俊秀の車のトランクに潜り込むヴェノム・スネークぶりを見せる。
針金でトランクの鍵を開けた時のスピードは僅か2秒。やはりハワイで親父に教わった
俊秀に手を握られキスされ投げ飛ばされと酷い有り様だが、「蘭姉ちゃんに近寄るな!」と必死に蘭を守る。
また、いつもより子供のふりがやたら上手い。

ご存知蘭姉ちゃん。
終始俊秀に強引なアプローチをされる損な役回り。
ちなみに彼女の手作りチョコは板チョコタイプ。溶かしてまた板チョコにする必要なんかあったのだろうか?

ご存知迷探偵。
アニメでは初めて麻酔銃の餌食となった。眠りに落ちる姿は何かシュール。
蘭がバレンタインパーティーに行く際に「おう、どうせならリッチな男ひっかけてこいよ」と普段の小五郎とは考えられない発言をする。
事件直後に蘭からの連絡を受けてすぐさま現場に駆け込んだ。
状況証拠だけで好美を犯人と決めつけるなど、いつも通りの迷推理は健在。

ご存知蘭の親友で鈴木財閥の令嬢のお調子者。
アニメではこの回が初登場で出番がかなり前倒しにされた(原作では『山荘包帯男殺人事件』が初登場。こちらのアニメ版放送は同年10月なので、単純に考えて8ヶ月ぶん前倒しである)。
克彦に好意を持ち、蘭と共にバレンタインパーティーに行くが、克彦が好美を好きだと知り、持ってきたチョコをやけ食いする。

ご存知警部殿。
小五郎が現場にいることにすぐさまツッコミを入れた。

ご存知少年探偵団。
自分達の宣伝目的でコナンを付き合わせて商店街でビラ配りしていた。
ちなみに光彦のみ台詞なし。

ご存知博士。
回想のみの登場。コナンに腕時計型麻酔銃の使い方を説明する。



【以下よりネタバレ、事件の真相】
























守りたかったのよ…


この家を… 進の幸せを…


  • 皆川小百合

今回の事件の真犯人。
実は克彦の実母ではなく、克彦の父方の叔母。
夫の事業が失敗し、大金が必要になったところ、街中でチョコを買う好美を見かけたのをきっかけに克彦を殺害して財産を奪う計画を企てる。


克彦が甘い物が苦手であることを利用し、パーティーで客人全員に出すコーヒーに毒を入れ、その解毒剤をケーキに混入。ケーキを食べたがらない克彦だけが中毒死する様に仕向けた。
さらに克彦が好美のチョコを必ず食べることも知っており、克彦が毒で倒れた際には真っ先に近づくとチョコを毒入りのものにすり替え、事件直後にコーヒー入りのカップを水洗いして証拠隠滅を図っていた。


だが、パーティー中に虫歯持ちの進が蘭のコーヒーを勝手に飲んでしまうという想定外のトラブルが発生。急いで解毒剤入りのケーキを食べさせるが、チョコをもらっただけで叱っていたにも関わらず、甘いケーキを自分の手で食べさせるという矛盾した行為が怪しまれるきっかけとなる。
しかも、カップや流しには多少の毒が残っている上、懐に隠した好美のチョコが溶けて着物の胸部分から染みてしまったのが証拠となってしまう。チョコの件を突き止められても出鱈目だと言い逃れようとするが、自分が実の母ではないとかおりに暴露されると観念して犯行を自白する。


実の息子である進の未来を守る為とはいえ、特に険悪な関係というわけでもなかった義理の息子の克彦を財産目当てで手にかけるというのは擁護しかねるし、全員のコーヒーに毒を混ぜている以上、場合によっては実の息子だけでなく無関係な人も死に至らしめるものなので、相当重い罪に問われるだろう。


また全体的に彼女の犯行には粗が多い。


  • 皆川克彦

事件の被害者。
7年前に両親が事故死した後は小百合に引き取られていたが、自分の財産を狙った小百合に毒を盛られて殺害されてしまう。
他人から恨みを買っていたが、金目的で殺されたのは気の毒である。
ちなみに克彦が好美を好きでいる理由は実母に似ていたかららしい。


  • 田中直道

自分の好きなかおりを泣かせる克彦への恨みも限界に達したのか、彼の殺害を決意する。
フィルターに毒を仕込んだタバコを克彦に渡すという手口だったが、克彦はフィルターを取ってから吸っていたので失敗に終わり、捜査中に犯行が露見して一時は殺人の疑いをかけられた。
事件後は不明だが殺人未遂の罪があるため、その件で警察に連行された可能性があると思われる。


  • 渡辺好美
  • 関谷かおり

好美は街中でチョコを買う姿を小百合に目撃され、それを利用されて殺人の疑いをかけられてしまう。
かおりは幼馴染ゆえに克彦が本当の両親を亡くしていることも好美が好きな理由も知っており、その事実を小百合に突き付けて自供させた。


  • 皆川進

毒入りとは知らずに蘭のコーヒーを飲み、危うく死にそうになるが、小百合に解毒剤入りケーキを食べさせられたことで難を逃れた。この行為が虫歯を理由にチョコを取り上げて叱っていたこととの矛盾を生み、小百合の犯行を証明するきっかけとなる。
克彦とは実の兄弟ではないが、今回の事件で義兄が亡くなっただけでなく、義兄をその手にかけた母を逮捕される形で失う羽目に。
今回の事件における一番の被害者。



【その後】

夕方。とある道でベンチに座る蘭とコナンの姿があった。
自分で作ったのに誰にも渡せず残ってしまったラッピングチョコのことで蘭が悩んでいると、後ろから乱入した俊秀がチョコを見るなり、自分のものと思い込んで取り上げてしまう。これには蘭も流石に怒り、横の街灯を殴って破壊。その姿に、俊秀は恐怖のあまり泣きながら逃げるのだった。
俊秀が落としていったチョコをコナンが拾ってみるとリボンに挟まったメッセージカードには「しんいち」と書かれていた。チョコを作っていた時、コナンに「新一?そういやいたわね、そんな奴も」と素っ気ない態度を取っていた蘭だったが、本当はそのチョコは新一に渡すつもりのものだったのだ。
蘭は自分を守りに来てくれたコナンなら新一も許してくれると信じ、そのチョコをコナンと2人で分け合う。
しかし、蘭は隣にいるコナンが新一その人とは知らないのであった――。



【余談】

この話がテレビアニメ初のオリジナルエピソードとなる。「名探偵コナン」は新一がコナンになってから一年経っていない事から、年一度の行事は一度しか作らないように構成されているが、
バレンタインデーは後に原作で『バレンタインの真実』という話が作られた為に2度繰り返されてしまった。
え?バレンタインとホワイトデーの後で紅葉の季節の京都へ修学旅行に行った?な、何のことかなぁ……


脚本は井上敏樹。
メインキャラである園子や阿笠の開発した腕時計型麻酔銃を原作より早い段階で登場させている。
相当なウザキャラの若松や、コーヒーに毒・ケーキに解毒剤という食事を使った犯行、主人公で探偵であるコナンにピッキングをやらせるなど、井上らしい話になっている。


しかし、「まず全員に毒入りコーヒーを飲ませ、被害者以外はケーキで解毒する」というあまりにも無理のあるトリック、ウザすぎる若松のキャラなどにより、現在もファンからはこの話は不評である*1。下手したらコナンや蘭、園子といった主要人物が同時に毒で死ぬ可能性もあった。
ぶっちゃけ、黒の組織に襲われるよりも危険だった。
ケーキで解毒したとはいえ、知らず知らずに毒を飲んでしまうコナン達など黒歴史に思うファンも多いだろう。


また、この話では小さい子供を持つ親が殺人犯だったが、以降のアニオリ回では放送されている時間や視聴者層を考慮しているのか、今回のように未成年の子供を持つ親が登場する事はあまりなく、事件関係者として登場しても殺人犯である事は少ない*2


コナン史上で無理のある話、酷いアニメオリジナルエピソードの代表例として名前が挙がることもしばしば。
初のアニメオリジナルエピソードというのも叩かれやすい要因ではあるが。
ハンガー釣り具屋のようにネタにできるような部分が少ないのも原因だろう。


アニメ版のストーリーエディター(わかりやすく説明すると脚本のまとめ役を務めるスタッフ)である飯岡順一はこのシナリオを見て井上に内容の改訂を求めたが、井上はそれに応じず、激怒した飯岡は井上にはもう脚本を担当させないように他のスタッフに進言したという噂が出るほど。
現に井上はその後1996年に3回、それもアニメオリジナルではない原作からの話(第10話「プロサッカー選手脅迫事件」、第15話「消えた死体殺人事件」、第42話「カラオケボックス殺人事件」)の脚本(構成)を担当した後は現在に至るまで全く関わっていない。


今回登場した若松の名前は井上がメインライターを勤めた『鳥人戦隊ジェットマン』のブラックコンドル/結城凱を演じた俳優の若松俊秀氏と同姓同名である。
若松氏は井上氏とも非常に懇意にしているが、実際の若松氏はもちろんこんな奴ではない。名前だけ借りてキャラはまったくの別なのか、それともへそ曲がりで有名な井上氏の事なので、これも一種の友情表現なのかは分からないが……。
なお、ジェットマンの出演者の中には『コナン』に出演した人もおり、一条総司令を演じた手塚秀彰氏は『奇妙な人捜し殺人事件』などに出演し、小田切長官を演じた三輝みきこ氏は『スキーロッジ殺人事件』などにゲスト出演している。



見てなさい冥殿、あたしの追記・修正であなたを骨の髄まで溶かしてみせる!

*1 ただし、若松のような濃いゲストキャラに関しては近年のアニオリ回によく登場している。
*2 原作エピソードでは犯人や被害者になる場合がある。それを同時に満たしたエピソードでは、残される子どもに残酷な真実を知られないようにする配慮が小五郎(コナン)によってなされた。

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