特徴

ページ名:特徴(青年)

実在感

ICは「ありありとしたそこにいる」実在感が伴う。通常、実在感というのは、知覚に裏付けられているものである。

ICの実在感は知覚性を持っていることもあれば、表象の域に留まるものもある。必ずしもはっきりと特定できるものではない。

実在感が伴うものの、それは画像的であったり、輪郭がぼんやりしていることもあれば、全く画像性がなくそこにいるのを感じるだけのこともある。

澤ら(2002)は、ICの中核とされる症例においては、「生々しい表象性」が主役を演じているのではないかと考察している。

 

青年期以降のICでは、この実在性は客観的な実在と混同されることはない。本人にとって、ICは、他の誰かによって認識できるとは考えられず、あくまで個人的で私秘的な体験であるとみなされる。実在感があるのにもかかわらず、架空の存在として捉えられる。

 

また、ICはある程度の具体的なイメージ(あるいはプロフィール)に裏打ちされている。その存在が心に描き出される度に、「これこれこういった感じの人物」というように一人の同じ人物として同定される。

 

ICが何故このような実在感を持つのかについては分かっていない。澤ら(2002)は、空想からの二次的産物や現実検討のなさからから来るものとは片づけられないとしている。

 

空間的位置づけ

「頭の後ろ」や「自分の隣」など、ICの位置はある程度はっきりと決まっていることが多い。

ICの多くは本人の「外部」に位置付けられる。本人は空間的拡がりをもって描出することができる。

また、本人の「内部」に位置付けられることもある。その場合でも、実在感ははっきりと保たれている。

 

他者性

ICと本人は直接対話的交流をする。

「声」は聴覚表象レベルに留まることが多いが、もっと生々しい声のこともある。

 

澤ら(2002)は、「相互的」であることは注目すべき特徴であるとしている。人形やペットに話しかけることはあっても、そこから相手が語り返すことはない。

ICは本人にとって、自分とは異なる他者として体験される。典型例では、現れ方や発話のあり方などは本人の意志では変化せず、あくまで受動的な体験であるとされる。

 

参考文献・引用文献

  • 澤たか子・大饗広之・阿比留烈・古橋忠晃 『青年期にみられるImaginary Companionについて』 精神神経学雑誌 104(3), 210-220, 2002.

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

TOP

このwikiはイマジナリーコンパニオン(IC)/イマジナリーフレンド(IF)についてまとめたものです。主に学術論文等の信頼性の高い文献を元にまとめています。 インターネット上では「イマジナリ...

物体の擬人化

物体の擬人化とはSvendsenはICを定義する際に、「目に見える客観的な基礎を持たない。物体を擬人化したり,自分自身が他者を演じて遊ぶ空想遊びは除外する」とした。この物体の擬人化をPersonifi...

ICとの出会い

ICには意識的につくるケースと無意識のうちに出会うケースがあることがインターネット上では広まっている。しかし現在の研究ではこれらについては触れられておらず、相違点については調べられていない。&nbsp...

概要

イマジナリーコンパニオンとはイマジナリーコンパニオン(以下、IC)とは、主に子どもに見られ、ある程度の期間に渡って遊び相手や話し相手になったりする想像上の友人や仲間のことをいう。ICは本人の「外部」ま...

自閉スペクトラム症とIC

自閉スペクトラム症とIC自閉スペクトラム症者にICが見られることはしばしばあるという。ICは通常のICとは異なっていることがある。また、幼少期のみならず、青年期以降にもみられることがある。 ...

出現率と時期

ICの出現率ICの出現率を調べた文献は多くあるものの、その結果については6%から65%と広い。ICの定義が各研究者によって異なり、Svendsonが定義を考えた際に除外した空想遊びを含んでいる研究もあ...

コミュニティ

イマジナリーフレンドを持っている人へ質問ICがいる人が回答している質問サイト。 イマジナリーフレンド - メンタルヘルスブログ村 Amebaブログ #イマジナリーフレンドこちらに登録されているI...

MENU

 TOP ICとは概要用語出現率と時期ICとの出会い研究の歴史ICと超自然的解釈 子どものIC特徴要因機能自閉スペクトラム症とIC 青年期以降のIC病理特徴&n...

用語

ICImaginary Companion。空想の仲間。IFImaginary Friend。あるいはInvisible Friend。前者は主にインターネット上で使用される表現。後者は論文等でPOに...

偽幻覚

偽幻覚とは表象幻覚、仮性幻覚とも呼ばれる。北村(2013)よれば、偽幻覚とは「細部に至るまで明瞭で、かつ意思で左右できない表象」のことを言う。正常の心理現象の一つである。愛する者と死別した際に起こりや...

要因

ICをつくり出す状況早期のIC研究では以下の状況でICがつくり出されるとされた。 きょうだいが生まれたとき 両親や養育者と死別したとき 両親が離婚したとき 友人を失ったとき 不仲な両親に育てられた 一...

特徴

幼児期のIC幼児期のICは、多くの場合、遊び相手や世話をする相手である。世話をする相手の場合、「できないことをしてあげる」といった関わりが多い。 児童期のIC児童期のICは、相手との親密な関...

その他

一人二役的な会話これは個人の能動行為である。ICは受動的な体験であり、これとは区別される。 統合失調症統合失調症では未知的な存在が体験され、客観的実在と混同されることがある。ICは反復して現...

特徴

実在感ICは「ありありとしたそこにいる」実在感が伴う。通常、実在感というのは、知覚に裏付けられているものである。ICの実在感は知覚性を持っていることもあれば、表象の域に留まるものもある。必ずしもはっき...

準宇宙

児童期以降になると、子どもの中には複数の仲の良いきょうだいあるいは友人と一緒に、「準宇宙(paracosm)」と呼ばれる空想の王国や世界を作り出すことがある。しばしば仲の良いきょうだいや友達との共同作...

交代

「交代」とはICはときに本人の身体活動を行うことがある。本人とICが位置を入れ替えるようにして、ICが主体となって行動することがある。 例えば、ICがいじめを受ける本人の身体を操作し、ICが...

その他

IC周辺体験後藤ら(2015)は、IC周辺体験について調査を行っている。IC周辺体験として、人格化、他自我、他人格、実体的意識性の4つを上げている。大学生の1/3強が体験しているという。病的解離群でそ...

交代人格

交代人格とは定義大矢(2008)によれば、Kluftは交代人格を以下のように定義している。堅固で持続的で確実な自己感覚および刺激に対する反応性に関して特徴的な整合性のある行動と感情のパターンのある存在...

実体的意識性

実体的意識性とは仙波(2009)は実体的意識性を以下のように説明している。人や物の実体的な存在を,感覚器官を介して知覚することなしに,無媒介的に直観的に体験すること。音や空気の流れなどの知覚によらず,...

解離

解離とは解離とは防衛機制の一つである。カプラン臨床精神医学テキストより定義を引用する。精神医学上,解離(dissociation)は,ある一連の心理的もしくは行動的過程を,その個人のそれ以外の精神活動...