物体の擬人化

ページ名:物体の擬人化

物体の擬人化とは

SvendsenはICを定義する際に、「目に見える客観的な基礎を持たない。物体を擬人化したり,自分自身が他者を演じて遊ぶ空想遊びは除外する」とした。

この物体の擬人化をPersonified Object(以下PO)という。人格を与えられたぬいぐるみや人形のことをいう。

これに対し、特に目に見えないところを強調して、ICをInvisible Friend(IF)という場合もある。

なお、POをICに含んで良いのかは議論が分かれる。Svendsenは含まないとしたが、含んでいる研究者もいる。

 

POの特徴

POはぬいぐるみであれ、人形であれ、顔や身体といった特徴を持ったものが選ばれる。

例えばくまのぬいぐるみの場合、子どもの空想の中ではぬいぐるみはそのままの姿の場合もあるし、大きさが違うかもしれないし、顔が違うかもしれない。もしくはくまの姿ですらない可能性もある。

ぬいぐるみ自体は子どもが空想をするための小道具に過ぎない。

ぬいぐるみや人形をPOと呼べるのは、ヒトらしい特徴が付与されたり、友達として扱われている場合である。ただ持ち歩いているだけではPOとは呼べない。

 

ICとPO

ICとPOを作り出すのに必要な想像力は変わらないという。

また、ICとPOを持つ子どもの類似点は、想像上の相互作用(会話をするふりなど)をする能力が高いという。

一方で、相違点は、ICは通常の友達のような対等な関係を築く傾向があり、POには上下関係(世話をするなど)ができやすい。

 

日本や中国ではICよりもPOを持つ子どもの方が多い。日本での調査では、ICは10%程度、POは40%程度が持っているという。

オーストラリアやイギリスなどでの調査では、40%がIC、10%がPOを持っているという結果がある。

いずれの研究でも、ICとPOを合わせた割合は50%と同じである。

 

参考文献・引用文献

  • 森口佑介 『空想の友達 子どもの特徴と生成メカニズム』 心理学評論 57(4), 529-539, 2014.

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