ICとの出会い

ページ名:ICとの出会い

ICには意識的につくるケースと無意識のうちに出会うケースがあることがインターネット上では広まっている。

しかし現在の研究ではこれらについては触れられておらず、相違点については調べられていない。

 

山岸(2017)は、文学作品に登場するICについて調べ、意識的でない場合の方が本人が大きな問題を抱えている可能性があると結論づけた。

実際のICでも同じことが言えるのかは分からない。

 

自己催眠状態

田中(1997)は、無意識のうちに出会うICについて、自己催眠状態を利用しているのではないかと言う。

 

ケースを2つ引用する。

 

小学校4年生になって、クラスで孤立させられ、叩かれたりしていた頃に次のような童話を読んだ。〔…中略…〕ある日、教室で虐められて机に突っ伏して泣いているときに、窓から差し込む光が自分を照らしていて気持ちよく、いつもとは違うと感じた。ふと机の上の消しゴムに塗料がついていることに気付き見つめていると、人の姿に見え、次の瞬間「大丈夫だよ」と柔らかで優しい声が聴こえた。よく見るとそれは老人の妖精であった。それ以来、様々な妖精が精神的に追いつめられたり孤独なときに現れ話しかけるようになった。〔…中略…〕高校時代にそれはなくなってしまっていたが、精神科への通院が始まって再び現れ、鏡をみていると時折姿を現し話しかけてくるのが聴こえるという。

 

五歳の頃、母親に叩かれて泣いていてふと鏡をみると自分の姿だけれど別の女の子がいて「可哀想ね」といって笑いかけてきた。この少女には名前がついていて、5歳頃には鏡の中にいたけれど、その後は自分の心の中におり、時折鏡に姿を現す。患者がひとりでいると出てきて会話し、慰めてもらうという。

 

田中はこの2つのケースについて、ICと出会ったのは夢幻様状態であったとし、ICに出会うために「妖精の国」を想像したり、鏡を見つめたりと積極的に自己催眠状態(解離状態)を利用していたという。

 

日記習慣

日記習慣がICの創造に繋がることもある。日記の中でICをつくり出し、それに語りかける。男子より女子に多い。

 

海外の青年を対象にした調査によると、日記の中にICをつくり出している青年の多くは、現実の友人も平均的に持っているという。しかし、自分の思いの丈を存分に語ることのできる友人は少なかったため、ICに語りかける。あるいは、人一倍想像豊かであるものの、それを現実の友人には表現できないため、ICに対して語りかけることによって、自己を発揮してるのではないかと言われている。

 

児童期後半から青年期において、女子は男子よりも友人関係に親密さや一対一での語り合い、情緒的関係を求めるようになる。富田ら(2014)は、そのことが男女差に関連するのではないかと推測している。

 

他有化

大饗(2007)は、自らの攻撃衝動などをICに委ねる(他有化する)ことで心のバランスを図ることがあるという。

 

DIDにおいても、攻撃衝動を交代人格に委ねることによって危機が回避されているケースがある。この場合、幾重にも重なる交代人格によって、攻撃衝動を持つ交代人格は主人格からは遠く離れたところに隠蔽されていることが多い。攻撃衝動が現れないように交代人格が攻撃的人格をコントロールする防衛システムが出来上がっている。

一方で、ICに攻撃衝動を他有化させる場合、攻撃衝動は主体の内部から外部にずらされただけに過ぎない。防衛としての解離は不完全である。

 

自らの攻撃衝動などをICに他有化させること自体は危険なことではない。この不完全な防衛システムが破綻したとき、危険な様相を見せる可能性がある。

 

参考文献・引用文献

  • 山岸明子 『子どもにとって「想像上の仲間」がもつ発達心理学的意義 6つの文学作品をめぐって』 順天堂保健看護研究 5, 41-52, 2017.
  • 富田昌平・高尾晶代 『児童期に空想の友達を持つ子どもの特徴』 心理科学 35(1), 52-62, 2014. 
  • 大饗広之 『解離と攻撃性』 精神科治療学 22(3), 291-296, 2007.
  • 田中究 『解離性障害における幻聴についての精神病理学的考察』 神戸大学医学部紀要 57(3/4), 337-350, 1997.

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