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怒号光明_M8-5_醸されし「厄運」
隊員を失った悲しみを拭い去ろうとするロスモンティス。ケルシーがドクターに、アーミヤとロスモンティスのオペレーターとしての意義を話していたその時、「ウルサス軍の痕跡を中枢区画にて確認」との緊急連絡がエリジウムから発せられた。
[ロドスオペレーター] 通信がつながりました!!
[ロスモンティス隊員] 隊長ですか?
[ロスモンティス] 私、私だよ! 今そっちはどう?
[ロスモンティス隊員] まあなんとか……今は地下建造物に閉じ込められてますが、通路のドアは見つけました。
[ロスモンティス隊員] ほかの出口を見つけたら、そちらと合流します。
[ロスモンティス隊員] 再起動機能はもう遮断しましたから、中に入っても大丈夫です。しかもエリア全体を防衛に利用できるので、不意打ちされる心配もありません。
[ロスモンティス隊員] ただ……
[ロスモンティス隊員] ブリッシュ……ブリッシュシルバーさんが――
[ロスモンティス] えっ!
[ロスモンティス隊員] ……いや、ダメです。ロスモンティスさん! 待って!
[ロスモンティス隊員] 任務を続行してください……私たちを探しに来ないでください! 出動前に、同意書にサインしたはずです!
[ロスモンティス] でも……!
[ロスモンティス隊員] 同意した以上は、それを反故にしないでください! あの約束がなければ私たちは隊長を支持することも、一緒にチェルノボーグに来ることもなかったんですから。
[ロスモンティス隊員] 私たちが隊長の小隊に入った時に話し合ったことを覚えてますか?
[ロスモンティス隊員] 聞いてください隊長。いいですか……エリートオペレーターとその小隊はそれぞれ役割が違うって話をしましたよね?
[ロスモンティス隊員] 隊長はアーツで色んなことができるし、戦闘にも強い。実のところ私たちに、隊長を支援できることなんてほぼありません。
[ロスモンティス隊員] でも、隊長が耐えられないような思いは、私たちで分かち合うことができます。アーミヤさんや、ほかのエリートオペレーターと同じように。
[ロスモンティス] でも、あなたたちはみんな私の大事なメンバーなの!
[ロスモンティス隊員] 落ち着いてください!
[ロスモンティス隊員] ブリッシュシルバーさんも最後に言っていました。私たちは――
[ロスモンティス隊員] あなたを兵士でも武器でもない、一人の戦士として成長させる。そうあなたに約束しました。
[ロスモンティス隊員] 隊長、あなたはあなたのやるべきことをしてください! 私たちは必ず無事に帰還しますから。
[ロスモンティス隊員] 難しいでしょうがよく聴いてください隊長。ブリッシュシルバーさんはこう言っていました。
[ロスモンティス隊員] 「あなたはただのエリートオペレーターではない。ロスモンティスなんだ。隊員たちだけじゃなく、ロドスのメンバーや感染者たち、何かを失うことや破壊を嫌う者は皆、あなたのことを愛している」
[ロスモンティス隊員] 隊長。だから考えてみてください。『ロスモンティス』として、今何をするべきか?
[ロスモンティス隊員] 通信を切ります。アーミヤさんによろしくお伝えください。
[ロスモンティス] ……
[ロスモンティス] 私を置いていかないで……絶対戻ってきて。
[ロスモンティス隊員] もちろんです。では――
[ロドスオペレーター] ……通信、終わりました。
[アーミヤ] 状况はどうですか?
[ロドスオペレーター] あ、アーミヤさん。エンジニア小隊犠牲者一名。他のメンバーは今のところ安全です。
[アーミヤ] ロスモンティスさん……チーム全体の火力が少し足りません。遊撃隊の迫撃砲小隊は補給時に攻撃が止まるので、その時間を埋め合わせる必要があります。
[アーミヤ] ……大丈夫ですか?
[ロスモンティス] ……アーミヤ。Aceが死んだ時、あなたは何を考えてた?
[アーミヤ] えっ!?
[ロスモンティス] 答えたくなかったらいい。知りたいって思っただけだから。
[アーミヤ] ごめんなさい、あまり思い出したくないです。
[ロスモンティス] アーミヤも、嫌な記憶から逃げたいの?
[アーミヤ] いえ、違います。ただ、今はまだそれらと向き合う時ではないというだけです。涙を流すのは全てが終わってからですから。
[アーミヤ] 最後に思ったことは覚えてます。
[アーミヤ] 彼や他のオペレーターの死を無駄にするわけにはいかないって。
[ロスモンティス] わかった。
[ロスモンティス] 偵察オペレーター、方向と位置を教えて。私が行く。
[アーミヤ] レユニオンは混乱に陥っています。気をつけてください。
[ロスモンティス] 私たちは彼らの敵だから?
[アーミヤ] 全てが彼らの敵だからです。敵がいないと、自ら敵を作り出す人もいますから……
[ケルシー] 何を躊躇している? 先鋒小隊、行け!
[ドクター選択肢1] 狙撃小隊、下がれ!
[ドクター選択肢2] 重装オペレーター、彼らを援護しろ!
[ドクター選択肢3] 術師、攻撃中止!
[狙撃オペレーター] 了解! 弾薬を補充して、隊形を立て直す!
[重装オペレーター] 了解! こらえろ! 通路を遮断させるな!
[術師オペレーター] アーツ停止! 気をつけろ、仲間に当てるな!
[家畜化のサルカズ戦士] それ以上前へ進むな! 怖い。
[家畜化のサルカズ戦士] やめろ、痛い! 身体中が痛い!
[ケルシー] 全く、人を不快にさせる感染症状だな。
[ドクター選択肢1] 彼らはもう人ではない。
[ドクター選択肢2] ……
[ドクター選択肢3] 龍門の変異感染者以上に嫌気がさす。
[ケルシー] もし君が、ロスモンティス、アーミヤ、彼女たちが率いる小隊が心配じゃないのかと問うつもりならば――
[ケルシー] 正直、心配しても意味がないとしか言えない。
[ケルシー] 計画はもう走り出した。全ての車輌は設計された軌道に沿って運行している。今他人の軌道に割り込めば、どちらの車輌も脱線してしまうだろう。
[ロドスオペレーター] 変異感染者たちはもう前進する気配がありません……!
[ドクター選択肢1] 油断するな! 目標は通過だ、殲滅ではない!
[ケルシー] 順に片づけろ。こちらに戦場全体を処理する能力はない。
[ドクター選択肢1] アーミヤが心配だ。
[ドクター選択肢2] ロスモンティスが心配だ。
[ドクター選択肢3] 戦況が心配だ。
[ケルシー] アーミヤは成熟したリーダーであり、優秀な戦士だ。彼女は小隊のオペレーションも、私たちの作戦目的も熟知している。
[ケルシー] ロスモンティスは強力な強襲要員であり、小隊から最も支持されるエリートオペレーターだ。作戦が彼女に合わせて作られていれば、どんな任務も完璧かつ合理的に完遂できる。
[ケルシー] チェルノボーグはすでに嵐の中心だ。この状況では、私たちが少々何か弄ったところで、戦局は変えられない。
[ケルシー] 彼女たちに対する最大の支援は、我々の小隊が戦略目標を首尾よく達成することだ。
[ドクター選択肢1] それだけで足りるのか!?
[ドクター選択肢2] ……
[ドクター選択肢3] あまりに薄情では?
[Pith] 賛成できない。
[ケルシー] 彼女は七つある訓練項目全てに耐え、個別テストではいずれも合格基準値を上回る成績を収めている。その中の三項目は特に優秀だった。
[Pith] 私はあんな術師を認めない。ケルシー、私は術師として、アーツで人に恩恵をもたらすことを生業とし、それに誇りを持っている。
[Pith] しかしRosmontisは、人に恩恵をもたらす術師ではない。そもそも彼女のアーツの本質は、人に益する類いのものではないのだ。
[ケルシー] 私が彼女を戦闘へ参加させるのは、たった一つの考えからだ。
[ケルシー] もし、Rosmontisを温室の中に置き続けた場合、何らかの要因でその美しい温室環境が破壊されれば、すぐに彼女は大災害を引き起こすだろう。
[Pith] お前が手を下せないなら私がやる。
[ケルシー] Pith!
[Pith] お前とアーミヤはその先にある未来を過信している。私たちが一つでも選択を誤れば、他の者の未来を永久に奪うことになる。
[ケルシー] 決断するのは、やれることをやりきってからだ。
[Pith] そのやれることとやらはいつやるんだ。それを待っていたら恐ろしい未来を迎えるだけだ。
[ケルシー] 今だ。彼女をエリートオペレーターに推し上げる。未来ではなく、今の話だ。
[ケルシー] そしていち早く彼女を指導し、磨きをかけ、あの力を制御させる。彼女には常に最高水準を要求し、たとえ天災に見舞われても絶対に動揺しない意志の強さを身に着けさせる。
[ケルシー] 彼女がこの大地のどんな出来事にも左右されなくなるまで。
[ケルシー] そうなれば彼女は、クルビア人に押し付けられた恐ろしい運命から真に脱却し、自分で自分の人生を決められるようになる。
[ケルシー] これが私の目的だ。
[Pith] そう言うだろうと思ったよ、ケルシー。
[Pith] だが誰がそれを保証する? 誰がそれをやるんだ?
[ケルシー] 成し遂げるには君も必要だ。エリートオペレーターたち全員で当たるんだ。
[ケルシー] 保証は私がする。私が生きてさえいれば、必ず成し遂げられると。
[ケルシー] 戦争というものは、温情と善良さで飾りたてればより危険になるだけだ。
[ケルシー] 本来、恐ろしくて残忍なものを、私はそんな風に飾りたくはない。それが決して起こるべきではないものだと知っていてもな。
[ケルシー] アーミヤとロスモンティスの後見人は、ロドス全体およびロドスの責任感ある全オペレーターだ。
[ケルシー] そのうえ、彼女たちは小隊戦術の中核を担う存在でもあるんだよ、Dr.{@nickname}。
[ケルシー] 彼女たちを信頼することは、自分自身を信頼するということだ。
[エリジウム] ねえ、ホーク。見た?
[ホーク] 見たに決まってんだろ。
[エリジウム] 声出しちゃダメだよ、バレちゃうでしょ。
[ホーク] (お前が話しかけてきたんだろ……しかも大声で――)
[エリジウム] (シーッ、これ以上喋ってたら隊長に叱られちゃうよ。)
[ホーク] (彼女は喋れないだろ。彼女が俺を叱ってるのか、それとも彼女にかこつけて、お前が俺を罵ってるのかわかったもんじゃない。)
[エリジウム] (僕はそんなことしないよ。)
[ホーク] (わかってるって。)
[エリジウム] ……
[ホーク] ……
[エリジウム] (あのさ……)
[ホーク] (どうせ「これ」についての話だろ?)
[エリジウム] (箱詰めの武器と防具、そして整然と並べられた機械類……これがたまたまここに転がってるだなんて、何百万のヴィクトリア鋳貨を道端で拾うくらいありえないよ。)
[ホーク] (ヴィクトリア鋳貨二百枚賭けてもいい。この軍備は、ウルサスのものだ。まだ俺がラバルで密輸をやってた時に見たことがある。しかもこれ、全部現行モデルだぜ。)
[ホーク] (中央軍を除けば、ほかのどの部隊でもこれらを入手できた時期はおそらく……五年以内だな。)
[エリジウム] (この軍備……レユニオンが奪ってきたものだっていう可能性は、どれくらいあると思う?)
[ホーク] (鉄パイプを武器にしてるような連中は、これにどうやって油を差すかも知らないだろうな。)
[エリジウム] (遊撃隊は? 遊撃隊はウルサス軍出身だけど。)
[ホーク] (あいつらが所属師兵団を離れてから何年経つと思ってるんだ? あのデカくてヘビーな……湖に落とされれば一発で溺れ死ぬような鉄塊たちが――)
[ホーク] (もし仮に、当時配備担当の支援部隊と共に師兵団を離れたんだとしても、支援部隊なんてみんなとっくに死んでるだろうよ。)
[ホーク] (考えてもみろ。彼らの今の装備を見れば一目瞭然さ。自分のおんぼろアーマーをきれいに磨くだけで精一杯なんだから。)
[ホーク] (そんな彼らにこの軍備を装備させるなんてありえないだろ。あの様子なら、きっと最新式の武器の使い方だってちんぷんかんぷんだろうし。)
[エリジウム] (ふーん、遊撃隊ってちょっとおバカさんなんだね。)
[ホーク] (バカと知識がないのは意味が違う。後方支援には技術以外に知識も必要ってだけで、遊撃隊もバカってわけじゃねぇ。)
[ホーク] (だがどちらにせよ、遊撃隊が感染してウルサス軍から脱走してきた支援部隊員を取り込んだなんて、まず考えられない。そもそも処刑される前に脱走するのは……至難の業だしな。)
[ホーク] (チッ……装備コードが削られてる。確かに脱走兵はこうするのがセオリーだ、しかし――)
[エリジウム] (偽装工作の時もこうするよね。)
[ホーク] (素人の仕事だな。この削り跡ならコードを削ったヤスリの型番、製造メーカーまでわかる……ま、急かされたんだろうな。)
[エリジウム] でも今、一番重要なのは――
[ホーク] ……報告だ。すぐ知らせよう、役に立つかどうかわからんが。
[エリジウム] 手遅れじゃなきゃいいけど……隊長、Raidianに情報を送ってアーミヤたちに転送してもらえばいいよね? それとも直接僕たちが伝えに行く?
[エリジウム] ……なるほど。僕たちは、この奇妙な奴らとレユニオンを後ろから牽制するんだね。OK! じゃあ早速Raidianに――
[ホーク] 待て。
[ホーク] 所属不明のユニットがこちらに接近中。
[ホーク] Mantra、君が行くのか? ならば連中が何をしていたのか忘れさせるだけでいい。偽の命令を与えるだとか、連中をアホにするとかは今のところ必要ない。
[ホーク] 君の体力は貴重だ。本当にレユニオンと正面衝突にでもなったら、君が頼みの綱なんだからな。
[エリジウム] ん? ……うん。
[エリジウム] 「わかった。あなたたちも気をつけて」だって。
[ホーク] 了解。
[エリジウム] じゃあ……発信するよ、隊長。内容はこうだ――
[エリジウム] 「ウルサス軍の痕跡を中枢区画にて確認」
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