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怒号光明_EG-2_燃焼の断章2
庇護とは。
切りつけ、突き刺し、振り下ろし、薙ぎ払う……剣が敵陣を隈無く舞い踊る。
泣き叫ぶ声、怒号、呪いのようなつぶやき、咆哮が鳴り響いた後、戦場は静けさを取り戻した。
その間、ロスモンティスの表情は一切変わることはなかった。
[ロスモンティス] 片づいた。
[ロスモンティス] 敵の陣地と待ち伏せ地点はもうないから、これで前に進める。
[盾兵] 見事だ、フェリーン。味方に怪我一つ負わせることなく終わらせるとはな。
[盾兵] それに、奴らの頭を貫く際のお前の手腕は、速度といい、精密性といい、思い切りの良さといい、どれも素晴らしかった。
[盾兵] お前が大尉を殺ったことを知らなければ、仲間としてスカウトしていただろうな。
[盾兵] お前は天性の戦士だ。あのコータスに付き従ってるのが、惜しくてならない。
[ロスモンティス] アーミヤの悪口は許さない。
[盾兵] いや、批判したわけじゃない。
[盾兵] 俺が、ずっと前に聞きたかった言葉、そしてかつて耳にしたことのある言葉を彼女は口にした。
[盾兵] 彼女はいい奴さ……フェリーン、あいつは善人だ。
[盾兵] だが、それでは通用しない。無理なんだよ、フェリーン。
[ロスモンティス] 私は、アーミヤならできるって信じてる。
[盾兵] そうかもしれないな。だがお前たちが一緒にいることは、お前にも彼女にも良くない。
[ロスモンティス] どうして?
[盾兵] お前たちは違う種類の者だからだ。
[ロスモンティス] 違う種類ってなに? アーミヤとは仲良しだよ。たくさんのことを教えてくれる。
[盾兵] ふっ……そのうちわかる。
[ロスモンティス] もったいぶって……別にそんなこと知りたくもないけど。
[ロスモンティス] さっき、私をスカウトしたいって言ったの?
[盾兵] ああ。
[盾兵] 俺たちはどんな者も拒まない。
[盾兵] 感染者の運命を嘆き、ウルサスに怒り、戦いたいと思うならな。
[盾兵] お前は合格だ。
[盾兵] お前、俺たちの隊にはウルサス人しか――この国の民しかいないとそう思っているんだろう? それは違うぞ、フェリーン。
[ロスモンティス] ……あなたも、フェリーンなんだね。
[盾兵] 俺はレム・ビリトンで生まれ育った。そして両親に連れられてウルサスに渡り、この凍える大地に根を張ったのさ。
[盾兵] 幼い頃からケンカ好きでな。だから、軍に入ることに決めたんだ。
[盾兵] ウルサスの入隊試験はフェリーンにとっては厳しいものだったが、俺は合格することができた。
[盾兵] そして、大尉の部隊に入り、大尉と共にあちこちを戦って回った。十年もの間な。
[盾兵] 戦争、戦争、そして戦争。これがウルサスだ。
[盾兵] かつてはこの国を誇りに思っていた。
[盾兵] 俺だけじゃない。そう思っていた者は無数にいるだろうな。
[ロスモンティス] それなら、どうして……?
[盾兵] 俺の両親が鉱石病に感染し、都市を追い出されたあげく、荒野で命を落としたんだ。
[盾兵] しかも、二人が死んだと俺が知ったのはその半年も後だった……
[ロスモンティス] ……!?
[盾兵] 俺のような経験をしたやつなんて珍しくもない。
[盾兵] お前も、同じような経験をしたと聞いた。
[盾兵] だがウルサスで起きていたことは、それだけじゃなかった。
[盾兵] もし、俺だけが不幸にもそういう星の元に生まれたって言うなら、まだ納得できていたかもしれない。
[盾兵] だが、そうじゃなかった。
[盾兵] かつては戦争だけが、俺の頭の中に存在するたった一つの目的――やるべきことだった。
[盾兵] だが、その時になってようやく考えるようになったんだ。そして、ウルサスを知ろうと思った。これまで俺が命を懸けてきたこの国を理解しようとした。
[盾兵] 大尉がいなけりゃ俺なんて、司令部での不敬罪でとっくに軍事裁判にかけられていたはずだ。
[盾兵] そして、大尉に付き従い北原に足を踏み入れ――
[盾兵] 今日まで歩んできた。
[盾兵] 耐えること、怒ること、憎むこと……全てこの間に身につけた。
[ロスモンティス] ……アーミヤが、そういうのは身につける必要ないって言ってた。
[盾兵] お前も、いつかは身につけることになるさ。
[盾兵] その感情を上手く扱えなければ、逆に呑み込まれてしまうからな。
[ロスモンティス] つまり、パトリオットはあなたの家族なの?
[盾兵] 二十年も一緒に戦ってきたんだからな。大尉は最高の兄弟であり、最も親しい戦友、そして最も尊敬する存在だ。
[盾兵] 間違いなく、家族だ。
[盾兵] やはり言わせてもらおう。お前は俺たちといる方が合っている。
[ロスモンティス] それなら、アーミヤも入れてくれる?
[盾兵] あのコータスか? それは、無理だな。
[盾兵] 彼女が俺たちに加わることはできない。
[ロスモンティス] それなら私も入らないよ。
[盾兵] それに言っただろう。お前は大尉を殺した。だから俺が仮にお前をスカウトしたところで、本当に俺たちの仲間に加わることなんてできないのさ。
[ロスモンティス] 別にいいよ。
[盾兵] いいか、これだけは覚えておけ。彼女はお前を守ろうとしている。しかし、お前より早く命を落とすだろう。
[ロスモンティス] どうして、そう言い切れるの?
[盾兵] 似たような人を、知っているからだ……
どうやら、盾兵は何かを思い出しているようだった。そして、それ以上ロスモンティスには構わず、兜を被り直すと仲間のもとへと歩いて行った。
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