このページでは、ストーリー上のネタバレを扱っています。 各ストーリー情報を検索で探せるように作成したページなので、理解した上でご利用ください。 著作権者からの削除要請があった場合、このページは速やかに削除されます。 |
驚靂蕭然_12-20_真摯な誘い_戦闘後
アーミヤは変形者という古の存在を倒した。バンシーの主の骨笛がすべての王庭に鳴り響き、弔鐘が変形者の新生を祝う。
[変形者] ……
[Logos] 何を見ておる?
[変形者] 君たちの魔王を見てるんだよ、バンシー。
[Logos] アーミヤと対面しておるのか。
[Logos] 己の行動に慎重を期すよう忠告しておく。
[変形者] その呪術を消してよ。
[変形者] 心配しなくてもいいって、彼女たちはもう勝ったから。
[Logos] 変形者、我々のこれまでの交流により合点がいった。今、我はうぬの行動について深く理解しておる。
[変形者] あれは元々、ドラコに焼き尽くされた分身さ、魔王が負けるはずはないって。
[変形者] でも僕たちは嬉しいよ。これだけ長い歳月の後に、また新しく見識を広めることができたんだもん。
[変形者] たとえほんの僅かであっても、僕たちはこの興奮をずっと長い間、味わっていなかった。
[変形者] 誇りに思っていいよ、バンシー。君は僕たちを説得した。喜んで君たちのためにその新たな可能性を残しておいてあげるよ。その可能性が伸びていく方向に期待はしてないけどね。
[変形者] でも僕たちは時間と辛抱強さには事欠かない。
[変形者] 次の結末で、僕たちはまた会うだろうね。
[Logos] うぬはこれからどこへ行く?
[変形者] どこへも行かないよ、僕たちはあらゆる場所を徘徊してるからね。
[Logos] 変形者よ、確かうぬはこう言ったな──あらゆる可能性をほぼ試し尽くしたと。
[変形者] そうだよ。
[Logos] だが、うぬにはまだ足を踏み入れておらぬ領域がある。
[変形者] ……へぇ?
[Logos] この大地のあらゆる物事が進化しておる。しかしながらうぬは足踏みを続け、進化の結果を模倣するだけであった。
[Logos] そう、うぬは元々立っていた場所から一歩も先へと進んではいないのだ。うぬはすでに完成しておる。
[Logos] すでに完成しておるものに当然進歩などありえぬ。
[変形者] とても説得力のある挑発だね、それで君の提案は何なのかな?
[Logos] もう分かっておるだろう。
[変形者] ……
[変形者] 「死を告げるバンシー」――君はその名に恥じないね。
[Logos] 新生は滅びより生まれる。
[変形者] そうだね、確かに試したことがなかったよ……
[変形者] ……
[変形者] ここから遠くない場所でさ、僕たちはたった今、ある友人を見送ったばかりなんだ。
[変形者] 彼女はさ、流れに身を任せるなら、生きること自体を諦めたいってそう言ったんだ。
[変形者] 僕たちは彼女の感情を身をもって感じ、彼女の決意を目にした。
[変形者] 彼女はそれを臆病な選択だって言ってたけど、僕たちは別の何かを感じたんだ。
[変形者] これまではそれをうまく説明できなかったけど、今分かったよ。あれはある種の勇気でもあるんだ。
[変形者] 僕たちが考えたこともない勇気さ。
[変形者] そうだね……そうさ、バンシー、認めるよ。
[変形者] 僕たちは確かにうずうずしている。
[変形者] もしかすると、これは君のちょっとした陰謀、敵を排除するための幼稚な手段なのかもね。
[変形者] でも僕たちは気にしないよ。
[変形者] けどもしかしたら、これはサルカズの魂が君の口を借りて、僕たちを招待しているのかもね。
[Logos] 我が手を貸そうか?
[変形者] 少しは尊厳を保たせてよ。
[変形者] でも君と君の背後の弔鐘には、僕たちのために鳴り響いてもらおうかな。
[変形者] ……
[変形者] 君たちは強くて、勇敢だ。この勝利を祝うといいよ。
[ドクター選択肢1] これは君の真の実力ではない。
[変形者] どうしたんだい、ロドスのドクター、まだ満足できないの?
[変形者] その必要がなかっただけかもね? 君の最悪のシナリオよりも……僕たちは君たちのことを理解してたりして?
[ドクター選択肢1] ロドスのセキュリティシステムは優秀だ。
[ドクター選択肢2] ……
[ドクター選択肢3] まさかロドスにも君の分身がいるのか?
[変形者] アハハッ、心配いらないよ、ドクター。君たちの船の乗船検査は、見た目ほど緩くはないから。
[変形者] それじゃ、またね。
[アスカロン] ……何をするつもりだ?
[変形者] このボロボロの体で僕たちに何ができるっていうんだい?
[変形者] 僕たちは確かに長い時間、その場で足踏みしてたよ。
[変形者] 小さな異種族の魔王、君はどこへ向かうのかな?
[変形者] 君を信じる人たちや、君についていく人たち、君を守る人たちを、君はどこへ連れて行くんだい?
[変形者] 君はあのボジョカスティの予言みたいに、この大地のすべてを奴隷とするのか……
[変形者] それとも、僕たちはただ歴史に深く縛られ過ぎているだけだと証明するのか……
[変形者] 「進化」、これってずるい言葉だよねぇ? まるで必然的な進歩があるみたいだけど、けど当然そうとは限らない。
[変形者] でも大丈夫、君は道を見つける。僕たちも同じだよ。
[アーミヤ] 彼が……消え去りました……
[アスカロン] いや、変形者は死なない。また別のより完璧な、より強大な分身が恐らくこの付近にいる。
[アスカロン] これはあいつの常套手段だ。獲物に警戒心を解かせた後で、トドメの一撃を与える……
[アスカロン] ……骨笛の音だと? まさか、そんなことが?
[アスカロン] Logosは骨笛を旧王庭の嘆かわしい伝統と見なし、前任者たちのようにそれを吹く使命を、彼はずっと拒んでいた。
[アスカロン] だがこれは確かに弔鐘の主の骨笛だ。
[アスカロン] ──!
[アスカロン] 変形者が……死んだ。
「挽歌は響き、骨笛は鳴いた。」
「我、此の地に於いて、或るサルカズ──変形者、及びその群体の最期を見届けん。」
「新生は滅びより生まれる。」
[聴罪師] 骨笛の音。
[聴罪師] 現任のバンシーの主が王庭に即位してからというもの、骨笛の音を聴くことがあったでしょうか?
[テレシス] ……
[テレシス] 変形者が死んだ。
[聴罪師] ご安心を。変形者閣下は些細な挫折を迎えただけであり、すぐ──
[テレシス] いいや、私の告げた言葉の意味は、すべての変形者が同時に枯れたということである。
[テレシス] 変形者が死んだ。最も恒久的な王庭が今、崩れ落ちたのだ。
[テレシス] ……フン、実に面白い。
[テレシス] 恐らく彼奴自身、このような結末に至るとは思ってもみなかったであろうな。
[テレシス] これをどう形容すべきか……分裂?
[テレシス] ……あるいは二つの新生か?
[ケルシー] 古よりの統一的な変形者はもはや存在しない。
[ケルシー] ……
[ケルシー] そして生まれたばかりの二人の変形者が、この世に現れた。
[ケルシー] 自然界において、砂は万物の成れの果てと見なされいる。どれほど堅固な岩であろうと時間の終点にて粉と化す。
[ケルシー] だがもしかすると、砂もまた同様に、新たに循環する可能性があるのかもしれない。
[クロージャ] ケルシー、怪我はまだ治ってないよ。下手に動くなら、シャイニングちゃんにチクっちゃうからね。
[ケルシー] ……もうほぼ問題ない。
[ケルシー] まもなく、旧友が我々を訪ねてくるかもしれない……いや、今は新たな友人か。
[クロージャ] 君の旧友だか新たな友人だか知らないけど、あたしは全然会いたくないね。
[クロージャ] それよりも、良いニュースと悪いニュースがあるけど、どっちから聞きたい?
[クロージャ] あー今のナシ。あたしったら疲れすぎて頭がおかしくなってるんだろうな、でなきゃ君相手にこんなくだらないことしないもん。
[クロージャ] 悪い方のニュースは──
[ケルシー] ……良いニュースを聞かせてくれ。
[クロージャ] うん、サルカズの補給ルートの入口がブレントウードのどこにあるのか見つからなかったんだ。地下トンネルとかそういう施設が全くなくてさ、確かに整備通路はあるんだけど……
[クロージャ] え、え?? 今何て?
[ケルシー] 良いニュースを聞かせろ、と言ったが。
[クロージャ] あー、えーっと、その……
[クロージャ] シャイニングちゃん、ちょっと来て──
[ケルシー] そう動揺するな。私もたまには良いニュースが聞きたくなることくらいある。
[クロージャ] ……
[クロージャ] えと……良いニュースは、ドクターから連絡があったよ。
[アーミヤ] 助けていただいて感謝します、ウィンダミア公爵。私たちの部隊とまた連絡が取れました。
[デルフィーン] 私たちが連れ出した難民も、みんな船に乗り込みました。これから彼らはしばらくの間、ウィンダミア公爵の庇護を受けるでしょう。
[ウィンダミア公爵] 礼を言うのは私の方だ、ロドス。
[ウィンダミア公爵] ノーポート区の住民たちが、壊滅的な災害から逃れる手助けをしてくれた。全員ではないが……十分だ。
[ウィンダミア公爵] 国民の安全を守ることは本来、我々公爵の名を背負う者がやるべき仕事だ。
[ウィンダミア公爵] さらに、君たちは私の娘も救ってくれた。
[ウィンダミア公爵] ……この子は先ほどまで部屋で大泣きしていたのだ。
[デルフィーン] お母様! 私はただ……
[ウィンダミア公爵] ここ数日、何を経験したかは想像に難くない。
[ウィンダミア公爵] だがデルフィーン、そのような場所から抜け出したからこそ、権力を握る者が一体どのように己の力を用いるべきかを、お前はより深く理解できるかもしれない。
[ダグザ] 不躾ながら公爵閣下、貴殿自身はその力をどのようにお使いになるおつもりか?
[ダグザ] 蒸気騎士たちの結末を目の当たりにし、私は──
[ウィンダミア公爵] 私は決断しなければならなかったのだ、モンタギュー家の娘よ。
[ウィンダミア公爵] それを陰謀と呼びたければ呼ぶがいい、否定はしない。蒸気騎士の移動指令に私もサインをした。
[ウィンダミア公爵] だが……この国の未来を決める──これこそが我々の使命なのだ。
[シージ] 「使命」。
[ウィンダミア公爵] そう、「使命」だ、ミス・ヴィーナ。
[ウィンダミア公爵] 私が君をこう呼ぶ意味はわかるだろう。
[シージ] もちろん。
[シージ] 私とダグザは先に失礼する、公爵閣下。今は……友人たちと一緒にいたいのでな。
[ウィンダミア公爵] 好きにするといい。
[ウィンダミア公爵] さて、ロドスのドクター、どうやら……君たちのオペレーターが携えているものについて触れないわけにはいかないようだ。
[ドクター選択肢1] 「諸王の息」か。
[ドクター選択肢2] ……
[ドクター選択肢3] ただの観光土産だ。
[ウィンダミア公爵] ……やはり、見間違いではなかったか。
[ウィンダミア公爵] あれはヴィクトリアの国剣だ。違うか?
[ウィンダミア公爵] デルフィーンが君のことを言葉を惜しまず褒めていたが、評価を改める必要がありそうだ。
[ウィンダミア公爵] いずれにせよ、我々は彼女とあの剣を無視することはできない。
[ウィンダミア公爵] 君たちとデルフィーンの取引については、あの子から聞いている。途中で色々とあったが、取引の条件を満たしていることはひとまず肯定しよう。
[ドクター選択肢1] 君はロドスの真の支持者にはなり得ない。
[ウィンダミア公爵] その通りだ。
[ウィンダミア公爵] だが当面は何も起きていないことにしておくと約束しよう。
[ウィンダミア公爵] この件については、駐屯地に戻った後でゆっくり話し合うといい。
[モーガン] ……カドールは船に乗らず、何人か連れて行っちゃったよ。
[シージ] ハンナは?
[モーガン] 部屋にこもってる。全然出て来ないんだ。
[シージ] ……
[シージ] もう少ししたら、何か食べ物を持って行ってやろう。ノーポート区では、あいつほとんどまともに食べてないからな。
[モーガン] うん。
[シージ] 何を燃やしている?
[モーガン] 下書きだよ。
[モーガン] 回顧録を書くためにアイディアを貯めといたんだ。どれもその時々にメモしたものだけど。
[モーガン] でもね、回顧録本体の原稿をどこかに置き忘れてきちゃってさ、アハハ。
[モーガン] ヴィーナにはあんなものは必要ないよね? 吾輩たちには、もう必要ないんだよ。
[シージ] ああ。
[シージ] ……
[ダグザ] ……シージ、どうした……泣いてるのか?
[シージ] いや、これは……
[シージ] これはただ……
[シージ] ……
大粒の涙がシージの頬を伝って零れ落ちていく。その光景にモーガンとダグザは唖然とした。ヴィーナは決して泣かない──これが全員の共通認識だったのだ。
高速戦艦の甲板からは、ヴィクトリアの太陽がゆっくり昇っていくのが見える。昨夜の闇を払い、昨夜の濃霧を乾かした太陽が。
その太陽を背にし、このヴィーナという名の若者は、自らの感情を無言であふれさせた。
[シージ] これはただ……灰が目に入っただけだ。
[モーガン] ノーポート区は元に戻るよ。だってノーポート区の人たちはまだ生きてるんだから。
[モーガン] 吾輩たちの生活も……戻ってくる。
[モーガン] 吾輩たちはそれまで……耐える必要がある。あと少しの辛抱だよ。
[モーガン] ヴィーナ、吾輩は信じてる──
[モーガン] 戦争は終わる、そうだよね。
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧