aklib_story_驚靂蕭然_12-16_空際の夕焼け雲_戦闘前

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驚靂蕭然_12-16_空際の夕焼け雲_戦闘前

アーミヤは飛空船の防御システムを突破するよう脅迫を受けるが、アスカロンに救出される。しかし彼女は魔王として、レヴァナントに向き合わなければならなかった。その時、変形者は初めて正式にエブラナと顔を合わせるのだった。


[アーミヤ] これが……飛空船。

[「グレーシルクハット」] これまでの我々の潜入計画はことごとく失敗し、接近を試みた者は一人残らず忽然と消えた。

[「グレーシルクハット」] これはサルカズの巫術なのか? 魔王よ、貴様ならこれをどう突破すればいいか知っているだろう。

[アーミヤ] 私は……

[アーミヤ] テレジアさん……テレジアさんも、ここにいるのでしょうか?

[アーミヤ] ですが感じ取れません──

[アーミヤ] うっ!

突如として凄まじい重圧が襲いかかってきた。

それは言葉で表現することはおろか、声を出すことすらできない。それほどまでに強烈で、それほどまでに残酷なものだ。

危うく立っていられないほどの衝撃だった。

[アーミヤ] これは……何ですか……

[「グレーシルクハット」] 何のつもりだ、魔王? 妙な真似はやめろ!

[「グレーシルクハット」] 貴様の巫術でこれを破れ! でなければ──

[「グレーシルクハット」] うっ──

[ドクター選択肢1] 来たか、アスカロン。

[アスカロン] ドクター、遅れてすまない。

[「グレーシルクハット」] アスカロンさん、落ち着いてくれ。

[「グレーシルクハット」] この同僚の行動は私と関係ない! 彼に言い聞かせようとしたが、聞く耳を持たなかったんだ!

[「グレーシルクハット」] あなたたちのドクターを傷つけるつもりはない。ただ取引を無事に進めようとしているだけだ、あの時のことはあなたも見ていただろう?

[アスカロン] であれば邪魔をするな。

[アスカロン] ――

[ドクター選択肢1] どうした?

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] 険しい表情をしているな。

[アスカロン] お前には理解できないだろう。お前はサルカズではないからな。

[アスカロン] 私たちは……自らの歴史に直面している。サルカズの幾千幾万年にもわたる苦しみに直面している。

[アスカロン] それは怒り、訴えている。私たち一人一人にその叫びに耳を傾けるよう迫っている。

[アスカロン] ……なるほど。

[アスカロン] フンッ、大公爵たちは失望するだろう。これは複製可能な工業技術などではないからな。

[アスカロン] あの船……あれは「レヴァナント」だ。

サルカズはどのように暮らしていたのだろうか?

始まりの頃、サルカズはどのような生活を送っていたのか?

当時、神民も先民もまだこの大地に侵入しておらず、全てが本来あるべき姿のままであった。

その後、奴らがやって来た。

奴らはこの地で殺戮を──虐殺を始めた。野蛮さと怒りを我々の土地に持ち込み、奴らは爪と牙を互いに向け合うだけでなく、我々に対しても向けるようになった。

誇り高きサルカズが、奴らに屈することなどありえぬ。それゆえにサルカズは奴らに抗った。

我々はさらに激しい怒りでもって奴らに報い、奴らに憎しみの果実を呑み込ませた!

しかし、なぜ一瞬にしてカズデルは滅んでしまったのか?

あの卑怯者どもだ!

奴らはあらゆる方法を用い、あらゆる策を講じた! 奴らは卑劣で狡猾で、恥知らずで残忍だ!

奴らは、何ゆえ純潔なるカズデルを踏みにじるのか?

奴らに、何の資格があるというのだ!

[アーミヤ] うぅ──

[アーミヤ] この……声は……

[アスカロン] アーミヤ、呑み込まれるな!

[アスカロン] 耐えろ、これはただの幻覚だ!

[アーミヤ] 分かっています、分かって……

[アーミヤ] ううっ──あぁ──

カズデルは奴らに滅ぼされた。

魔王と王庭は我らを率いてあの塵埃どもと戦った。サルカズはこのような恥ずべき敗北は認めない。

しかし自らをサンクタと称する軟弱な一部のサルカズが、己の責任から逃れ、己の種族を裏切り、己の使命に背いたのだ!

再建したばかりの壁は再び崩れ去り、我々の夢はまたもや潰えた。

しかし構うものか。裏切りはいずれ償われる。カズデルは必ずや再び立ち上がるだろう。

魔王が我々を率いている限り、我々と共にある限り、カズデルに敗北はない。

[「グレーシルクハット」] この影……

[「グレーシルクハット」] おかしい、これはイネスさんの操るアーツのようなものではない。これは何だ?

[アスカロン] ドクター、飛空船の影から離れろ!

飛空船の影が身をよじりながら伸びてくる。アスカロンに倒されたもう一人の「グレーシルクハット」は、一瞬にして漆黒の影の海に沈んでいった。

[「グレーシルクハット」] おいおい冗談だろ、一体何なんだ……

深い暗黒、深い絶望、深い怒り。

我々を率いるは魔王。魔王さえいれば……

――三十四回目のカズデル滅亡。

――六百七十五回目のカズデル滅亡。

最終的にカズデルは三千四百二十一回滅ぼされた。

最も滅亡までの期間が短いものだと、カズデルの城壁は再建された三日後に、ペガサスの蹄鉄によって粉砕された。

カズデルは幾度となく滅ぼされ、幾度となく再建された。

時間は我々の姿を変え、奴らの様相をねじ曲げた。しかし、戦争が終焉を迎えたことはなく、我々も抵抗を諦めたことなどない。

だが、我々がカズデルの再建に要する時間も次第に伸びていった。

我々の文明は損なわれ、芸術は忘れ去られた。

しかし憎しみはいまだ消えない。魔王はその憎悪を武器とし、我々の敵を斬り殺したのだ!

私はそれを誇りとし、我々の不屈を誇りとしている。

しかし今日、私が見たものは何だ?

歪んだキメラだ……

異種族の魔王だと!?

ハハハハ! 私の前に、異種族の魔王が立っているだと!?

何ゆえ貴様がその王冠を持つ? 何ゆえ、サルカズに非ざる貴様などがこの苦しみと共に立っている?

貴様のどこがサルカズの怒りを担うに値するというのだ!

我が問いに答えよ、代替せし者! 答えよ、欺瞞せし者!

甦りし者の──このレヴァナントの問いに答えよ!

[アーミヤ] レヴァナント……

見よ! その目を大きく開いて見るがいい! 偽りの魔王よ!

貴様には何が見える?

[アーミヤ] 私は……

[アスカロン] 見るな、アーミヤ! それはレヴァナントの巫術だ!

[アーミヤ] ……

[アーミヤ] 私には、涙が見えます。

[アーミヤ] レヴァナント、私にはこれまでにない重い悲しみが見えます。

[アーミヤ] あなたはずっとこの悲しみと共にいたのですか?

悲しみ? これは悲しみではない。

悲しみなど、私はとうの昔になくした。

[アーミヤ] あなたは怒りの炎で、血が流れないように傷口を焼いています。

[アーミヤ] それは……とても苦しいことです。

何が真実で、何が偽りか私にはよく分かっている!

貴様はただ我が問いに答えればいい!

貴様は──何ゆえ──

貴様のような──忌まわしき歪んだ異種族が──

何の──権利があって──

サルカズを背負っているのだ!!!!

アスカロンが数歩よろめいた。

[ドクター選択肢1] 大丈夫か、アスカロン?

[アスカロン] 私は……平気だ……

[アスカロン] アーミヤは──

巨大なレヴァナントの影の中、アーミヤは上を向いたままだった。

この角度からは彼女の表情は読み取れない。唯一分かるのは、彼女がいまだ顔を上げたままであるということだけ。

[アーミヤ] あなたの言う通りです、レヴァナント。それは、私が見るべきものです。私は、たった今――

[アーミヤ] ――全てを見ました。

[アーミヤ] 三千四百二十一回もの破滅する様を、レンガの一つ一つが灰になるのを見ました。

[アーミヤ] かつての魔王たちの抵抗を、彼ら一人一人の心を見ました。

[アーミヤ] 流された涙と血を、高く舞う塵と破片を見ました。

[アーミヤ] ……みなが同じような姿で折り重なって倒れゆく、似たような光景が繰り返されました。

[アーミヤ] それが私の目に映りました。そして、私はそれを見続けることを選びました。

[アーミヤ] レヴァナント、私は一瞬たりとも目をそらしてはいません。

[アーミヤ] しっかりと記憶に留めておきます。

[アーミヤ] 繰り返し下された重苦しい選択を、一つまた一つ重ねられた死と犠牲を、いつもいつも最後に訪れる破滅を、全ての希望を記憶に刻み込んでおきます。

──私がそれを貴様に見せたのだ、キメラめ。

私が貴様にそれを見るよう迫ったのだ!!

代替せし者よ、私は常にそれを身をもって体験し、常にその烈火に苦しんでいるのだ!

だが貴様は?

もちろん貴様は見ることができるだろう。地図を見るように、劇を見るように、崖の上であぐらをかき、高みの見物をする観客のように。

偽りの魔王よ。私が貴様を批難し、憎悪するのは、貴様の愚かさのせいでも、傲慢さのせいでも、偽善めいた考えのせいでもない。

貴様が真に我々と共に立つことなど、未来永劫できないからだ。

[アーミヤ] ですが、私は努力して──

努力?

貴様は目を逸らさぬよう努力することはできよう──

だが同様に、いつでも身を翻し、立ち去ることができる。

[アーミヤ] 私は……

貴様はサルカズではない。永遠にサルカズにはなり得ない。

サルカズの魂は、貴様を受け入れない。

我々の境遇を苦痛と呼んだな? 貴様はそれに耐えるよう、努力すると言うが──

我々は永遠に、その苦痛に浸る定めなのだ。

自分に勇気があると思っているだろうが、苦痛を飲み込めなくなる日が訪れれば……

貴様はやはり我々を捨てることができるのだ。

[アーミヤ] いいえ、私はこれまでもこれからも絶対に──

多少の歳月を乗り越えたにすぎない。にもかかわらず「絶対」などと口にするか!?

貴様は見捨てるだろう。貴様には力がある、それゆえにいつの日か必ずや、我々を見捨てる。

サルカズがそのような魔王を選ぶと思うのか? このような魔王を受け入れると思っているのか?

[アーミヤ] テレジアさんは、私がそうなれるよう望んだんです! 彼女はたとえ異種族であろうとも、我が事のように感じることはできると言いました!

それこそがあの者の愚かさだ!

では、もし貴様が本当に我が事のように感じ……そのすべてを見たのであれば……

なぜ、まだ私の前に立ちはだかろうとする?

なぜまだ、この戦争を止めようとする?

[アーミヤ] 私は……

アーミヤはふと、自分が何も言えないことに気付いた。

なぜこの戦争を止めようとしているのだろう?

彼らの憤り、彼らの苦痛、彼らの渇望を目にしてもなお──

自分は何のために、この戦争を止めようとしているのだろう?

これは……この戦争は、確かにサルカズにとって唯一の選択だ。

サルカズの一人一人が、自らを取り巻くものと直面した結果、他に選べる答えなどなかったのだ。

[アーミヤ] ですが……

アーミヤは気付いた。ふいに彼女は、テレジアの現在の選択を理解したのだ。

涙で涙を覆い、苦しみで苦しみを埋める。

焼き尽くされた土地だけが、サルカズに新生をもたらす。

[アーミヤ] ですが……

[アーミヤ] ……それでも私はその道を拒みます。

レヴァナントの言うことは、正しかった。

まさに、彼らの進む道を拒むからこそ、自分は未来永劫、真に彼らと共に立つことはないのだ。

自分はいつでも、身を引いて離れることができるのだから。

ここから去れ!

我々同胞の前から立ち去れ!

影が狂ったように震えて分裂する。今にも実体化するのではという錯覚を起こさせるほどに。

狂奔するレヴァナントの影が、がらんとしたドックから溢れ出る。

[エブラナ] バカでかい奴だ。

紫の炎が黒い影と衝突した。

[エブラナ] レヴァナント、私はお前たちという存在に興味がある。

[エブラナ] もしお前が焼かれれば、どのような熾火を残すのだろうな?

[「グレーシルクハット」] ──

[「グレーシルクハット」] あのドラコは……エブラナか。

[「グレーシルクハット」] 彼女がここに現れるなどという情報は、任務概要になかったぞ!

[「グレーシルクハット」] 行くぞ! 早く!

[ドクター選択肢1] アーミヤ!

[アーミヤ] 私は……私なら大丈夫です……

[ドクター選択肢1] 掴まれ、肩を貸そう。

[アーミヤ] ドクター、私は……

[アーミヤ] 私は確かに、本当の意味で彼らと共に立つことはできません……

[ドクター選択肢1] だから君でなければならないのかもしれない。

[アーミヤ] ……え?

[アスカロン] 急げ! ドラコの火が来るぞ!

[アスカロン] 彼女は……非常に強い。ここでやり合う必要はない!

[エブラナ] ……

[エブラナ] フッ──面白い。

[エブラナ] ロドスか……

[エブラナ] 最近、よくこの名を耳にするな?

[王庭軍兵士] しょ……将軍、あのドラコは……

[マンフレッド] 構わずともよい。

[マンフレッド] あの炎は、自らの狭隘な野心以外に、何も燃やせはしないのだ。

[マンフレッド] レヴァナント閣下、我々を連れてドックからお発ちください。この狭いドックでは、あなたのお怒りを受け入れることはできません。やかましい異種族どももあなたがお時間を割くには値しません。

[マンフレッド] それと、テレシス殿下より連絡を受けました。あちらはすでに準備が整ったそうです。

[エブラナ] ……

[「将校」] 殿下。

[「将校」] サルカズの飛空船はすでに飛び立ち、ゆっくりとロンディニウムの方角へと旋回しています。

[「将校」] 我々の高速戦艦編隊も、都市の外周にて応戦する準備が完了しております。

[「将校」] ……その他の部隊も集結しているようです。

[エブラナ] ほう?

[「将校」] ウィンダミア公爵の艦隊は、早くからこの区画に接近していた模様です。カスター公爵の軍艦も虎視眈々と動く時を狙っています。

[エブラナ] どうやら皆、この場所に多大な関心があるようだな。

[???] 本当に関心があるのでしょうか?

[コルバート] 公爵たちは来るのが遅すぎるのではありませんか?

[「将校」] 君は……あのホテルの支配人か?

[「将校」] なぜ君がここに?

[「将校」] ……サルカズが元々ロンディニウムに忍ばせていたスパイか?

[コルバート] いいえ、コルバートは自分をヴィクトリア人だと思っている、ただのサルカズの清掃員にすぎません。

[エブラナ] ではお前は?

[変形者] 僕たちのことかな……?

[変形者] 僕たちは友達と楽しくおしゃべりしてる途中で、仕事に駆り出された可哀想な人だね。

[変形者] ほんとにおかげ様で興醒めだよ、ドラコ。

[エブラナ] ならば、私とおしゃべりするのはどうだ?

[変形者] ……勘弁してほしいね。

[変形者] しゃべるくらいなら、さっさと全部終わらせようよ。

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