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起死回生_3-5_コール_戦闘後
近衛局によって包囲されたW。しかし彼女は、アーミヤに携帯電話を渡して去って行った。 残された電話の先にいたのはミーシャだ。けれど、彼女は過去の行いから罪悪感に駆られ、レユニオンの復讐を肯定するようになっていた。そして、アーミヤの説得もむなしく、通話は切れてしまうのだった。
[アーミヤ] みなさん、熱くなってはいけません!
[アーミヤ] 一度退いて陣形を立て直しましょう!
[アーミヤ] このままでは、こちらの部隊が分断されてしまいます!
[アーミヤ] もし、今向こうに増援が来てしまったら、何が起きるかは想像に難くありません。
[アーミヤ] そもそも、彼らの目的は私たちではないようですし……
[アーミヤ] みなさんの安全を最優先として行動しましょう!
[アーミヤ] 狙撃オペレーターの方たちは、撤退していくレユニオンへの攻撃を中断してください!
[アーミヤ] その上で、ホシグマさんの援護をお願いします!
[ホシグマ] やれやれ、手間を取らせてくれるな!
[W] ふふっ。あんたこそ、そんなに頑張ってくれちゃうなんてねえ。
[W] だけど、それもいつまで持つかしら?
[ホシグマ] フッ、人の心配をしている場合か?
[ホシグマ] ――チェン隊長、お願いします!
[チェン] 了解! ――奴を包囲しろ!
[W] ふうん、ここで近衛局様のご到着ってわけね。
[チェン] そこの貴様、武器を置け。
[W] あら、チェン隊長~。またお目にかかれて嬉しいわ~。
[チェン] 口先だけでへつらったところで、今更貴様を許しはしない。
[チェン] 龍門へのこれまでの行いを、倍にして返してやろう。
[W] きゃ~、隊長さんこわ~い。
[W] でも、ごめんなさいね? 今回の目的はあんたじゃないの。
[W] ほら、アーミヤ。キャッチしてちょうだい。
[アーミヤ] 私……ですか? うわ、っと……これは……携帯電話……?
[W] そうよ。誰かさんがあんたとお喋りしたいんですって。
[アーミヤ] ……えっ……?
[W] さーてと、仕事は済んだし……
[W] せっかくだから、全員にプレゼントでもして帰りましょうか。
[W] ――それじゃあね。また会いましょう?
[チェン] まずい、伏せろ!
[アーミヤ] ッ、こんな距離から爆弾を――
[アーミヤ] ! 違う、これは閃光弾です!
[アーミヤ] みなさん、騙されないで――
[チェン] ――ダメだ、間に合わん。
[チェン] チッ、逃げ足の速い奴め……
[チェン] こちらが態勢を立て直す前に離脱するとは。
[チェン] アーミヤ、先ほど持たされたものに気をつけろ。爆発物の可能性が……
[アーミヤ] ……いえ。これは、普通の携帯電話のようです。
[アーミヤ] ただ……ひょっとすると……
[アーミヤ] ――――
[アーミヤ] もしもし……?
————
[ミーシャ] ……もしもし……
[ミーシャ] アーミヤ……?
[アーミヤ] ミーシャさん……! 今、どこにいるんですか?
[ミーシャ] ……そっか。アーミヤ、なんだね……
[ミーシャ] ……
[少女の声] ――重傷者を優先して……この人に輸血を! 急いで!!
[青年の声] ――くそっ……なんでだよ……! あいつらだって、感染者のくせに……!
[青年の声] ロドスの奴らは、どうしてこんなことしやがるんだ!?
[女性の声] あいつらには最初から、私たちを助けるつもりなんてなかったのよ……! ああ……もう逃げ場なんてないんだわ……!
[男の子の声] ――ダメ! 死なないで……! お願い、目を開けて! 一緒に帰ろうって約束したでしょ……!
[女の子の声] ……う、ぅっ……お兄ちゃん……こんなの、やだよ……
[ミーシャ] ……この人たちの声が、聞こえる?
[アーミヤ] ……
[アーミヤ] レユニオンの人たちの声……ですね?
[ミーシャ] そう。……私ね、思い出したことがあるんだ。
[ミーシャ] ううん、正確に言えば、忘れたことなんて一度もなかった。ただ……思い出したくなかっただけ。
[ミーシャ] ――その時、私は弟が連れて行かれるところをこの目で見たの。……あの子は泣きながら私を呼んでたのに、私はそこから目を背けて――
[ミーシャ] 自分の部屋に逃げ込んだ。
[ミーシャ] ……次に会えた時には、あの子はすっかり変わっちゃってて……
[ミーシャ] それでも、私には家族として接してくれたのに……私は、怖くなってまた逃げちゃった。
[ミーシャ] ……でもね。私、わかったんだ。
[ミーシャ] 確かに私は、レユニオンに家を壊されて、お父さんまで奪われたけど……
[ミーシャ] それは……きっと、私たちの自業自得だったんだよ。
[ミーシャ] だって、この人たちは、自分たちを迫害した人たちに、感染者の受けた痛みと同じものを味わわせようとしてるだけだから。
[ミーシャ] 結果的に、私も今は感染者だし……
[ミーシャ] ……ようやく、罪を償う時が来たんだと思うの。
[アーミヤ] っ! ミーシャさん、早まってはいけません!
[アーミヤ] これまで、人々が感染者をどう扱ってきたとしても、今あなたが変われば――
[ミーシャ] 意味ないよ。
[ミーシャ] 私に何が変えられるっていうの?
[ミーシャ] 見て見ぬふりをしてきたのは、ほかの人たちと同じなんだよ?
[ミーシャ] ……私もね、鉱石病になってから、前よりちゃんと理解できるようになったんだ。
[ミーシャ] ――皆が感染者にしてきたことを、今度は感染者がやり返すべき時なんだ、って……
[ミーシャ] それが、当然の報いだと思うから。
[アーミヤ] そんな……
[ミーシャ] ……だから、私が苦しんでるのだって、自分で蒔いた種なんだよ。
[ミーシャ] こんな思いをするのも、全部……全部、自分のせい……
[ミーシャ] だけど――どうしてあの子が、あんな目に遭わなくちゃいけなかったの?
[ミーシャ] 弟は、何も悪いことなんかしてなかったのに!
[ミーシャ] なのに突然、感染が発覚したとか言われて……!
[ミーシャ] ……その時は、あの子だってまだ小さかったんだよ? ……私に、宿題を手伝ってほしいなんて……言い始めたくらいの、頃で……
[ミーシャ] 私が……私が、あの子を守ってあげてれば……!!
[アーミヤ] ミーシャさん、落ち着いてください!
[アーミヤ] 罪のない人々を傷つけたのは、あなたではないはずです! そもそも何一つとして、あなたのせいなんかじゃ――
[ミーシャ] ――ッ、「罪のない人」って何なの!? 誰でも、最初は罪なんかなかった……! 間違ってなんかなかったはずでしょ!?
[アーミヤ] ――
[ミーシャ] 間違ってたのは、「感染者」の立場だけ……!
[ミーシャ] 復讐が復讐を呼んで、憎しみ合う連鎖が続いていって……こんなことになったのは、一体誰のせいだっていうの……!?
[ミーシャ] もし、ウルサスが感染者を家畜同然に扱ったりしなければ……
[ミーシャ] 誰もウルサスを恨んだりなんかしなかったはずなのに!
[ミーシャ] どうして、感染者は皆、こんな目に遭わなきゃいけないの!?
[アーミヤ] ……ミーシャさん……
[アーミヤ] ……戻ってきて、くれませんか。スカルシュレッダーはすでに命を落としていますし、私たちは――
[ミーシャ] ――
[ミーシャ] ……私の答えは、もう決まってるんだ。
[ミーシャ] 私は、感染者の味方になる。
[ミーシャ] 今は自分だって、その内の一人だしね。
[アーミヤ] っ、ですが――
[ミーシャ] ――アーミヤ。あなたも、同じ病気を抱えている以上……
[ミーシャ] きっと、わかってくれると思ってる。
[アーミヤ] はい。それは、もちろんです。私も、そしてロドスのみなさんも……あなたの思いは理解できます。
[アーミヤ] けれど、非感染者から感染者へと立場だけを変えたところで、何も変えることはできないんです!
[アーミヤ] だから、私たちと行きましょう。……どうかそこで待っていてください。すぐ迎えに行きますので!
[ミーシャ] ……ダメ。来ないで。
[アーミヤ] ――っ……ミーシャさん、どうして――
[ミーシャ] 本当は……アーミヤが正しいんだと思う。……私はただ……罪悪感から、こうしようとしてるだけなんだろうね。……私は、弱い人間だから。
[ミーシャ] だけど、もう決めたんだ。
[ミーシャ] どんなに小さな一歩でもいいから、踏み出してみる、って。
[ミーシャ] ……ごめんね。本当にごめん……
[ミーシャ] でも……レユニオンだって……
[ミーシャ] あの人たちだって、皆同じ感染者なんだよ。
[ミーシャ] ……だから――さよなら、アーミヤ。
[アーミヤ] ……ミーシャさん? そんな……ミーシャさん!!
[アーミヤ] …………
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