aklib_story_相思相殺_2-2_不戦勝_戦闘後

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相思相殺_2-2_不戦勝_戦闘後

チェンの説明により、実力は十分だと認めはしたものの、それでもロドスの要求と、ロドスに提供できるものとは釣り合わないとウェイは考えていた。 しかし、アーミヤの冷静な説得を受けて、彼はようやく納得したようだ。


[チェン] ――以上が、今回の掃討任務の全容となります。

[ウェイ] なるほど。君の評価は?

[チェン] 実際、ロドスの実力は確かなものです。

[チェン] しかし、長官。戦略面と彼らの立場を考慮しましても……

[チェン] ――本件の防衛は、我々龍門近衛局だけで十分対処可能かと。

[ウェイ] ふむ。君の言う通り、犯罪や侵略に対処する分には、近衛局の実力があれば十二分だろうな。

[ウェイ] 確かに、ロドスはより多くの可能性を提供してはくれるだろうが……

[ウェイ] その対価として君たちが求める「もの」は、今の条件とは釣り合わない。

[ウェイ] 君たちの提示してきた「値段」は少々高すぎる。都市防衛への一時協力だけでは足りないのだ。

[ウェイ] ケルシー君、そしてアーミヤ君。思うに、君たちはそれをわかっているはずだろう。

[ケルシー] ですが、ウェイ長官。レユニオンに関して、貴方のご存知ない情報が未だ多数存在していることをお忘れなく。――私の見立てによると、本件への対処は、「防衛」だけでは不十分です。

[ケルシー] 交戦時に我々が得た情報をもとに推測すると、より積極的な対策を講じなければ、あと数週間ほどで龍門はレユニオンに制圧されるものと思われます。

[チェン] ……それは警告か? だが、何を根拠にそんなことを――

[ケルシー] チェン警司。チェルノボーグが一夜にして陥落した本当の理由を知りたいとは思いませんか?

[チェン] ……

[ウェイ] 聞かせてもらおう。

[ケルシー] ――アーミヤ。

[アーミヤ] ! ……はい。

[アーミヤ] ロドスの人員は、チェルノボーグでの事件だけでなく……あの天災をも経験した上で、生還を果たしました。

[ウェイ] なんとも、それは……尊敬に値することだな。

[ウェイ] 命知らずの狂人以外で、天災を生き延びた人間に出会うことなどそうそう得られない経験だ。続けてくれ、アーミヤ君。

[アーミヤ] はい。……私たちはあの時、レユニオン側のリーダーと交戦したんです。

[チェン] ……!

[ウェイ] ほう? 彼女とか。さて、名はなんといったかな。

[ウェイ] はっきりとは覚えていないのだが……

[ドクター選択肢1] タルラだ。

[ウェイ] ああ、そうだそうだ。そんな名前だったな。

[ウェイ] チェン警司、君は知っていたかね?

[チェン] ――

[チェン] ……はい。存じて、おります。

[アーミヤ] ……以上が、チェルノボーグでの経験にまつわる詳細です。なお、天災に見舞われたあの都市は、ウルサスの統治下から外れることになったのですが――

[アーミヤ] 他方でレユニオンには、さらなる勢力拡大のため、大量の物資が必要となりました。そこで彼らは龍門に目をつけたというわけです。

[アーミヤ] とはいえ龍門であれば、その破壊活動を一時的に阻止することができるというのは事実です。しかし、積極的な対応を取らなければ、襲撃は今後も続くことになるでしょう。

[アーミヤ] 加えて……現状において一番不思議なのは、チェルノボーグを失ったはずのウルサス帝国の動向なのですが……

[ウェイ] フフ……良い着眼点だな、お嬢さん。

[ウェイ] 君たちの言い分は理解した。この緊迫した状況と、龍門近衛局の人員にも限りがあることを考慮して……合意済みの仮契約をもとに、そちらの具体的な計画を聞いて検討しよう。

[ウェイ] だが、先ほども言及したように――

[ケルシー] ……

[ケルシー] ……ロドスからの要求はやはり多すぎる、ということですね。

[ウェイ] その通り。

[ウェイ] ゆえに、この契約を妥当なものとするべく、こちらから条件をつけさせてもらう。……なに、たった二つだけ、シンプルな内容だ。

[ウェイ] 一つ目は、レユニオンによる龍門への脅威を、近衛局に協力して排除すること。これは、チェルノボーグ関係の問題への対応と、龍門市内に潜り込んだ者たちの特定、両方を含んだものだ。

[ウェイ] そして、いわゆる感染者などの侵入状況についても……いかに有用な情報でも、必ず龍門側に共有してもらいたい。

[ケルシー] ――では、二つ目の条件というのは?

[ウェイ] そちらは、この体制での初任務を終えたあとに伝えるとしよう。

[ウェイ] 無論、二つ目の要求も、君たちの能力や業務内容を超越するようなものではない。その点は安心してくれたまえ。

[ケルシー] 失礼ながら、その説明だけでは理解が及びません。詳細な内容を開示していただけませんか。

[ウェイ] ならば、こう言おう。万一、レユニオンが龍門に、ロドスの予想を上回るような損害を与えた場合――

[ウェイ] 近衛局に協力し、適切な対処を行い、事後処理にも当たってもらいたいのだ。もちろん、可能な範囲で構わんがね。……と、概要としてはこんな所だ。

[ケルシー] ……

[ウェイ] 現時点では、これ以上の詳細は伝えられない。だが、君たちに選択肢がないことは忘れずにいてもらいたいものだ。

[ウェイ] 仮にこの条件では受け入れられないというのなら……残念だが、この話はなかったことになるだろう。

[ケルシー] ……アーミヤ?

[アーミヤ] ……はい。

[アーミヤ] ウェイ長官、契約書に追加していただきたい条項があるのですが……

[アーミヤ] 「条文の解釈は、両者間での協議のもとで決定すること」――この内容でいかがでしょうか?

[ウェイ] ほほう、なるほど……もちろんだとも。これは君から龍門への敬意を示した一文でもあるようだしな。

[ウェイ] さて、チェン警司。何か意見はあるか?

[チェン] いえ。私も、この内容で異存はありません。

[ウェイ] よろしい。

[ウェイ] どうやら彼女も、為すべきことを理解したようだな。

[チェン] ……

[ウェイ] それでは――おめでとう、諸君。ロドスは晴れて、龍門の信頼を勝ち取った。今後はこのチェン警司を窓口として、対応させてもらおう。

[ウェイ] とはいえ、感染者である君たちが市内で自由に行動してしまうと、市民がパニックに陥る可能性もある。

[ウェイ] そこで、任務に当たる際は必ず龍門近衛局の指示に従ってほしい。

[ウェイ] 特に――チェン警司の命令は、重視してもらえたらと思っている。

[ウェイ] そうすれば、龍門はロドスに門戸を開き続けよう。君たちが道を踏み外さない限りは、な。

[アーミヤ] うう~……ウェイ長官って、本当に難しい相手ですね……

[アーミヤ] 終始ゆったりと構えていて、何事にも動じませんし……理路整然とした話しぶりで……

[ケルシー] アーミヤ。君には、こうした場面においても、自力で対処できるよう研鑽を積む必要がある。

[ケルシー] しかし、この結果を見るに、今回は良い働きだった。

[アーミヤ] えへへ……ありがとうございます、先生。

[ケルシー] ときに――

[ケルシー] ……

[ケルシー] ……君は……

[ドクター選択肢1] ケルシー、だったな。我々は知り合いなのか?

[ドクター選択肢2] ……やあ、ケルシー先生。

[ドクター選択肢3] はじめまして、Dr.ケルシー。

[ケルシー] …………

[アーミヤ] ケルシー先生、あまりドクターを困らせないであげてくださ――

[ケルシー] ――

[アーミヤ] ……

[ケルシー] ……ふっ。

[ケルシー] 願わくば、これまでの犠牲が……報われてくれると良いのだが。

[ケルシー] ともあれ、よく戻ったな、Dr.{@nickname}。

[ケルシー] 君の帰還を歓迎しよう。

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