aklib_story_遺塵の道を_WD-5_沁礁の地_戦闘後

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遺塵の道を_WD-5_沁礁の地_戦闘後

二十二年前。「サンドソルジャー」になる前のエリオットとケルシーは、沁礁闇市から共に国外への脱出を目論んでいた。そのためには闇市へと導いてくれる手助けが必要だったが、その人物はちょうどケルシーの前に現れたのだった。


二十二年前

p.m. 3:09 天気/晴天

サルゴン中部 イバト地区 砂漠辺境

[エリオット] あと……あとどれくらい歩くんですか?

[ケルシー] 疲れたなら、少し休憩してもいい。

[エリオット] ……

[ケルシー] 強がる必要はない。

[ケルシー] 前回の襲撃で乗り物を破壊されてから、すでに七時間十四分が経過している。君の体格と年齢を考えると、ここまで歩き続けられただけでも称賛に値する。

[エリオット] ……休む必要はありません。

[エリオット] 引き続き……先へ進みましょう。早くここから離れないと……

[エリオット] ここはどこですか……?

[ケルシー] 目的地から一番近い町だ。この集落は、牽引装置で砂漠を移動する複数のバザールタウンで構成されている。

[ケルシー] 同時にここはサルゴンにおける無人区域として最大面積のエリアの一つでもある。密航者やバウンティハンター、トランスポーターたちに外へと通ずる道を提供している。

[エリオット] ……どうして私たちはミノスに行かないんですか?

[エリオット] 私には……私にはあなたがどの程度信用できるかわかりません……あなたは、あの傭兵たちと一体どこが違うというんです?

[ケルシー] 君がまだ生きているということだ。

[エリオット] ……どうせあなたにはもう計画があるんでしょう、次はどうするんですか?

[ケルシー] 信用できる者を見つけ、闇市を経由してイバトを去る。

[エリオット] その後はどこへ? リターニアですか? ボリバルですか?

[ケルシー] ……それに答える前に、君ははっきりと理解しておく必要がある。いずれの選択も、逃避の一種でしかないことを。

[ケルシー] 君に生きる術はなく、行くあてもなく、逃げ場もない。

[ケルシー] 君は、これまでの生活が根本的に崩壊してしまったという自覚はあるのか? 次々と訪れる出来事にただ流されるのではなく、自分の身に何が起きたのか、ちゃんと理解しているのか?

[エリオット] ……そういう上から目線の態度はやめてください。

[ケルシー] もし怒ることで君が冷静でいられるのなら、そうすればいい。

[ケルシー] 私たちは遠い北方の地へ行く。君がクルビアとサルゴンを取り巻く何もかもから十分な距離を置くことができるほどの遠い場所にな。

[ケルシー] 君はすでに十分すぎるほどよくやったと言うべきだろう。

[エリオット] ……それは嫌味ですか?

[ケルシー] 君のその個人的な感情をコントロールできない振る舞いの数々はあまりに未熟だ。もし君がそこまで若くなければ、確かに嫌味を言うべきかもしれないな。

[ケルシー] 行こう。暗くなる前に、闇市の仲介者を見つけなければならない。

[エリオット] それは誰なんですか?

[ケルシー] ……まだわからない。

[エリオット] フッ、あなたにもわからないことがあるんですね?

[ケルシー] 否定はしない、だがすぐに見つかる。

[ケルシー] 「沁礁の地」に込められた意味とその由来を理解していれば、バザールや群衆に紛れる遺民を探すのは難しくない。彼らは喜んで同郷の者を助ける――我々が彼らの同胞であると信じてもらえればな。

[エリオット] ……あなたの手にあるそれは……サルゴンの金貨ですか?

[エリオット] でもそんな金貨数枚で何ができるというんです……?

[ケルシー] すぐにわかる。

[サルゴン町民?] ……

[サルゴン町民?] (サルゴン語)クルビア人め……死ね!

[エリオット] え、敵――!?

[Mon3tr] (雄たけび)

[サルゴン町民?] ああっ……うわぁ! 化け物、どっから出てきやがった――!

[Mon3tr] (攻撃する)

[サルゴン町民?] ぐはっ……! クソッ……なぜ……斬れない……?

[サルゴン町民] どうしたの? 何が――あ、あぁ……化け物! 化け物がひ、人を殺したわ!

[エリオット] 人が大勢集まってきました……! どういうことですか? これは一体誰なんです?

[ケルシー] ……ヴイーヴル地区のバウンティハンターだ。追跡の手はここにも広がっているようだな。

[ケルシー] こっちだ。急げ。

[エリオット] え、待って――

[エリオット] こんなに遠くまで逃げてきたってのに、すれ違う人がみんな殺し屋かもしれないなんて、ここまで来た意味はあるんですか――

[ケルシー] もちろん。だからこそ急ぐ必要がある。

[エリオット] ……私は、あなたは何も解決できていないって言ってるんですよ、ケルシー顧問!

[ケルシー] ……

[エリオット] ……私たちの格好は目立ちすぎるんじゃないですか?

[物売りの声] (サルゴン語)干し野菜がこんなに高いのか?

[物売りの声] (サルゴン語)うちの手織絨毯は有名だよ――品質に問題? ないない!

[物売りの声] (サルゴン語)貢ぎ物の壺だよ、絶対に本物さ! 首長が持ってた物さ――六十? お兄さん、六万の品を六十に値引きしろって? しょうがないな、持ってけドロボー!

[エリオット] 人がたくさん……ここはバザールですか?

[エリオット] ……? どうして急に止ま――ん?

[エリオット] 占い……こんな迷信なんて……

[怪しい占い師] ほほう……これは珍客……余所者を見かけるなんてイシンは随分と久しぶりでございますよ……

[怪しい占い師] 運命の一端をのぞき見たいのですかな? それとも砂塵の中に隠された小石を探し求めているのですかな?

[怪しい占い師] さっきのあの騒動は、あなたたちが関係しているのですかな?

[怪しい占い師] イシンにはわかるのでございます。旅人は急いでいる、そして様々なトラブルが常に付きまとっている……ですが、イシンはサルゴンにこれ以上の厄介事を持ち込んでほしくありません……

[怪しい占い師] 旅人はサルゴン人ではないですね。ふむ、しかしあなたたちは複雑な使命を背負っておられます……

[エリオット] この人は何ブツブツ言ってるんです? ……こんな人相手にしてる時間はありません。ケルシーさん、奴らが追ってきますよ!

[サルゴン村人] (サルゴン語)このペテン師、まだここにいたの!? 早くどっか行きなさいよ!

[サルゴン村人] (サルゴン語)あんたの話なんか誰が聞くもんか。あたしたちの町を汚さないでちょうだい!

[怪しい占い師] (サルゴン語)おお、ど、どうか乱暴はやめてください…もちろん行きましょう、すぐに去りましょうとも。

[怪しい占い師] (サルゴン語)あなたの主の調子はいかがでしょうか? 彼は私の忠告を聞き入れて、あの面倒な取引から手を引きましたか?

[サルゴン村人] (サルゴン語)主? ボスがあんたみたいな奴と会話するわけないんだけど。変なこと言うんじゃないわよ、わけわかんない奴の助言を聞くくらいなら、いっそご意見箱でも置くわ!

[サルゴン村人] (サルゴン語)グダグダ言ってないで、さっさと消えな!

[怪しい占い師] うぐっ!

[エリオット] ……

[ケルシー] ……大丈夫か?

[怪しい占い師] ……痛い……ああ痛い……でも大丈夫です、イシンは慣れているのでございます。

[怪しい占い師] イシンでは彼らを救えない、彼らを目覚めさせてやれないのでございます。イシンは彼らの滅亡を幻視しています、来る日も来る日も……

[怪しい占い師] 大変申し訳ありません。占いはできなくなりました。見ての通り、イシンは追い出されましたので……どこかの余所に、哀れなイシンを受け入れてくれる場所はないものか。

[ケルシー] (サルゴン語)待ってくれ。出ていく必要は――

[怪しい占い師] (サルゴン語)滅相もありません、滅相もありません……

[サルゴン村人] (サルゴン語)構わなくていいのよ! 彼が出て行かなきゃ、災難に遭うのはあたしたちなんだから。さっさと行かせればいいの!

[怪しい占い師] (サルゴン語)その通り。彼女の主はここの有力者です、とても逆らうことはできません。どうか行かせてください、心優しき者よ。イシンをあばら家に帰らせてください。

[エリオット] どうして逃亡を止めてまで、そんな老いた占い師に構うんですか?

[ケルシー] 少なくとも君は彼が「老いている」ことはわかるようだな。

[エリオット] ……どういう意味ですか?

[ケルシー] だが君は彼がどれほど「老いている」のかは想像つかないだろう。

[怪しい占い師] 太陽はすでに沈みました。ここでは至る所に危険が潜む。旅人よ、あなたたちは急いでいるはず……なぜイシンのそばに留まろうとするのですか?

[ケルシー] (サルゴン語)歳月は長い。最も偉大なパーディシャーでさえ、砂漠に沈むだろう。彼の偉業はたちまち崩れ去り、人民は散り散りになる――

[怪しい占い師] (サルゴン語)余所者にしてはサルゴン語がお上手な方だ。それは何かの叙事詩の一節でしょうか? イシンは老い過ぎた……詩歌の魅力など、とうの昔に忘れ去りました。

[ケルシー] (サルゴン語)だが彼のしもべたちは職責を全うして、無人の砂漠を守り抜いた。新たなパーディシャーがサルゴンの意志を携え、この地に辿り着き、意思をもって文明を再興し都市を再建するまで。

[怪しい占い師] (サルゴン語)ふむ、そのようなことはどの国でも起きています。

[怪しい占い師] 天災、病、戦争……隆盛を誇った都市が滅亡する理由は、枚挙にいとまがない……そして再び意気盛んな統治者が現れ、同じことが繰り返される。

[エリオット] (何を話しているんだ? しかし……サルゴン語の発音は……こういうものだったか?)

[ケルシー] (サルゴン語)百五十年前、まだイバトと名付けられる以前のこの砂漠に、輝かしい都市が広がっていた。覚えているか?

[怪しい占い師] (サルゴン語)覚えて……イシンはもちろん覚えていますとも。大いなる嵐の中に消えた……あの町を。

[ケルシー] (サルゴン語)当時の古きパーディシャーは、この砂だらけの地にサルゴンの言葉にはない名を付けた。

[怪しい占い師] ……

[怪しい占い師] ……沁礁……

[ケルシー] (サルゴン語)今に伝えられたのはその名前だけ……オアシスさえ見たことのない住民たちの間で、口伝によって語り継がれてきた。

[ケルシー] (サルゴン語)あなたがその守り人だな?

[怪しい占い師] ……

[怪しい占い師] どういったご用件でございますかな?

[ケルシー] サルゴンを去りたい、人知れずな。

[怪しい占い師] ほほう……わかりました。で、誰の目を欺きたいのですかな。

[ケルシー] パーディシャーであろうと、私たちの足跡をたどれないようにしてほしい。

[怪しい占い師] あなたは?

[ケルシー] ケルシーと呼んでくれ。

[怪しい占い師] ケルシー……ケルシー殿……今朝、朝日を仰ぎ見た時、私は幻の中へと落ちていきました。そしてその幻は、我らの古代の秘密を知る客人の来訪を示したのです……

[怪しい占い師] 随分と早い到着でしたね。予言の対価は金貨一枚です、尊敬すべきケルシー殿。

[ケルシー] 然るべき対価だ。

[エリオット] (え、それだけ……?)

[怪しい占い師] いやいや……対価をいただくのは今ではございません。それは収めてください、ケルシー殿。

[怪しい占い師] あなたは――二十二年後に――それを支払ってください。そしてこの約束を必ず覚えておいてください、これには金貨よりも価値があります。

[ケルシー] (サルゴン語)この百年……あなたたちは故郷の影を想いながら、今のサルゴンで過ごしてきたのだろう。

[怪しい占い師] (サルゴン語)その通り。だが今日は違う、ケルシー殿。

[怪しい占い師] (更に奇妙なサルゴン語)汝は自らの手で其の扉を開いたのだ――

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