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ドッソレスホリデー_DH-6_後発先至_戦闘後
チェンとユーシャはほかのチームの包囲を蹴散らし、ビーチへとやってきた。追いつけないかに思われたその時、ユーシャがとっておきを繰り出して、見事な勝利を収めるのだった。
[D.D.D.] いや~、さすがは『龍威鼠心』! 絶対皆を失望させない戦いっぷりを見せてくれるね!
[D.D.D.] 取り囲んできた連中なんて、あっという間に片付けちゃったぞ!
[D.D.D.] だけど、先頭集団はスイム区間を既に半分泳ぎ終えている!
[D.D.D.] 『龍威鼠心』のヒロインたち、これは果たして間に合うのか!?
[チェン] どこを見ている? ほら、泳ぐぞ。
[ユーシャ] ちょっと考えてたの。
[チェン] 何をだ?
[ユーシャ] エルネストが何か企んでるのは確かでしょう? その上、私たちの後ろから追ってきてるわけだし、彼の方から対処すべきじゃない?
[チェン] 一理あるな。
[チェン] だが、まだ彼が犯人だと決めつけることはできない。
[チェン] それに、事件を企てているのが誰であろうと、向こうが我々の勝利を望んでいないというのは明らかだろう。
[チェン] であれば、この試合に勝つことを優先した方が、確実に黒幕に繋がるはずだ。
[ユーシャ] 確かに、相手は私たちが船に乗るのを避けたいんでしょうしね。それは私にもわかってるわ。
[チェン] ならいい。さあ、無駄話ばかりしていると負けるぞ。
[ユーシャ] 負ける? ありえないでしょ。
[ユーシャ] いいから先に行ってなさい。こういうのは久しぶりだから、少し準備が必要なの。
[チェン] ……わかった。
[D.D.D.] おやおや? 少しの相談タイムのあと……どういうわけか、チェン選手だけ先に泳ぎ始めたみたいだぞ。
[D.D.D.] 一方、リン選手はというと……ビーチに残って、準備運動をしつつ何やら砂を集めているみたいだね。
[D.D.D.] 彼女の能力で、砂をガラスの武器に変えられるのはもう知ってるけど……もしかして、砂で海面にガラスの橋でも架けるつもりかな?
[ユーシャ] お父さんなら、ここの砂で橋を架けることもできたでしょうね。
[ユーシャ] 私には、そこまでのことはできないけど。
[ユーシャ] その代わり、私には私のやり方があるわ。
[ユーシャ] 砂は、これくらいあれば足りるわね。
[ユーシャ] で、チェン・フェイゼの位置は……あら、ちょうどいいところにいるじゃない。
[ユーシャ] ――ふぅ……行くわよ!
[D.D.D.] こっ、これは……!!
[D.D.D.] ななな、なんとリン選手! 海の上を走り始めたーーッ!
[カンデラ] ……いや。あれは走っているというより、跳躍を繰り返しているようだな。
[カンデラ] 着地する度に砂を使って、次に降り立つガラスの足場を作っているんだ。
[カンデラ] その上、砂を節約するために……ほかの選手が近くにいる時は、そいつを踏み台にして跳んでいる、と。
[カンデラ] はっはっは、面白い! 実に面白いじゃないか!
[D.D.D.] な~るほどね! これは本当に前代未聞の渡り方だ!
[D.D.D.] つまり、近くに足場がなかったから、さっき二人は話し合って、最初の踏み台をチェン選手自らが務めるって決めたんだね! リン選手の道を切り開くために、身を挺するチェン選手……!
[D.D.D.] なんてことだ……! 二人はまたしても、チームの絆でオイラたちに感動を届けてくれちゃったよ!
[ホシグマ] はははっ。リンお嬢さんのアイディアは確かに意外なものですが、あの二人はきっと相談なんてしていないでしょうね。
[スワイヤー] 絶対してないに決まってるでしょ。あははっ! ねえ、一瞬だけカメラに映ってたチェンの顔、見た? 最高に笑えたわね!
[ホシグマ] ふふっ、本当に。まさかあの二人が組むとここまで面白いとは……
[D.D.D.] トップを行くのは依然として、チーム『甘い夏』だ! ジャーヴァン選手が破竹の勢いでゴールラインに向かっているぞ!
[D.D.D.] ほかのチームも彼の後ろにぴったりつけて追い上げるーっ!
[D.D.D.] しかーし! そんな彼らを予想もしない事態が襲う! 彼らの後ろに……見えたっ! 海を飛び越えるリン選手だーーっ!
[D.D.D.] 彼女の足が、三位の選手の頭上を軽やかに越えていくーっ!
[D.D.D.] 二位の選手の頭はもはや、彼女の踏み台にすぎないぞ!
[D.D.D.] ジャーヴァン選手、彼女に気付いた! だけど残念! 気付いたところでこれはどうしようもないーっ!
[D.D.D.] 無情! 非情! 彼の頭上をリン選手があまりにも軽やかに飛びすぎていくーっ!
[D.D.D.] 第二ラウンド、一位獲得はリン選手! 試合の栄えある第一位は、またしても『龍威鼠心』に決定だー!!!!
[D.D.D.] まさに全身の血潮が沸き立つ大逆転! 感動をありがとうーっ!!
[エルネスト] おい、ウッソだろ……こんだけやっても勝つのかよ。……マジ? なんかの間違いじゃねえの? は、反則じゃん……
[エルネスト] は、はは、ハハハハッ……
[エルネスト] ……はぁ。……どうしたもんかな。
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