オンセンクマムシ

ページ名:オンセンクマムシ

登録日:2012/11/21(水) 01:27:26
更新日:2023/08/12 Sat 19:30:59NEW!
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この地球では、本当に存在するかどうか分からない「未確認生物(UMA)」が、今もなお数多く報告されている。
超高速で空を飛ぶスカイフィッシュ、謎の吸血動物チュパカブラ、最近でもヒトガタといった存在がよく噂となっている。
しかし、どれも科学的は存在が実証されておらず、一種のオカルトのような扱いを受けている。
だが、逆に論文にしっかりと記載され、科学的にも「新種」として認定されているにも関わらず、それから何十年経っても発見されていないという幻の動物もいる。
その一つが、このオンセンクマムシ(Thermozodium esakii)。不死身の体力を持つとしてお馴染みの、あのクマムシの一種である。



◎概要
正式には「緩歩動物(かんぽどうぶつ)」と呼ばれるクマムシは、実は大きく二つのグループに分ける事が出来る。
よく図鑑やテレビで紹介される、虫のように硬い外皮、ずんぐりした体格を持つものが「異クマムシ綱」、
硬い殻の代わりに柔らかい外皮を持ち、細長い体をしているのが「真クマムシ綱」である。
どちらものっそり歩いて可愛い事には変わらないが
だが、オンセンクマムシはこの二つのグループどちらにも含まれない、いわば孤高の存在となっている。
異クマムシ綱と同じく頭にヒゲのような感覚毛を持つ一方で、真クマムシ綱と同じ喉の形状を持つ、キメラのような外見なのだ。
しかも、それ以外にも背中に突起が生えているという独自の特徴を併せ持つと言われ、ますます他のクマムシとはかけ離れた存在である。
そのため、このオンセンクマムシだけのために「中クマムシ綱」ちという新しいグループまで作られてしまった。


そんなオンセンクマムシが発見されたのは、なんと温泉大国日本である。
1937年、スイスからやって来た学者が、長崎の雲仙普賢岳の傍にある「雲仙温泉」を調べていた所、
源泉近くに生えていたコケの中からこの種類が見つかったと言うのだ。
その後、論文にこのクマムシの詳細な記載がなされ、「新種の生物」として認定が行われた…




…のだが、前述の通り、発見時から70年以上経った現在に至るまで、オンセンクマムシの姿を見た者は一人もいない




◎発見(?)後


彼らが住んでいたとされる源泉は、実は既に存在していないものである。
開発や地殻変動など様々な要因で、温泉が枯れてしまったのだ。直接現地へ赴いて調査を行った人もいるようだが、その痕跡は見当たらなかったという。
と言う事は、温泉が消えてしまった事でこの種は絶滅したのかもしれないと考える事も出来るだろう。
ただ、このオンセンクマムシの場合、絶滅どころかそもそもそんな生き物など存在しないという説まで出ているのだ。


その理由として、まず標本が存在していないと言う事がある。
基本的に生物の新種を見つける際には、その特徴をしっかりと書いた論文の他に「模式標本」、通称「タイプ標本」というものが必要とされる。
ネットで言う「ソース元」と考えて頂くとありがたい。
この標本を見ればその動物がどんな外見をしているかが一目で分かり、また「本当に存在していた」という重要な証拠にもなる。
つまり、これが無いオンセンクマムシは、いわば「ソース不明」の情報という事なのだ。
情報源がしっかりしていないと、信用度はガクンと下がってしまうのは言うまでも無い。


さらに問題なのは、これを記載した動物学者自身である。
実は彼、そもそも線虫の専門家であり、クマムシは専門外である。
それにも関わらずこのオンセンクマムシ以外にも様々なクマムシの新種を報告してきたが、
後にどれも既に見つかっている種類やそもそも存在して無いガセネタである事が発覚しているのだ。
アニヲタwikiなら書き禁レベルの杜撰さであり、今やオンセンクマムシはネッシーやヒバゴンといった未確認動物一歩手前の状態にまでなっている。



その一方で、捏造では無い可能性もまだ残されている。
遠く離れたイタリアで、このオンセンクマムシによく似た形を持つクマムシが見つかっているのだ。
ただこちらは前述の硬い皮膚を持つ「異クマムシ綱」の仲間である事が判明しており、「中クマムシ綱」の仲間は未だに見つかっていない。
しかし、あのジャイアントパンダやゴリラも、かつては「未確認生物」の一つとして、存在が疑問視された時期がある。
論文が存在し、存在が完全に否定できない以上、今後もオンセンクマムシに関する研究は続く事だろう。



なお、彼らクマムシの大きさは、顕微鏡を使わないと見えないほど小さい。もしかしたら、皆様の近くにオンセンクマムシが今もこっそり潜んでいるかもしれない。
そして見つかった暁には、ぬいぐるみも作ってもらえるかも…?






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  • パディントンの映画で「知能の高いクマを発見したが標本がないからインチキ扱いされた」と言うのがあったな。標本をつくる=殺すということなので、「新種の生物を見つけたが殺したくない」と言う場合はどうしたらいいのか -- 名無しさん (2018-10-03 08:59:45)
  • 現代なら写真とか映像を撮った上で、目撃状況などを少しでも細かく残して信用性を高める。クラゲみたいに標本に残すこと自体ほぼ無理な生物もいるので、その場合は今でも映像や写真頼り。 -- 名無しさん (2018-10-03 14:05:36)

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