め組の大吾

ページ名:め組の大吾

登録日:2022/08/08 Mon 11:45:01
更新日:2024/06/25 Tue 13:52:06NEW!
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消防士 火事 災害 レスキュー 漫画 週刊少年サンデー アニメ映画 ドラマ 神奈川県 小学館 実写化 フジテレビ アニメ サンライズ 火9 め組の大吾 火事場のバカヤロー fire boys 曽田正人 04年冬ドラマ




新米消防官 朝比奈大吾、18歳。


今、彼の──


のような人生ドラマの幕が上がる!!!




曽田正人が週刊少年サンデーで1995年〜1999年まで連載した、消防官を題材とした漫画作品。


【概要】

子供の頃に消防官に憧れた青年が世界的英雄へと成長していく姿を描く。第2回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作。
作者が週刊少年チャンピオンで連載した『FIRE AND FORGET』という作品がプロトタイプとなっている。


サンデーCM劇場でアニメCMが制作された後、1999年に『め組の大吾 火事場のバカヤロー』のタイトルでアニメ映画化*1


2004年には『FIRE BOYS 〜め組の大吾〜』と改題してドラマ化された。


2020年からは続編となる『め組の大吾 救国のオレンジ』が月刊少年マガジンで連載中。
2023年からテレビアニメが放映中。


【あらすじ】

幼い頃、家が火事となり、飼い犬と共に取り残されたところを消防士に救助された経験を持つ朝比奈大吾は、
高校卒業後、消防学校を卒業して神奈川県千国市めだかヶ浜出張所に配属される。
ところが、そこは「めったに火事がでない、めでたいめ組」と呼ばれる平和な地区で、隊員も腑抜けており意気込んでいた大吾はすっかり消沈してしまう。
しかし、初めての出場で隊員たちの頼もしい姿を見た大吾は、めだかヶ浜に火事が少ないのは彼らの努力の賜物であることに気付く。


いくつもの現場へ出場するたび、大吾はスタンドプレーを繰り返しながらも要救助者を救出していき、
やがてベテラン隊員をも戦慄させる天才的素質を開花させていく。


【登場人物】

・朝比奈大吾
CV:高木渉 / 演:山田孝之


本作の主人公。めだかヶ浜出張所勤務。防災指導をする警防係担当。
子供の頃に火事場から助け出された経験から消防士に憧れ、念願を叶える。
負けん気が強く、「無理」と言われれば反発し、底力を発揮して対抗するタイプ。
火事場ではたびたびスタンドプレーを繰り返す問題児だが、天才的な直感と観察力で要救助者の居場所を探り出すことに長けており、表彰を受ける程度には貢献している。
ただ、救出のためには手段を選ばず、ビルから下のマット目掛けて要救助者を投げ落とす*2といった行動から謹慎を受けることも。
また、出場するたびに、煙を吸い込んだり怪我を負ったりと病院送りになることが絶えず、親しい人に心配をかけまくるのが欠点。
後にレスキュー資格試験に合格し、千国沖国際空港を巡る一連の事件後、神田の推薦を受けて千国ハイパーレスキューに参加する。



・落合静香
CV:井上喜久子 / 演:小西真奈美


メインヒロイン。めだかヶ浜高校の理科教師で、大吾の高校時代の恩師。
行動的で強いバイタリティーを持っている。
大吾在学時に新任教師として赴任し、当時悪さばかりしていた大吾を更生させ*3、彼の公務員試験のための補習も行った。
このため大吾からは慕われており、本人も弟感覚で接している。
危険に飛び込み続ける大吾の姿に胸を痛め、やがて一人の男性として意識していく。
実は昆虫が大好きで、物語後半では大吾に触発されて大学に入り直し、昆虫学者を目指すようになる。



・五味俊介
CV:屋良有作 / 演:鹿賀丈史


大吾が勤務するめだかヶ浜出張所の所長。階級は消防司令。
いつも帽子を被って競馬新聞を広げる初老のおっさんだが、実は伝説的な消防官で、幼い大吾を救助した消防士本人
かつて出場した火災で生死の境を彷徨うほどの重傷を負った経験があり、深く被った帽子の下にはその時の傷痕が残っている。
退院直後に伝説となった病院火災に出場し、炎の中に飛び込んで要救助者を助け出した事で周囲から畏怖されるようになるが、本人的にはそこで限界を感じてしまったらしい。
このため、お偉方からも一目置かれており、スマトラ火災の国際救助隊を組織する際には隊長に任命されている。



・甘粕士郎
CV:一条和矢 / 演:塚本高史


大吾の消防学校時代からの同期。茶髪に銀縁の伊達メガネが特徴。鯨台出張所勤務。
消防学校の頃から成績優秀だったが、大吾とはよくケンカするライバル関係だった。
火災の多い鯨台に配属されたため大吾より多くの経験を積んでおり、入隊数か月後に要救助者が死亡したことがトラウマとなり、誰も死なせないようレスキューを目指すようになる。
大吾の危険性を認識しつつも実力は認めており、何だかんだで良き友、良きライバルとして付き合っている。
後に大吾と一緒にレスキュー資格を取得するが、千国沖国際空港の事件で自分も大吾と同じ穴の貉である事を自覚してしまい、
一時関係が険悪になり、ハイパーレスキューへの栄転も蹴ってしまう。
だが、大吾が落合先生を助けるためスマトラ島へ単独で向かおうとした際に和解し、後にハイパーレスキューに正式参加した。


ドラマ版では大吾の一年先輩で一緒にめだかヶ浜出張所勤務している。原作と違ってレスキュー試験に落ちてしまう。



・神田 ケイ
演:的場浩司


臨港署特別救助隊(レスキュー)の副隊長でエース。
初期は飄々とした姿を見せていたが、熱い心の持ち主。
大吾に早くから目をかけていた一人で、要救助者を探り当てる才能を高く評価している一方で、
救助のために危険な賭けが必要な場合でも、仲間を危険に晒さないよう自制して許可が降りるまで待ち続ける辛抱強さも持ち合わせる。
千国沖国際空港の事件で危険なスタンドプレーに出た大吾にブチ切れるが、大吾が行動しなければ要救助者を助けられなかったため葛藤していた。
最終的に大吾を自分の部下にして監視すべく、ハイパーレスキューに推薦する形で折り合いをつけたようである。



忍足おしたりミキ


千国消防局本部の係長。
千国市の防災に関してあらゆる事を知り尽くしており「マザーコンピューター」と呼ばれる。
幼い頃に最悪の災害と呼ばれる千国市立病院火災に巻き込まれ、五味さんに救助されるもすぐ近くにいた母親を喪ったという経験を持つ。
後にシミュレーションして自分が救助されたこと自体が奇跡だったと判断しており、母を見捨てた五味さんを恨むどころか感謝・憧れを抱く。
この経験のため災害を憎み続け、再開発で加速化する災害に対処するための新装備の調達などを進言し続けており、無理解な上層部と衝突しまくっている。
千国沖国際空港の事件では彼女が調達した装備がフル活用されたことで被害を最小限に留められたため、その先見の明を上層部も認めることになり、
最精鋭部隊「千国ハイパーレスキュー」の設立を推進していった。



・荒教官


千国市消防局の特別救助隊責任者。階級は消防司令。
かつて自身も現場で活躍した鬼教官で、現在はレスキュー訓練の教官を務めている。
過酷な救助活動の中に生を実感するクレイジーな男で、大吾を同類と認識していた。
だが、実際の現場における大吾のぶっ飛んだ(そして素晴らしい)才能を見て「自分はまだマトモだった」と痛感。
その後は「大吾は必ずレスキューからお呼びがかかる」としつつも「あの子は危険だ」と評価するようになった。



・近藤 純
演:ミムラ


大吾の高校の後輩。大吾に惚れており、めだかヶ浜出張所にもよく出入りしている。
そのため一方的に落合先生をライバル視している。
明るく強気な性格で、めだかヶ浜出張所のメンバーとの親しい。
高校卒業後、大学に入り直した落合先生と再会する。
大卒後は千国市消防局に入所し、忍足女史の後任的立場になっていた。


ドラマ版では大吾の先輩消防士で大きく設定が変更されている。


【用語】

・千国市
物語の舞台となる神奈川県に存在するという設定の架空の市。
再開発が行われているが、そのせいで「歪み」が起きており、加速的に災害の件数が増えている。
めだかヶ浜、鯨台などの地区が存在する。


・千国ハイパーレスキュー
忍足女史の推進によって結成された精鋭部隊。
レスキュー資格を持ち、優秀な素質を持つ隊員と最新鋭装備を備えることで様々な災害へ対処する。


【作中の主な事件】

・めだかヶ浜高校*4火災
大吾が初めて出場した現場。
最初はガス自殺未遂の家屋に出場し、大吾がへっぴり腰ながらも要救助者一名を救出する。
しかし、その直後めだかヶ浜高校で発生した火災にそのまま出場。
コンクリート製で燃えるはずのない校舎は、文化祭準備の飾りのせいで燃え盛っていた…。


・東条マート火災
ナカジマビルでのトラとの格闘が新聞に掲載され、批判に晒されていた大吾は呼び出しをくらい、目立たないようにと忠告を受けてしまう。
そんな中、東条マートめだかヶ浜店から出火報が。
火はすぐに消し止められるが、煙がひどく5階にいる要救助者は一人ずつはしご車で降ろすしかない。
買い物に訪れて巻き込まれた近藤と会った大吾は、ビル内に何か異常を感じ…!?


・ホテル火災
めだかヶ浜出張所が慰安旅行。その宿泊先のホテルで火災が発生してしまう。
休暇を返上して大吾たちは宿泊客を避難させるが、ホテル内は増築工事の繰り返しによって非常口も信用ならないほど複雑化していた*5
大吾は逃げ遅れた人々を救助するために体を張るが…。


・昆布山山林火災
レスキュー試験を翌日に控えた夜、山火事の報を受けて出場した大吾。
ところが、誰もいないと思われていた山中に子犬を連れた女児を発見する。
保護しようとするも、少女は何故か逃げ出してしまい、さらに風の影響で火事が広がりを見せ…。


・市民会館ホール火災
市民会館が出火、崩落。中には多数の要救助者が閉じ込められていた。
救助へ向かったレスキュー隊も閉じ込められてしまい、救出のためには工作車で壁を破壊するしかない。
しかし、レスキューに対抗心を燃やす大吾は、突如ポンプ車を奪って突撃を敢行する…!


・千国沖国際空港工事現場爆発事故
千国沖国際空港から出火報が。
火はすぐに消し止められるが、大吾は前回の出場でのアクシデントがトラウマとなって腰が抜けた姿を晒してしまう。
ところが、見回っていた五味さんが別の出火と要救助者を発見、爆発で崩落が発生し、閉じ込められてしまう。
レスキューですら手が出せない最悪の状況に、大吾の中の何かが覚醒する…!


・スマトラ島火災国際救援
スマトラ島で毎年発生する森林火災に現地にフィールドワークに行っていた落合先生が巻き込まれる。
千国消防は市民が巻き込まれたためハイパーレスキューを中心とした国際救援部隊を組織するが、準備が待てなかった大吾は甘粕と共に勝手に現地へ飛ぶ。
独断行動のうえ偽造書類の作成などで犯罪者になるところだったが、五味さんの取り成しで先行部隊ということになり*6、事なきを得る。
現地の消防士バンジャルと協力しながら落合先生と逃げ遅れたという村民たちを捜索するが…。


・ニューヨーク地下鉄落盤事故
作中最後の出場となった事件。
スマトラ火災から7年後、ニューヨークで新しく完成した地下鉄7号線が落盤を起こし、要救助者を乗せた電車が生き埋めになっていた。
神田と甘粕は千国ハイパーレスキューを率いて救援に駆けつけるが、あまりも絶望的な状況に市民からは大吾を呼ぶコールが響き渡る。


【余談】

  • 英語版では「Daigo of Fire Company M」と訳されている。

  • 千国市は設定上神奈川県とされているが、主要なモデルは千葉県千葉市である*7


追記・修正は防災を意識しながらお願いします。



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  • ドラマの殉職者が出た回は今でも覚えてる、可燃ガスがあるから助けにくるなって、取り残された本人が... -- 名無しさん (2022-08-08 22:11:25)
  • 消防士や救助の世界を子供たちに広く啓蒙しつつエンタメもしっかりしているのだけど、あくまで少年漫画という印象。良くも悪くも大吾が犠牲者を出さなかった事は少年時代はカッコよく受け取れたのだが、今じゃご都合主義の側面を強く感じてしまう。 -- 名無しさん (2022-08-09 00:56:42)
  • いなせだね -- 名無しさん (2022-08-09 11:59:16)
  • 今頃ようやくできたか…。 -- 名無しさん (2022-08-09 12:42:29)
  • 大吾にしろ昴にしろカペタにしろ、ほんと「天才」を(ネガティブな側面も多大に含めつつ)描くのが上手いよ、曽田さん -- 名無しさん (2022-08-09 13:56:21)
  • ドラマ版だと大吾のヒロイン相手役が近藤純に変更されてた(先生はあくまで恩師)。 -- 名無しさん (2022-08-09 15:45:44)
  • コナンと同じくらい主人公が出かけた先で…いやこっちは助かるけど -- 名無しさん (2022-08-09 22:01:00)
  • ↑3 漫画の主人公ってよく「こいつマトモじゃねえ……!」みたいな評価を作中のキャラにされるが、大吾は途中わりとマジでドン引いたわ……w -- 名無しさん (2022-08-10 01:25:45)
  • 連載当時はヒロインが高校の恩師っていう主人公より比較的年上だってのに結構衝撃を受けた覚えがある。当時はヒロインと言ったら幼馴染とか年下の妹分ってのが常識だったから -- 名無しさん (2022-08-10 12:11:08)
  • 大吾が火事が無くなったら自分が不必要になるって思いつめてたのが印象的だったわ。それを受け入れて自分が不必要になるために働くのも悪くないって成長してくのが素晴らしい -- 名無しさん (2022-08-10 21:11:04)
  • 大吾のレスキュー試験の時の長距離走 速く走れば早く終わると考え走り周囲もつられて死屍累々に会場なってしまってたな -- 名無しさん (2022-08-15 05:50:14)
  • 連載当時め組の大吾のファンサイトで「要救助者もツイてないけど一番ツイてないのは他ならぬ大吾だろう」って言っている人がいて、この作品に対する見方が大きく変わったなあ…。丘野も後で言ってるけど現場は常に修羅場だもんなあ。 -- 名無しさん (2022-08-20 18:13:29)
  • 友人の消防士がこの漫画みたいな破天荒なレスキューは絶対やらんと言っていた。 -- セイ (2022-09-17 22:45:53)
  • 劇中ずっとついて回る周辺の大吾批判が、近年作品とは真逆の極端な主人公sageみたくなってたのがもうちょい何とか出来なかったのかなとは思うが、レスキューエンタメとしては20巻ずっと面白い曽田作品の最高傑作候補。 -- 名無しさん (2023-12-31 03:33:04)
  • サバイバーズギルト持ちが身内にいるとこうなるという見本だよな。 -- 名無しさん (2023-12-31 09:06:39)

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*1 内容は原作の「東条マート火災爆発事故」と「市民会館ホール火災」のエピソードを中心に、原作のエピソードを繋ぎ合わせた構成になっている。
*2 この時は大吾が脱出した直後に爆発したため、あと少しでも遅ければ多数の犠牲者が出ていた。
*3 いわゆる「不良」であった。大吾本人もこの時期の自分を嫌悪している
*4 大吾の母校
*5 実際の宿泊施設火災でも、「建物が増改築で迷路のように複雑」は、逃げ遅れ等により多数の死者が出た原因として挙げられる。早い話が「建物の欠陥施工」である。
*6 公式に国際消防救助隊を送り出す際に五味が国際緊急援助隊の指揮官に着任した。
*7 作中において署の壁に、千葉市西部を模った地図が掲げられていることが確認できる。

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