登録日:2022/03/17 Thu 22:44:09
更新日:2024/06/18 Tue 11:42:11NEW!
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見たかった夢の続き SS最高傑作
週刊100名馬 No.40 表紙より
メディアミックス作品『ウマ娘 プリティーダービー』にも登場しているが、そちらでの扱いは当該項目参照。
→フジキセキ(ウマ娘 プリティーダービー)
目次
【データ】
生年月日:1992年4月15日
父:サンデーサイレンス
母:ミルレーサー
母父:Le Fabuleux
調教師:渡辺栄
馬主:齊藤四方司
生産者:社台ファーム
産地:千歳市
セリ取引価格:-
獲得賞金:1億2,965万円
通算成績:4戦4勝
主な勝鞍:94'朝日杯3歳S(G1)
【誕生】
1992年4月15日生まれの青鹿毛の牡馬。父は説明不要の大種牡馬サンデーサイレンス、母はミルレーサー。
母方の血統には現代でも名を耳にするような有名な種牡馬の名前がないなどかなり異質な血統の持ち主だったが、牧場関係者の間ではSS産駒初年度の中ではこの馬がナンバーワンであると即答していたという。
調教でも非常に良い動きを見せており期待が高まっていったのだが、なんとゲート試験に5回も落ちている。
ゲートにはすぐ入るのに、ゲートが開いても一向に出ないという、いたずら好きのやんちゃ坊主だったそうな。
SS産駒特有の気性の荒さもなく、フジキセキを担当した渡辺栄調教師は「こんなに楽しい奴はいなかった」と述べている。
【戦歴】
1994年8月20日に新潟競馬場の3歳新馬戦芝1200mでデビュー。
スタートから大きく出遅れる展開となったが、最終直線で先頭を捉えるとそのまま後続を突き放し、8馬身差の大圧勝となった。
この時SS産駒が各地の競馬場でデビューしており、種牡馬としての凄さが徐々に知れ渡っていくなかでのこの圧勝劇。「サンデーサイレンス、もしかするととんでもない種牡馬では」と思わせるには十分だった。
続くもみじステークスでは、同じくSS産駒にして後にダービー馬となるタヤスツヨシとの対決に。
タヤスツヨシが押しまくり叩きまくるのに対し、フジキセキは馬なりのまま楽々勝利。しかもレコード勝ちというおまけ付き。
そしてG1、朝日杯3歳ステークス*1。外国産馬スキーキャプテンとの対決に注目が集まった。
迎えた最終直線。少し抜け出したフジキセキだが、そこから引き離しにはかからない。
鞍上の角田晃一騎手は大外のスキーキャプテンを見ており、物凄い脚で追い込みをかけてきたのを確認し、ゴーサインを出すとクビ差で勝利。
着差だけ見れば辛勝にも見えたこのレースだが、角田騎手は楽勝だと言ってのけた。
何せ鞭一つ入れていないのだから。
この頃から既に同世代との格付けは終わった、三冠馬間違いなしとまで言われ始めていた。
迎えたクラシックシーズン。皐月賞の前哨戦となる弥生賞から始動。
重馬場のスローペースでレースが展開。直線入口で先頭へ立つが、なぜかそこから伸びない。
その間にも外からはホッカイルソーが襲い掛かっており、残り1ハロンのところで遂に並ばれてしまう。
ああダメか、と思われた次の瞬間。
さっきまでの走りはどこへやら、伸びる伸びる脚でホッカイルソーを引きはがし、2馬身差もつけてしまった。
この馬、とんでもない奴だ。渡辺師ですら「遊び半分」とまで言わせるほどの舐めプ。それでいて勝つのだからなおさら恐ろしい。
まさか初年度産駒から三冠馬が出てしまうのか!?
…と思われた矢先、フジキセキの脚に病魔が襲い掛かった。
屈 腱 炎
またお前か。
しかも症状はかなり深刻だったらしく、引退が決定してしまった。通算戦績4戦4勝、生涯無敗だった。
大本命フジキセキのいないクラシック戦線。皐月賞を勝ったのはジェニュイン、ダービーを勝ったのはタヤスツヨシとどちらもSS産駒であり、日本競馬界に「サンデーサイレンス旋風」を巻き起こすことになった。
しかしこの2頭、特にタヤスツヨシはこの後の成績も奮わず、当時放映されていたアニメになぞらえて「ツヨシ、しっかりしなさい!」と競馬誌に書かれてしまうほどだったという。
そのためフジキセキがクラシックを走っていたらどうなっていたのかと期待される一方で、この2頭の戦績から秋以降の成長力に疑問的な視線が向けられていたのも事実である。
【引退後】
引退後は種牡馬入りすることになったのだが、すでに親父が自身ら初期産駒の活躍により種牡馬としての需要を席巻していた。
しかしサンデーサイレンスとて生物。種付けできる回数も限られていることから、SS産駒第一世代の中で目立った成績を残し、皮肉ではあるが早期引退でフリーになっていたフジキセキに白羽の矢が立ったのである。
サンデーサイレンスを種付けできない生産者の間では引っ張りだことなっており、またフジキセキ自体の血統が傍流であったこともあり、幅広い繫殖牝馬に種付けできたため、種付け数は親父にも劣らないほどになった。
種牡馬としての成功は間違いなし、と思われたがこれが意外にも苦戦。
そこそこ走れる産駒が出るが、重賞勝ちには至らない。2年目に送り出したダイタクリーヴァは重賞5勝を記録したものの、G1には勝てなかったのでかけられていた期待からすれば外れもいいところだった。
一度はオーストラリアにシャトル種牡馬として出されるなどでかつての期待は忘れ去られていたのだが、それでもサイアーランキングでは2000年から10位以内をキープ。おや?
要するに、前述のダイタクリーヴァ等G1を賑やかすド派手さこそないが堅実な走りで勝ちを重ねる産駒が多かったのである。
考えてみてほしい。その頃種牡馬で猛威を奮っていたのは誰か?
そう、他の誰でもない父親、サンデーサイレンスだった。
そもそも自身の軌跡や父の傾向等から初期は誤解されていたが、実はフジキセキ産駒は馬体が大きめで、成長の遅いパワー型の短距離の方を得意としていたのである。
そのことが知られるようになると、フジキセキ産駒の快進撃が始まる。
「砂のディープインパクト」と呼ばれ、JCダート*2を連覇した砂の王者カネヒキリを筆頭に、オーストラリア生まれで高松宮記念を連覇したキンシャサノキセキ、NHKマイルCを勝利したダノンシャンティ、6-7歳にしてスプリンターズSを勝ちVM連覇を決めたストレイトガールなどを輩出。種牡馬としての名声を完全に取り戻したのだった。なおその産駒傾向から、「もし故障が無かったとしても、同世代の菊花賞馬マヤノトップガンと戦って三冠を獲得する事は出来たのか?」なんて答えの出ない疑問が生じる事になったのは別の話。
ちなみに短距離路線はその生涯で43頭ものGⅠ馬を送り出した大種牡馬サンデーサイレンスにとってGⅠ級の大物が僅か5頭*3しかいないというある種の空白地帯であった。
歴史にIFは無いが、適性が周知されるのがもう少し早ければ王道路線のサンデーサイレンスと短距離路線のフジキセキという形で綺麗に住み分けがされていた未来もありえたかもしれない。
そして種牡馬を引退し、「ラストクロップ」*4となった2011年世代からイスラボニータが皐月賞を勝利し、自身が為し得なかった念願のクラシック級競走制覇。競走馬を引退してから、実に19年の年月が経っていた。
だがイスラボニータの皐月賞の翌年、2015年に頸椎を損傷してしまい25歳でこの世を去ってしまう。
後継種牡馬としてはダイタクリーヴァがこつこつ働くも後継は確立出来ないまま他界、カネヒキリが種付け中の事故で早逝してしまったが、キンシャサノキセキやダノンシャンティ、イスラボニータがいるため、当分父系が絶えることはなさそうである。
2014年までは産駒の通算勝利数及び通算獲得賞金の歴代一位であったが、同じ父の後輩ディープインパクトにその座を譲ることになった。
【創作作品での登場】
ヅカ系のイケメン女子で手品好き。他のウマ娘を「ポニーちゃん」と呼んだりする。
栗東寮寮長という立場ゆえアニメにもちょくちょく登場。
中の人は当初別のウマ娘*5のCVとして設定されていたが、そのウマ娘の登場がなくなったためフジキセキ役にスライドした。
勝負服は男装の麗人風のタキシード姿だが、何故か胸元が開いたセクシーなデザイン。
しかもデザイン的に「ボタンを留めずにわざと胸元を開けている」ではなく「ボタンどころか留める為の穴が胸元に付いておらず最初から胸元を開けるのを前提としている」タイプのデザインだったり。
サポートカード演出では初期の頃から制服姿で登場していたが、ヒシアマゾン実装後に勝負服姿で登場。ヒシアマ姐さんのように勝負服のデザインが変更されるケースも多い中、原案そのままの姿で登場したことで話題になった。
2021年7月12日には育成ウマ娘として実装。マイルを得意とし、短・中距離もこなせる。先行A逃げ差しCと作戦の自由度も高い変幻自在の魔術師のようなウマ娘である。
また、これによりアニメ1期のチームリギルメンバーが全員実装されたことになる。
本編登場前に6巻裏表紙で意気揚々とした姿を見せ…たが、本格登場した7巻で幼稚園~大学進学に擬えてデビュー~速攻引退(とそれに愕然とするライバル達)までの軌跡が描かれてしまった。そして早すぎる引退から来た作者等の諸々の無念が皐月賞で同父同毛色のジェニュインに殺到した。
その後は父からの過剰な期待に怒るダンスパートナー・ジェニュインに父サンデーサイレンスの想いを語り期待に応える前に辞めた身で偉そうにと2頭にボコられ種牡馬入り。
だが自身の産駒の初クラシック戦線となる2000年には父の産駒がクラシック完全制覇したのに対し最初は「三冠馬」という更なる夢をたきつけつつ自身の産駒による三冠を夢見るも、エアシャカールの快進撃に危惧を抱きだし、
2001年日本ダービーでは自分と同じ騎手・厩舎・馬主のジャングルポケット(父トニービン)に自分が出来なかった夢を託すも、2002年秋華賞時には自分の子供達が中々G1制覇出来ない現状と焦りを娘オースミコスモに告白する事に…。
その後は「往年の名馬」・「名種牡馬」・「サンデーサイレンス産駒」としてたまに顔が引用されるに留まったが、2015年函館2歳S回では「ディープインパクト産駒全競馬場重賞制覇」記念に全競馬場重賞制覇種牡馬先輩として他の馬達と登場している。
主人公であるミドリマキバオーのライバル競走馬カスケードは、このフジキセキがモデルとされている。
カスケードの方はクラシック戦線で活躍し引退後の代表産駒も芝王道路線のエース達だったが、青鹿毛や病気での早期引退と共通する部分もあって読者や漫画ファンから話題にされたとか。
【余談】
2017年にはニコニコ動画の長期企画『リアルダービースタリオン』のため、ドワンゴ創業者川上量生氏がフジキセキのラストクロップ世代産駒「シュシュブリーズ」を繁殖牝馬として購入。
動画視聴者からの投票でシュシュブリーズ用種牡馬を決め仔を大井競馬場でデビューさせることになり、最初ホッコータルマエと交配させるも誕生した娘が僅か3週間足らずで早逝という不運に見舞われたが、
次に交配させたクロフネとの娘「クールフォルテ」が2021年に無事デビューし、シュシュの次の息子「モーメントキャッチ」(父モーリス)も別なクラブに預けられ中央でデビューしている。
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- 産駒傾向から強さからも皐月とダービーは勝てそうでも、上り馬でステイヤーのマヤノトップガンを破るのは難しいという声がある一方、産駒が晩成傾向だから秋以降にフジキセキも急成長した可能性を指摘されるという…。答えの出ない幻の三冠馬問答の中でもやはり鞭無しの無敗ってスケールのデカさは妄想を楽しくさせてくれる。 -- 名無しさん (2022-03-18 01:20:39)
- もしもを語りたくなる馬の内の一頭。 -- 名無しさん (2022-03-19 18:36:21)
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*2 現在のチャンピオンズカップ
*3 スプリンターズステークスを勝ったデュランダル。高松宮記念を勝ったアドマイヤマックス、オレハマッテルゼ、スズカフェニックス。そして両方勝っているビリーヴ。
*4 2011年からは種付けを行なっていないが、繋養先から正式な発表はなかった
*5 恐らくだが許可が下りなかったオルフェーヴル
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