豆籾平太

ページ名:豆籾平太

登録日:2021/10/01 Fri 15:05:15
更新日:2024/06/06 Thu 10:28:26NEW!
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走るペン先からほとばしる青き洋墨が書き暴く《真実》を毎朝、お茶の間に!


新聞界の風雲児にして、快男児。‥‥それがこの、マメモミなのですね!





豆籾平太まめもみへいたとは、ゲーム『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』に登場する人物。


名前の由来は今ひとつ分からないが、後のスタッフインタビューによれば、
まず「H・M」というイニシャルが先に決まり(理由は後述)、そこから「まみむめも」が全部入る苗字ということで「豆籾」が生まれたとのこと。
また、開発段階では作中のモーションから「宗倉むなぐら」という名前だったが、デザイン完成後に再び豆籾に戻ったらしい。


ちなみに海外版『The Great Ace Attorney Chronicles』では『Raiten Menimemo』という名前に。
恐らくは「たくさんメモを書く(Writing Many Memo)」から来ているネーミングか。日本人っぽい名前じゃないとか言わない。




■概要

大日本帝国の新聞社《大黒新報》に所属する新聞記者。38歳。
白シャツの袖を捲り、サスペンダー付きズボンを履いた筋骨隆々の男性で、頭にはハンチング帽、首にはネクタイに加えて写真機きゃめらをぶら下げている。
左耳の上には鉛筆が挟まれ、右手首付近には青黒い洋墨インキの跡が付いているなど、随所からその忙しさや熱心な仕事っぷりがうかがえる。
左上腕部に巻かれた大黒新報の腕章をことあるごとに見せつけてきたり、気持ちが昂ぶるとサスペンダーを思いっきり引っ張ってから体に打ち付けたりと、
彼に用意されているモーションは全体的に暑苦しいものが多い。おまけに仕事で日々走り回っている影響なのか日焼け気味。
一人称は「マメモミ」で、基本はテンション高めの敬語で話すが、追いつめられた際には荒い口調が顔を出すことも。
相手に対しては「文士殿」「女学生」というような役職を用いた呼び方をする。
専用曲は「ブンヤ一匹、豆籾主義」。


直情的な熱血漢で、自身を ”ブンヤ” と称し、自らの足を使って ”ネタ” を ”モギ撮る” ことに命を懸けている。
それ故、場所を選ばず突撃取材を敢行したり、了承を得ないまま相手を写真機で連写したりするほか、
時にはスクープを優先する余り、プライバシー配慮や遵法精神に欠ける問題行動に走ることも少なくない。
そうして集めた情報は、豆籾手帳マメモミメモと称する自分の手帳に書き記している。
また、本来大黒新報の記者は記章と自らのイニシャルが入った万年筆を持っているはずだが、本人は「生まれながらにして”エンピツ派”」だと語る。
…その割には、興奮するたびに鉛筆を片手で何本もへし折っているが。


上記の説明だと悪質なパパラッチそのものだが、彼なりに《真実》や《正義》といったものも大事にはしているようで、
己の行動指針として豆籾主義マメモミズムなる独自の考え方を掲げており、作中でも度々披露しては出廷者(主に弁護人)を困惑させている。
しかしよくよく聞けばその内容は自身の行いを正当化するための方便でしかなく、バッサリ言ってしまえば只のダブスタ
ちなみにこうしたブンヤとしての心構えのいくつかは先輩記者からの教えだと語っており、豆籾個人が暴走しているというよりは組織全体が歪んでいる可能性が高い。


本人曰く「たいていの場合《人道主義ヒュウマニズム》より《豆籾主義マメモミズム》が勝利する」


  • ブンヤの武器こそ、足ツッ!どこでも飛んでいき、ネタをモギ撮る!‥‥それこそが。我が《豆籾主義》なのでして。
  • 自分の事情については《秘密主義》‥‥‥‥それが、《豆籾主義》なのですよ。
  • クモリなき”真実”を伝える。‥‥それが《豆籾主義》なのですよ。
  • 『つまらぬネタは、捨てておけ』‥‥それが《豆籾主義》なのですね。
  • 『他人の”隠しごと”は許さない』‥‥それもまた、《豆籾主義》‥‥
  • ‥‥男マメモミ、ブンヤ一匹。今も昔も逃げも隠れもいたしませんね。それこそが!我が《豆籾主義》なのですねェ!



■作中での活躍

第1話「弁護少女の覚醒と冒險」に登場。
と言っても最初はネームドキャラとしての登場ではなく、大英帝国から帰国した後に文士となった夏目漱石に密着取材をしている人物という描写止まりであり、
証言中の漱石が例の奇妙なポーズを取るたびに、その後ろで効果音に合わせてパシャパシャ写真を撮っては何やらメモを取っていた。
しかし既にその段階から妙な存在感はあり、プレイヤーの多くに「後ろのカメラマンも後々何かしら物語に関わってくるのだろう」と予想させた。
そして裁判が進み、証拠として提出された匿名の現場写真が論点になると、証人として出廷していた漱石の紹介で、その撮影者が豆籾であることが発覚。
急遽証人として召喚されることとなり、「被告人の女学生・村雨葉織が被害者を刺し殺す瞬間を掘ったて小屋の外から目撃した」と証言する。


事件前後の豆籾は、漱石への密着中の企画の一環で、漱石と同じく英国留学経験のある御琴羽悠仁教授との対談企画を立ち上げており、
勇盟大学にある御琴羽の研究室内で行われた二人の対談の様子を写真に収め、その内容を記事にまとめ上げて翌日の朝刊で発表していた。
そして対談が終わった後は、海水浴へ向かう漱石たちとは一旦別れて大黒新報本社に戻った……と思われていたが、実は”あること”を目的にこっそり後を尾けており、
偶然そこで起きた殺人事件の一部始終を目撃し、その様子を写真に収めていたのだという。
…事件発生後も救助を呼ばず撮影を優先したり、そもそも女性の着替え用に用意された掘ったて小屋の中に写真機をネジ込んで覗いたりと、既に気になる点も多いが。


しかし弁護側は「何故その目撃談や証拠については記事にしなかったのか」と疑問に思い――



※以下、さらなるネタバレにつき注意。





















第1話でジェゼール・ブレットを殺害した真犯人
豆籾は以前より外国相手に腰が低い日本政府の外交姿勢に不満を持っており、
9か月前に殺人事件を引き起こしていながら、《領事裁判権》によって裁かれるどころか牢に収監すらされないジェゼールに対しても義憤を感じていた。
そして彼女が上海に移送される前日、罪人であるにもかかわらず海水浴に出かけることを耳にしてしまい、怒りのままに直撃取材を試みたのである。
しかし、そこで彼女に自身の《ジャーナリズム》を大日本帝国ごと嘲笑されたことで怒りが爆発。
「自らが《正義》の鉄槌を下すしかない」と思い立ち、彼女に猛毒を飲ませて殺害した。


豆籾が犯行に使用した猛毒は、御琴羽教授の研究室で開発された新種の《劇薬》であり、
元々はその成分を調べて記事にする目的で、漱石と御琴羽の対談中に密かに万年筆を使って毒を吸い取り盗み出していた。
そしてジェゼールに侮辱された時にその存在を思い出してしまい、半ば衝動的に彼女の炭酸水のグラスにそれを混入する。
だがその後、葉織とジェゼールの口論の中でその毒の特異性を知り、毒の入手経路から自身の犯行が露呈してしまうことを恐れた彼は、
毒の症状が現れる前に即死させるべく、咄嗟に小屋の外からジェゼールの背中に小刀を突き刺すことで死因を偽装。
さらに驚く葉織が小刀に触れた瞬間を写真に収め、決定的証拠と「現場に被害者と被告人しかいない」という状況を作り出し、その罪を葉織に着せる計画を立てた。


審理では、最初は事件への関与を否定し、さらに「ジェゼールが死の間際に犯人として葉織を指差した*1」という証言を漱石から引き出すことで無実を主張するが、
現場に万年筆*2を落としてしまっていたこと+漱石の正確過ぎる記憶力が仇となり、ジェゼールと会っていたこと+小屋の外から刺したことを暴かれてしまう。
しかし彼女が毒殺されたことが判明すると、「死因が刺殺ではない以上自分は犯人ではない」「仮に自分が毒を盛ったならばその後小刀を刺す必要が無い」という主張で一気に開き直る。
が、葉織たちの毒に関する口論内容をそっくりそのまま記事にしてしまっていたことで、前述の主張を崩されて毒の盗難疑惑も浮上。
それでも「弁護側の主張は全て”理屈”ばかりで《証拠》が無い」と、最後までハンチングを投げ捨てたり鉛筆を飛ばしたりしながら抵抗するが、
成歩堂龍太郎…もとい御琴羽寿沙都に件の毒を検出するための専用の《試薬》で万年筆の中を調べられ、全ての罪が露呈した。




コレ決してマメモミが悪いのではない!
この国がマメモミを悪くさせたのだッ!


外国に頭を下げ”文明国”気どってる!
この愚かな大日本帝国がマメモミを!


マメモミはペンという名の剣を手に!
昼も夜もなく新聞という名の戦場でッ!


ただ《正義》のため!マメモミがッ!
そう!ただひたすら《正義》のため!


うおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおマメモミおおおおおおおお



ブレイクモーションは、上述の台詞を叫びながら写真機を手に取り豪快にブン回し始めるというもの。
しかし写真機を掻い潜った葉織に体を取り押さえられ――


‥‥寿沙都ちゃん!いくよ!


はいッ!



''とおおおおおおおおおおおおおおおッ!''
''とおおおおおおおおおおおおおおおッ!''



寿沙都&葉織の親友コンビの合体技で天高くブン投げられ成敗された。
この一連のブレイクシーンは、前作『大逆転1』の地味目だったものから一転して派手で爽快な演出である。


‥‥これが、御琴羽流《寿沙都投げ》だね?


‥‥いいえ。
これは‥‥《龍太郎投げ》でございます。




判決後の自供によれば、豆籾は9か月前のジェゼールの裁判の真相について徹底的に調べ上げ、事件の裏に隠された日本と英国の”取引き”のネタを掴んでいた。
そしてその全てを世間に発表しようとしたが、日本政府からの”圧力”により、記事は上層部に握り潰されてしまう。
法は悪を見逃し、ジャーナリズムさえ《真実》を報道できない事に絶望した彼は、ペンを捨て、武力行使により《正義》を執行する手段を選んだのだった。
犯行直後は、すぐに逃げるべきだと頭では分かっていたものの、ブンヤの性として自身の行いの結末を見届けずにはいられなかったとのこと。
ただし、彼が選んだ「標的を毒殺してその罪を第三者に着せる」というやり方はジェゼール・ブレットの犯行と何ら同じであり、
寿沙都に「あなたには‥‥《正義》を語る資格などないッ!」と一喝されると、意気消沈し連行された。


……が、まだ何か思うところがあったようで、なんと廷吏を振り切って裁判後の被告人控室に乱入。
そして「アンタも一枚噛んでいるのを知っている」という意味深な言葉と共に、御琴羽教授に「8か月前に日本を発った司法留学生」について聞き出そうとした――ところで、
現れた裁判長に一本背負いでブン投げられ、今度こそお縄についたのだった。


以降、豆籾自身は登場しなくなるが、寿沙都はこの裁判後に彼と面会し、彼が掴んだ事実について聞き出した。
そしてそれを英国留学中の成歩堂龍ノ介に伝えるため、彼女は再び渡英を決意するのだった…。
さらに終盤でとある事実が明かされることで、1話での彼の行動がある重要な意味を持つことになる。


豆籾が殺害したジェゼール・ブレットの正体は、英国の裏社会で知られるプロの”暗殺者”であった。
即ち彼は「暗殺者を暗殺する」という偉業を成し遂げていたことが判明する。


これを受けて、一部のファンの間では「豆籾は就くべき職業を間違えた」などとネタにされるが、
逆に言えば、素人に殺されてしまったジェゼールの慢心や注意力不足もプロの暗殺者としては如何なものなのかという話でもある。


一応逆転シリーズにおいては、未来でもプロの殺し屋が手傷を負うシーンが存在するが、
こちらは「仕事中に対峙した相手のうちの一人が一枚上手だったため」というまだ示しのつく理由になっている。


また、豆籾の「法で裁けない悪人に直接手を下す」という選択そのものは、本作に登場する重大事件にも通ずるものがある。




■余談

二部作の後編とは言え第1話の犯人キャラということで、突発的な犯行だったこともあり裁判の難易度はかなり易しい方。
単話のみのキャラながら、新聞記者という立場を使って前作の情報を自然に整理したり、後のエピソードに繋がる伏線も残したりと、物語の舞台装置としても大いに働いた。
ただしよくよく考えてみると、彼の事件中の行動には疑問点というか明らかなツッコミ所が幾つかある。*3
その最たるものは、「犯行後に自らの意思で劇薬についての記事を推敲せず公開している」こと。
小刀で刺した理由が「特殊な毒の存在を隠匿するため」だったはずなのに、直後に「それはそれとしてその情報は世間に発表しよう」という異常な思考をしていることになるのだ。
対談後に結局本社には戻っていないという作中の説明からも、事件前に記事を提出してしまっていたとは考えにくい。
そして結果的にその記事の内容及び存在が、弁護側の突破口になってしまった。


一応フォローするのであれば、捏造写真を含めて事後工作が完全に成功したと思い込んでいた辺りが理由なのだろうが、
それでも自身の非常事態時にもかかわらずスクープ欲をそれとは切り離して考えているのは、半ば狂人の域に達していると言えなくもない。
というかその段階で犯行に使用した愛用の万年筆を恐らく現場付近で紛失したことにはすぐ気づけたはずなので、やはり色々迂闊なのは間違いない。
もっと言うと、現場に万年筆を落としてしまったのが致命的過ぎるため、本来は最初から捜査線上に容疑者として上がっていてもおかしくない人物でもある。


自ら「万年筆関連以外は証拠不十分」「現場で誰にも目撃されていない」という最大の武器を潰してしまった豆籾だったが、敢えて彼の理想の犯行ルートを考えるのであれば、

  • 現場からはすぐ去り、写真もわざわざ警察に提出しない
  • 劇薬の記事を公開しない(あるいは内容の一部を伏せるなどする)
  • 万年筆については「恐らく被告人か被害者に盗まれた」と主張
  • 裁判前にどうにかして解剖記録を入手しておく
  • 裁判ではとにかく決定的な証言は避けて目撃者を装うことに徹する

辺りだろうか。(それでも解剖記録と御琴羽教授によって毒の存在は露見してしまうため、盤石とは言い難いが…)




「クモリなき”追記・修正”を伝える。‥‥それが《豆籾主義》なのですよ。」


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  • ネタバレであるジェゼールを暗殺できるほど潜入スキルに長けていたがそのせいで乱暴な手段になれてしまったのかもな -- 名無しさん (2021-10-01 20:02:20)
  • 憂国の士を気取りながらとんでもないド外道だった。うっかり大金星(?)挙げて「プロフェッサー」に近い存在になったが・・・ -- 名無しさん (2021-10-02 23:59:18)
  • ちなみに本人が見ていたであろう場面で毒をどうやって入れたのかというところも前作1話と同一だったりする。今作はもっと困難だっただろう。やっぱり殺し屋に向いてたんじゃあ… -- 名無しさん (2021-10-04 09:02:32)
  • ことあるごとにあっさりと握り折られる鉛筆は、ジャーナリズムと真相を(権力で)握りつぶす悪党を示しているのかも。こいつ自身罪から逃れようと真相を握りつぶす側だからなおさらそう見える -- 名無しさん (2021-10-04 11:53:46)
  • 毒の記事を書いた理由はこれの作成は軍からの依頼即ち国からの依頼なのでここから世論を国家批判に誘導しようとしていたと考えられなくもない。そもそも第3者であるにも拘らずこの事件を起こす程異常な正義感(どちらかというと反権力主義?)を持っているので充分あり得る気がする。 -- 名無しさん (2023-11-29 01:22:28)
  • ジャーナリズムが初めて台頭した時代。そしてその後のマスメディアが持つ暗示しているようにも思える。 -- 名無しさん (2024-04-16 17:50:06)
  • マスメディアが持つ光の力と闇の暴走とを暗示しているようにも思える。 -- 名無しさん (2024-04-16 17:51:02)

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*1 本当は葉織ではなく、その後ろにある掘ったて小屋の壁=豆籾がいた位置を指差していた。
*2 上述した通り「H・M」のイニシャル入りであり、「葉織・村雨」のミスリード。
*3 細かいところだと、洋墨の跡を洗わずそのままにしている点や、写真に残る特徴が自らに繋がるものなのに証拠写真を提出したことなど。

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