登録日:2021/07/04 Sun 14:35:09
更新日:2024/05/30 Thu 11:38:49NEW!
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scp scp foundation safe 銃 銃器 拳銃 海賊 scp-4282
俺は彼女に伝えるべきだった
彼女は俺が君を愛している事を知るべきだったんだ
SCP-4282はシェアードワールド SCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはSafe。
概要
SCP-4282はいわゆるパーカッションロック式の44口径の単発式拳銃である。
銃身の右側にMutiny‘s Bane.という筆記体が刻まれている。
パーカッションロック式の銃をざっくり説明すると球の形をした鉛の弾丸と黒色火薬を銃口から詰めて
握り手の側から雷管(衝撃を与えると発火する器具)を装填して
引き金を引くと撃鉄が雷管を叩いて火を起こし、黒色火薬を爆発させて弾丸を飛ばす19世紀の銃のこと。
もちろん2発目を撃ちたければ弾丸と火薬と雷管も入れ直さなければならない。
SCP-4282を普通に装填して発砲すると撃発→弾丸の射出までは同型の正常な銃と同じ作用をする。
だが弾丸が銃口を出る直前から異常な振る舞いをするのだ。
収容までの経緯
”アフリカの角“沿岸で活動中の貨物船、MV アルメザーンが海賊に襲撃される事案が起きたのだが、
イギリス海軍が突入して制圧した際のセキュリティカメラの映像が財団の目に止まった。
アルメザーンのブリッジ内カメラの映像記録;
海賊はAK-47の弾薬を使い果たしたため、鞄からSCP-4282を取り出して船員の頭に突きつける。
※海賊はSCP-4282の異常性を知っているような様子は無い。
特殊部隊が制御室に突入し、パニックになった海賊が船員のこめかみに向けたSCP-4282の引き金を引く。
次の瞬間、発砲した海賊の右目が爆発してそこから砕けた頭蓋骨と脳の破片を撒き散らす。
海賊の前方に立っていた特殊部隊員の太ももに44口径の弾丸が当たり軽傷を追う。
カメラ映像にはこれ以外に異常な内容は映っていない。*1
その後の調査によれば海賊にSCP-4282を“撃たれた”二等航海士は
鼓膜が破れたことと軽度の火傷以外の怪我はなかった。
そしてSCP-4282は紛れもなく撃発して火薬の爆発で弾丸が射出された形跡があったのに、
SCP-4282の銃口からは弾は出ていなかった。(出ていたら二等航海士は死んでいる)
そしてアルメザーンのブリッジ内を念入りに点検したがブリッジの外から銃撃などは一切行われていなかった。
ちょうどイギリス海軍内に財団の人間が潜伏しており事態を察知したのだが
全ての出来事はアルメザーンのブリッジ内で完結しているため情報操作と記憶処理で隠蔽してSCP-4282を回収してサイト-68に収容した。
実験とその結果
財団は最初の映像記録から推定してSCP-4282はそれを使った人間自身を殺す、という
ブービートラップのような性質の異常性と思っていたのだがそうでないことが実験で判明した。
※SCP-4282の発砲は弾丸が44口径の鉛球、弾薬は3Fの黒色火薬*2を20グレイン、雷管は11番が最適だったのでそれで実験を行う。
日時 | 2005/2/1 9:30 |
内容 | 海賊が死亡した時の状況を再現できるかを確認するためにD-22873にSCP-4282を発砲させた。 |
結果 | D-22873は無傷だった。SCP-4282の銃身から弾丸が射出されなかった。 |
追記 | この実験と同時刻にフロリダ州ペンサコーラのエスカンビア郡刑務所で服役中の受刑者が死亡していたのを財団が確認した。 SCP-4282と死亡者との距離は███km離れていた。今回死亡した受刑者と前回死亡した海賊との共通点を調査中。 |
日時 | 2005/2/10 11:00 |
内容 | 前回の実験で死ななかったD-22873の周囲にD-44229、D-56437、D-41315の3人を等間隔に配置して発砲させた。 この3人は過去にSCP-4282で死んだ2人の共通点を絞り込むために選定している。 |
結果 | D-56437がSCP-4282によって死亡した。他の被験者は無傷だった。 |
追記 | 最初の死者(海賊)、2番目の死者(受刑者)、3番目(D-56437)に共通しているのは全員が船や船上の財貨物を略奪した犯罪歴があることだった。 それぞれが海賊、ジェットスキーの窃盗、捕鯨船へエコテロリズムを行っている。 |
最初の海賊がSCP-4282をどこで入手したのかは不明だが
間違いなくSCP-4282の性質は知らなかったろうし試し撃ちもしてないんだろうな。
やっていたら自分か仲間が死んでいる。
日時 | 2005/2/10 11:25 |
内容 | ████博士の発案による実験。 SCP-4282はこれと違って発砲した銃弾が対象の後頭部にテレポートしているように見えるため、 過去の死者と同じ犯罪をしたD-82281にSCP-4282の弾丸を止められる保護ケブラーヘルメットを被せて発砲した。 |
結果 | D-82281は無事だった。実験と同時刻にサイト-68内カフェテリアで昼食を取っていたヘルム下位研究員が死亡した。 |
追記 | ※この事例をインシデント4282-Aに指定して原因究明に努める。 |
今回の実験で利用したD-82281は1987年にとある石油王のヨットの盗難で告発されていたが
追跡調査したところ冤罪だったことが判明した。
主任研究員レイランド博士;
安全対策を徹底して実験すべきだった。████博士は譴責することにする。
これ以降はDクラスのスクリーニングをより綿密にするだけではなく
基準を満たすDクラスを2人配置して私が直接実験を行うことにした。
D-82281は冤罪なのでSCP-4282で死ななかったのはわかるとして
なぜヘルム下位研究員が死亡したのかは今のところ不明である。
流石に船を奪ったり略奪した奴が財団の正職員になれるとは思えないのだが…?
ちなみにこのヘルム下位研究員は想いを寄せている女性がいたのだが
わざわざTale一本を使って彼女への思慕を伝えるか悩んだ挙句に告白する直前に死んでいる。
日時 | 2005/2/15 10:15 |
内容 | 過去の犯罪者と同じ経歴を持つD-41167、D-78221の2名を用意して SCP-4282の弾丸を止められる保護ケブラーヘルメットを被せてレイランド博士が発砲した。 (D-41167の方が博士に近い位置) |
結果 | 弾丸はD-41167のヘルメットに着弾し、死亡者が出なかった。 |
追記 | 保護用ヘルメットでSCP-4282の弾丸を止められることが判明した。 船を盗んだ経験のあるDクラスは少ないので倫理委員会はSCP-4282の実験の参加者は全員ヘルメットを付けることを推奨した。 |
日時 | 2005/2/15 11:00 |
内容 | 生き残ったD-41167と、過去の実験で死亡したD-56437の死体を等間隔に配置してレイランド博士が発砲した。 |
結果 | 弾丸はD-56437の死体を無視してD-41167のヘルメットに着弾した。もちろんD-41167は無事。 |
追記 | SCP-4282はあくまで生きている者を狙うらしい。 |
日時 | 2005/2/15 12:40 |
内容 | D-41167は過去に船を盗んだ経歴があり、D-15949はそんな経験はないのだが D-15949に施錠した箱をバールでこじ開けて中の模型の船を盗み出させてから2人を等間隔の位置に置いてレイランド博士が発砲した。 模型の船は本物より小さいが水に浮かべれば普通の船として機能する。 |
結果 | SCP-4282の弾丸はD-15949を無視してD-41167のヘルメットに着弾した。 |
追記 | SCP-4282は模型は認めないようだ。どういう基準で見分けているのだろうか? |
日時 | 2005/2/15 13:35 |
内容 | 前回と同様にD-41167とD-15949を配置した。D-15949に輸送用コンテナの鍵をバールで破壊させて 中にあるレイランド博士の私物の本物のカヤックを運び出させた後に博士が発砲した。 |
結果 | D-15949のヘルメットに弾丸が着弾した。 |
追記 | SCP-4282が模型の船は無視してカヤックを対象にした理由は不明。 単純に質量で判断しているのかとも考えられるが、船ではない高価だったり重い品物を盗んでも無視する。 |
おそらく人が乗れるサイズの船を盗んだか否かで区別している模様。
そして本人の意思ではなく命令されてやったとしても実行犯のみを射殺しようとするらしい。
日時 | 2005/2/16 12:45 |
内容 | SCP-4282は単純な作りの旧式銃なので容易に複製可能。 SCP-4282をバラバラに分解して複製パーツと入れ換えて実験することでどのパーツが異常性に作用するのか調査した。 |
結果 | どうやらSCP-4282の主体はバレル(銃身)らしく、バレルのみ複製品で他の全てをオリジナルパーツで組んだ銃は異常性が発現しなかった。 |
追記 | ならばバレルをオリジナルで他を全部複製パーツで組んだ銃で実験すればどうなるかというと…。 |
バレルさえあれば良いというわけではなくパーツがちゃんとそろっていないSCP-4282は機能不全を起こす模様。
SCP-4282の引き金を引くと普通に銃口から弾丸が射出されたが約1.5m進むと空中で静止した。
ハイスピードカメラで見る限り弾丸は静止しながら激しく回転しており低く唸っていたが6秒後に消失し、
射撃場内に出現して数メートル進んで消えるのをランダムに繰り返した。速度は普通に発砲された弾丸と同じで。
エンペラーかピストルズかな?
おそらくSCP-4282は目的とした人物を狙いたいがうまくそこへ弾丸をテレポートさせられないようで
射撃場内を飛び回ってカメラも破壊した弾丸は最終的にレイランド博士の足に当たってふくらはぎの筋肉内で数分間にわたり不規則な高速回転をし続けた。
レイランド博士の足が回復したのは翌月の3月19日だった。
※インシデント4282-Bに指定
レイランド博士:
今回の事案を鑑みてSCP-4282のパーツを組み替えて実験することは無期限に中止する。
財団がこの銃を解析して複製や改変を試みる行為も同様にね。
今はクソッ!海賊だけを殺す銃かよ!?で済んでいるが
もしSCP-4282のメカニズムを解析して性質を操作できるようになったら
特定の条件を満たす人間だけを狙って殺せる暗殺兵器に早変わりする。
レイランド博士は流石にそれはまずいと思って釘を刺したんだろう。
ここまでの実験で判明したこと。
- あくまで船を盗んだり船の積荷などを奪った者だけを殺す
(ここで言う船とは船舶として機能して人を乗せられる構造物のみ)
- 発砲一回ごとに最も近くで生存しているターゲットを殺す
「最も近く」に距離的な制限はおそらくない。かなり遠くにいる海賊でも死ぬ
- 発砲した弾丸は銃口を出る寸前で消えて、ターゲットの後頭部を砕いて右目から出るコースを通る位置に出現する
- 弾丸がターゲットの頭の後ろに出現することが異常性であって、出現した後の弾丸には異常性はなくヘルメットで防護可能
- 使わなければ何も起こらないので金庫にしまっとけばSafe
ヘルム下位研究員の死亡理由がわからない事を除けば性質が見えてきたな。
補遺
財団のアルゴリズムがネット上に「Mutiny’s Bane」のワードが含まれたWebブログをサーチした。
アマチュアの個人のトレジャーハンターがメキシコ、キンタナロー州アクマル村の砂浜に打ち上げられた小さな宝箱を見つけたという内容だった。
箱の中は二挺の拳銃がぴったり入る窪みと、手書きの詩が書かれた巻物が入っていた。
略奪と掠奪を行う全ての犬どもよ
自分が所有できないものを奪おうとする者よ
首から上を砕かれたくなくば
我の公正な忠告を聞き理解せよ
反乱者の破滅(Mutiny’s Bane)と操舵手の憤怒(Helmsman’s Wrath)よ
このガレオンの甲板の平和をどうか守りたまえ
汝の進む道には死そのものが待つと知れ
貪欲を抱いてこの偉大な船に乗り込むならば*3
この宝箱と詩は回収されてSCP-4282と一緒に収容されている。
もしこの詩の内容が事実ならばどこかに操舵手の憤怒“Helmsman’s Wrath”と彫られたもう一挺の銃があるはずだが
見つかっておらず、存在したとしても同様の異常性があるかは不明。
ひとまず情報収集は継続している。
収容プロトコル
現在は以下の内容で実施している。
なお調査しているうちにヘルム下位研究員が射殺された原因が判明したのでそれも加筆した。
- 普段はサイト-68のSafe用標準アノマリー保管庫に入れておく
- 異常性のない同型のパーカッションロック銃と同じ手入れ保守作業を定期的に行う
- SCP-4282で実験する場合はレベル3以上の研究員の承認を得ること
- 実験の際は下記の1、2のどちらかの犯罪を犯したDクラス2名にヘルメットを付けて立ち合わせること
- 実験でSCP-4282に弾丸類を装填してからそれが排出されるまでは全スタッフが生きている銃*4として取り扱う
- サイト-68所属の財団職員が下記の1、2のどちらかの経験がある場合は申し出ることで実験時にはサイト-68から退避できる
- 1:船舶を盗む、またはその船舶に搭載された財産を不当に取得する
(ここで言う船舶は動力の有無やサイズを問わず潜水艦も含み、人間を乗せて航行可能なものを指す)
- 2:合衆国法典において著作権侵害に相当する行為をする
……要するにこの銃は"海賊"を殺す存在である。
ヘルム下位研究員はおそらく、著作権侵害……映画だかゲームだかの"海賊版"を製造・配布させたがゆえに、
この銃のターゲットとなってしまったのだろう。
SCP-4282 Mutiny’s Bane
追記・修正はパーカッション単発銃でロシアンルーレットをしてからお願いします。
▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示
SCP-4282 Mutiny‘s Bane
by GaPSMAV
http://www.scp-wiki.wikidot.com/scp-4282
SCP-4282: Comprehensive Test Log
by GaPSMAV
http://scp-wiki.wikidot.com/scp-4282-comprehensive-test-log
Try and Remember
by GaPSMAV
http://scp-wiki.wikidot.com/try-and-remember
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▷ コメント欄
- なるほど海賊"版"ね -- 名無しさん (2021-07-04 14:55:06)
- ↑もしかしたら、『海賊』戦隊であるゴーカイジャーも、この銃使われたらやられるんじゃないか? 海賊と名前のつくものを殺すんだったら -- 名無しさん (2021-07-04 15:01:25)
- ↑「海賊」ってワードに反応してるわけじゃないでしょ -- 名無しさん (2021-07-04 15:16:24)
- 3.千葉パイレーツと契約したことがある 4.「だっちゅーの」を持ちネタにしたことがある -- 名無しさん (2021-07-04 17:08:17)
- 「海賊王に俺はなる!」の再翻訳を思い出したわ -- 名無しさん (2021-07-04 17:27:42)
- ヘルム下位研究員が海賊版の配布だか作成だかに手を染めてたってこと? -- 名無しさん (2021-07-04 18:35:54)
- 引用について思ったんだけど、未翻訳の記事を翻訳した状態でのせるのは引用にあたるのかが気になる。 -- 名無しさん (2021-07-04 18:41:44)
- 冒頭の言葉は多分ヘルム研究員のTaleのものだと思うけど、その辺りの説明がない上にこのオブジェクト自体に直接関係する言葉じゃないから、冒頭に載せるのは違和感がある -- 名無しさん (2021-07-04 19:53:38)
- この財団世界の著作権法は随分守られてるなあ…船の大きさ要件みたいに著作権侵害も一定程度を超えないとタゲにならないのかしら -- 名無しさん (2021-07-05 08:34:39)
- 結局なんで研究員は死んだんですかね。Tale読んだけどよく分からなかった・・・ -- 名無しさん (2021-07-05 09:09:33)
- 初期らしいシンプルさと「財団の日常風景」を兼ねてて個人的に好き -- 名無しさん (2021-07-05 09:15:29)
- ヨット盗難は冤罪だけどDクラスになってるってことはやることはやってるんだろうな -- 名無しさん (2021-07-05 15:47:31)
- 当時の軍船や商船は下っ端苛めが酷い(酷いのだと港町で若い奴をさらって下っ端にする)からそりゃ、下っ端同士で結託して船奪って海賊に転身するのも出てくるんだわ -- 名無しさん (2021-07-05 21:37:05)
- ずっと思ってたけど、建主未翻訳の記事を優先して作成してるっぽいが、どうせなら本家wikiで翻訳作業に参加しては?と思う。。 -- 名無しさん (2021-07-06 15:41:40)
- 個人の勝手でしょう -- 名無しさん (2021-07-06 16:45:19)
- ↑2普通にありがたい事では?本家は本家で参加するまでの手間がそれなりにあるし -- 名無しさん (2021-07-07 09:33:56)
- ↑4 いわゆる「上海」だな。ヨーロッパからアジアに船を出すとき、適当に若いのを酔い潰して無理やり船に引き摺り込んで、タコ部屋状態で無理やり仕事させるとかいう…… -- 名無しさん (2021-07-07 09:57:59)
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*2 黒色火薬とは乾燥した粉なので粒の大きさがあり、使う銃によって最適な粒の大きさが変わってくる。1F〜4Fに分類されて数字が大きいほど粒が細かい。
*3 訳文に反映させるのは無理だったが、掠奪(plunder)と砕く(asunder)、憤怒(Wrath)と道(path)のように韻を踏んだ詩となっている。
*4 日本の一般人には馴染みがないが、弾丸が装填された銃は「生きている銃」とみなされてどんな状態でも銃口からは弾丸が飛び出て人が死ぬと思って取り扱うのが常識となる。弾丸が抜かれるなどの「安全が明確になった銃」と判断されるまではそれを継続し、もし生きている銃をおかしな操作をするとフルボッコにされても文句は言えない。
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