魔女(嘘つき姫と盲目王子)

ページ名:魔女_嘘つき姫と盲目王子_

登録日:2021/06/19 (土) 17:01:23
更新日:2024/05/27 Mon 13:49:02NEW!
所要時間:約 6 分で読めます



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嘘つき姫と盲目王子 魔女 ラスボス 割と常識人 意地悪 悪趣味 願い 被害者 悪役ではない敵役 改心 話せばわかる



森の奥深くに住まう魔女

あらゆる願いを叶えてくれるが、

そのためには自分が「最も大事にしているもの」を差し出さなければならない。




この項目では、『嘘つき姫と盲目王子』に登場する魔女について解説する。



概要


テーマ曲:狂楽の魔女
     魔女の館 古き童話の残照


本編の舞台となる、化け物たちが住まう森の頂点に君臨する存在。ただし支配者として振る舞うことはほとんど無く、
普段は森の奥深くに館を構え、そこで使い魔たちと共にひっそりと静かに暮らしている。
杖も生きており、仮面をつけているため素顔は見えない。
どんな願いも叶える」と評される程の力を持つが、願いの代償として依頼者の最も大事なものを要求してくる。
「大事なもの」は結晶化されて魔女の愛玩するコレクションとなっており、「なんて美しいんだろう…どれひとつとして同じ輝きはない、唯一無二の逸品たちだよ」と絶賛している。
設定画によると、トンガリ帽子の先端に吊られている結晶が一番のお気に入りらしい。


曰く「美しさの隠し味は、大切ななものを取り上げられた無念の心だね。放つ光にほのかな禍々しさが加わり、最高のスパイスになるのさ」とのこと。


このように悪趣味で意地悪な性格で、求める代償も悪どい内容ばかりだが、命だけは絶対に代償として求めないと決めており、
どこぞの無免許医のようにぶっとんだ要求で相手の覚悟を試している節がある。
また、下記の活躍から面倒見のよさや精神的な成熟がちらほらと見受けられ、善人ではないが、悪人でもない、独特の魅力を持ったキャラクターと言える。


収集アイテムである花を集めることで、アルバムから魔女の過去と思われる物語を読むことができる。


誰も思い出せない程の遠い昔、魔女は自分の国を治め、その魔力で国民の願いを叶えていた。
この頃から既に代償を求めていたのだが、それは願う者の命であり、現在とは真逆であった。
それでも魔法の力を求めて彼女の元を訪れる国民は後を絶たなかったという。
国民の願いを叶えるうち、魔女は同じことの繰り返しに飽きてしまい、自分が楽しむために、
相手が願いが叶うのを見届け、「もっと生きたい」と思ったその瞬間に命を奪うという残酷な方法を取るようになった。


そんなある日、魔女の元に一人の少女が現れる。少女の願いは「お兄ちゃんに謝りたい」であった。
少女の兄は既に死んでいるのだという。
さすがの魔女も死者を生き返らせることはできなかったが、少女から聞いた話から、かつて少女の兄が自分の元を訪れ、
「妹を助けてほしい」と願っていたことを思い出し、結晶化した兄の命を使って少しの間会話させることで少女の願いを叶えた。


あまりにもちっぽけな願いのために命を投げ出そうとした少女に興味が沸いた魔女は、少女に身寄りがないことを理由に一緒に暮らすよう命じる。
やがて、少女との交流は、少しずつ魔女を変えていった。命を奪うことをやめてしまおうか、と考えるほどに。


しかし、そんな日常は悲劇的な結末を迎えることになる。
魔女の行いに恨みを持つ人間たちが、魔女の留守中に少女を殺してしまったのである。
それを知った魔女は怒り狂い、巨大な怪物へと変貌。その怒りは、国を完全に滅ぼすまで鎮まることはなかった。
全てが終わった後、魔女は少女の亡骸に魔法をかけ、これを一番大事な結晶とし、森の奥へと姿を消した。
こうして、「大切なものを失うことの辛さ」を身をもって知った魔女は、代償に命を奪うことをやめたのである。


デザインのベースはゼンマイとキノコとメンフクロウ。不気味で得たいの知れないイメージがモチーフだという。



活躍(ネタバレ注意)


狼の「私を人間にして」という願いを叶えるため、狼の「歌声」を代償として要求。
狼がこれに応じたため、「プライドの高いお前から、願いの代償を取れるなんてね」と上機嫌になり、

  • 狼の要望に応えて姫の外見にする。
  • いつでも狼の姿に戻れる。
  • 代償は「歌声」だけで会話は可能なまま。

という、痒いところに手が届く仕様にし、更に「狼の力は月の光を受けると強くなる。そしたら人間の姿で居るのは難しい」と忠告した。



後は狼が王子を連れてくるのを待ってるだけだったのだが、姫の正体が自分の両目を引き裂いた化け物であることが王子に知られてしまった際、火の灯ったランタンが森に転落。
森はたちまち大火事となり、魔女のコレクションも燃えてしまった。
これに怒った魔女は巨大な怪物へと変貌。森の住人たちはパニックになり、魔女の使い魔たちは「もうこの森はおしまいだ!」と逃げ出してしまう。
暴走する魔女は、謝罪に来た狼と王子と対峙する。当然怒りの矛先は二人へと向くのだが、二人の尽力により体力を消耗し気絶。元の姿に戻った。
それでも怒りが収まらず、目覚めるとまた攻撃を繰り出そうとする。


「ちくしょう…大切なモノを踏みにじっておいて…許せない…」
「あいつらめ…なんで…わかってくれないんだ…」


そこへ、二人の「ごめんなさい!」という言葉が届き、魔女は完全に正気に戻る。
この期に及んで自分に願い事をしようとする二人に対し「図々しい」と毒づきつつも、その声は何処か穏やかだった。
そして、自分のコレクションを台無しにしたことへの罰、燃えてしまった森の修復、そして狼の「王子の両目を治して」という願いを叶えるため、
狼に「歌声は失ったまま、人間への変身魔法の返還」「王子に関する全ての記憶」を要求する。


「どうだい?これだけの代償、お前に払えるのかい。自分勝手で、嘘をついて生きてきたお前が、ただのちっぽけな人間一人のために」


狼は深く考えてからこれを承諾。彼女がこれまでのことを王子に謝罪したタイミングで、魔女は魔法の儀式を開始した。
ここで魔女の出番は終了するが、エンディングで目が治った王子がペタンコ座りの状態で城に戻っているため、魔女が送り返したものと思われる。


その後、狼と王子がどのような結末を迎えたかは…是非とも自分の目で確かめてもらいたい。



余談


日本一ソフトウェア製作のフリーゲームのような作品に登場するラスボスは、

  • 人間に忘れ去られ信仰を失い、何とかして自分を保とうと暴走している山の神(夜廻)
  • 呪いを受けた被害者なのに忌み嫌われ、数少ない理解者も殺されて復讐鬼と化したヴィオラ(ロゼと黄昏の古城)
  • 人類再生を託され、忠実にそれを遂行しようしているだけなので、敵意はあるが悪意は無いクラウドAI(ボイド・テラリウム)

と、同情の余地ややむを得ない事情を抱えていることが多い。
本作の魔女もその例に漏れず、少なくとも本編においては狼と王子のいざこざのとばっちりで大切なコレクションを燃やされてしまった被害者である。
また、「願いを叶える代わりに代償を求める」「主人公の活躍によって正気を取り戻した」「かたちはどうであれ主人公を救った」という点から、
ポジションとしてはコトワリさまの方が近いのかもしれない*1




追記・修正は魔女に願いを叶えてもらった方にお願いします。


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  • 残酷で意地悪といっても、命を奪ってた頃からもちゃんと代償が何か伝えてたっぽいしそんな責められる謂れはないよね -- 名無しさん (2021-06-19 18:07:11)
  • ↑ただもっと生きたいと思った瞬間に命を奪ったりしてるし責められる謂れはともかく恨まれる謂れはある、といったラインではなかろうか。 -- 名無しさん (2021-06-19 20:16:42)
  • Twitterでは敬老の日に二人からプレゼントを貰うイラストとかがある -- 名無しさん (2021-06-19 20:30:40)
  • 意地が悪いけど割と良い人な気がする。大事なコレクションや住処を燃やされても取引に応じてくれて代償も過度に重くせずに相応とか寛大過ぎでしょ。 -- 名無しさん (2021-06-19 21:17:19)
  • 実はいい人どころか、ラストで治癒の代償である狼の記憶を取り去ることで、傷つけるところから始まり嘘で上塗りして森林火事に陥った散々な二人の出会いをもっときれいな形でリセットしてくれたようにも見えるんだ。まあ一方で、狼に王子が食われたりそもそも二度と森にやってこないという悲劇の可能性も考慮の上で提案した気がするけど。 -- 名無しさん (2021-08-24 19:42:28)
  • マグニフィコ王のifに見えてきた。 -- 名無しさん (2024-01-28 08:44:54)

#comment(striction)

*1 悪趣味で意地悪な魔女と慈悲深い神のコトワリさまで性質は真逆だが。

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