スター・トレック イントゥ・ダークネス

ページ名:スター_トレック イントゥ_ダークネス

登録日:2021/05/30 Sun 16:53:42
更新日:2024/05/27 Mon 13:06:41NEW!
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人間の最大の弱点は、愛だ。




■概要■

『スター・トレック イントゥ・ダークネス(原題:Star Trek Into Darkness)』とは、2013年に公開されたSF映画。
50年以上に渡って続く人気SFシリーズ、スター・トレックの劇場版第12作目で、2009年の劇場版第11作から展開が始まったケルヴィン・タイムラインの続編に当たる。


監督は前作に引き続きJ.J.エイブラムスが担当。
また、悪役ジョン・ハリソン役には海外ドラマ『SHERLOCK』のシャーロック・ホームズ役で世界的スターの仲間入りを果たしたベネディクト・カンバーバッチが起用され、大きな話題を呼んだ。


作風は前作で確立したアクション重視の路線を踏襲し、スピード感のあるシーンをふんだんに盛り込んだ事で、ビギナー層にも取っ付き易いものになっている。
その一方、脚本面では『復讐』というテーマが前作以上に深く掘り下げられ、連邦内部で起きる不和や陰謀にフォーカスした物語が展開する。
また、登場人物の心情についても、信念の違いから生じる齟齬、復讐心と良心のぶつかり合いによる葛藤など、重苦しい描写が目立つ。
そのため、宇宙空間という暗闇に包まれた舞台も相俟って、サブタイトル通りの非常に重厚かつダークな雰囲気が全体に漂ったものとなっている。




■ストーリー■

宇宙暦2233.04。未来人ネロとの戦いから約1年。
カーク船長率いる宇宙船U.S.S.エンタープライズ号は未開の惑星ニビルを訪れ、火山活動の影響で崩壊の危機に瀕した星を救う任務に臨む。
その途中、窮地に陥ったスポック副長を救うためにやむなく艦隊規則に違反するというアクシデントはあったものの、船医のマッコイやパイロットのスールーら優秀なクルー達の連携によってミッションは成功に終わる。


折しも艦隊ではとある一大プロジェクトが持ち上がっており、カークはその主導者の大役に抜擢されるのを心待ちにしていた。
だが、地球に帰還した彼を待っていたのは上官パイク提督による叱責と地位の剥奪。その発端となったのは他でもない、救い出したスポック当人による規則違反の告発だった。
恩を仇で返すかのような副長の行動によって2人の信頼関係には亀裂が入る。
幸い、パイクの尽力で副長への降格処分に留められたものの、自らの正義感と規則という相反する2つの狭間でカークは苛立つようになる。


同じ頃、連邦へ反旗を翻した諜報機関の中佐ジョン・ハリソンは、艦隊の中枢を狙うテロを敢行し、多くの人命を奪った末、連邦の大敵クリンゴンの領域へと逃亡した。
怒りに燃えるカークと彼を案じる仲間たちはハリソンを捕らえるため、最新兵器を搭載したエンタープライズ号に乗り込み、危険に満ちた航行に着く。
しかし、それは人類を新たな危機に陥れる、恐るべき陰謀の端緒に過ぎなかった……。




■登場人物■


●ジェームズ・T・カーク
演:クリス・パイン / 吹替:阪口周平
連邦を崩壊の危機から救い、一躍英雄となった新米船長。階級は大佐。
正義感が強く、自分の信念や仲間のためならたとえ艦隊規則に抵触するのも辞さない熱い心の持ち主だが、その姿勢が問題視され、早くも船長解任の危機に直面。
更には他の幹部たちと共にジョン・ハリソンの標的となるなど、立て続けに不運に見舞われる。
ハリソンの逃亡先を突き止めるとキャプテンに復帰し容疑者を追うことになるが、命令に従って彼を抹殺し、自らも復讐者となるか、連邦の理念に裁きを託すか、その選択を迫られる。


●スポック(Mr.スポック)
演:ザカリー・クィント / 吹替:喜山茂雄
カークと共に地球を救ったエンタープライズの副長。ヴァルカン人の父と地球人類の母との間のハーフ。
論理を重んじる性格は変わらず、その姿勢は時に自らの命よりも規則を優先するほど徹底している。
そのため規則を破って自分を救出したカークを告発し、これが彼の目に裏切りと映ってしまう。
加えて人命を軽視するような行動がウフーラからも非難されるが、その頑なさにもスポックなりの理由があるようで……。


●レナード・マッコイ
演:カール・アーバン / 吹替:宮内敦士
エンタープライズ号医療部主任。階級は少佐。劇中では名前よりも船医の通称であるボーンズやドクターと呼ばれる事が多い。
アカデミー時代からのカークの親友で、彼が上官となった今でもクルーの中で唯一、ジムと呼ぶ。
医者という身命を重んじる立場に加え、元々の人情に厚い性格から非情なまでに論理を重んじるスポックとしばしば激しく対立するが
リスクを省みないカークの無茶振りにも手を焼くなど、何かと気苦労が絶えない。


●ニョタ・ウフーラ
演:ゾーイ・サルダナ / 吹替:栗山千明
エンタープライズ号の通信技師で、階級は大尉。
スポックの恋人として彼を支えていたが、自身の命を軽んじるような言動に不満を抱き、険悪なムードに。
言語に秀でた才能を活かしてクリンゴンとの交渉に立つ他、前作よりも体を張った活躍を見せる。
また、オリジナルシリーズから長年親しまれた日本語版の名前(ウラ)が、より原語に近いものに改められた。


●ヒカル・スールー
演:ジョン・チョー / 吹替:浪川大輔
エンタープライズ号操舵士。階級は大尉。今作からキャプテン代理としてカーク不在の間艦橋の指揮を預かる。控え目な性格だけあって、最初の方こそ及び腰だったものの、いざ席に着くと周囲が引く程の凄みを発揮し、不敵な笑みさえ見せる。
ウフーラと同じく日本語版オリジナルの名前(Mr.カトウ)が原語と同じものに改められた。


●パヴェル・チェコフ
演:アントン・イェルチェン / 吹替:粟野志門
エンタープライズ号主任航海士。階級は少尉でブリッジのクルーでは最年少。
船を降りたスコッティに代わり主任機関士に抜擢される大出世を遂げる。
異例の人事にあたふたしながらも、そこは神童と謳われた才能、与えられた仕事はきっちりとこなす。


●モントゴメリー・スコット/スコッティ
演:サイモン・ペッグ / 吹替:根本泰彦
エンタープライズ号機関部主任で、階級は少佐。
当代きっての天才エンジニアで、ワープ航法と転送技術を組み合わせたトランスワープ転送の開発者。
エンジニアの仕事に誇りを持っており、自分が整備する船に誰よりも深い愛着を抱いてもいるが、それらに反するような出来事が立て続けに起こった事で不満を募らせる。
そして艦隊の理念を無視するような作戦を強要された事でついに堪忍袋の緒が切れ、船を降りてしまう。
スールーと同じく、日本語版オリジナルネーム(チャーリー)が原語に準じた名前に改められた。


●キーンザー
演:ディープ・ロイ
エンタープライズ号機関士。階級は中尉。岩のような肌の小柄なヒューマノイド。
スコッティの助手的存在として日常的に小言を言われ、時には八つ当たりも受ける事もあるが、内心ではお互いを信頼している。


●キャロル・ウォレス
演:アリス・イヴ / 吹替:行成とあ
エンタープライズ号の新任士官。階級は大尉。兵器工学の専門家で、ジョン・ハリソンの追跡任務に同行する。


●クリストファー・パイク
演:ブルース・グリーンウッド / 吹替:田中正彦
前任のエンタープライズ号キャプテン。カークの資質を見出だし、艦隊へ招き入れた恩師。
前作で受けた拷問の後遺症から現場を退き、艦隊本部で指揮を執る。
カークの無鉄砲さを厳しく諫めつつも、彼を艦隊の次代を担う若き逸材と信じて導く。
生まれてすぐ父親を失ったカークにとっては精神的な拠り所と言うべき存在で、時に反抗しつつ慕っていたが……


●アレクサンダー・マーカス
演:ピーター・ウェラー / 吹替:仲野裕
宇宙艦隊提督。艦船を指揮する上位幹部たちのまとめ役的な存在。
ハリソンの逃亡後、容疑者の追跡を志願したカークを船長に復帰させ、最新式の魚雷を使って秘密裏に抹殺するよう命じる。
艦隊規則はもちろん、連邦の理念からも大きく逸脱したその命令はスポックやスコッティの強い反発を招き、エンタープライズ内部に不和を生じさせる。


●ジョン・ハリソン
演:ベネディクト・カンバーバッチ / 吹替:三上哲
宇宙艦隊所属の中佐。密かに艦隊を裏切り、地球の各都市で暗躍する。
手始めにロンドンのアーカイブを爆破し、続いてロサンゼルスの艦隊本部を襲撃、対策会議に集まった上層部をまとめて殺傷した末にクリンゴン領にトランスワープ転送を使って逃亡した。
一連の犯行の動機は一切不明。また自身の血液に強い再生力があり、並の人類を上回る身体能力を持つなど、謎の多い人物。




■劇中用語 ■


◆U.S.S.エンタープライズ◆
惑星連邦宇宙艦隊所属 / 艦隊登録番号 NCC-1701
未来人ネロとの戦いで一躍名を上げたカーク船長の旗艦。
設定上では『宇宙大作戦』に登場した機体のおよそ2倍、700m程の大きさとされている。
これは『新スタートレック』の主役であるエンタープライズDと同程度の大きさだが、各部の寸法形状はもともとオリジナルと同規模でデザインされたものをそのままにされているため、劇中の描写に一部矛盾が生じている。とあるシーンでR2-D2を載せていたことが確認できる


◆クリンゴン
武勇と名誉を崇拝する銀河一の戦闘種族。連邦宇宙域に隣接するベータ星域に強大な帝国を築く。
絶えず闘争を求めているため、平和の維持を目的とする連邦にとっては最大の脅威で、一触即発の関係が続いている。


◆クロノス
クリンゴンの母星にして帝国の首都惑星。ゴツゴツとした岩肌が露出する過酷な環境の星。


◆セクション31
宇宙艦隊憲章第14条31項セクション31「非常時に限ってルールを曲げることを認める」に則って(むしろ都合よく解釈して)設立された宇宙艦隊の極秘支部。連邦の脅威となる存在の調査や、彼らに対抗する技術の開発を行っているとされるが詳しい内情は秘匿されている。
というか、連邦も艦隊も公式には存在を認めていない。この辺はロミュラン帝国のタル・シアーやカーデシア連合のオブシディアン・オーダーと異なる点である。
オリジナルのタイムラインでも暗躍…もとい活躍している組織である。






追記・修正は魚雷を撃ち込んでからお願いします。


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※以下、ネタバレ注意











ジョン・ハリソンの件は作り話だ。


本当の目的を隠すため、巧妙に張られた煙幕だ。


私の、名前は……カーンだ。







●カーン・ノニエン・シン
ジョンハリソンの真の姿。
およそ300年前、優生人類を率いて帝国を築き、地球の半分以上の領域を手中に収めた伝説の独裁者。
最終戦争に敗れ帝国が崩壊した後、部下と共に地球を脱出してコールドスリープ状態で宇宙を漂流していたが、セクション31の探査によって再発見され、マーカスによって一人だけ覚醒させられた。
その後は眠らせたままの部下たちを人質に取られた事もあり、やむなく提督の計画に協力していたが、いつまでも下等人類の配下に甘んじる気は更々無く、
自身の開発した魚雷兵器に部下の入った冬眠カプセルを組み込んで奪還しようと謀るものの、計画は露呈し、身一つで逃走した。
地球で起こした一連のテロ行為は処分されたであろう仲間たちの報復が目的だった。


トレッキーならば知らぬ者はいない最強の敵としてオリジナルシリーズ『宇宙大作戦』と劇場版第2作『カーンの逆襲』の二度に渡ってカークらの前に立ちはだかり、
シリーズの枠組みを越えたSF史上屈指の名ヴィランとして強烈なインパクトを残した男の実に30年ぶりの復活というだけあって、ファンは歓喜……
すれば良かったのだが、残念ながら公開直前に一部情報が漏洩してしまい、完全なサプライズ復活とはならなかった。


●アレクサンダー・マーカス
一連の騒動の黒幕。
セクション31のメンバーであり、宇宙艦隊の軍隊化とその口実としてクリンゴンとの戦争を画策して密かに準備を進めていた折、辺境宇宙域でカーンの船を発見し、彼の優れた頭脳を利用しようと目覚めさせる。
その際、カーンの持つ強い仲間意識につけ込んで、部下たちを人質という形の枷にして計画に協力させた事が事件の発端となった。
カークに容疑者の抹殺を命じたのは単なる危険分子の排除ではなく、カーンの部下を入れた魚雷をエンタープライズに撃たせて証拠隠滅を謀ると共に、クリンゴンを刺激して敵陣営から宣戦を布告させる狙いがあった。
その際、ほぼ確実にクリンゴン側に拿捕されるであろうエンタープライズはいわば生け贄で、たとえ無事に戻ってきても生かしておくつもりはなかった。
もっとも、プライムタイムラインでの出来事を参照した場合、惑星連邦は今後1世紀以内にボーグを始めとする強大な未知の適性勢力と遭遇することになる。しかも、劇中の描写を見るにプライムタイムラインよりワープドライブの性能が上がっており、各勢力との接触が早まる可能性すらある事を考えると『宇宙艦隊の強化』という方向性は間違いとは言えないが、やり方が最悪だったと言えよう。


●キャロル・マーカス
マーカス提督の娘。ウォレスは母方の姓。
父親の兵器開発計画を知り、真相を究明するためにプロフィールを偽装して目的の魚雷が登載されたエンタープライズに乗船した。
マッコイの助けを得て魚雷の秘密を解明するものの、それが父の企てていた恐るべき陰謀を明るみにする事となり、結果として劇中随一の不幸な人物となってしまう。


『カーンの逆襲』に登場したオリジナルはプロト物質を使ったテラフォーミング計画の責任者を務める科学者。カークの元恋人の一人で、カークとの間にデビッド・マーカスという息子をもうけていたが彼はクリンゴンに殺されてしまった。
カーン絡みの事件に巻き込まれた末に家族を誰かしら失うのは歴史が変わっても同じであった。


なお、ラストシーンでエンタープライズに正式配属されたが、なぜか次作には一切登場しなかった。
デビッドがこのタイムラインでも生まれるのかは不明のままである。


●スポック・プライム
演:レナード・ニモイ / 吹替:菅生隆之
140年後の未来からやってきたもう一人のスポック。『宇宙大作戦』に登場したミスター・スポックその人。
前作の敵ネロとの確執が故郷であるヴァルカン星の破壊につながり、歴史の改編による平行世界の分岐をもたらした。
その事には大きな責任を感じており、現在は大使として生き残ったヴァルカン人を指導し、文明の復興に尽力している。
更なる影響を与えるのを防ぐため、自分が見てきた元の世界の歴史については口外しないと決めていたが、もう一人の自分が因縁の強敵と相対した事を知ると、渋々ながら重い口を開く。


なおニモイ氏は2015年に亡くなっており、彼の演じるスポックはこれが見納めとなった。LLAP



■劇中用語 ■

◆優生人類
20世紀の半ば頃、遺伝子操作によって産み出された種族。通常の人類を凌駕する頭脳と身体能力を持つ。
二度の大戦を経験した科学者たちが、人為的な進化を促すことで、平和を実現しようと試みたのが起源とされるが、結果として人類に備わっていた攻撃的な性格も増強されたため、彼らの台頭がかえって地球をさらに苛烈な戦禍へと陥れた。
カーンの一派以外にも多くの優生人類が地球の国々を牛耳ったとされるが、最終的に人類に敗北し滅ぼされた。一説によると優生人類同士の戦いで疲弊した所に止めを刺されたという。


◆U.S.S.ヴェンジェンス
惑星連邦の新型宇宙船。エンタープライズのおよそ2倍のサイズに3倍の速度という偉容を誇る漆黒の巨艦。
探査研究を目的に作られた他の多くの船とは異なり、純粋に戦闘を目的に作られた艦で、来るべきクリンゴンとの戦争に備え、木星の軌道上で秘密裏に建造されていた。
前作でナラダから入手した未来の兵器のデータも組み込まれており、本来は24世紀末頃の技術である偏向性フェイザーやクラスター魚雷を装備する。
カーン生け捕りの報を受け、自ら引導を渡すべく出撃する。







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  • 艦長席に座ったとたんに人格が豹変するスールーにおののくマッコイに笑った。あとベンジーならぬスコッティはこちらでもドアを開けろー!をやらされる。 -- 名無しさん (2021-05-31 16:22:46)
  • 批評家や古参ファンの受けは良くないけど、ワープコアのガラス越しの会話には色々と来るものがある。 -- 名無しさん (2021-05-31 19:09:44)
  • よく考えると歴史の修正力みたいなのが何となく働いてる感じがあるんだよね。 -- 名無しさん (2021-05-31 19:56:26)
  • しかし死んだのはカークの方だった -- 名無しさん (2021-06-01 17:34:54)
  • ジョンハリソン役のカンバーバッチ氏は役の売りこみようの撮影をたしか自宅のキッチンで撮ったとか話していた気がする -- 名無しさん (2022-06-10 21:24:12)

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