登録日:2011/07/02(土) 04:06:51
更新日:2023/08/10 Thu 14:55:33NEW!
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古書店 京極夏彦 死神 平田広明 陰陽師 京極堂 古本屋 拝み屋 神主 名探偵 ←ではない 妖怪シリーズの登場人物 作者の分身 ←ではない 憑物落とし 仏頂面 堤真一
「この世には不思議なことなどなにも無いのだよ、関口君」
●中禅寺秋彦
京極夏彦の同一世界観による小説作品「妖怪シリーズ」の主要登場人物の一人。
同シリーズの柱となるキャラクターの一人にして、所謂ミステリーに於ける「名探偵」の位置にあるキャラクターである事から、概ね主人公として扱われる事も多い。
……が、実際の役割は狂言回しとして物語を完結させる事であり、また事件を解決では無く、解体する彼の手法は「憑物落とし」と呼び現されている。
その目的も犯人の指摘と事件の解説を目的とする一般の推理小説に対して、
物語を通じて蔓延し読者にすら取り憑いた悪しきモノに「妖怪」と云う形を与えて落とす事を目的とする。
馬鹿馬鹿しい程に宗教や民俗伝承、故事来歴に精通した博学者。
また、言葉を操る呪術者にして徹底的な現実主義者であり、作者の思想を代弁する分身でもあるが、
シリーズに於ける主人公、また分身であるとの意見に付いては作者自身が明確に否定しており、
少なくともシリーズが進んで以降は作者は自身と中禅寺との間に一線を画して描写している様である。
【人物】
中野にある古書店「京極堂」の主人で、年齢は三十代半ば。
当時としても時代遅れと評される和装の痩せぎすの男で、器用であるが力は無い。
二年前までは高等学校の教師をしていた。
小説家の関口巽は高等学校の同窓。探偵・榎木津礼二郎は一級先輩に当たり、彼らを始めとしてシリーズに登場して来る多くのキャラクターと親交がある。
彼の仇名である「京極堂」は二年前より経営を始めた古書店に因んだ名称なのだが、
関口を始めとした古い友人(知人)らも現在は彼をそれに因んだ名称で呼ぶのが常である。
尚、古本屋を始めた契機は「四六時中、趣味である読書に没頭出来る」と考えたからであり、
事実、古書店経営を始めて日が浅いにも関わらずに地方の古書肆との親交が窺える辺り、元々は客としての付き合いがあったと考えられる事は難くない。
不機嫌を通り越して「凶相」とすら喩えられる仏頂面の持ち主で、かなりの皮肉屋にして詭弁家。
相手を馬鹿にする時に片眉を上げる癖がある。
大正時代の文士の様な見た目とも評されており、作家・芥川龍之介の有名な写真にそっくりらしい。
【裏稼業】
上記の様に中禅寺の現在の本業は古本屋だが、先祖からの家業として実家の隣にある「武蔵清明神社」の神主と云う役目があり、
恐らくは中禅寺の家系はその役目から派生したのであろう「憑物落としの拝み屋」と云う更なる裏稼業を持つ。
……これは、呼んで字の如く呪術を操る業の事だが、
本シリーズではこの業の事を世界を顕す言葉を操り、世界を自由に壊し、また創造し、世界を在るべき姿に戻す業……と説明している。
……この様に書いてしまうと、シリーズを未見の人間には中禅寺が怪しげな業を使う呪い師の様に思えてしまうであろうが、
中禅寺は作中の登場人物の中でも特に合理的な現実主義者であり、
割り切れない現実を言葉に顕す(※即ち呪文である)事で均衡を取り戻そうとする人物として描写されている。
……それこそが、本シリーズをミステリーと云うジャンルの中でも特異な位置付けに置かれる原因であり、そして今も色褪せない、強烈な独創性の理由でもある。
非常に善く通る声の持ち主であり、この言葉こそが中禅寺の最大の武器(呪文)なのである。
シリーズの起点となった『姑獲鳥の夏』以降は主に友人(知人)達の願いに応えて重い腰を上げるのが基本形になっているが、
以前より拝み屋の仕事を通じて刑事事件に関わる事が多かったらしい。
こうした因縁は、現在も増え続けている真っ最中であり、本人も自身の行いの悪さに苦笑する場面もある。
……尚、戦時中には友人(知人)である関口などは中禅寺が余りにも病的な見た目であった事から徴兵はされていなかったのだろうと思い込んでいたのだが、
実際には内地徴集され、秘匿されていた「陸軍第十二特別研究施設」にて異教徒を国家神道に改宗させる宗教的洗脳実験の研究をやらされていた。
……本人曰く「楽しい仕事じゃあなかった」との事で、
当時からの因縁が幾度か事件に関わって来た事(『魍魎の匣』や『塗仏の宴』等)もあるが、いずれも厭な思いをしている。
また、かつての中禅寺の血に連なる者の中にはこの業を悪用する者も居た様だが……それは、また別の物語である……。
【仏頂面】
※本シリーズを代表するお遊びの一つで、毎回中禅寺の仏頂面が登場時にやけに仰々しく紹介されているのが特徴である。
■まるで親でも死んだような仏頂面 『姑獲鳥の夏』
■親戚全部が死に絶えでもしたような仏頂面 『魍魎の匣』
■町内会の人間全部が死に絶えたかのような仏頂面 『狂骨の夢』
■東京が全滅したかのような仏頂面 『鉄鼠の檻』
■まるで日本が滅んでしまったかの如き仏頂面 『絡新婦の理』
■まるで亜細亜が全部沈没してしまったかのような仏頂面 『塗仏の宴 宴の支度』
■まるで北半球が壊滅でもしたかの如き仏頂面 『塗仏の宴 宴の始末』
【家族・交遊関係】
下北半島の生まれで七歳で親許を離れた後、祖父の手で育てられたとの事。
妹の敦子によれば情はあるが絆が薄いらしく、中禅寺と敦子が初めて出会ったのも中禅寺が十八の時の事だと云う。
- 中禅寺千鶴子
妻。敦子が預けられていた京都の菓子司の娘で、一見西洋人風の和装の美人。
大学卒業後にすぐに結婚したが子供は居ない。
陰険な主人とは真逆の良く出来た人で、道や坂に異様に詳しい。
- 中禅寺敦子
年齢の離れた妹で、義理の姉である千鶴子の実家である菓子司「京極堂」で育つ。
尚、古書店の店名は中禅寺がここから勝手に戴いたものであるらしい。
本シリーズを代表するヒロインである。
高等学校以来の古い友人(知人)である小説家。
褒め甲斐は無いが貶なし甲斐はあると云う本人の性格の所為か馬鹿にする事を常としているが、なんだかんだで仲が良い。
シリーズを代表する語り部で、この二人から物語は始まったのである。
高等学校時代の一級先輩で、中禅寺は榎木津の「唯一下僕で無い仲間」と言われる。
中禅寺が榎木津の特異体質に気付いたのが親交を結ぶ契機であったと云う。
【演じた役者】
■映画
●演:堤真一
◆『姑獲鳥の夏』
◆『魍魎の匣』
■ラジオドラマ
●声:高嶋政宏
◆『百器徒然袋』
■アニメ
●声:平田広明
◆『魍魎の匣』
■ミュージカル
●演:小西遼生
◆『魍魎の匣』
【余談】
『ゲゲゲの鬼太郎』第4期TVシリーズのエピソード「言霊使いの罠!」に登場する「一刻堂」は、
作者の京極夏彦自身が声優を務めた「京極堂」を思わせるファン必見のゲストキャラクターである。
キャラクターデザインは京極夏彦自身で、デザイン案はファンによる同人誌が元ネタともされる。
尚、同話には被害者役として「木場」「関口」の名も登場している。
これ以降、自作の映像化等の際に京極夏彦が特別出演する機会は多いのだが、それも頷ける程の本職顔負けの演技を見せている他、
「この世には不思議なことなど何もない」の決め台詞も聞ける。
中「追記は拝み屋の仕事じゃあないな……君達がやり給え」
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▷ コメント欄
- 作者本人が演じるいっこく堂が一番それっぽい声色でかっこいい件w -- 名無しさん (2014-10-24 06:48:56)
- 対談集で、中禅寺を百鬼夜行シリーズの主人公と発言してたけれど -- 名無しさん (2015-02-03 16:30:50)
- 仏頂面の説明パワーアップしとるw -- 名無しさん (2020-05-29 16:52:47)
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