The Man of Steel Vol.1

ページ名:The Man of Steel Vol.1

登録日:2020/04/21 Tue 21:36:48
更新日:2024/05/17 Fri 11:22:40NEW!
所要時間:約 9 分で読めます



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dcコミックス アメコミ スーパーマン バットマン ロイス・レーン レックス・ルーサー ビザロ new earth earth-0 ポストクライシス プレフラッシュポイント ジョン・バーン マグパイ



『The Man of Steel Vol.1』は1986年にDCコミックスから出版されたアメコミ作品。


+ 作品情報-

『The Man of Steel Vol.1』#1~#6
発売 1986年7月から
脚本 ジョン・バーン
作画 ジョン・バーン


日本では1996年から1997年にかけて小学館プロダクションから『バットマン:イヤーワン』も収録した邦訳本が全3巻で発売されている。


クライシス』で生まれた新たな『DCユニバース』におけるスーパーマンの新たなオリジンを描いた作品。


1938年にデビューしたスーパーマンは、その強さと高潔な精神でDCコミックスの顔とも言える存在に成長していった。
その一方で連載が続いていく内に、ビルを飛び越え機関車を止めるパワーは宇宙に飛び出し星1つを動かすほどのものになり、
惑星クリプトンのただ1人の生存者という肩書もスーパーガールをはじめとする多数の生存者の存在によって有名無実と化していた。


こういった設定の肥大化は新たな物語を生み出すネックになり、人気の低迷にもつながっていた。
そこで本作はスーパーマンをデビュー当初の姿に戻すことを掲げ、数多くの設定を変更することになった。
設定変更の中にはスーパーマン個人だけでなくスーパーガールや『リージョン』の存在に関わるものが存在したが、
この試みは功を奏し、スーパーマンはベストセラーに返り咲いてDCコミックスの顔に相応しい立場を取り戻すことになった。


本作で描かれた新たなオリジンは、時が流れるにつれ再び設定を肥大化させながらも、20年近くに渡って定番となり続けたが、
2003年に独立した作品として発表された『Superman: Birthright』が公式のものとなりその役目を終えた。


ちなみにこのリミテッドシリーズによる新たなオリジンは、バットマンとワンダーウーマンでも行おうとしたが、
どちらもスケジュールの調整が上手くいかず、バットマンは既に存在したタイトルで、ワンダーウーマンは新タイトルで行われた。




【物語】

地球から遠く離れた惑星クリプトン。偉大な文明を誇ったその惑星には人知れず崩壊の時が目前に迫っていた。
その事実に唯一気が付いた科学者ジョー=エルは、自らの息子をクリプトン人が力を得ることが出来る地球に脱出させた。
地球にたどり着いた赤子は、カンザスの片田舎スモールビルの農家ケント夫妻に拾われてクラークという名で育てられた。
そしてクラークの高校生活最後の年、両親から出生の秘密を教えられた彼は、自分の力を役立てようと両親の元から飛び出した。
それから7年、秘かに活躍を続けていたクラークだったが、ついに顔がバレてしまいどうすればいいか分からなくなってしまう。
息子の相談を受けた両親は、彼に分身を作ることを提案し、家族で協力して英雄スーパーマンを生み出した。
気持ちを新たに飛び立ったクラークは、大都市メトロポリスで記者とヒーローの2つの顔で活動しながら、
運命の女性ロイス・レーン、最高の好敵手バットマン、終生の宿敵レックス・ルーサーと出会い成長していく。



【登場人物】

惑星クリプトン最後の遺児。両親の手で地球に送られ、スモールビルの農家ケント夫妻の一人息子として育てられた。
特別な力に目覚めながらも両親の教えで隠し続けていたが、真実を知って力を人々のために使おうと故郷を飛び出した。
しかしメトロポリスでの宇宙船事故を防いだ際に顔を知られ、両親の協力でもう1つの顔スーパーマンを生み出した。
その後はスーパーマン誕生のきっかけとなったメトロポリスで記者として活動しながら人助けをこなしていく。
そして久しぶりに故郷に戻った際に自分を乗せたロケットから自分の真の故郷である惑星クリプトンについて知った。
そのことに衝撃を受けながらも、自分はアメリカで育ったクラーク・ケントでありスーパーマンであると決意を新たにした。


大きな変更点としてはまずクリプトン唯一の生き残りであることが明確になった。
これによって彼の特異性が際立つようになったが、『クライシス』で重要な役割を担ったスーパーガールは存在を抹消された。
第2の変更点として少年時代の活躍つまりスーパーボーイの存在が無かったことにされた。
これにより『リージョン・オブ・スーパーヒーローズ』も設定を変えることになり、大きな混乱を招くことになった。
その他に細かいところではチームへの加入や秘密基地『孤独の要塞』が無いことにされ、パワーも低く抑えられている。
また彼を乗せたロケットも卵型のチェンバーにウィングとエンジンが付いたシンプルなものになっている。



≪ヒーロー・ヴィラン≫

  • レックス・ルーサー

大企業レックス・コープの社長。メトロポリスの支配者と呼ばれ、独立心が高いロイスを気に入っている。
スーパーマンが本格的に認知されてから18ヶ月後に、ロイス(と編集長ペリーの代役クラーク)を船上パーティーに招いた。
そしてロイスにプレゼントを渡し自分の物にしようとしたが、逆に彼女の怒りを買って関係は終わりを迎えた。
その後テロリストの襲撃を予測し対策チームを用意しながら、スーパーマン見たさに乗客の命を危険に晒したため、
市長の反感を買いスーパーマンの手で逮捕された。この一件でスーパーマンを逆恨みし敵対することになる。
それからはバトルスーツやスーパーマンのクローンで対抗しようとするも上手くいかずにいる。


禿げ頭の悪の科学者から一転、メトロポリスを支配する大企業の社長となった。しかしスーパーマンへの敵愾心は変わらない。
その外見や設定はドナルド・トランプがモデルとされる。また禿げ上がった赤毛は登場初期の姿をイメージしている。


ルーサーが2年と100万ドルを費やし生み出したスーパーマンのクローン。宇宙人と知らずに研究を進めたため不完全な存在。
記憶や能力は再現されているが、肌は白く、知能は低めで会話もまともに出来ない。
勝手に研究所を抜け出し、スーパーマンのように人助けをしていた。その中にはロイスの妹で盲目のルーシーもいた。
その後クラークのような服装になったところでスーパーマンと遭遇、自分に似た彼を前に混乱して攻撃を開始した。
互角以上の戦いを繰り広げたが、肉体が崩壊しかけているのに気付いたスーパーマンの体当たりで消滅した。
その時飛び散った彼の肉体は、何故かルーシーの目を治療した。


スーパーマンと逆の行動を取るコメディリリーフでの出番が多かったが、本作では原点回帰で怪物の悲哀が強調されている。


ゴッサムを守る闇の騎士。スーパーマンが本格的に認知されてから8ヶ月後に、ゴッサムで彼と出会った。
自分を捕まえようとするスーパーマンをはったりで牽制し、女盗賊マグパイの確保に協力させた。
そして彼に自分たちの違いを理解させ帰らせたが、内心では親友になれたかもしれないと考えていた。


かつてのスーパーマンとバットマンは大親友と呼べる関係で、誕生日パーティーをするほどの仲だった。
しかし『バットマン:ダークナイト・リターンズ』の影響を受け、2人の関係性は最大のライバルに変化した。


  • マグパイ(マーガレット・パイ)

持ち主を殺害して気に入った物を盗む危険な女盗賊。幾人もの犠牲者を出したが、バットマンとスーパーマンの2人に敗れた。
二重人格気味でコスチュームを取られただけで泣き崩れ、その姿はスーパーマンに彼女がただの犯罪者ではないと気付かせた。


本作が初登場となるキャラクターで、ゴッサムのヴィランがどんなものかスーパーマンに教えるための存在。



≪スーパーマンの家族・友人≫

  • ジョナサン・ケント、マーサ・ケント

スーパーマンの地球の両親。偶然ロケットから赤子を発見し、長期間の嵐を利用して赤子を一人息子として引き取った。
成長するにつれ超人的パワーを発揮する息子を前にしても動じることなく、真っ当に育て上げた立派な人たち。
出生の秘密を知り息子が人助けに旅立つと、マーサは彼の活躍を書いた新聞をスクラップするのが趣味になった。
そして正体を知られ今後の活動に悩む息子に対し、もう1つの顔を作ることを提案してコスチューム作りに協力した。


これまでの設定ではケント夫妻はスーパーマンが活動を始める前に命を落としていたが、本作で生きていることになった。
これによってスーパーマンは帰る場所を手にし、『孤独の要塞』とは異なる真の安息の地を得ることになった。


  • ジョー=エル、ラーラ

スーパーマンの実の両親。惑星クリプトンの住人で、ジョーは科学者。星の危機を知り、実の息子を脱出させ星と最期を共にした。
その後、久しぶりにスモールビルに戻ったスーパーマンの前にビジョンとして現れ、彼にクリプトンの情報を与えた。


これまでのクリプトンはレトロフューチャーな世界観だったが、本作から環境や生殖まで管理した人間味の無いものになった。
映画『スーパーマン(1978)』を彷彿とさせるものの、白一色だった映画に比べるとまだ色味があり服装に独特の文化を感じさせる。
また全滅の原因が地殻変動だけでなく、それによって生まれた有害な放射性物質『クリプトナイト』によるものだとされた。
ジョーは感情を感じさせない雰囲気となったが、ラーラとの間に愛を感じ息子を儲ける特別な人間として描かれている。
ラーラは典型的なクリプトン人で、ジョーの言動に終始混乱していたが、息子への愛は本物であることが示されている。


  • ロイス・レーン

メトロポリスの新聞社デイリー・プラネットの有能な記者。宇宙船事故でクラークに命を救われ、彼にスーパーマンと名付けた。
それから彼を追うようになり、事故を偽装してインタビューに成功するが、新人のクラークに先を越されてしまった。
そのことでクラークをライバル視するも、船上パーティーでは物で釣るルーサーよりマシと考えるようになった。


変更点はほぼ無い。ただしスーパーマンが有能な彼女に恋し、彼女がクラークをライバル視することで、
これまで少々間の抜けたイメージで描かれてきたスーパーマン/クラークが1人前の男性として語られることになった。


  • ラナ・ラング

スーパーマンのスモールビルの友人。将来を考えるほどの仲だったが、クラークがスモールビルを旅立つ直前、
彼の持つ力を見せつけられ、余りのショックからクラーク同様に街を飛び出してしまった。
それから10年が経ったある日、偶然スモールビルでクラークと再会し、自分の思いを打ち明け別れを告げた。


元々はスーパーボーイの物語で初登場したクラークのガールフレンドで、後に成長した姿でロイスの恋敵となったキャラクター。
しかし本作ではクラークの秘密を知った結果、人生を見失うことになる悲劇的存在として描かれている。




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