バブ(死霊のえじき)

ページ名:バブ_死霊のえじき_

登録日:2020/03/15 (曜日) 06:03:00
更新日:2024/05/16 Thu 13:01:21NEW!
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ゾンビ ゾンビ映画 ビッグ・ダディ ジョージ・a・ロメロ 死霊のえじき バブ


バブ(Bub)とは、映画『死霊のえじき』に登場するゾンビ。
※本作のゾンビについてはこちらを参照。


演者はハワード・シャーマン
日本語吹替えは堀総士郎


▽目次)


概要

本名不明。
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』作中にて世界が「脳が損傷していない死人は皆ゾンビになる」ように不可逆的に変化するゾンビアポカリプスが起こった後、何らかの要因で死にゾンビ化した白人男性。
高身長で中肉。髪は黒で瞳は青。登頂部が禿げている。
赤いチェック柄のシャツの上に穴だらけの黒いジャケットを羽織り、黒いズボンを履いている。


研究のために捕獲され、セミノル地下倉庫の寄宿舎兼実験室にて鎖付きの首輪を着けられ、壁に繋がれている。
ゾンビを飼い慣らす研究をしているマッドサイエンティスト「フランケンシュタイン」ことマシュー・ローガン博士により、彼の父親の愛称である「バブ」の名を与えられた。


ローガンから「ごほうび」なるものを与えられたことで人肉への欲求が満たされ大人しくなった上、教育を受けたことで自我が芽生え、「進化」していく。
その自我は未成熟で精神年齢は児童並だが、人間とは違い《人肉を喰いたい》以外の欲を一切持たず、その唯一の欲望も自制でき、更に邪なことを考えたりもしないため非常に純真かつ高潔で、義理堅い性格。
また、通常のゾンビと違い生者を「ランチ」とは認識しない*1ばかりか、ローガンを明確に慕っており、非常に従順
しかし一方でローガンと対立しているヘンリー・ローズ大尉ら軍人達を敵視している
(喰い殺そうとはしない)。


銃を向けられ怯えたり、ヘッドフォンから流れる音楽を聴いて喜んだり、大切な人の死を悲しむ等、感情豊か。


上述の通り精神年齢は幼いものの、人間時代の記憶自体は存在しており、作中ではカミソリで髭を剃る仕草をする、本のページをめくるといった行動を教わっていないのに行っていた。
また、ローズと出会った際に背筋を伸ばして敬礼したり、拳銃を扱えたりと生前は軍人であったことが示唆されている。


拳銃の扱いは上手く、走って逃げる標的を撃ち抜ける。
反面、他のゾンビと同じく非常に鈍足。


映画序盤ではただのゾンビの一体だが、終盤には視聴者が感情移入し得る存在となり、最後は悪を滅ぼすヒーロー的存在として描写される。


作中の活躍

映画序盤にローガンの研究室にて初登場。
研究室を訪れた主人公サラ・ボウマン博士に掴み掛かろうとするなど、この時点ではまだただのゾンビであった。


その後、ローガンが「ほうび」によって「飼い慣らしに成功したサンプル」としてサラとテッド・フィッシャー博士に見せつける形で再登場。

  • ヒト(ローガン)が近くにいても襲いかからない。
  • ローガンに従順。
  • 明らかに感情がある。
  • 生前の記憶からカミソリや本を扱う。

など、ゾンビらしからぬ様子を存分に見せつけ二人を驚かす。
さらに実験に乱入してきたローズら軍人達に対し、背筋を伸ばして敬礼。ここで彼が元軍人であったことが示唆される。
そしてローズに彼が要求していた「目に見える成果」を見せつけようとするローガンから電話機を渡されて受話器を手にとると、ローガンの「こんにちは、アリシアおばさん」という台詞を不鮮明ながらも真似して発音。
極めつけにローガンから渡された弾が入っていない拳銃をローズに向け引き金を引いて見せた
しかし、ローズはこの成果に感心するどころか怒り、拳銃を引き抜きバブに銃口を向ける*2
バブはローズの殺意を感じ怯えるが、ローガンがローズの前に立ち塞がり、バブを守る。
結局、ローガンが一定の成果を出した以上、部下達の手前認めざるを得なくなったため、その場は殺されずにすんだ。
しかし、この一連の出来事はバブに軍人達への敵意を植え付けてしまった。


その後、ローガンは軍人達が暴走の兆候を見せ始めていることや同僚のサラが研究を放棄してフライボーイ二世ヘリコプター操縦士のジョンや無線技師のビル・マクダーモットらとヘリで脱出しようとしていることなど関係ないと言わんばかりに我が道を進みバブの教育を続ける。
ゾンビ捕獲作戦中に犠牲となった兵士(ジョンソン)を平気で解剖し人体実験に使う一方、自分を「ママ」と呼び、バブの頬を撫で愛情を注ぐ彼の姿は紛れもなく狂人であった。
そして自分の教育によりテープレコーダーの操作を覚えたバブに「ほうび」を与える。
マジックミラー越しに、密かにその光景を見ていたサラとビルは絶句する。


案の定「ほうび」は人肉だったのだ。それも、ゾンビ捕獲作戦中に犠牲となった、つまりは自分の研究のために犠牲となった兵士のものである。


間の悪いことに、丁度そのタイミングでやって来たローズは「ほうび」の正体を知り激昂。ローガンを捕らえると怒りに任せて射殺する。


その後、暴走したローズ達がジョンを脅してヘリで自分達を乗せて脱出するよう要求したり、サラとビルがローズ達の手にによってゾンビだらけの洞窟に放り込まれたり、ジョンがローズをぶん殴って銃を奪いサラ達を救出しに行ったり、メンヘラ兵士ミゲル・サラザールが自分を餌に地下倉庫内にゾンビの大群を雪崩れ込ませたりといった『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』終盤の展開を彷彿させる醜い人間同士の争いが起こったことにより、地下倉庫内は地獄と化す。


そんなことを知るよしもないバブは鎖のネジを緩めて外すことに成功し、そのことをローガンに誉めてもらおうと彼を探すが、直ぐにローガンの無惨な遺体を目の当たりにしてしまう。
愛する者の死に嘆き悲しみ、涙を流すと、落ちていたサラの拳銃を手にし復讐を決意する。


その後、寄宿舎を徘徊しているとゾンビの大群から逃げてきた兵士ウォルター・スティールと遭遇。彼をローズの仲間として認識していたために銃弾を浴びせ実験室に追い詰め、結果として他のゾンビ達に襲わせることに成功。ゾンビに噛まれたスティールは絶望し、自害した。


それから間もなく、遂に仇敵ローズと遭遇する。
ローズは武器庫からライフルを持ち出したばかりであったため、弾込めが済んでいなかった。慌ててマガジンをセットしようとするも焦ってうまくいかない彼を銃撃。一発目は外れてしまったものの、二発目は肩に命中。ローズはマガジンを落としてしまう。
激痛に悶えながらも逃げるローズに更に二発発砲。四発目が今度は足に命中する。
満身創痍となったローズは発狂したのか「来いよ!かかってこい!!」と連呼しながら無様に這いつくばって逃げ、突き当たりの扉を開けるが‥‥‥


そこには実験体として捕獲されていたゾンビ達が待ち構えていた。


「うわあああああ!!」と絶叫しながら引き返そうとするも、バブの銃撃が腹に命中


バブは抵抗する余力もなくゾンビ達に八つ裂きにされていくローズに敬礼すると、どこかへ去っていった。



作中の役割

「人間同士が醜く争う中での唯一の純粋な存在」。
「人の肉を喰いたい」以外に何の欲望もなく、ローガンを親のように慕うその姿は作中のどのキャラクターよりも清らかな心を持っていると言える。


また、ロメロ監督映画におけるゾンビは、前作までは『防ぎようがない自然災害』の象徴としての意味合いが強く、それは本作『死霊のえじき』にも受け継がれている。
しかし、バブはその限りではなく自我・感情・知能といった「品性」を有した地球を支配する新たな種「ゾンビという名の知的生物」として「進化」しており、次回作『ランド・オブ・ザ・デッド』のビッグ・ダディへの布石とも言える。


因みに、「人間と絆を結んだゾンビ」は他には本作のリメイク『デイ・オブ・ザ・デッド』のバド・クレインや『ゾンビーノ』のファイドや『バタリアン リターンズ』のジュリー・ウォーカー、『ウォーム・ボディーズ』のR、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のエド等がいる。



関連キャラクター

ドクター・マシュー・ローガン/フランケンシュタイン

演者:リチャード・リバティ
本作屈指のイカレ野郎その1。物語を能動的に推進するという意味ではバブと並んで真の主人公と言える
倫理観が欠如しているマッドサイエンティストで、通称フランケンシュタイン。
人間とゾンビの比率が1:400000であるという胡散臭い推測を述べている*3
自分の研究のために犠牲となった兵士の遺体をバラバラに切り刻んで「ごほうび」としてバブに与え、食人衝動を満たしてやり大人しくさせた上で教育することでバブに自我を芽生えさせた。
バブの名付け親であり、由来は父親の愛称。
父親から虐待を受けていたことが示唆されている。
バブへの愛情は狂気の域に達している。
最期は自業自得といえるが、何故かゾンビ化しなかった。作中で唯一ゾンビとの共存を試みたことで、既に満員になっている地獄ではなく、天国へ逝けたのかもしれない。
なお、彼とバブの関係は、ヴィクター・フランケンシュタインと怪物をオマージュしたと思われる。


キャプテン・ヘンリー・ローズ

演者:ジョセフ・ピラトー
本作屈指のイカレ野郎その2。本作のヴィラン。前任者のクーパー少佐が死亡したため繰り上げでセミノル地下倉庫の司令官になった。サラやローガン達が何の成果も出さないことや、ゾンビ捕獲作戦中に何人も部下が犠牲になったため、科学者達とは対立している。
それだけなら同情でき得るが、明かに睡眠不足で憔悴している科学者達に無理難題を突き付けて怒鳴り散らし、気に入らない相手をその場で部下に射殺させようとするなど、その姿は明らかにキチでガイ。更に抑止力が無いため独裁的になっていく。
それでも映画中盤まではまだ辛うじて科学者達に協力的であった。
しかし、映画終盤に自分の部下がバブの餌にされたことを知って激昂しローガンを射殺したのを皮切りに暴走を始め、ローガンとは違い非人道的な実験はしていなかったテッドを躊躇なく殺したり、サラとビルを研究用のゾンビを大量に閉じ込めてある洞窟に放り込んだり、ヘリを操縦できるジョンを脅し、拒否されると部下にボコらせて無理矢理従わせようとするなど暴虐の限りを尽くすが、一瞬の隙を突かれジョンに殴り倒され武器を奪われる。
更に自暴自棄になったミゲルが地下倉庫内にゾンビを雪崩れ込ませたため、部下を見捨てて電動カートで逃走。部下を餌にされた怒りとはなんだったのか‥‥‥。
そして最期は上記のとおり、バブに肩、足、腹を撃たれて他のゾンビ達に八つ裂きにされた。
最初は主人公達と意見が対立していただけだったのが、やがて意地の張り合いとなり、最終的に殺し合いとなった挙げ句無残に死ぬという流れは、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のハリー・クーパーと共通している。クーパーの後継者ってそういうこと‥‥。
因みに、彼の内臓は冷蔵庫の故障のせいで腐っていた。


プライベート・ウォルター・スティール

演者:ゲイリー・ハワード・クラー
副官。言動は下品だが割りと仲間想いなジャイアン。
時折ローズやローガンのイカレぶりにドン引きしている。
最期はローズに見捨てられるも寄宿舎にたどり着き、バブと遭遇。
ローズの部下であったばっかりに仇敵として狙われる。
ハブの銃撃は回避するも、舐めプしていたら他のゾンビに噛まれてしまい、絶望のあまり自害した。



ジョージ・A・ロメロのデッドシリーズ関連項目





追記、修正はローズを地獄に送ってからどうぞ。


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  • ゾンビだけどゾンビにしてはいい子で博士を慕ってるのが好き -- 名無しさん (2020-06-15 20:36:39)
  • ↑というか、四作目のビッグダディも仲間思いの勇敢なやつだったのを考慮すると、自我を持ったゾンビはだいたい良いやつになる -- 名無しさん (2020-07-01 17:36:04)
  • ウォルター位は生かしてもよかったと毎回思う。アイツ下品なだけで割といい奴だったし… -- 名無しさん (2022-02-07 23:34:40)

#comment

*1 通常のゾンビはヒトが近くにいるだけで興奮する。
*2 そもそもゾンビを飼い慣らすという発想は明らかに狂っているため
*3 「ランド・オブ・ザ・デッドで間違いであったことが証明される」

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