登録日:2016/12/11 (火曜日) 10:15:00
更新日:2024/03/28 Thu 13:10:02NEW!
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ボードゲーム 冷戦 核戦争 ウォーゲーム twilight struggle
「黄昏の時代」--すなわち、人類が夜の闇の一歩手前で踏みとどまり続けた時代
概要
「トワイライト・ストラグル」は冷戦における東西対立をモチーフとしたボードゲーム。
2005年に発売されると長きにわたってBoardgame Geekの一位を占めた。
今なお、冷戦を扱ったゲームとしては至上である、との評価を受けている。
直接的な戦闘を行うのではなく、影響力マーカーと冷戦時代の各種出来事を扱った作戦カードを用いて冷戦の雰囲気をうまく再現している。
システム
プレイヤーは2人。「アメリカ」と「ソ連」をそれぞれ担当する。
1945年の第二次世界大戦終結から1989年の冷戦終結までを10ターンに分けて争う。
作戦カードを用いて行動を決めるカードドリブン式が特徴。
勝利条件
ゲーム中に様々な行動でVPを獲得していき、10ターン目終了時により多くVPを持っていた方が勝利となる。
いわゆる「綱引き」方式であり、VPを獲得するごとにトラック上を自派の方に寄せていくことになる。
また、いくつか途中終了となる条件もある。
- 片方の勢力が+20以上VPを稼いだ場合、10ターン目を待たずにそこで終了となる。
- 《ヨーロッパの得点》が使われたとき、いずれかの勢力がヨーロッパを「支配」していた場合、その勢力の勝利となる。
- デフコンが1になった場合、ターンプレイヤー(ヘッドラインフェイズの場合、デフコンが1となったイベントを発動したプレイヤー)の敗北となる。
- 《ウォーゲーム》のイベントが発生した場合、その時点で終了となる。
VPを獲得する方法としては
- 《〇〇の得点》というカードのイベントによるVPの発生
- その他のイベントによるVPの発生
- 宇宙開発競争で特定のトラックに到達した時
- ターン終了時のDef-conレベルとMillitary OperationレベルによるVPの清算
- ゲーム終了時の各地域情勢によるVP(《〇〇の得点》と同じ)
となっている。
スペース/地域/係争地・非係争地
ゲームボード上には64の「スペース」が書かれている。これらは国家や国家群を表しており、それに対してプレイヤーは影響力を行使していくことになる。
また、アメリカ、ソ連それぞれの本国は影響力を置けないスペースとして扱われる。
地域
ゲーム地図はヨーロッパ、中東、アジア、アフリカ、中米、南米に分けられている。(カナダがヨーロッパに入っているなど、ゲームの都合上本来の地域割りとは異なる面もある)
また、ヨーロッパは東ヨーロッパと西ヨーロッパに分けられており、アジアの中には東南アジアとしても扱われるスペースがある。
これらはイベントなどに関わってくる。
係争地・非係争地
各地域には複数の係争地(Battleground)がある。
東西のぶつかり合いにおいて焦点となった箇所、という意味であり、地域へのプレゼンスや国家としての規模はあまり関係ない。
(例として、イギリスは非係争地である)
VP精算時にはこの係争地を多く支配していることが重要となる。
各スペースには「安定度」という数値が定められている。
これはその国家・国家群の態度の移ろいやすさや国家の安定感を示しており、1-5の数字で示される。
自派の影響力が敵の派閥の影響力をこの安定度以上上回っていれば、自派がその国家を「支配」していることになる。
(例:安定度3の韓国にアメリカの影響度が1ある状態で、ソ連が4の影響度を置いた。この時、4-1=3で安定度以上の差があるため、韓国はソ連の支配下となる)
安定度が2以下のスペースはすぐに意見が入れ替わるため、特に互いの争点となる。
作戦カード
ゲームの中核をなすもの。
また同時にプレイヤーの妄想の種でもある。
カードには
- カード名
- OP
- Early War/Mid War/Late War
- ソ連/アメリカ/共通イベント
- 除外イベントか否か
- 持続イベントか否か
- イベントの効果
が示されている。
カード名
そのカードの名前。
《日米安全保障条約》《ベトナム蜂起》《北大西洋条約機構》などといういかにもなものから、《チェ・ゲバラ》《フィデル・カストロ》《鉄の女》など特定人物をフィーチャーしたもの、《ケンブリッジ・ファイブ》《ユーリとサマンサ》など日本ではなじみのないものまで様々。
OP
カードを「作戦力」として使った場合に使える作戦力(OP)が書かれている。
Early War/Mid War/Late War
ゲームのどの段階で使えるようになるかを示す。
最初から使えるのはEarly Warのみで、Mid Warは4ターン目、Late Warは8ターン目に山札に加わる。
ソ連/アメリカ/共通イベント
イベントの種別を表す。
ソ連/アメリカは当然その派閥に有利なイベントなのだが、同時に敵側のカードを使う場合、必ずイベントも発生させなければいけないというルールに絡んでくる。
共通イベントは常に行動かイベントかの二択。
《〇〇の得点》は種別としてはOPとして使えない共通イベント扱いなのだが、ターン終了時に手札にあった場合、強制的に敗北となる。
除外イベントか否か
一部の作戦カードにあるイベントは「除外イベント」といい、一度発生するとゲームから除外される。
例えば《マーシャル・プラン》や《ベルリン封鎖》は除外イベントであり、こうしたことが何度も発生することはない。
重要なこととして「イベントが『発生した場合』は除外される」のであり、自派のカードを行動力として使ったり、相手のイベントだが条件を満たしておらず発動しなかった場合などは除外されない。
持続イベントか否か
イベントの中には継続的に効果を発揮し続けるものがあり、そうしたものはカードを提示し続ける必要があることを示すためにこの記号がつけられている。
例えば《日米安全保障条約》が発動した場合、ソ連は日本に対し影響度の排除やクーデターを仕掛けられなくなるため、そのことを示すためにこのカードは公開し続ける。
イベントの効果
カードをイベントとして使用した場合の効果。
一部のカードはイベント発動のための条件が定められており、その条件を満たしていないとイベントは発動できない。
(例:《北大西洋条約機構》は《マーシャル・プラン》か《ワルシャワ条約締結》の発動が条件)
得点カードの清算
作戦カードの中には地域ごとの得点を清算するカードが入っている。
これはカードが出されたタイミングで生産されるほか、10ターン目終了時にも同様のルールで清算される。
《〇〇の得点》カードは手札に入ってきた場合、次のラウンドへは持ち越しできない。(ただし、何らかのカードの効果で捨てることは可能)
使用する場合必ず得点清算イベントとして使い、作戦値として使用することはできない。(そもそも作戦値が書いてない)
得点清算時は(《東南アジアの得点》を除き)以下のような状態に応じて得点を加算する。
影響:対象の地域に一つでも支配国がある
優勢:対象の地域で相手より多くの係争地を支配し、総支配国数でも上回っており、非係争国を1つ以上支配している
支配:対象の地域で全ての係争地を支配し、総支配国数でも上回っており、非係争国を1つ以上支配している
係争地:1つ支配しているごとに+1VP
敵超大国に隣接している国の支配:1つごとに+1VP
ソ連から見ればアメリカに隣接しているキューバやメキシコ、アメリカから見ればソ連に隣接しているバングラディシュや北朝鮮がこれに当たる。
《東南アジアの得点》だけは例外で使用されると除外され、東南アジアの分類に入る国家を1つ支配しているごとに+1VP、タイのみ+2VPとして計算する。
デフコン
現在の東西緊張がどの程度かを示す。
ゲーム開始時は5であり、係争地に対してクーデターを仕掛けたり、或いはイベントの効果などで低下する。また、ターン開始時には1回復する。
1になった場合、核戦争が勃発したことになり、その時の手番であったプレイヤーの敗北となる。
このルールのためにしばしば「デフコン負け」というのが発生しうるため、それを避けることを考えなければならない。
軍事作戦値
どれだけ自派が軍事作戦を行っているか。
ターンごとにリセットされ、クーデターを仕掛けた場合はそれに使用したOP分だけ上がる。
また、それ以外にも一部イベントは軍事作戦値を上げる。
ターン終了時に軍事作戦値がデフコンレベルに満たない場合、その差分が相手の得点となる。
(例:あるターン終了時、デフコンが3であり、このターンアメリカ側の軍事作戦値は2であった。この場合、デフコン3と軍事作戦値2の差である1VPがソ連側に入る)
宇宙開発
どれだけ自国の宇宙開発が進んでいるかを示す。
冷戦時代の宇宙開発は実用的な側面ももちろんあるが、それ以上に国威発揚の面が大きい。
そのため、相手より先にマイルストーンとなる宇宙開発に成功するとより多くのVPが入り、また宇宙開発で先行しているとそれだけ有利な補正が受けられる。
ターン進行
まず、ターン開始時に手札がターンに応じた枚数になるまで両プレイヤーに配られる。
この時山札のカードが足りなくなったならば、除外したカード以外の使ったカードを山札としてカードを必要枚数配る。
最初にヘッドラインフェイズを行う。
これは両プレイヤーが裏向きにカードを出し、同時に公開。公開したカードのOP値が高い方から順にイベントを解決していく。同値の場合はアメリカ側が先である。
その後ソ連側から1枚ずつプレイしていき、既定のラウンドを消化した時点でターン終了、清算を行い、次のターンに移る。
アクション/イベント
カードをプレイした場合、プレイヤーは「自派閥のイベントカード」もしくは「共通イベントカード」である場合、「アクションを行う」のか「イベントを行う」のかを選ぶ。
もしイベントの発生条件を満たしていない場合は、強制的にアクションを行うことになる。
「敵派閥のイベントカード」である場合、アクションとイベントの双方が発生する。この際、どちらを先に行うかはカードを出したプレイヤーが選べる。
ただし、「敵派閥のイベントカード」である場合、イベント内での必要な選択は全て相手プレイヤーが行うことになる。
また、条件を満たしていない場合はこのケースでもやはりイベントは発動せず、アクションだけを行うことになる。
アクションには以下の4種類がある。カードを出すごとにどれか一つを選択して行い、組み合わせて行うことはできない。
影響度の配置
自派閥の影響度をスペースに置く。
基本的に1OPにつき1点で、「既に自派閥の影響度があるスペース」か、「自派閥の影響度があるスペースに隣接するスペース」にしか置けない。
支配をしている必要はないことに注意。OPがある限り複数のスペースに分けて影響度を置くことも可能。
また、ラウンド開始時の状況を参照するため、このラウンドのアクションで置いた影響度のあるスペースのさらに先に繋げていくことはできない。
例外的なルールとして、敵派閥が支配しているスペースに置く場合は、2OPにつき1点である。
最後の例外ルールに関連して、「影響度が1点置かれるたびに、支配状況は再確認する」ことは注意が必要。
例としてレバノン(安定度1)にアメリカ側の影響度が1点ある状況の場合、ソ連側はまず2OPで影響度を1点置くとこの時点で1:1となり、アメリカ側の支配が崩れる。
仮にさらに1OPで影響度を1点おいて2:1となり逆にソ連側支配となるため、この状況ならば3OPあれば支配まで持っていけることになる。
影響度の排除
いずれかの派閥の影響度を取り除く。
対象とできるのは相手の影響度があるスペース。
1OPにつき1回試みることができる(複数のスペースで起こしても構わない)が、デフコンが4以下の場合はヨーロッパで、3以下の場合はそれに加えてアジアで、2以下の場合はそれに加えて中東で、この行為をすることはできない。
内紛を起こした場合、双方のプレイヤーが1D6を振り、それに「内紛の起こったスペースで、影響度が大きい方」が1を足し、「内紛の起こったスペースに隣接するスペース」のうち、自派閥が支配しているスペースの数をそれぞれ足す。
これにより、上回った側が下回った側の影響度を差分だけ下げることができる。
(例:ソ連が優勢であるエジプト(2:1)でアメリカ側が影響度の排除を試みる。アメリカ側はエジプトに隣接するイスラエルとリビアを支配しているとする。
アメリカ側がダイスを振って5。イスラエルとリビアの支配で+2で結果は7。ソ連側がダイスを振って4。排除の対象となったエジプトで優勢であるため+1で、結果は5。この結果、7-5=2で、数の低いソ連側の影響度が2下がることになる)
影響度の排除を試みた場合、結果によっては起こしたプレイヤーの側の影響度が下がることもある。
クーデター
対象の国家について大幅な体制の変更を起こす。この行動は1度でOPを全て消費しなければならない。
また、デフコンが4以下の場合はヨーロッパで、3以下の場合はそれに加えてアジアで、2以下の場合はそれに加えて中東で、この行為をすることはできない。
クーデターを実行したプレイヤーはダイスを振り、それにOPを足して、対象のスペースの安定度の2倍をひく。
その結果の数値分、対象のスペースから敵派閥の影響度を下げる。また、0まで下げても結果値が余った場合、その分自派閥の影響度を上げる。
結果値が0以下であった場合は、何も起きない。
この時使ったOP値の分、自分の軍事作戦値を上げる。
そして、クーデターを試みたスペースが係争地であった場合、結果如何に関わらずデフコンレベルが-1される。
このため、中盤以降はどうしても先攻となるソ連が主につかうことになりがちであることに注意。
また安定度の高いスペースには全く効かない*1が、それだけに強力なアクションである。
宇宙開発
宇宙開発を促進する。
成功すれば宇宙開発のトラックが進み、現在のトラックに応じたボーナスがもらえる。
宇宙開発の注意点として、「1ターンに1度しか行えない*2」ことと、「宇宙開発のために使ったカードのイベントは発生しない」ことがある。
基本的に、敵のやばいイベントのカードが手元にきた場合それを潰すために使うことになる。
「宇宙開発が最終段階(8つ目)になると、それ以上宇宙開発は行えない」が、まああまり気にすることはないかもしれない。
宇宙開発を行う場合、トラックごとに指定されたOP値以上のカードを捨て、指定された目を出す必要がある。
《共産主義の脅威/追放》《ブレジネフ・ドクトリン》などでOP値が上下している場合、その変化したOP値で宇宙開発に使えるか判定することには注意が必要。
ラウンド終了時
使ったカードを捨て札にする。それがそれが除外イベントであり、かつイベントが発生していた場合は捨て札とは分けてゲームから除外する。ただし、持続イベントである場合はいずれかのプレイヤーの前に提示し続ける。
ターン終了時
残りの手札に得点カードがないことを確認する。
デフコンレベルと軍事作戦値に応じてVPの清算を行い、軍事作戦値を0にし、デフコンレベルを1上げる。
これを繰り返し、10ターン目終了時までにゲームが終わらなかった場合、そこで全ての地域のVPを計算して最終的な勝者を決める。
領域ごとの特性
ヨーロッパ
係争地はポーランド、東ドイツ、西ドイツ、フランス、イタリア。
ドイツが東西に分かれているのが実に冷戦である。
このエリアの最大の特徴は得点計算時にどちらかの陣営が支配している場合、即座にその陣営が勝利すること。
このため、ヨーロッパの独占だけはなんとしても防がなければならない。
デフコンが4以下の場合は影響度の排除及びクーデターが不可能なため、一見するとそんなに大きく勢力図は動かなそうなのだが、派手な効果のイベントもまた多いため実際は思ったより不安定である。
エリア自体が西側と東側に分けられており、オーストリアとフィンランドは東西両方に属する。
また、本来的な意味でヨーロッパに含まれないカナダも一応このエリアに含まれる。
係争地の争いはポーランドと東ドイツをソ連が、西ドイツとイタリアをアメリカが持ち、フランスとイタリアが争点になることが多い。
フランスは序盤にソ連側に傾くイベントが多く(《ド・ゴール首相》と《スエズ危機》が激痛)、イタリアは安定度が2であるため、デフコン5である初手でソ連がクーデターを狙ってくることもしばしば。
また、カードを把握していない初心者は《ベルリン封鎖》で西ドイツの影響度を全て除去され悶絶することも。この辺をいなせるようになれば初心者卒業かもしれない。
逆に中盤以降はアメリカ側に優位なイベントが増えていき、《ヨハネ・パウロII世教皇選出》《連帯》《ベルリンの壁崩壊》など、東ドイツとポーランドのソ連支配を崩しにかかってこられるので、この辺りをどう凌ぐかがソ連側の課題ともなる。
全体として見た場合、序盤から互いの影響度を削りあう《東欧の動揺》《社会党政権》に加え、《マーシャル・プラン》《コメコン》《ワルシャワ条約機構》など派手に影響度を動かすイベントが多い。アメリカ側としては特に《特別な関係》《北アメリカ航空宇宙防衛司令部》などの効果の発動の条件もあるので、イギリス、カナダもしっかり押さえておきたいところ。
アジア
係争地は北朝鮮、韓国、日本、タイ、インド、パキスタン。《台湾協定》が発動すれば台湾もアメリカに限って係争地扱いとなるが、基本的に忘れていい。
また、タイとその周辺は東南アジアとしても扱われる。通常アジアに含まれないオーストラリアも一応入っているが、大体ゲーム中思い起こされることはない。
係争地の争いは、北朝鮮はソ連側に留まり続けることが多く、日本は《日米安全保障条約》でアメリカ側にいくため、それ以外が争点になる。《朝鮮戦争》の動向が一つのキー。
また、初期では周囲に影響度がないタイもソ連側は《ベトナム蜂起》から一気に取りにこれるし、インドとパキスタンは《印パ戦争》があることに加え中東情勢も絡んでくる、と広いエリアに見合う混沌とした情勢になりやすいが、基本的に地勢上のボトルネックとなるパキスタンと、東南アジアの中心であるタイをどう抑えるかがポイントになる。
また、《中国カード》は全ポイントをアジアで使う場合5OPのカードとして使えるため、これを考慮に入れておく必要もある。「中国内戦ルール」(基本ルールでは《中国カード》は最初に配る手札と別にソ連側が持っているが、このルールを使う場合中国に3影響度を配置するまで《中国カード》は使えない)を使用している場合、ソ連側はどのタイミングで中国内戦を終結させるかも考えなければならない。
《ベトナム蜂起》《植民地独立運動》など、ソ連側は初期から東南アジアに強力に作用するカードがある。
アメリカはMid Warで入る《植民地守備隊》で対抗したいところ。
中東
係争地はイラン、イラク、イスラエル、エジプト、リビア、サウジアラビア。
イスラエルを除くと全般に安定度が低い。また、アメリカ側の影響度が初期ではイスラエルとイランに1ずつあるのだが、これを《スエズ危機》→イランへのクーデターのコンボで初手で飛ばしてしまうと、アメリカ側は中東介入に苦労するはめになる。
いずれにせよアジアへの進入路であるイランは初期の争点になりがち。
また、ヨーロッパ、アジア、そしてこの中東がEarly Warから登場する得点カードになっているため(これ以外の地域はMid Warから得点カードが出てくる)、その意味でも早期に争点となりうるエリアである。
係争地の争いは、それぞれ別エリアへの進入路となるイランとリビアが争点になりがち。クーデター/影響力排除がデフコン3まで行えるため、終盤まで結構クーデターを飛ばしやすいのもそれに拍車をかける。
また、序盤は《ナセル大統領》でソ連側に傾き、中盤で《サダトの脱ソ路線》でアメリカ側に傾くエジプトの動向も不安定。ここに《中東戦争》や《キャンプ・デービッド合意》も絡み、さらに一発でアメリカの影響力を吹き飛ばす《イスラム革命》もあって、とにかく安定しない。一度支配状況が傾いても油断のできない地域である。
もう一つ注意すべきカードは《石油輸出国機構》。中東の産油国6国(+南米のベネズエラ)を支配している数だけ、ソ連にVPが入るカード。しかも繰り返し使えるため、アメリカとしては対象国を把握し、支配状況を注視しなければならない。
アフリカ
係争地はアルジェリア、ナイジェリア、ザイール、アンゴラ、南アフリカ。
係争地のうち3つが安定度1であり、クーデター/影響力排除の制限もない。さらに係争地以外も殆どが安定度1か2という(アフリカ全体で安定度3はモロッコと南アフリカだけ)政情不安定さを反映した地域になっている。
係争地の争いは、とにかくクーデターでひっくり返すことになりがちなため、少しでもクーデターを受けにくいアルジェリアと南アフリカの支配がキーになりやすい。また、デフコンにかかわらず影響度の排除は飛んでくることから、南アフリカを抑えるためにはボツワナもきちんと確保しておく必要がある。まずはこの3か所を抑えることを目指したいところ。
幸いアメリカ側は南アフリカ(イギリスの同盟国)に影響度1を確保しており、アルジェリアに隣接するフランスにも影響度を確保しやすいことから早期に入っていけるだろう。ただ油断してゆっくり構えているとソ連に先入りされてしまう恐れがある上、Mid Warに入ると《ポルトガル帝国の崩壊》や《南アフリカ騒乱》といったソ連有利のイベントが出だすため、あまりゆっくりもしていられない。
影響と優勢の差がそこそこ大きいため、情勢の不安定さのわりに簡単には明け渡せないエリアである。展開は慎重、かつ大胆に。
《植民地独立運動》《植民地守備隊》はアフリカでも作用する。盤面全体を見ながらどこに影響力を投下するか見極めたい。
中米
係争地はパナマ、メキシコ、キューバ。
係争地、スペース数、VP全て最も少なく、それゆえ最も重要性は低いとされるエリア。とは言え無視できるほどプレゼンスは低くないのだが。
係争地は南米への入り口であるパナマももちろん重要だが、メキシコとキューバはアメリカに隣接しているためソ連に明け渡すと単純に2VP分、と実は全く軽視できない。それなのにアメリカ側としては旨味が低いと中々しんどいエリア。
しかもキューバは《フィデル・カストロ》一発でソ連支配下になる。アメリカ涙目。メキシコとパナマをしっかり押さえて対抗したいところ。《米州機構成立》《パナマ運河返還》など中南米で作用する有利イベントもあるので、それで地道に影響度を積み増して対抗したい。ソ連としてはMid Warでも《解放の神学》《チェ・ゲバラ》など有力なカードがあるため、これらでプレッシャーをかけていきたいところ。中立カードだが《軍事政権》は中南米に強い影響を及ぼせるカード。
非係争地の安定度が総じて低いため、うかつに非係争地を取るのは相手にクーデターの種を与えるだけなのが悩みどころ。特にソ連側の《チェ・ゲバラ》がこの点ではやっかいだが、だからと言って全くとらないわけにもいかないジレンマ。安定度3でパナマに隣接するコスタリカは優先しておさえたい。
南米
係争地はベネズエラ、ブラジル、チリ、アルゼンチン。
中米と並んで後回しになりがちなエリアである。ポイント的にはアフリカより優先してもいいぐらいなのだが序盤ではソ連がアクセスし辛いのが理由だろうか。
係争地はどこがどうというより場当たり的な取り合いになりがち。ダイレクトかつピンポイントなカードがチリにソ連の影響力を置く《サルバドール・アジェンデ》ぐらいなのも一因だろうか。
とは言え中米で挙げた《米州機構成立》《チェ・ゲバラ》《軍事政権》辺りは南米にも使えるため、総じて状況に応じた判断が求められる。(それを場当たり的ともいうのだが)
追記・修正はベルリンの壁を崩してからお願い致します。
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*2 宇宙開発のトラック2の効果として2回行えるようになる
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