快楽ヒストリエ

ページ名:快楽ヒストリエ

登録日:2018/11/27 Tue 20:24:17
更新日:2024/03/26 Tue 13:31:41NEW!
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『快楽ヒストリエ』とはお小水や尿管結石など、泌尿器関係に何かと縁のある作家である火鳥氏によって編纂されたギャグマン…もとい歴史書の事である。
屈強な男達が「アララララーーーイ」する作品とはなんの関係もない。
「快楽」の名を冠する通り、人類の性生活を取り扱ったモノであり、八千万年以上の歴史を持つ由緒正しき成人雑誌である『COMIC快楽天BEAST』にて氏の漫画形式の論文が約二年半に渡り掲載、その後晴れて書物化した。


「八千万年の歴史を持つ成人雑誌!?ば~~~っかじゃねえの?」と思ったソコの貴方、ようこそ新しい歴史の世界へ。
実はこの書物によると、「今世紀初頭アメリカにて快楽天の原稿の化石が発見され、少なくとも八千万年前の人類には既にエロ本購読の習慣があった事が確認された」らしいのだ!
その新事実を元に氏が世界中の「史実」を再検討。結果、現在「正史」とされている諸々が抱える疑問点・問題点を克服した新たな「性史」が産まれたというわけだ。


あまりにもセンセーショナルな内容から、その信憑性を疑問視する声が上がっているが、早くも「これは脚色のない史実のみを記した秘史である。」と太鼓判を押す団体も現れはじめている。
すくなくともkindleはそういっている。


以下にその内容を一部ご紹介しよう。



バナナ型神話という言葉をご存知だろうか?
これは我々人類が避ける事が出来ない「死」や「寿命」について語る神話であり、世界中にこの手の話は存在している。勿論日本にもある。


「バナナ」の名を冠しているのは、東南アジア圏内でそのキーアイテムが共通してバナナであった事が由来で、大抵が
「我々の遠い祖先が"食べられないが不変不滅である石"よりも"美味しく食べられるがいずれは腐り朽ち果てるバナナ"を選んでしまった事が死のルーツとなった。」
という内容のお話になっている。


だが、ちょっと待ってほしい。この話を聞いた後、恐らく皆こう思うのではないだろうか?
「石ってそんなに不滅の存在じゃなくね?」と。
もっと身近で、もっと不滅で、もっと象徴的な物に、我々は心当たりがある筈だ。


そう、「二次元の嫁」である。


この章では日本におけるバナナ型神話とも言える「木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)」のエピソードを例に取り上げ、誰もが疑問に想いながら、誰もが手を付けて来なかったバナナ型神話の真実と、新たな疑問である「我々の祖先はいかにして永遠の嫁である二次元と袂を別つことが出来たのか」に対して深くメスを入れている。「雌に深く挿れる」ではない。



現在では隣にケンタッキー・フライドチキンがたつほど、観光名所として身近になったピラミッド。
このピラミッドの存在意義が「暴虐非道な君主の自己顕示欲の塊」などではなく「農閑期における労働雇用を支える、立派な公共事業」であったという説も同様に市民権を得て久しい。
また、「ビールがピラミッドを建てた」という言葉が有るように、建設現場では労働者に毎日の様にビールが振る舞われ、これが日々の重労働を支える大きな癒しとなっていたのだとか。


だがちょっと待ってほしい。そんなに毎日じゃぶじゃぶビールを呷っておいて労働者は二日酔いや酩酊状態にならなかったのだろうか?
いうまでもなく大規模な土木工事である。そんな状態の奴らばかりに集まって重大な事故でも起きたら目も当てられないし、後の学者が感心するレベルの正確な建築が出来たとも思えない。
それでは当時労働者に振る舞われた、翌日に悪影響を及ぼさない大きな癒しとは一体なんだったのか。


もうお分かりであろう。「エロ本」である。


この章では、自らの死の間際まで「給金」としてのみならず「創作のネタ」としてのエロをも民草に与え続けた名君「カイラクアテン王」を例に取り上げ、吉村作治も知らない知られざるピラミッド建設の真実と、現在では失われてしまった第四の文字「ドエログリフ」の謎に鋭く切り込んでいる。



「人身御供に対する埴輪や兵馬俑」「珈琲に対するタンポポ珈琲」「パンがなければブリオッシュを食べればいいじゃない」「相手が居ないからオ○ニーだ!」等々、
「何かで代替する」という行為は人の営みにおいて極々自然に存在する事である。「別のものに縋る」と言い換えてもいい。


中世・近世の封建制下での日本でも「主食が無いなら"オカズ"で払えばいいじゃない。」と年貢米の替わりにエロ本を取り立てる行為が当たり前の様に行われてきた。*1
ところで皆さんは、我が国である時を境に急激にキリスト教が布教されたことに疑問を持ったことはないだろうか?
歴史の授業では「戦国時代に信長が鉄砲伝来と併せて布教の許しをうんたら」とか教えられただろう。


しかし、もしこれが下々の人々によるシモジモの欲求が原動力だったとしたら?


もしこれが年貢という名のエロ本狩りにあい、(カリ)首も回らないほど性活に困窮した人々が「別のものに縋った」結果だとしたら?


彼らを救った救世主とはなんだったのか?


この章では日本最大の宗教的反乱であった「島原の乱」を例に取り上げ、一度知ったらザビエルに落書きした事を懺悔したくなる衝撃的なキリスト教布教の真実と、現代でも通用するであろう当時の恐るべき南蛮テクノロジーについて詳しく解説している。




某風林火山がしたためた「男子との不義密通に対する言い訳」や某浮世絵師の「異種姦春画」などを取り上げて、
「日本人は先祖代々HENTAIの血筋であった」なんて良く聞く話だが、一度この書を読み解いたなら、「それは何も日本人に限ったことではない」と実感することが出来るだろう。
「エロを通せば人類はやはり一つなのだ」という教訓を残してくれる、なかなか心憎い歴史書である。そのエロが引き金でバベルの塔崩壊しちゃうけど。






以下ネタバレ

















ただ、ひじょーに惜しいことに本書には致命的な欠陥が一つある。
この書物、 頁のどこも探してもエロがエロ足る所以である「局部の描写」が一切見当たらないのだ。
史料として当時のエロ本の濡れ場は掲載されているにも拘らず、である。
え?「あくまで史料として」だから別にいいじゃないかって? そういう問題ではない。


嗚呼、エロの歴史を紐解く書物が、この世で最もエロい所をヴェールで隠してしまうとはなんたる皮肉か!


これでは我々は、嬉しさのあまり街中を裸で走り回ったとされるアルキメデスの様に



「ヘウレーカ!!」(乳首を見つけたぞ!!)



と叫ぶことすら出来ないではないか!!


寧ろムスコの悲劇(掛詞)に見舞われた将軍、ハルパゴスの如く



「ば~~~~~っかじゃねえの!?」



と言いたくもなってくる。


「まだだ、まだ本は売り切れぬ。」
「エロい、エロくないは問題ではないのだ。私はなんだか、もっと恐ろしく大きい歴史の真実の為に走るのだ。」
とセリヌンティウスの親友みたいな清廉な建前を吐きながら書店にダッシュした青少年なんかは、


メロス(仮)は
「よくもだましたアアアア!!だましてくれたアアアア!!」
と激怒した。
メロス(仮)は歴史がわからぬ。
けれどもメロス(カリ)は性に対しては人一倍敏感であった。

と、怒りのあまり性ではなく文学に目覚めてしまうかもしれない。




この「局部がない」不自然さは


「史料の選別に恣意的なものを感じる。」


「これは証拠の捏造だ!」


という批判を産み、残念ながら本書は現在トンデモ本の域を出ず、「エロ雑誌掲載なのにエロくないギャグマンガ」の烙印を押されてしまっている。


しかし「歴史」なんていうものは突き詰めてしまえば「推論の積み重ね」である。
世間がどれだけ否定しようとも、我々個人がロマンを抱き続けることには何の罪もない筈である。
なので最後はこのような言葉をもって、本項を締めくくらせて頂きたい。


この書物が偽物だと「信じる」も、いつか氏が局部を携えて決定的証拠を持って来ると「信じる」も、すべて「自由」ぞ!我がムスコよ!



【余談】

  • 女の子は普通に(見た目は)可愛い
  • おっさんも普通に(見た目は)かっこいい。
  • 「女アーサー王…不思議と…人気が出そうな気がしてきた……!!」→その後女体化したアーサー王は明らかにあの腹ペコ

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  • 先週2巻が発売されたばかりだから、まだ追記できないのか -- 名無しさん (2018-11-27 22:00:28)
  • これと併せたいがために先にヒストリエの記事を書いたような気さえするが、どちらもよく出来ているのがすごい -- 名無しさん (2018-11-28 09:42:51)
  • ☆ 信じよう……!! -- 名無しさん (2018-11-28 09:52:52)
  • 快楽天だから局部を描写してもライトセイバーやホワイトホールにされるだけだと思うんですけど(名推理) -- 名無しさん (2018-11-28 10:00:59)
  • 本家ヒストリエに並びやがって…!! -- 名無しさん (2018-11-28 16:57:04)
  • 発想がおかしい(褒め言葉) -- 名無しさん (2018-11-28 19:58:51)
  • 火鳥さんの描くギザ歯っ子が可愛くて好き。赤面顔だけで抜けるので実質エロ本である -- 名無しさん (2018-11-28 23:18:24)
  • タグが?ばかりで草 -- 名無しさん (2018-11-29 11:35:03)
  • カイラクアテン実在の人物かと思ってしまった -- 名無しさん (2023-02-27 22:11:53)
  • 「ナイルの恵みだ 抜くがよい」のフレーズが印象深い -- 名無しさん (2023-02-27 22:21:32)
  • 最初雑誌読んでた時はなんだこれ俺はエロ本買って読んでるんだぞなんだこのギャグ漫画は…(# ゚Д゚)とか思ってたけど毎月読んでるうちにこれがないと読み終わった気分にならねーなって風になった。一番最後に掲載されてるのも大きかった。 -- 名無しさん (2023-03-28 15:22:51)

#comment

*1 氏はこのオカズという言葉の由来からこの説を組み立てているが、学のない我々でもちょっと考えれば直ぐにわかる事である。「貢」という漢字は「工(にぎるところのある鑿=要はアレ)」と「貝(つまりアレ)」が”結合”する瞬間を表した文字であり、詰まるところ「挿入」のメタファーである。(貝)「そんなおっきい”にぎるところのある鑿”なんて入らないよぉ…。」ところで「頁(ページ)」という漢字、「貢」にひじょーに似ている。最早「貢」の代替品といってもよい。つまりこれは「挿入を司る年貢の代替品が”頁”で、それがエロ本だった事がこれを”ページ”と読ませるに至った。」という事実を示している。Q.E.D(因みに”頁”は”貢”に比べて”工”が”貝”に埋もれている。この事から、当時は「断面図のコマ送り」の様な”入って行く過程を静画で表現する技術”に乏しく、恐らく”直前”と”直後”でのみ挿入の瞬間を描写していたと推察される)

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