登録日:2018/09/20 Thu 01:15:53
更新日:2024/03/22 Fri 13:48:57NEW!
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仮面ライダーストロンガー 7人ライダー最後の大決戦! テレビマガジン 成井紀郎 衝撃のラスト 涙腺崩壊 いつか星の海で 栄光の7人ライダー 漫画 漫画版仮面ライダーリンク 講談社
今から五年前 正体不明の首領が率いる悪の組織ショッカーによって最初の仮面ライダーは誕生した…
いらい今日までたくさんの敵が生まれ そして それはあらたな勇者を生んだ…
これはその勇者たちの命を懸けた最後の戦いの物語である
『仮面ライダーストロンガー 7人ライダー最後の大決戦!』は、
「テレビマガジン1976年1月号増刊 人気ヒーロージャンボ号」に掲載された、成井紀郎による読切漫画作品である。
概要
作者の成井紀郎氏は『仮面ライダーストロンガー』のTVシリーズ放送に合わせ、「テレビマガジン」誌でコミカライズを連載していた。
そちらはそちらである程度TVシリーズの展開をなぞりつつもきちんと完結しているのだが、
それとは別に「テレビマガジン」本誌のとは事実上、別バージョンの最終回として執筆された作品が本作である。
TVシリーズにおける『仮面ライダーストロンガー』も、初代から続く仮面ライダーシリーズに一応のピリオドを打つべく
ショッカーからデルザー軍団までの全ての悪の組織を操っていた黒幕・岩石大首領との決着を描いていたが、
漫画ではそれを更に掘り下げ、「大首領」と呼ばれる存在の根源に迫った描写、
そしてある意味では初代から続く「仮面ライダーシリーズ」という大河ドラマに対しての、完全な決着とも言える衝撃の結末など、
漫画媒体ならではの、成井氏の独自色が強い展開が目白押しとなっている。
他の成井氏が手掛けた『ストロンガー』絡みのコミカライズ共々、書籍『決死戦7人ライダー』(角川書店より刊行、のち徳間書店より文庫化)に収録された。
あらすじ
ブラックサタン壊滅後、熾烈を極めるデルザー軍団との戦いに明け暮れる7人ライダー……
彼らはデルザー軍団のヨロイ騎士に襲撃された如月光学研究所に駆けつけるも、そこは既に血の海と化していた。
生存者を探す茂/ストロンガーであったが、殺害された博士の息子・健一に「怪物」呼ばわりされ、自分自身が改造人間であるという事実に苦悩する。
一方、逃亡したデルザーを追って鬼岩山に辿り着いた一文字/2号、風見/V3は、
十字架に張りつけにされて今まさに処刑されようとしているデルザーの科学者を救助。
ヨロイ騎士の執拗な追撃にあいボロボロになりながらも、辛くも仲間たちの元に帰還を果たす。
一同は、ヨロイ騎士がライダー2人を相手に圧倒したという事実を前に、改造魔人がパワーアップを重ねている可能性に感付き、
一文字たちが救助した科学者から情報を引き出そうと考えた。
そして元デルザーの科学者……異星人・エリュシオン星人は衝撃の事実を語る。
デルザーの改造魔人の第二陣、半機械魔人の正体は、地球外生物・タルタロス星人をベースにした改造人間である事、
ショッカーからデルザーまでの全ての悪の組織を操る大首領の正体は、タルタロス星の王・キング=ショッカーである事、
全ての戦いは、エリュシオン星との侵略戦争の末に互いの母星を失ったタルタロス星人が地球を第二のタルタロス星にすべく行ってきた事であり、
人員の少なさを補うべく地球人を改造しようという目論見の被害者の一人が他ならぬ本郷猛/仮面ライダー1号である事を……
茂は、父親を失った健一の仇を討つべく、自身に更なる改造手術を施すよう本郷に懇願するが、彼は首を横に振った。
曰く、多くの戦いで傷つき、その度に改造修理にパワーアップを重ねてきた仮面ライダー達の身体は、既に改造を加えられる限界を迎えていたのだ。
だがそんな中、結城丈二の提言で、7人ライダーは自身らの力のそもそもの根源……修練による特訓があった事を思い出す。
圧倒的な力を誇るデルザー軍団に対し、ライダー達は技を鍛えることで対抗することを決意する。
今、仮面ライダーと悪の組織の、最後の決戦が幕を開けようとしていた……
登場人物
7人ライダー
事実上の主人公。
自ら望んで改造人間となった境遇の持ち主であったが、
父親を殺された健一から誤解で怪物呼ばわりされた際には、金属製の自らの腕を見てショックに苛まれていた。
が、それでもなお立ち直り、かつては自身の親友の復讐から始まった悪の組織との戦いを、
デルザーに家族を奪われた健一のためという「他人のため」の戦いに昇華させるという気概を見せた。
後に誤解を解いた健一が謝罪をした際には、「間違いは誰にでもある、それを素直に認めることが大切」と彼を諭した。
7人ライダーのまとめ役。
改造手術による強化を熱望する茂に対し、機械的な強化が既に限界を迎えている事を伝えるが、
風見の言葉を受けて自身らの強化の原初、特訓による修練に立ち戻ることを決意した。
鬼岩山で処刑目前のエリュシオン星人を救出するが、ヨロイ騎士の追撃にあい深手を負ってしまうが、その後の戦いで雪辱を晴らす。
実はかつて、2号はインドで、V3はエジプトで改造魔人を追っていた際に磁気異状でOシグナルが反応しなくなるという現象に遭遇しており、
鬼岩山でも同じ状況に陥ってしまったという事に疑問を抱く。
パワーアップの限界に関する話題が挙がった際、デストロン時代のナイフアルマジロとV3の戦いを話題に挙げ、
力で勝るナイフアルマジロが特訓を重ねたV3に敗北した事を引き合いにして、希望の糸口を掴んだ。
健一の誤解が解けた際には、状況的に彼が誤解したのも仕方ないと言いつつ、アマゾンの事を指しておちょくる剽軽さも見せた。
余談だが、彼が他の仮面ライダー達と比べてどの程度改造手術がなされているかは媒体によって解釈が異なるが、
本作では話の流れ上、当時の児童誌記事でも主流だった「劇場版『X』での生還に際してサイボーグ化された」説を採っていると思われる。
あまり目立った活躍は無いが、怪人軍団との戦いではバイクに乗って敵を翻弄する見せ場も用意されている。
結城/ライダーマンに「こいつなんか特に怪物面してるだろ」と言われ、当然ながら怒って彼を追いかけまわす場面も。
それでも怪人軍団との戦いではライダーマンとの連携でジェットコンドル(…と思われる怪人)を撃破した。
デルザー軍団
本作の設定では、改造魔人の第二陣、半機械魔人の怪人達は、地球外生命体タルタロス星人をベースにした改造人間であり、
ショッカーからデルザーまでに続く悪の組織の主要な幹部たちであるという設定がなされている。
作中では一貫して「よろい剣士」と呼ばれる。
如月光学研究所で研究員を皆殺しにしてレーザー光線砲を強奪する、エリュシオン星人を助けた2号とV3を痛めつけるなど暗躍。
その後はストロンガーが父親を殺したと誤解した健一を利用して7人ライダーを抹殺を計るが、既にライダー達に手の内を読まれており失敗。
特訓を重ねた7人ライダーの素早い動きを読むことができず、2号とV3のダブルライダーキックを受けて倒された。
戦闘員や怪人達を率いて7人ライダーを迎え撃つが、あっさり敗退。
エジプトでV3に追い詰められたところをOシグナルの磁気異状で見失ってしまった事のみ語られるが、漫画作中には登場せず。
映像作品と異なり最終決戦まで生存。
怪人軍団のあまりの不甲斐なさに憤慨していた矢先にストロンガーに基地に乗り込まれ、一騎打ちに縺れ込む。
ストロンガーと終始互角の戦いを繰り広げるが、一瞬のスキが決め手となり、大回転キックを受けて敗北。
死際には「見事だストロンガー」と宿敵を称賛しつつ息絶えた。
余談だが、ジェネラルシャドウは成井紀郎氏にとってもある程度思い入れの強いキャラクターなのか、
後年執筆した『仮面ライダー11戦記』(本作との繋がりは無い)においても印象的な悪役としての立ち位置が用意されている。
- 岩石大首領/キング=ショッカー
ショッカーからデルザー軍団までの、全ての悪の組織を裏から操っていた真の首領にして、タルタロス星人の王。
かつてライダー達が倒したショッカーからブラックサタンまでの大首領たちは、このキング=ショッカーの操り人形に過ぎなかった。
スケールは映像作品をも遥かに凌駕し、鬼岩山そのものが大首領という凄まじい事になっている。
これまで幾度となく地球征服の邪魔をし続けた7人ライダーを捻り潰すべく、ジェネラルシャドウの死後にその姿を現した。
その他
- 健一
如月光学研究所で働いていた科学者の息子で、ヨロイ騎士による殺戮の唯一の生き残り。
ストロンガーたちが父親を殺した怪物の仲間と誤解し、それを利用したヨロイ騎士に騙されてしまうが、
その後誤解が解けた後は素直に彼らに謝罪、死地に赴くライダー達に「死なないで」と言葉を残した。
- エリュシオン星人
デルザー軍団から脱走した科学者で、その正体はエリュシオン星出身の宇宙人。覆面の裏には地球人離れした風貌の顔が隠されている。
ショッカーからデルザーまでの悪の組織の前身であるタルタロス星人との侵略戦争で故郷を失い、
その際に捕虜として捕まり地球征服のために働かされていた身の上で、
脱走を図ってヨロイ騎士に処刑されようとしていたところをライダー達に助けられ、タルタロス星と大首領の正体についての真相を彼らに明かした。
彼の存在なくして、本作のハッピーエンドはあり得なかっただろうと言えるほどのキーパーソン。
物語の結末(※ネタバレ注意)
デルザー軍団の本拠地で待ち構えていた怪人軍団を撃破し、大幹部ジェネラルシャドウをも下した7人ライダーだったが、
彼らの前にデルザー、そしてタルタロス星の支配者にして、これまでの戦いの全ての黒幕……キング=ショッカーこと岩石大首領が姿を現した。
これまでライダー達に幾度となく地球征服の邪魔をされ続けた大首領は、今日こそ仮面ライダー全員を纏めて地獄に送ると宣言。
7人ライダーは大首領のボディにキックを打ち込むも、その巨体には全く通用する気配がなかった。
が、ライダー達は諦めることなく、執拗に同じ箇所を一斉にキックし続ける。
既にその身体は限界を迎えていた……だが、悪への憎しみは何倍にもパワーアップしていた。
悪の大首領に、正義を愛する心がどのような力を持っているのか知らしめるべく、仮面ライダーは遂に限界を越える……
「おれたちのぶきは!心だ!」
そして、正義の力は遂に大首領のボディを貫いた。
轟音と共に大爆発し、崩壊する大首領……だが、それを見届けると同時にライダー達もまた、力を失い崩れ落ちる。
現場に駆け付けたエリュシオン星人は、命尽きようとしているライダー達を助けるため、急いで大手術を決行する。
全ては、自身を助けてくれた7人の英雄に、恩返しをするために……
……ショッカーに本郷猛が改造された事を発端とする、長きに亘る戦いは終わった。
仮面ライダー達は、遂に強大な悪を倒すことができたのだ。
エリュシオン星人は、恐らく生き残っているであろう自分の同胞を探すため、宇宙に旅立っていった。
ライダー達から教わった、勇気を持つことの大切さをその胸に抱いて。
場面は変わり、健一と共にドッジボールに興じる本郷たちの姿を、茂は木陰で休憩しつつ眺めていた。
ふと、駆け寄った本郷が茂に声をかける。いつまで手袋をしているつもりなのだと。
茂が「いけね、ついくせで…」と照れながら手袋を外すと、そこから出てきたのは金属製の腕ではなく……生身の腕。
エリュシオン星人の科学により、茂たち7人は失っていた生身の肉体を取り戻すことができたのだ。
仲間たちの呼び声に応え、茂もドッジボールの喧噪の中に身を投じてゆく。
ラスト、外された茂の手袋に、蝶々が群がる場面で物語は幕を閉じる。
悪はほろびた。
戦士にやすらぎの日はおとずれた・・・・。
かれらはおもう。
あすの平和は、きみたちの勇気がまもるのだと。
ささやかな愛が平和をうみだすのだと・・・・。
追記・修正は「いい終わり方だったけど、この世界のスカイライダー以降の後輩は映像作品以上に苦労する事になるのでは……?」と思った方がお願いします。
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▷ コメント欄
- 数ある仮面ライダーコミカライズの中でも唯一の「改造人間としての苦しみから解放された」というハッピーエンドを迎えたストーリーだよね。この世界ではスカイ以降の物語は起こらなさそうだし… -- 名無しさん (2018-09-20 01:25:16)
- 都合よく考えてもスカイ、スーパー1、ZX、RXでグランザイラスに挑む事になりそうな… -- 名無しさん (2018-09-20 08:34:16)
- 戦いが終わるのならこれ位のギフトはあってもいいよな。……なんとか大元帥っていなかったっけ? -- 名無しさん (2018-09-20 09:41:27)
- ↑↑スカイライダーは黄緑にならない時点で色々詰み… -- 名無しさん (2018-09-20 16:38:18)
- 当時の作者的には、数十年後もライダーの新シリーズが作られ続けるようになるなんて想像もつかなかったんだろうなぁってくらい未練のないラストだと思う -- 名無しさん (2018-09-20 18:27:10)
- まぁこういう世界線があってもいいよね ところでライダーマンの所、アルマジロングじゃなくてナイフアルマジロだよね -- 名無しさん (2018-09-21 03:30:23)
- そういえばiPS細胞というので改造人間にも生身の腕を生やせるらしいです。 -- 名無しさん (2018-09-21 11:53:30)
- ↑4 特訓だけなら生身でも何とか・・・ -- 名無しさん (2018-09-22 17:54:17)
- 仮面ノリダー「何キングジョッカー!?」(違う) -- 名無しさん (2018-09-26 20:35:05)
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