シュルツ(宇宙戦艦ヤマト)

ページ名:シュルツ_宇宙戦艦ヤマト_

登録日:2018/3/17 (土曜日) 11:05:00
更新日:2024/02/19 Mon 13:40:31NEW!
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「決まっておる。我々冥王星前線基地の名誉にかけて、ヤマトを撃破してしまうのだ」




シュルツは、『宇宙戦艦ヤマト』に登場するガミラス帝国の司令官である。
序盤で退場するキャラではあるが、宇宙戦艦ヤマトという作品の世界観を語るうえで極めて重要な立ち位置にいる人物である。


CV:大林丈史、加藤和夫(第6話のみ)、島香裕(『2199』)



【人物】

ガミラス軍の太陽系侵攻部隊の前線指揮官であり、冥王星前線基地司令官、立場的には後に登場するゲールの部下であったと言える。
しかし上層部への報告はヒス副総統へ直接おこなっており、シュルツの後任がゲールであったとも考えられる。
ヤマトが初めて戦ったガミラス軍の司令官で、その名も顔もヤマトには知られることはなかったが、ガミラスというものをヤマトの乗組員たちに深く刻み込む活躍を残した。


見た目は頭が禿げ上がった老齢の男性。やや腹が出ているようにも見える。
ガミラス人の設定が改変される前のキャラなので、地球人と同じ肌色をしている。しかし、ゲーム作品などではガミラス人の肌色になっている。
副官としてガンツを従え、遊星爆弾による地球攻撃をおこなってきた。
基本は落ち着いた人物であるが、予想を超えたヤマトの能力にしだいに焦りを感じるようになってくる。
デスラー総統への忠誠心は厚く、死の瞬間までそれが揺らぐことはなかった。


【能力】

デスラードメルといった派手な戦術家の影に隠れがちだが、彼もかなり優秀な戦術家である。


まず、地球を滅亡寸前に追い込み、地球防衛軍を壊滅させたのは地球とガミラスの間の科学力・軍事力の大差があるにしてもシュルツの手腕によるものであることは間違いない。
そもそもガミラス帝国にとって最重要移民対象である地球攻略に無能な人間が任ぜられるわけがなく、侵略戦争を繰り返すガミラス軍の中でシュルツの年齢まで生き残れはしないであろう。


地球をあと一年で滅亡の状況まで追い込み、それでなお手を抜かない老獪さもあなどれない。
冥王星に最後の反撃をかけてきた沖田艦隊も冥王星のはるか手前で捕捉し、戦力を出し惜しみせず全力で叩き潰している。
また、太陽系内にはパトロールを置き、監視体制にもぬかりはない。
そしてなにより、鉄くず同然であったヤマトを危険分子と見抜き、空母まで持ち出してつぶそうとする用心深さは特筆すべきものだろう。
この用心深さこそシュルツの優秀なところであり、後のシリーズではだいたい優勢になると手を抜く司令官が多い中で、常に全力投球であったことは評価すべきに違いない。
冥王星での決戦では周到な作戦で、ヤマトをまさに撃沈一歩手前のギリギリまで追い詰めた。


ただし、この用心深さはシュルツの長所でもあるが短所でもあり、木星や土星では故障中のヤマトに対して偵察を優先したため無防備なところを叩く好機を逃してしまっている。


そして、シュルツもまた誇り高いガミラス軍人であり、熱いガミラス魂を宿した武人であったことを忘れてはならない。


【人間関係】

  • ガンツ

副官。短躯な若い男性で小太りぎみ。
用心深いシュルツとは裏腹に若さが目立つが、彼の言う通り一気に攻めていたら故障中のヤマトに簡単に勝てていた場面があるのが皮肉である。
シュルツの腰巾着な印象が強いが、小説版ではシュルツの失態で司令官の地位の横取りを狙う腹黒い一面も見られた。
最後はシュルツとともにヤマトに特攻して戦死。
ゲーム版では忠臣として描かれ、冥王星では戦死せずにヤマトの情報をコルサックやドメルに伝達したのち自ら戦艦を駆ってシュルツの弔い合戦を挑んで来る。
2199では「ゲルフ・ガンツ」名義。


  • 美男司令

木星の浮遊大陸基地の司令官。
シュルツからヤマトの偵察とミサイル攻撃を命じられて実行した、それだけの人。
ほぼモブ同然のくせにキャラデザがやたらとイケメンなためこの名がついた。
なお、無印ヤマトではモブで声優の使いまわしが多いため、彼のcvがガミラスで一番偉い人になっちゃってたりする。
2199では「サレルヤ・ラーレタ」という、全く別のオカマキャラに変更された。


  • 高速艇パイロット

美男司令の配下のパイロット。
名無しキャラだがその操縦技量はシリーズ全体から見ても相当なレベルで、古代のコスモゼロを撃墜寸前まで追い詰めた。
最後はジャングルを目くらましに後方についたコスモゼロの銃撃を受けて被弾墜落。
浮遊大陸のはしに引っかかってなんとか脱出しようとするがかなわずにガスの海に落ちていった。
その強敵ぶりはガミラスへの憎悪に凝り固まっていた頃の古代からも、最後を敬礼でおくられた。


  • ヤレタラ

タイタン付近をパトロールしていたパトロール艇の艇長。番号からするに、他にもパトロール艇は多数いたと思われる。
シュルツからヤマトの偵察、コスモナイトの採掘阻止と捕虜を捕ることを命ぜられ、宇宙戦車二両で出撃する。
しかし古代の機転とアナライザーの活躍で失敗し、彼も射殺された。
この際「ツバク・カン・サルマ(みんな、向こうの戦車に乗れ)」というガミラス語を残している。逆向きに読んでみよう。
なお、この時古代は顔出しのガミラス人と間近で相対しているのに、後に捕虜にしたガミラス人が地球人型と知って驚くという矛盾が生じている。
2199では「ヴォル・ヤレトラー」名義。


忠誠の対象。しかしこの時点でヤマトはデスラーにとってとるに足らない相手であり、シュルツの苦渋も伝わっていなかった。
だが、小説版新たなる旅立ちでデスラーの回想でシュルツの名もあげられており、総統の心に名前が刻まれていたことが判明、忠誠が報われた形となった。


  • ヒス

ガミラス副総統。やや小心者なところが用心深いシュルツと合ったのか、ヤマトを警戒するシュルツに理解を示す場面があった。


  • コルサック

PSゲーム版のオリジナルキャラクター。シュルツの兄。
シュルツと顔はそっくりでガンツも見間違えかけたほどだが、顔の半分を機械化しており、いかつい印象が強い。
弟に輪をかけた武人肌の人物で、退役してベッドで死ぬことをよしとせず、同じく退役間近の老兵たちばかりの艦隊で、弟を倒したヤマトに「死ぬための戦い」を挑んで来る。
その戦塵の中で生涯を貫いてきた戦いぶりは古代たちも戦慄させ、沖田艦長をして「彼らの魂は真の勇者のみが行けるという死後の世界、ヴァルハラに向かったように思える」と言わしめた。


【旗下の兵力】

  • 艦隊旗艦級戦艦

葉巻型の船体の上部に大口径3連装光線砲と艦橋を持つ大型戦艦。
ファンの間ではシュルツ艦という通称でも呼ばれる。
冥王星を脱出してヤマトに最後の戦いを挑むが、アステロイドリングで艦隊は全滅。自身もヤマトに体当たり一歩前まで迫るが、ロケットアンカーを撃ち込まれたことで軌道が狂ってアステロイドに激突して爆発した。


  • デストロイヤー艦

ガミラスの中核をなす代名詞的宇宙艦。
冥王星基地にも多数が配備されており、冒頭では地球艦隊を迎え撃って全滅させた。
ヤマトやブラックタイガーには分が悪く多数が撃沈されるが、反射衛星砲の射程に誘い込むという作戦は成功させた。
残存艦隊が傷ついたヤマトに挑むが、アステロイドリングの鉄壁の防御には砲撃も通じず、最後の手段で全艦での特攻を行って散った。


冥王星前線基地の新型兵器。衛星軌道上の静止衛星を反射板として使い、冥王星のどこへでも一門の砲で攻撃をおこなうことができる。
威力も申し分なく、一発の命中でヤマトに大打撃を与え、最終的に四発が命中したヤマトは完全に戦闘不能にまで追い込まれた。
しかし基地内部に潜入した特別攻撃隊の仕掛けた爆弾で破壊され、その余波の洪水で冥王星前線基地は壊滅した。


  • 高速十字空母

十字型の円盤形をした特異な形の空母。
十字状の下部から雷撃艇を発進させ、自身にもミサイル砲が搭載されている。
九州沖の沈没戦艦大和を怪しんで偵察攻撃を行った一隻は始動したヤマトの主砲射撃で撃沈され、もう一隻がワープテスト前のヤマトを強襲するも、コスモゼロとブラックタイガーの迎撃で水雷艇は全滅し、ヤマトに放ったミサイルも寸前でワープでかわされて取り逃してしまった。


【その活躍と最期】

登場は三話からで、高速空母を倒したヤマトに対して超大型ミサイルでの発進阻止をおこなう。
それが失敗すると別の高速空母でヤマトを襲撃するも、ヤマトにワープで逃げられてしまう。
この辺りから初の超光速飛行をおこなったヤマトを脅威とみなすようになってくる。


そして、浮遊大陸が波動砲消滅させられたことで大きなショックを受け、ヤマトを強敵と認識。しかし、その脅威をデスラーに報告するも一笑に伏されてしまう。
この時の波動砲の印象は彼の中でトラウマなみに強く、土星ではヤマトが故障中の絶好の好機にも関わらず、波動砲を恐れるがあまり手出しをしないでいるうちに艦隊を出す機会を失ってしまった。
実際は波動砲はそんなに軽々しく使える兵器ではなく、シュルツの不安は杞憂であったのだが、この時点の彼がそれを知れるわけもない。


だが、彼には秘密兵器があり、ヤマトを冥王星にまで引き込み、切り札である反射衛星砲で大打撃を与えることに成功する。
この際のシュルツの作戦は冴え渡っており、旗下の艦隊や超大型ミサイルを惜しみなく使い、ヤマトを損傷させ、かつ勝利に酔わせた状態で反射衛星砲の射程に引き込むことに成功している。


反射衛星砲の第二撃、第三撃でヤマトを冥王星の海に沈め、ついに彼も勝ち誇る。
しかしヤマトはかろうじて生き残っており、とどめに放った潜水艇部隊を撃退され、急激に焦りを見せ始める。
それでもしばらくすると落ち着きを取り戻し、ヤマトが反射板衛星の動きで衛星砲をかわしだしていることを見抜くと、ヤマトの死角の衛星を使って第四撃をヤマトに直撃させるという切れ者ぶりを見せつけた。


だが、さしもの彼もヤマトの特攻隊が基地に侵入していることまでは見抜けず、爆弾を仕掛けられた衛星砲は爆発四散。
基地も余波の洪水で押し流されてしまい、艦隊とともに脱出するので精一杯であった。


その後、デスラーから最後通告を突きつけられ、必死でヤマトを捜索するも見失ってしまう。
だがこの時、ヤマトも大破状態でとても戦闘などはできず、かろうじてアステロイドベルトに隠れて時間稼ぎをするので必死な有様だった。
なお、ヤマトがここまで手も足も出ない惨状に陥ったのは、後のドメルのときくらいである。


それでもヤマトを発見し、艦隊の総力で攻撃を仕掛ける。
しかし、ヤマトは新兵器『アステロイドリング』で艦隊の砲撃をことごとくかわし、シュルツは焦りを隠せなくなっていく。
このまま戦いが長引けばヤマトは修理を完了して波動砲を使えるようになる、そうなれば我々に勝ち目はない。
そう考えた彼はついに最後の手段として、体当たりによる特攻を決断する。


戦慄するガンツだったが、シュルツは悲壮な決意で彼に告げた。


「どうせ二度とガミラスへ戻れないなら、死をかけてでも栄光を手にするのだ」


「シュルツ司令……」


「これがガミラス軍人の運命だ、あきらめろ」


「……はっ、どこまでも、お供いたします」


そして彼は、旗下の全艦に対してこう訓示した。


「冥王星前線基地の諸君、長いようで短い付き合いだった。これより、ヤマトへの体当たりを敢行する。それ以外に活路はないのだ」


「諸君の未来に栄光あれ。冥王星前線基地の勇士たちよ、覚えておきたまえ……」


「我らの前に勇士なく、我らの後に勇士なしだ!」


この訓示にガンツも感涙し、全艦隊がシュルツと運命を共にすることを決意する。
そして、決死の体当たり攻撃が行われ、艦隊は次々とアステロイドリングの前に散っていく。
最後に残ったシュルツ艦のみがヤマトへの直撃コースに乗り、彼は最後の絶叫とともにヤマトに突っ込んでいった。


「デスラー総統ばんざーい!!」


だが、ヤマトは寸前でロケットアンカーをシュルツ艦に撃ち込んで軌道を逸らし、シュルツ艦はアステロイドに激突して大爆発して散った。
ヤマトは勝った。しかし、それはガミラスの底知れない力と、これからの苦難の旅立ちを予感させるものだった。


【まとめ】

ヤマトに敗れはしたが、その戦いぶりや人物は決して軽く扱われるものではない名キャラクターであった。
上記の活躍のとおり、無能というには程遠い名将であり、ヤマトをギリギリまで追い詰めた強敵だった。
さらに、その誇り高い武人の魂はガミラス軍人の鑑というべきであり、小説版では造反の機会を伺っていたガンツも最後の訓示の後には、
「ああ!俺はもっとこの司令を補佐するべきだった。立派な軍人だ!!」
と、心から感動させ、全将兵の心をひとつにしている。
ヤマト側からしても、その誇り高い散り様は印象深かったようで、それまでガミラスを血も涙もない侵略者と考えていた彼らに対して、ガミラスも誇り高い武人の魂を持った相手だと再評価させるきっかけになった。
コミカライズ版では特攻をかけてくるのはシュルツ旗下の将軍だが、沖田艦長も「敵ながらすばらしい相手だった」と惜しみなく称えている。
宇宙戦艦ヤマトという作品そのものにしても、敵も地球人たちと同じ誇りと魂を持った人間たちであると視聴者に教える重要な位置づけであったと言える。


ヤマトという未知の強敵に対して全力で挑み、敗れてもなお忠誠心を揺るがさずに散った生き様と散り様は、後にヤマトをあなどって無様に散っていく愚将が相次ぐ中でもドメルなどと並んで輝いている。
反面、ヤマトを過大評価しすぎて敗れた珍しいタイプの敵将でもある。
ヤマトの大半の敵はヤマトをとるに足らない相手と侮ったのが敗因となっているが、シュルツはヤマトの能力、とりわけ波動砲を恐れすぎて何度もあった好機を逃している。
総合すると、攻勢よりもむしろ冥王星での防衛戦で見せた手腕のように、守勢の戦いに向いた人材だったのかもしれない。


【2199において】

フルネームは「ヴァルケ・シュルツ」。
2199では部下共々ガミラスに侵略され、組み込まれた二等臣民のザルツ人という設定になっており、旧作での肌色の矛盾を上手く解消している。
本作ではヒスではなくゲールに報告を行っており、彼の部下であることが明確化されたほか、かつてはドメルの元にいたことになった。何故かその有能さも納得できてしまう設定である。


また、妻のライザと娘のヒルデという家族がおり、特にヒルデの可愛らしさは一部に熱烈なファンを持つほど。


残念ながら旧作の名台詞「我らの前に勇士なく~」はカットされてしまったが、ゲーム『スーパーロボット大戦V』では戦闘台詞として採用されている。



追記と修正はガミラス勲章をとってからお願いします。


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  • 調べてみたらシュルツが戦死した第9話が74年の12月1日、ブラック指令として初登場したレオ第40話が75年の1月10日、約40日後っていうのが驚いた -- 名無しさん (2018-03-17 22:53:32)
  • 2199でのシュルツ司令は苦悩する父親という印象が強かった、最後に登場した回の第8話では娘のホログラムレターを見てたり散り際に妻と娘が脳裏に浮かんだりとかしてたし。 -- 名無しさん (2018-03-22 12:17:02)

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