登録日: 2018/02/09 Fri 04:31:14
更新日:2024/02/19 Mon 11:16:29NEW!
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週刊少年チャンピオン 料理 料理漫画 ツッコミどころ満載 カオス 熱血 バトル漫画 漫画 秋田書店 おもむろ=ゆっくり 意外と名勝負多し あかねこが 谷上俊夫 私立味狩り学園
『私立味狩り学園』とは、原作/あかねこが、漫画/谷上俊夫の料理マンガ。
1987年から週刊少年チャンピオンにて連載。単行本は全11巻。
概要
チャンピオンの料理マンガと言えば、今なお語り継がれる破天荒な作品「鉄鍋のジャン!」が有名だが、本作もそれに負けず劣らずのトンデモ料理マンガである。
むしろ、作風的には後のトリコの方が近いかもしれない。
ストーリー
古代より食物を得ることは生命がけであった……
たとえ危険を冒しても自分の食べたいものを食べようとする。それが味狩りである
……という物騒なナレーションと共にマンモスを狩ろうとしてマンモスの牙に刺殺される原始人の絵からこの漫画は始まる。
最初からツッコミどころ満載だが、とりあえず最初の3話を要約する。
menu1 味を狩る人々
町の食堂「天突亭」は天堂姉弟2人で切り盛りしている小さな食堂。
その弟「竜馬」は料理は作るより食べる方が好きという普通の青年だった(料理マンガの主人公です)。
ある日ガラの悪い不良が食い逃げを図ろうとする。
当然それを止めようとする姉だったが、不良はなんと極太チェーンを振り回して暴力を振るって来た(料理マンガの開始6ページ目です)。
そこに割って入った竜馬は、さらにアーミーナイフを取り出して暴れる不良に対し、料理用ナイフで反撃する(料理マンガ(ry)。
不良の身体を傷つけず、衣服だけを切り裂く竜馬の手さばきに感心する怪しい影があった。
すると業を煮やした不良はあろうことか、大型バイクを持ち出して竜馬を轢き殺そうとする(料理(ry)。
だが、不良のバイクは怪しい影が投げつけたビール缶で撃退された。
落ち着いたところで姿を現した怪しい影の正体は一人の老人だった。
その老人は自身を「味狩り学園」という学園の園長と名乗り、竜馬に勝負を申し込む。
勝負の内容は「リンゴ早剥き対決」。自信満々にたった4秒でリンゴを剥き終わった竜馬だったが、実際には竜馬はリンゴのヘタと尻の部分の皮を残しており、さらに厚く剥いていたために味も学園長に劣っていた。
負けを認めた竜馬は約束通り学園長の指示に従い、味狩り学園に入学する…
menu2 強飯式
連れてこられた味狩り学園はなんと山奥に建つ洋風の城。
それに驚く竜馬に幾人もの生徒が詰め寄って来る。
彼らは自らの料理を食うようにと竜馬に要求するが、わけのわからない彼はこれを拒否。
するとなんと生徒の一人がラップを取り出して縦横無尽の動きで竜馬を拘束してしまった(これ料理マンガだよね?)。
無理矢理押し込められる料理だったが、それらはいずれも未完成品ばかり。竜馬はそれらの料理の欠点を次々と指摘していく。
これは学園流の入学の儀式「強飯式(ごうはんしき)」であり、これらの料理の欠点をあっという間に見破った生徒は竜馬が初めてであった。
最後に学園の中に連れてこられた竜馬は学園長に「最高の料理」と称されて一杯の水を出される。
それは一見ただの水だったが、実際には数億年前の空気をそのまま閉じ込めた南極の雪解け水で、極上の味わいを持っていた。
この水の美味さを知った竜馬は自ら学園に入学させてもらうように学園長に頼み込むのだった。
menu3 恐怖の泥仕合
入学した竜馬だったが、授業に遅刻するわ、料理をつまみ食いするわと問題行動ばかり。
特に竜馬の調味料の扱い方(コショウのビンをつっかえ棒にしてつまみ食いしようとした)に腹を立てた生徒会長「目方秀一」は「口で言ってもわからないようだな」と生意気な転入生に罰を与えることを宣言。
いよいよ料理対決か……と思ったらおもむろ急に上半身裸になり中庭に出た秀一。
地面に大量の泥を撒き、「天堂竜馬! 貴様に料理学校の心得を叩き込んでやる!」の宣言と共に竜馬に泥をぶちまけ始めた!
これこそ秀一の必殺技、その名も「人間ピータン」!
だが、大量の泥をかぶりながらも竜馬は反撃を開始。逆に秀一を泥団子の中に詰め込み、「これが本当の人間ピータンだ!」と秀一よりもレベルの高い(?)技を披露したのだった…。
そう、サブタイトルの「泥仕合」とは文字通り泥を掛け合う戦いのことだったのだ!(このサブタイトルを考えた時絶対に作者は大ウケしていただろう)
……漫画が始まって3話も経っているのに、主人公が料理しているシーンが一瞬たりともない(流石にリンゴの皮むきは料理ではないだろう)とか、学園長はあんなところで昼間からビール飲んでなにやっていたのとか、人間ピータンって料理と全く関係ないよねとか、早くもツッコミどころ満載である。
一応ここからは比較的まともな料理マンガにシフトしていき、全国をインスタント食品とファストフードの味で埋め尽くそうとする巨大企業「剛大グループ」とその傘下の学園「剛大グループ料理研究学校」の生徒(というか鬼崎)との戦いがメインになってくる。
ちなみに恐らく日本で最初に「アボカド寿司」を紹介した漫画でもあり、先見の明は意外とあったと言えなくもない。。
登場人物
天堂竜馬
何かしらの理由でストーリー開始時には停学になっている不良学生。
しかし、内面は友達や家族への思いやりに溢れているというこの時代では割とありがちな不良系主人公である。
「自分が食いたいものを作る」という意外とありそうでなさそうな動機で料理を作っており、腹が減れば減るほど頭が冴える特異体質。
そのため、勝負の直前には走り込みをやらされ、料理途中のつまみ食いは仲間たちに止められるというのがお約束。
ありあわせの道具で行う豪快かつセオリーを無視した料理が得意。
鬼崎法人
長髪イケメンの典型的ライバルキャラ。だが、上半身はマッシブ。
「剛大グループ」の傘下であり、その料理技術は既にプロ顔負け(……どうでもいいが、「剛大料理研究学校」の講師陣は全く以って姿を見せない。鬼崎が優秀すぎるからだろうか?)
剛大グループ謹製のインスタント食品や缶詰を駆使して多種多様な料理を作り上げる天才。化学や知識を生かした常識外れの料理を作り上げる。
特にクライマックスに作った料理(後述)は、料理マンガ史上間違いなく類を見ない代物である。
中盤からはその知識から様々な要素を親切に解説してくれるキャラになってきている。
氷川京介
包丁争奪戦編から登場した黒マントのライバルキャラ。
性格が悪い。後、友達がいない。
その黒マントの下には様々な料理器具を隠し持っている。お前はブラックジャックか。
料理の腕は確かだが、友達がいないことを割と本気で気にしており、最後は竜馬の心意気に触れてツンデレ化して去っていた。最終話にもチラッと登場。
立派な名前があるはずなのだが、なぜか作中ではほぼ全編通して「黒マント」としか呼ばれない。竜馬はともかく、観客とか審査員まで「黒マント」呼ばわり。ひょっとして作者も名前忘れてないか?
学園長
本名「海野山千吉」。
かつて帝国ホテルで務めていたという伝説的料理人。
だけど本編で作った料理はリンゴの皮むきとカツオの三枚おろしぐらい。どっちも超人的技術ではあったけど。
色々と竜馬をサポートする。
ラスボス。
ロッキー岩城
なぜか人民服を着た大柄な男。大富豪。
「五味・五色・五法」に則った料理こそ至高と言う。中ボス的ポジションだったが、ラストでそこそこ大事な役割を果たす。
鍋将軍
伝説の「包丁の包丁」を巡る料理大会「包丁争奪戦」の発案者。
富士山麓を借り切って大規模な料理大会を開くなど、その権力は絶大。
目方秀一
味狩り学園生徒会長。上半身がマッシブ。
一応竜馬の最初の対戦相手だが、それ以降は完全に竜馬の下っ端と化している。
基礎的な料理技術こそ高いものの、サポート・裏方役ばかりであり、自ら料理の腕を振るったのはそれこそ最初の勝負ぐらい。
後は竜馬の斬新な技術に驚くのが主な仕事。
愛嬌満次郎
味狩り学園副会長。
秀一よりは温厚で穏やかな性格。でも裏方。
なぜかマイクロバスを運転可能。お前学生だろ。
ひとみ
たぶんヒロイン。でも姉ちゃんの方がヒロイン力は高い。
アイスクリーム作りが得意。それぐらい。
その他モブ生徒
デカいのとか小さいのとか色々いたけど、包丁争奪戦には参加しなかったので非常に影は薄い。
伝説の最終決戦
本作の料理勝負はなかなユニークなルールの元で行われるものが多く、名勝負ぞろい。
「ガスを使える時間はわずか2分の肉料理対決」「1時間でカツオを使った100種類の全く異なる味の料理」「TV局の食堂にあるスープと食材だけのラーメン対決」「絶対に20kgを上回っても下回ってもいけないカレー対決(ミスったら即死)」「卵+4種の食材で40種の栄養素を全て含んだ完全料理対決」などいずれも見どころ満載。
が、本作を読んだうえで一番印象に残るだろう対決は包丁争奪戦最終戦、鬼崎との一対一で行われた戦いだろう。
その料理のテーマは「審査員の誰も味わったことのない全く新しい味わいの美味しい料理」。恐らく、数ある料理マンガの中でもトップクラスに究極的かつ哲学的な難題である。
この無理難題に対し、二人の若き料理人はどのように答えたかというと……
二人の作り上げた料理の詳細
- 伊勢海老の電流仕上げ
空き缶を捻った金属製の伊勢海老の中に伊勢海老の身と金箔を挟み込んだ料理。
その味わいは''「舌の先がピリピリと痺れるような辛さとも甘さともつかぬ不思議な味」'「強い出汁のような味と新鮮な野菜のような味が同時に駆け巡る」'「頭の奥から宇宙の果てまで突き抜けるような強烈な酸味」''というまさに摩訶不思議なもの。
さて、その正体を尋ねられた鬼崎が自信満々に金属の海老の中を開けるとそこにあったのはなんと……
電池とICチップ
……「味とは舌の先で起こる化学反応であり、その化学反応は電気刺激となって脳にたどり着く」という生物の基本から考えれば、確かに舌を直接電気で刺激すれば、「誰も味わったことのない」味を実現できるだろう。
これを「素晴らしい発想だ!」と称賛するか、「料理マンガでそんなのアリか!?」と憤慨するかは人それぞれだろうが……
- 天狗の麦飯燻製刺身サンド
偶然竜馬が見つけた「食べられる土」天狗の麦飯を用いたタイの燻製と刺身をサンドした料理。
味わいは「炙ったスルメのような、炒りたてのコーヒーのような」もの。
……ぶっちゃけ鬼崎の料理にインパクトでは負けている気がする。
「天狗の麦飯」は珍しいことは珍しいけど、昔から知られている食材だし(それを燻製にしたのは変わったアイディアだが)。
なお、最後まで読んでも結局「味狩り」とは何なのかについてはあまりハッキリしない。
追記・修正は「誰も味わったことのない全く新しい料理」を作ってからお願いします。
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- 「絶対に20kgを上回っても下回ってもいけないカレー対決( ミスったら即死 )」<これ、ご飯のことを勘定に入れてなかったり結構ルールがガバガバだった記憶があるなあ。その前の話で「野菜や肉を全部5kg使い切ってビーフシチューを作れ」があったからねえ -- 名無しさん (2018-02-11 08:57:36)
- ハンバーガーに対抗した「揚げおにぎり」はおいしそうだった。あと黒マント好き。 -- 名無しさん (2018-02-16 10:21:03)
- >数億年前の空気をそのまま閉じ込めた 南極の雪解け水 実は今の南極の氷が出来始めたのは約4000万年前らしい -- 名無しさん (2019-03-20 21:13:10)
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