迷いの森の光彦(名探偵コナン)

ページ名:迷いの森の光彦_名探偵コナン_

登録日:2017/09/10 (日) 17:28:09
更新日:2024/04/24 Wed 16:20:24NEW!
所要時間:約 12 分で読めます



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名探偵コナン 逃亡者 死刑囚 殺人鬼 円谷光彦 群馬県 名探偵コナンエピソード項目 夏の風物詩 夏休み 迷いの森の光彦 沼淵己一郎 ラジオ体操




でも気にならない?


あの真面目で協調性を重んじる円谷君が…


初めて私達に背を向けて
たった一人でこんな山奥まで来たその理由…



『迷いの森の光彦』とは『名探偵コナン』のエピソードの1つ。
単行本第35巻に収録。テレビアニメでは第289話・第290話として、2002年8月5日と12日に放送された。
探偵団のメンバーである光彦のメイン回。以前の事件でコナンと因縁がある意外な人物が再登場し、終盤ではその人物についての衝撃的な事実も明らかとなっている。



※以下ネタバレが含まれますので、未読・未視聴の方はご注意ください。



【ストーリー】
夏休み真っ盛りである8月12日の日曜日、コナン達少年探偵団と阿笠は朝のラジオ体操に参加していた。
しかし、そこには何故か光彦の姿がなく、彼を心配したコナン達はラジオ体操が終わるとすぐに光彦の自宅を訪問する事に。
姉の朝美によると今日は探偵団の皆と一緒にキャンプに行くと言って、昨夜から笹団子と日焼け止めローションをデイパックに詰めて準備していたらしい。そして光彦の部屋を調べると毎週日曜日にラジオ体操を休んでいる事が判明した。
コナン達は朝美の話を手がかりにして光彦の捜索を開始し、目撃証言を辿って群馬の山奥までやってくる。
コナンはそこで追跡メガネを起動させ、光彦の探偵団バッジの反応を頼りに阿笠達と森の奥へと入っていく。するとその先で山村や群馬県警の捜査員達と遭遇した。
山村の話では大阪から移送した連続殺人犯・沼淵己一郎が現場検証中に逃亡を図ったらしく、今も懸命に捜している最中だという。
この事を知ったコナンはこの森に凶悪犯が潜んでいる事を光彦に伝えようと探偵団バッジで呼びかけるが、なぜか光彦はその呼びかけに応答しようとはしなかった。
果たしてこんな山奥まで1人で来た光彦の目的とは?そしてコナン達は光彦の身に沼淵の危害が及ぶ前に彼を見つけ出す事が出来るのか……?



【関係者】

  • 沼淵己一郎(ぬまぶち きいちろう)

CV:龍田直樹
浪花の連続殺人事件』にも登場していた連続殺人犯。
関東、東北、近畿と3日続けて殺人を重ねた凶悪犯であり、『浪花の~』の事件の最中に逮捕された。
取調べを受けていた時に急に「4人殺した」と言い出し、その人物の遺体を母親の故郷である群馬の森の中に埋めたと供述したので、大阪から群馬に移送されて現場検証に立ち会う。
しかし朝から現場検証をしているものの記憶が曖昧だったため、森のどこを掘っても死体が見つかる気配がなかった。
そして警察の隙を突いて逃亡し、森の奥へと消えていった。
最初から逃亡するために「死体を森へ埋めた」とウソをついたとも考えられたが、山村の話では逃走する直前にもこの森での思い出話をしていたらしく、とても逃げる様子ではなかったという。


余談だが、アニオリ回の『謎の美女記憶喪失事件』等のように最初から脱獄囚として登場した人物はいたものの、過去のエピソードで捕まった犯罪者が逃亡犯として再登場したのは沼淵が初めてである*1


  • 円谷朝美(つぶらや あさみ)

CV:大谷育江
中学生で光彦の姉。
顔は光彦に瓜二つだが性格は陽気。光彦の事は「光っちゃん」と呼んでいる。
光彦を訪ねてきたコナン達に光彦が笹団子と外国製の日焼け止めローションを持って朝早く出て行った事を教える。
そして光彦の家出疑惑が浮上した際には「ドラマみたいじゃない!」と呑気な事を言って瞳を輝かせていた。阿笠「喜んでどうするんじゃ…


  • 光彦の母

CV:MAI
光彦と朝美の母親。
幽霊屋敷殺人事件』で1コマだけ登場していた人物であり、今回で学校の先生である事が判明した(ちなみに夫(光彦達の父親)も先生)。
姿は見せなかったが、朝美に早く家を出ないとピアノ教室へ遅れると注意していた。
余談だが、光彦の丁寧な口調は両親の影響で陽気な朝美も両親の前では口調が丁寧になる。


  • 女の子

CV:松岡由貴
帝丹小学校の3年生で、休みの日は家であるフラワーショップ「FUJIWARA」でお手伝いをしている。
とある日曜日に光彦と会った際、彼の事を「カッコイイ」と褒めたらしい。
先週の日曜日にラジオ体操に行く途中のバス停を通りがかった時、おじさん2人に怒られている光彦を目撃。その際におじさん2人が武将の名前を言っていたのを聞いていたが、その名前をはっきりと覚えていなかった。
そして今朝はレモンのような香りを漂わせる光彦を同じバス停で目撃するが、声をかけても無視されてそのままバスに乗り込んだという。


刑事
CV:菅原淳一
群馬県警捜査一課の刑事で山村の先輩。
大阪府警の刑事達と一緒に沼淵の現場検証を行っていたが、彼らが昼食を買いに出かけた後で急にもよおしてしまい、沼淵を別の刑事に任せて草むらで用を足した。
しかし、沼淵を任せたのがよりにもよって新米ヘッポコ刑事である山村だったので、彼が油断した隙に沼淵が逃亡してしまう事となる。ダメだこの県警…
ちなみに『封印された洋窓』や『霧にむせぶ魔女』などで山村が度々言っていた「先輩刑事」は恐らくこの人の事だと思われる。



【レギュラー陣】

ご存知主人公。
朝美達の証言を頼りに光彦の足取りを辿り、仲間達と群馬まで向かう。
沼淵が森に逃げ込んだと知ると追跡メガネで光彦の居場所を特定しようとするが、生憎電池切れとなったので、光彦がこの森に来た理由を推理して彼を見つけだそうとする。


ご存知天才小学生で今回のメイン。
夏休みのラジオ体操をなぜか毎週日曜日に休んでいる。
今日も日曜日だったのでラジオ体操を休んでいたが、家族には「ラジオ体操が終わったら探偵団とキャンプに行く」と言って昨夜からしっかり準備をし、今朝早くからどこかへ出かけている。
どこかに向かっているところを何人かに目撃されていたので、その目撃証言からコナンは彼が群馬の山奥にいる事を突き止めた。
コナン達が群馬の山奥に着いた頃は1人で森の中を彷徨っていたが、探偵団バッジでコナンに呼びかけられても「それは絶対に出来ない」という理由で何故か応じようとはしなかった。
どうやら探偵団バッジを取ってしまうと「ここに来た意味がなくなる」らしいのだが……?


ご存知哀ちゃん。
人一倍協調性を重んじている光彦がなぜ今回はコナン達に黙って1人で山奥まで行ったのか、その理由を気にしている。
沼淵の特徴をやけに詳しく知っており、彼が側にあった木の上に身を潜めていた時には「何も感じなかった…」と動揺するが、それにはある理由が……


ご存知天才発明家。
光彦が家出したんじゃないかと不安になる探偵団を安心させようと、光彦がレモンのような匂いを漂わせていた事にかけて「一目惚れした女の子についていただけなのかもしれんし。初恋はレモンの味じゃと言うしな」とジョークを言うが、探偵団をシラけさせるだけで終わった(笑)。


ご存知純真小学生。
沼淵が木の上にいるところを見つけ、思わず悲鳴を上げる。


ご存知探偵団団長。
「夏の風物詩」や「ルーズ」の意味をよく知らず、「夏の新聞紙」と聞き間違えたり「ルーズソックス」の事だと勘違いしたりしていた。


群馬県警の刑事。
先輩刑事に沼淵を任されるが、目を離した隙に逃げられてしまう。
そして森に迷い込んだ光彦の事を仲間に伝えられなかったので、「これでクビ決定」と落ち込み「刑事なんて向いてなかったのかな」と涙を流す。
しかしコナンに「これまでにいっぱい事件解決してきたじゃない」と励まされるとすぐに立ち直り、「これからは自分の事を“山さん”と呼んでください」と刑事ドラマの登場人物になりきった(笑)。
ちなみに子供だった頃は今回光彦が迷い込んだ森でよく友達と遊んでいたらしい。



以下、事件の真相。さらなるネタバレにご注意ください

























  • 円谷光彦

彼がたった1人で群馬の山奥まで来た理由は、この前の花火の帰り道での会話の中にあった。
その時は「夏の風物詩」について阿笠が「都会で今でも残ってるのは花火かラジオ体操ぐらいしかない」と残念がっていた。
その時の会話で夏の風物詩の1つである「蛍」が出てきたので、歩美と灰原は「一度でいいから蛍を見てみたい」とつい言っていた。
それを聞いていた光彦は仲間や家族に内緒で蛍の生息地まで行き、そこで蛍を捕まえて帰り、歩美と灰原を驚かそうと計画したのである。


蛍の知識はあっても詳しい生息地は知らなかったので、日曜日に蛍の保護活動を行っている人達をバス停で見つけ、彼らからその場所を聞き出そうとする。
だが蛍は綺麗な水辺にしか生息出来ないため、光彦に荒らされると思ったその人達は「教えられない」と言って光彦に怒った。
それでも諦めきれなかった光彦は前日に蛍を捕まえる準備をしっかり整え、その人達を尾行する事にした。
なお朝美から日焼け止めローションを借りたのは、それが虫除けを兼ねた日焼け止めであったから*2
笹団子を持っていったのは笹の葉を虫籠に敷いて「蛍籠」を作るつもりだったからである。
また3年生の女の子が聞いたという武将の名前とは「源氏」と「平家」の事で、どちらも「ゲンジ蛍」「ヘイケ蛍」として蛍の名前に使われている。その証拠に女の子が連想していた「上杉と武田」「豊臣と徳川」はいずれも敵対関係にあった武将の名前であった。


おじさん達を追って山奥まで入った光彦はその先で運良く蛍を両手で捕獲。
だが夢中になって森へと入っていったので気づいた頃には迷子になってしまい、両手が塞がってしまったために探偵団バッジを取る事も出来なくなってしまう。
しかも、自分の居場所を知らせるために大声で助けを求めていた事で辺りが暗くなる頃には喉が潰れて声が出せなくなってしまった。
それでも諦めずに森の中を歩いていくと遠くの方でコナンの声が聞こえ、すぐに声のするほうへと向かおうとするが、そこに逃走中の沼淵が現れた。
沼淵が連続殺人犯である事は知らなかったが、彼がいきなり追いかけてきたので必死になって逃げようとする。
結局は沼淵に捕まってしまうが特に何もされる事はなく、そのまま彼に抱えられてコナン達のところまで連れて行かれた。
沼淵から開放された後は元太に両手を掴まれた時に今まで手で覆っていた蛍を放してしまう。そしてここまで来た理由をコナンに説明され、蛍を見た歩美と灰原に「ありがとう」とお礼を言われると、頬を赤くして照れながらも笑顔を見せていた。



一緒やな…



おまえはワシと…


同じや…


  • 沼淵己一郎

実は持ち前の身軽さを買われて一時期黒の組織に所属していた事がある。しかし一員と言っても末端中の末端であり、コードネームも与えられていない。
組織は彼に殺人術を叩き込み有能な殺し屋にしたかったようだが、どうにも使えなかった為に人体実験のモルモットとして灰原が所属していた組織のラボに送り込まれており、その為、灰原は事前に送られてきた資料で彼の事を知っていた。
灰原は彼に自分の作った薬を投与して効果を試そうとしていたが、組織の大きさに怖くなった彼は人体実験の前に逃亡する。
そして、組織の影に怯えながら、無関係な人間3名を組織の追っ手と勘違いして殺害していった。
ちなみに組織に入る前にも悪ふざけで人を殺した事があるらしい(この人の事を言っているのかは不明)。
逃走の末に逮捕され、テレビカメラに向かって「悪いのは奴ら(黒の組織)だ」と叫ぶが、ただの言い訳にしかとらえられなかった事と組織に深入りしていなかった事、そして自らが起こした連続殺人の裁判で死刑判決が下された事から、組織は彼から手を引いているようである。


取り調べで4人目の遺体を埋めたと言って群馬の山奥まで行き、警察の隙を突いて逃走する。
そして辺りが暗くなるまで森の中をずっと彷徨っていたが、木の上にいた時にコナン達の会話を聞き、子供が蛍を探しにこの森に迷い込んだと推測する。
その後で光彦と遭遇すると、彼に危害を加えようとせずに捕まるのを覚悟で彼をコナン達の元まで送り届けた。


光彦を送り届けた後は大人しく警察に捕まりそのまま連行される。
この一連の彼の行動を見て、コナンは「ひょっとしたら4人目の遺体を埋めたなんて話はウソで、死ぬ前にかつて森で一緒に遊んだ旧友(蛍)に会いに来ただけかもしれないな」と推測する。
そう考えると、森の中で光彦に出会った時にふと「お前はワシと同じや」と呟いたのも説明がつく(どちらも蛍を探しに森までやってきていた為)。
そして連行されている途中で蛍が一斉に飛び立つと沼淵はどこか懐かしくも寂しそうな表情でその幻想的な光景を眺めていた。


  • 灰原哀

先ほど沼淵の気配に気づけずに動揺していたのは彼から組織の匂いを感じ取れなかった為で、かつて起きた10億円強奪事件の前にも姉である明美から組織の匂いがしていた。
灰原にとっては危険を察知する唯一の感覚だったが、組織を抜けてプレッシャーの無いありふれた日常を過ごしてきた事で鈍ったらしく、それを悟った彼女は焦りの顔を見せるが、そこへ…


良かったじゃねーか!


それだけオメーが普通になったって事だろ?


…とコナンから言葉をかけられる。
その言葉に驚く様子を見せていたが、もしかしたらコナンのこの言葉によって少しは気が楽になったのかもしれない。



【その後】
群馬での出来事から数日が経った登校日の事。歩美と灰原は昨日のニュースで大発見と騒がれた「伝説の動物」の話題で盛り上がっていた。
その動物の名は「ツチノコ」。歩美がそのニュースを知った時にはすぐ別のニュースに変わってしまった為、どのような姿かは分からなかったそうだが、歩美が灰原に「見てみたいよね!」と言うと、灰原は「そうね…」と返事した。
その様子を見ていた光彦は岐阜や岡山、兵庫でツチノコが目撃されている事を思い出し、それを聞いた元太は近々岐阜のおじさんのところに遊びに行く予定があった事を話す。
どうやら元太は岐阜に行った時にツチノコを見つけて歩美達をビックリさせようと考えているようだが、そんな元太を見てコナンは「やめとけって…」と心の中で思うのだった。



【余談】
『コナン』のアニメ版タイトルに「光彦」が登場したのが今回が最初だが次に「光彦」というタイトルが付いたのはおよそ21年後の2023年1月7日放送の『円谷光彦の探偵ノート』というエピソードである。





追記・修正は、女の子と浜辺に行って笹団子を食べてからお願いします。



  • このエピソードにて、光彦の行動と山村がライト付腕時計を珍しがるシーンは覚えてた。 -- 名無しさん (2017-09-10 19:43:19)
  • ラジオ体操は消えて、花火も騒音とかなんとかで消えかけてますねえ -- 名無しさん (2017-09-10 23:01:11)
  • 朝美がライチュウや姫ちゃんの愛称で呼ばれている。 -- 名無しさん (2017-09-10 23:21:30)
  • 沼淵が寂しそうな表情で蛍を見ていたシーンが一番印象に残ってる。大阪の時は異常犯罪者だと思ったけど、今回のを見て良心は残ってたんだなと思った。 -- 名無しさん (2017-09-11 08:50:23)
  • ↑凶悪犯罪者に良心、あるのは稀 -- 名無しさん (2017-09-11 12:30:17)
  • ↑2完璧な善人が存在しないように、完璧な悪人だっているもんじゃないという事なんじゃないだろうか。 -- 名無しさん (2017-09-11 13:04:20)
  • 殺人犯に逃げられるって大失態して(しかも自分の不注意)山村刑事よくクビにならなかったよな。 -- 名無しさん (2017-09-11 23:26:37)
  • ↑まぁ先輩も先輩だしね・・・草むらで用をたすのもアレだけどなぜ新米で頼りない山村刑事に凶悪犯を任せたのか? -- 名無しさん (2017-09-15 17:20:47)
  • 一見いい話だけど、ダメと言われてるのに勝手に蛍を捕まえ、山で迷っても蛍を逃がしたくないとバッジの応答に出ず・・・どれだけ迷惑かけたんだか。 -- 名無しさん (2018-05-12 13:07:57)
  • ↑無粋なやつだなぁ -- 名無しさん (2019-02-11 00:23:29)
  • 以前逮捕されたゲストキャラで逃亡犯となったのは沼淵だけ? -- 名無しさん (2019-12-30 12:59:57)
  • 沼淵、意外にもいい人だったんだね。 -- 名無しさん (2021-11-08 20:41:51)
  • 山村警部が昔この森でよく遊んでた友達って、まさかあの人か? -- 名無しさん (2021-12-08 12:01:12)
  • 哀ちゃんが普通に近づいてるようで何より。 -- 名無しさん (2023-01-14 18:24:01)
  • ↑4 東都タワーの爆弾事件の犯人も、昨年の映画で刑務所から脱獄して逃亡犯になってましたよ。まあ、結局は別の爆弾犯によって殺されましたけど。 -- 名無しさん (2023-08-12 19:16:31)
  • 光彦のお姉さんの声も同じ人か -- 名無しさん (2023-08-12 19:45:05)

#comment

*1 のちのエピソードに登場した犯人も劇場版で脱獄しているが、こちらは何者かに殺害されるという「コナン」でも非常に珍しい事が発生しているが、原作とは展開が異なる部分がある為、パラレルワールドに近い。
*2 レモングラスとシトロネラの匂いは昆虫忌避剤によく使われている香料。

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コメント

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名無し

沼淵、犯罪者なのに粋なところ見せてくれんじゃねーか!

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2024-04-24 16:21:00

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