登録日:2016/06/11 Sat 12:01:04
更新日:2024/01/23 Tue 13:49:36NEW!
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コロコロコミック ウルトラセブン レッドマン レッド族 アイスラッガー 前日談 ウルトラ兄弟物語 かたおか徹治 大セブン
ウルトラセブン物語とは、かたおか徹治による漫画作品『ウルトラ兄弟物語』のエピソードの一つである。
初出は月刊コロコロコミック春の特別増刊号1979年4月30日号。
主役はタイトルの通り、ウルトラセブン。
大人気を博した本家TVシリーズの終了後も、後輩たちの救援に度々客演するのみならず
『ウルトラファイト』に『平成ウルトラセブン』、『ULTRASEVEN X』などでも主役を務め、
経緯と内容はともかくレオを地球想い・仲間想いかつウルトラヒーロー屈指の肉体派に育て上げ、
更には息子まで大活躍する……という、
半世紀以上続くウルトラシリーズを通しても、恐らくは満場一致で随一の「デキる男」としての定評を持つヒーローだろう。
しかし、そんなセブンも決して初めから完全無欠の男だった訳ではない。
彼もまた、実力が伴う前の若き日には慢心故の挫折、そこからの成長を繰り返し、
現在の誰からも尊敬され、誰からも憧れられるウルトラ戦士となったのだ……
本作は、宇宙警備隊員になる前のウルトラセブンの若き日の苦悩を、そんな解釈のもと描いた短編漫画である。
時系列で言えば恐らく、最初のエピソード「決闘ウルトラ兄弟」よりも前の時代に相当すると思われる。
また、この漫画はウルトラセブンの「本名:レッドマン」という裏設定の一つを拾った、数少ない作品という意義もある。
レッドマンといえば現在は赤いあいつのことを指すが、実は『ウルトラセブン』も企画段階ではこの仮タイトルで進んでいた時期があり
その時の名残りで、当時の児童誌ではウルトラセブンの通り名とは別にレッドマンが本名として存在する設定が記載されていたのだ。
一介のウルトラ族に過ぎない「レッドマン」が、如何にして「ウルトラセブン」の名を冠する英雄に成り得たのか。
それがこの漫画の、もう一つの要点といっても過言でないだろう。
あらすじ
宇宙警備隊が発足するより遥か以前のM78星雲・ウルトラの国。
セブン系のウルトラ族が住まう区域の修練場にて、必死にアイスラッガー技の会得に挑む、若き戦士がいた。
その名はレッドマン。
しかし格闘技に関しては抜群の優秀さを誇るレッドマンも、アイスラッガーに関しては頭部に戻す際のコントロールに失敗するなど、
その習得には手こずっており、若き彼にとって一番の悩みの種になっている様子だった。
修練場にて、セブン系ウルトラ族の指導者格・大セブン(容姿はマントを羽織った、初老のウルトラセブン)の審判のもと、練習試合が開始。
レッドマンは対戦相手を卓越した体技で圧倒、地面に転がった相手は降参するも、
逸るレッドマンはそれに耳を貸さずアイスラッガーを放とうとする。
……と、そこで大セブンは試合を止め、レッドマンの対戦相手の方に旗を上げた。
この采配にレッドマンは激昂し、大セブンに詰め寄るも、逆に「練習試合だということを忘れるなっ」と諫められてしまう。
レッドマンはなおも、練習試合であっても真剣勝負として挑むのが当然だと反論。彼がこのような態度を取るのは珍しくないようで、
大セブンは成長の兆しを見せないレッドマンを憂い、彼に「真の勇者」について説こうとするも、その折に警報が喧ましく鳴り響く。
ダークゲルマーに率いられる宇宙ゲリラ「ダーク族」が出現したとの報が入ったのだ。
その場のウルトラ族に各自指定地域への出動を命令した大セブンは、最前線に向かおうとするレッドマンを制止し、
彼に「S地域」の守備を任務をして与える。それを聞いてレッドマンは顔色を変えて憤慨することに。
レッドマン「な、なぜS地区なんかに……」
大セブン「その理由がわからんうちは、お前には最前線をまかせることは永久にないだろう……」
S地区……そこはウルトラ族の女性や子供が待機する区域であった。
早い話が「非戦闘要員を守る任務」に就かされたレッドマンだったが、
元来血気逸る性分の彼はこれに明らかな不満を抱いており、戦局を心配する女性に対しても当たり散らす態度を取る始末。
やがてレッドマンは、どうせ敵もS地区までには来ないだろうと慢心し、任務を放り出して最前線へと向かってしまう……
レッドマン「……、どうせやつらはここまで襲っちゃこない……、よしっ!!」
最前線、そこでは大セブン率いるセブン系ウルトラ族たちが、ダーク族の騎兵相手に苦戦を強いられていた。
敵の首領・ダークゲルマーは戦局が容易に進んでいることに高笑いするも、そこにレッドマンが駆け付けてくる。
光線技に体技と、圧倒的な戦闘能力で無双するレッドマンはダーク族の軍勢を蹴散らし、退却まで追い込む。
レッドマンはアイスラッガーで逃げる敵兵を追撃するも、それを頭部に戻すコントロールにはまたもや失敗し、顔を暗くする。
そして、大セブンの元に届けられたのは、S地区が敵の別動隊に襲われて壊滅したという報告。
急いで駆け付けたレッドマンたちが目にしたのは、女子供関係なしに襲われた死屍累々の凄惨な現場であった。
当然ながら他のウルトラ族たちはレッドマンを猛烈に批難。戦士たちの中には、恋人が重傷を負ってしまった者もいたのだ。
流石のレッドマンも、自分の勝手な振る舞いがもたらしてしまった最悪の結果に直面し、顔を青ざめてしまう。
大セブンは、レッドマンに対してウルトラの星からの追放を告げる。
彼が本当の意味で自分の過ちを認め、成長するまでは帰還を許さないと彼に固く命じた。
大セブン「おまえが責任をとる道は、これしかあるまい!おまえ自身が大きく飛躍し成長するまで我々は、おまえに対してかたく門を閉ざそう!」
時は流れ……
一人故郷を去ったレッドマンは、宇宙のとある名も無き星で、ただ一人修練を積む日々を過ごしていた。
過酷な修行を続けながらも、アイスラッガーのコントロールは未だに成功せず、岩に憤りをぶつける毎日が続く。
彼はある時、星の荒野で遭遇した大竜巻に巻き込まれ、命からがら辿り着いたのは花が咲く穏やかな場所。
突如襲ってきた凶暴な怪獣をレッドマンは返り討ちにし、
アイスラッガーで止めを刺そうとした中に割って入ったのはその怪獣の、まだ小さな子供だった。
レッドマンは何も言わず構えを解き、気絶した怪獣を尻目にその場を立ち去る。
相も変わらず修行暮らしを続けるレッドマンのもとに、ウルトラの国から3名のウルトラ族が訪ねてきた。
聞くと、ダーク族が再びウルトラの国に襲撃を仕掛け、危機的状況に陥っているという。
3名は大セブンには無断でレッドマンのもとに赴き、彼に故郷に戻って救援に来てほしいと懇願しに来たのだ。
レッドマンは決意を胸に、再びウルトラの国の土を踏むことに。
ウルトラ族A「おれたちは自分たちの意志であんたを探しに旅に出た…… これは大セブンの知らぬこと……」
ウルトラ族B「それに大セブンも心の中では、成長したあんたが帰るのを心待ちにされている……」
舞台は再びウルトラの国・セブン系地域。ダーク族の騎兵隊を相手に、多くの戦士が斃れ、大セブンは傷つきながらも果敢に立ち向う。
その危機を打ち破るかのように駆け付けてきたのは3人のウルトラ族、そして彼らを率いたレッドマン。
しかしそれは、かつてのレッドマンの未熟さ故に起きたのものではなく、彼の成長を兆した期待に満ちた、心強い援軍であった。
レッドマンは長槍を獲物にダーク族の軍勢に飛び込み、過去とは段違いの圧倒的な戦力で敵を蹴散らした。
自分達の敗北を悟ったダーク族首領・ダークゲルマーは、騎乗した怪獣で突撃、玉砕覚悟で大セブンを討ち取ろうと目論む。
しかしその間に割って入ったのはレッドマン。彼は真正面から敵を見据えると、正眼の構えから放った刃の如く、アイスラッガーを撃つ。
その鋭い刃はダークゲルマーを騎馬もろとも貫くと、正確無比に舞い戻り、レッドマンの頭部に収まった。
かつての未熟な自分では習得が叶わなかったアイスラッガーを、遂に我が物としたのだ。
生き残った僅かなダーク族は壊走、追撃しようとする若き戦士を、レッドマンは最早敵に戦意はないと諭し、引き留めた。
かくして敵を撃退し、無事ウルトラの国へと帰還したレッドマン。
かつての未熟な自信を克服し、心身ともに成長した事を認めた大セブンは彼を称え、レッドマンに「セブン」の称号を送る事を宣言する。
他のウルトラ族も異論はなく、歓声のもと、レッドマンはこれより正式に「ウルトラセブン」の名で呼ばれることとなったのだ。
大セブン「わたしはいつかおまえが「ウルトラセブン」と呼ばれる日がくるのを信じていたぞ……」
一人前になったレッドマン……否、ウルトラセブンは後に宇宙警備隊に加わり、組織の中核として宇宙の平和を守る任に就く事となる。
その意志は直接指導を受けたレオを始め、数多くの後輩ウルトラ戦士に引き継がれた。
そして『ウルトラ兄弟物語』でも後に、セブンは未熟な若者を導く役割を務めることとなる……
そしてさらに未来、彼の息子であるゼロもまた、奇しくも若さゆえの過ちから光の国を追放され、そして修練の末に心身ともに一人前の戦士となって帰還することとなった。
帰還後のセブンの活躍は言うまでもないであろう。
時に守るべき命をいたわり、時に悪党を許さない、無敵のウルトラ戦士。
だが、そんなセブンにもかつてのゼロのような未熟な時代はあったのだ。
セブンの後輩にして宇宙警備隊の新世代ヒーローの一人、メビウスの主題歌の一節を引用させてもらう。
はじめは誰も ヒーローじゃない
違う形の ただちっぽけな星なんだ
そう、これはセブンが、まだちっぽけな星だったころの物語である。
真の強さの意味を悟ったレッドマン……
こうして彼は「ウルトラセブン」と呼ばれるようになった――
彼がまだ「ウルトラセブン」と呼ばれていなかった遠い昔の物語である―――――
追記・修正はアイスラッガーを完璧に習得してからお願いします。
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▷ コメント欄
- レッドマン前日譚? -- なnaasi (2016-06-11 12:11:21)
- ゼロの父親って感じのエピソードやな -- 名無しさん (2016-06-11 16:39:24)
- ↑ウル銀はこれを意識してたのかもね(偶然かもしれないけど)。 -- 名無しさん (2016-06-11 20:03:50)
- ↑じきに項目作るつもりだけど、実は別エピソードに出てくる「サンダーアロー」が意識したとしか思えんほどベリアルまんまだったりする -- 名無しさん (2016-06-11 20:13:52)
- こうして見ると、ウルトラ銀河伝説って過去のウルトラ漫画の要素をいくつか併せ持っていたんだな。敵がウルトラの父のかつてのライバル(ウルトラ一族の大反乱)、敵が一人で光の国を壊滅(ジャッカル対ウルトラ兄弟)、光の国を追放されたセブン系ウルトラ族の成長物語(ウルトラセブン物語)。ゼロが続編で鎧を手に入れるのもメロスやファイタスを連想させるし -- 名無しさん (2016-06-11 20:24:23)
- ゼロの鎧はネクサスの没案のリベンジのほうが比重としては大きそうだけど、銀河伝説は結構漫画思い出す要素多いよね -- 名無しさん (2016-06-11 21:26:40)
- この設定から深読みすれば、「赤い通り魔」の方のレッドマンはかつて怪獣や星人を倒す事に没頭し過ぎて守るべき者を全て失い、仲間からの信頼を無くした後、ただひたすら怪獣達に憤りをぶつけてる合われな復讐者と言えるかも -- 名無しさん (2016-06-12 03:23:59)
- 大(ビッグ)セブン=TV最終回のセブン上司、でいいのかな?第三次ブーム時の一部書籍では上司の事を「大セブン」と表記してるのもあったので。 このビッグ様 -- 名無しさん (2016-09-27 18:49:59)
- ↑最後「このビッグ様」は消し忘れミス -- 名無しさん (2016-09-27 18:51:57)
- ストーリー0でもやっぱり最初はアイスラッガーの扱いが下手だったな。現在正確無比に使うからこそ未熟な時の描写にピッタリなんだろう -- 名無しさん (2018-07-02 22:23:15)
- しかしこの作者は敵の名前がいつもストレートというか投げやりというか -- 名無しさん (2020-05-25 12:00:07)
- ↑7 微妙にウルトラ族似だが邪悪な種族らしいアブソリューティアンもこのシリーズのW87星人がソースの一つなのかも -- 名無しさん (2021-02-03 22:27:01)
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