加賀恭一郎シリーズ

ページ名:加賀恭一郎シリーズ

登録日:2015/12/4 (金) 00:43:31
更新日:2024/01/16 Tue 13:08:03NEW!
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『加賀恭一郎シリーズ』とは、刑事である加賀恭一郎が主役の東野圭吾の推理小説のシリーズ。彼の推理小説のシリーズものの中では、『ガリレオシリーズ』と並んで非常に人気がある。シリーズそのものは現在10作品で、加賀が登場した作品は『学生街の殺人』でのゲスト出演も含め、現在11作品となっている。


【作品の変遷】
1986年に刊行された『卒業』(刊行当初は『卒業―雪月花殺人ゲーム』)で、当時は大学生であった加賀がたまたま巻き込まれた事件に探偵として挑んでいくのだが、それから3年後に刊行された『眠りの森』にて、(「作者のちょっとしたイタズラ心」で)警視庁の刑事として再登場することになった。
それから少し経った1990年代に展開された『悪意』や『嘘をもう一つだけ』などの作品内では、彼が主体でなく脇役的な位置づけがなされていたが、2006年に描かれた『赤い指』以降の作品内では『新参者』を除くと、彼自身の家族関係と向き合いながら、事件に挑むような作品になっていった。


【映像化】
1993年、テレビ朝日の「土曜ワイド劇場」で『眠りの森』が、『眠りの森の美女殺人事件』として映像化された。主演は山下真司。加賀恭一郎シリーズとしては初の映像化であった。
その後2001年に、NHK総合テレビの「月曜ドラマシリーズ」枠で『悪意』が『東野圭吾ミステリー「悪意」』のタイトルで、そして『嘘をもうひとつだけ』所収の「冷たい灼熱」「狂った計算」が同年と翌年の2002年にそれぞれ『多摩南署たたき上げ刑事・近松丙吉』シリーズの原作としてドラマ化された。だがどちらも主人公は加賀ではなく、前者は間寛平演じる“浪花のコロンボ”の異名を持つベテラン刑事・西原甲子男が、後者は伊東四朗演じる多摩南署の刑事・近松丙吉が宛がわれている。
そこから再び時間は流れ2010年4月、阿部寛を主役に据えて、『新参者』が TBSの「日曜劇場」枠で連続ドラマ化された。以後、『新参者』の名を含んだ阿部寛主演のシリーズとして、『赤い指』が2011年にSPドラマで放送され、同年には劇場版『麒麟の翼』が放映され、それから3年が経った、2014年1月にはSPドラマ2作目として『眠りの森』が放送された。
加賀恭一郎そのものがドラマ化されるのは実に17年振りとなる。


【主な登場人物】


  • 加賀恭一郎

演:山下真司(1993)/阿部寛(2010)
本シリーズの主人公。
初登場作品である『卒業』の時点では国立T大学の4年生で後に教師になったが、最終的に父と同じ警察官になった。
警視庁捜査一課(『眠りの森』)→練馬署(『どちらかが彼女を殺した』~『赤い指』)→日本橋署(『新参者』~『祈りの幕が下りる時』)と移り、階級は巡査部長→警部補(『新参者』以降)となっており、さらに最新刊『祈りの幕が下りる時』のラストで再び警視庁に異動した。
年齢については『赤い指』の時点で30代半ばの為、現在は恐らく40前後。
文系出身ながら理系関連の知識も深く、他にも剣道六段で、全日本選手権で優勝するほどの腕前という文武両道のチートキャラ。
冷静ではあるが情の深い人間で、犯罪者に対しても優しさや思いやりを失わない一方、身勝手なことを言う人間に対しては厳しい態度で接する。
隙のない鋭い人間観察眼ですばやく事件を見通し、解決に導いてきた。
父親である隆正との関係はあまり良好なものではなかったが、『赤い指』のラストの松宮とのやり取りで実は二人の間には深い絆があった事が示された。


  • 加賀隆正

演:山崎努(2010)
加賀の父親で、『卒業』『眠りの森』『赤い指』に登場。
元刑事で退職後は警備会社のアドバイザーをしていた。
甥である松宮からは慕われる一方、実の息子である恭一郎との関係は母親である百合子の一件が原因で疎遠になっていた。
『卒業』では事件のアドバイスをし、『眠りの森』では縁談を持ちかけたり、身の回りでおきた事件の事について電話したりしていた。
『赤い指』では胆嚢及び肝臓の癌で入院していたが、物語のラストで安らかに息を引き取る。


  • 松宮脩平

演:溝端淳平(2010)
加賀の従弟で警視庁捜査一課の刑事で、『赤い指』『麒麟の翼』『祈りの幕が下りる時』に登場。
母親の克子と二人暮らし。中学に上がる時に東京へ引っ越してきた際に叔父である隆正が彼ら母子に援助をしてくれた事から、隆正を慕うようになり、彼と同じ刑事を志すようになった。
『赤い指』でコンビを組む事になった従兄の恭一郎に対しては、父親の見舞いに行こうとしない事に対して不満を持っていた。
しかし、隆正が息を引き取った後の恭一郎の言葉から、彼と隆正との絆を知る事になる。
普段は彼の事を「恭さん」と呼んでいるが、彼から捜査の間は「加賀さん」と呼ぶ様に指示された。
なお、ドラマ版では『新参者』にも登場している。


  • 金森登紀子

演:田中麗奈(2010)
病床の隆正の担当をしていた看護師で、『赤い指』『麒麟の翼』『祈りの幕が下りる時』に登場。恭一郎のメールの指示通りに将棋の駒を打つことで、隆正と恭一郎との将棋の勝負を取り持っていた。隆正が亡くなった後も、彼とはメールのやり取りをしていた。
『麒麟の翼』では隆正の三回忌に積極的でない加賀に厳しく当たる。


  • 田島百合子

加賀の母親。『卒業』『赤い指』などで、恭一郎が12歳の頃に蒸発した後、仙台のアパートで亡くなっていた事は書かれていたが、正式な名前が示されたのは『祈りの幕が下りる時』。
恭一郎は彼女がいなくなったのは父親の多忙さが原因だと考えた結果、隆正と彼との関係は疎遠になっていった。
蒸発した原因や、蒸発後の動向などについては、『祈りの幕が下りる時』の中で明らかになっていった。


  • 青山亜美

演:黒木メイサ(2010)
原作では『新参者』に登場した半モブキャラだったのだが、ドラマ版ではメインの登場人物に変更された。『赤い指』『麒麟の翼』にも登場。
『赤い指』の時点では新聞記者だったが、何らかの理由で『新参者』ではタウン誌の記者になっていた。
加賀の通っていた大学、さらに言うと彼が所属していた茶道部の後輩で、『赤い指』から本格的に交流を持ち出す。
加賀の事を理想の記者像として尊敬しており(記者じゃないけど)、過去の事件で取材中にインクが切れた際、彼にもらったペンを大事にしている。なお加賀からは「三流記者」と揶揄されている。






【登場作品とあらすじ】


01.『卒業』
国立T大学に通う加賀の友人がアパート内で死体となって発見された。警察は当初は自殺と考えたが、幾つかの矛盾した供述から自殺と他殺の両方の線から捜査をする。一方で加賀もその友人の手記などをもとに捜査を行っていく…。



EX.『学生街の殺人』
とある大学への道は、新しい駅の完成で寂れてしまった。その街で働く男の友人が意味深な言葉を残して殺された。その後、密室の中で第2の殺人が起こり…。
厳密には加賀恭一郎シリーズではないが、加賀がゲスト出演している。



02.『眠りの森』
加賀はバレエ団のとある女性に恋をする。その後、そのバレエ団の事務所で男が殺された。被疑者はバレエ団の女性団員。バレエ団側は正当防衛を主張するが…。



03.『どちらかが彼女を殺した』
自殺に見せかけて殺された妹の復讐を誓う兄、加賀はそれを止めるべく奔走する。そして、容疑者は2人―「男」か「女」か。
…なのだが、この作品では犯人は最後まで明かされない。



04.『悪意』
有名小説家が自宅で他殺体となって発見された。加賀は、彼の親友である男が記した「事件に関する手記」に興味を持つ。加賀は聞き込みや推理を通して、手記に疑問を抱き始める。やがて犯人も明らかになるのだが、犯人は犯行の動機を決して語ろうとはしないのだった…。



05.『私が彼を殺した』
脚本家の男が、結婚式当日に毒殺された。容疑者として挙がったのは「被害者のマネージャー」、「花嫁の兄」、「花嫁の担当の敏腕編集者」の3人。事件後に3人は、密かに述懐する。『私が彼を殺した』と…。
タイトルで予想が付いた人もいるだろうが、やはりこの作品も犯人は最後まで明かされない。



06.『嘘をもうひとつだけ』
加賀恭一郎シリーズ初にして現在唯一の短編集。
5つの作品すべてが『嘘』に関連した作品となっており、加賀以外の人物の目線で話が進んでいく。



07.『赤い指』
少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家族。加賀は様々な証拠から犯人の正体に近づいていったが、その家族は最後の一手として恐ろしい手段に出ようとしたのだった…。平凡な家庭を襲った悪夢の2日間。



08.『新参者』
日本橋のマンションで1人の女性が殺害された。加賀は日本橋人形町を歩き回り、事件の真相を追う。一見関係の無さそうな出来事の1つ1つが集まり、パズルの様に事件の真相は浮かび上がっていく…。



09.『麒麟の翼』
ある夜に巡査が声をかけた相手は腹部を刺された男だった。彼は傷を負いながら、何故か助けを求めず、麒麟像の所まで歩き続けてきていた。その行為にはある人物への願いがあったのだった…。



10.『祈りの幕が下りる時』←New!!
小菅のアパートで住人ではない筈の女性が殺されていた。松宮は事件に関する助言を加賀に求め、加賀もそれに応じていたが、その事件の線上に、何と加賀の母親に関する問題が浮かんできたのだった。



【備考】


  • 加賀が警視庁から所轄に異動になった設定上の理由は『新参者』のラストで明らかになるが、作者サイドの理由は、『どちらかが彼女を殺した』の中での事件への扱い方が現実には捜査一課では行われないこと為に所轄に左遷したという事らしい。
  • 上に書いた『どちらかが彼女を殺した』『私が彼を殺した』の次の作品のアイデアとして、作者である東野圭吾は『あなたが誰かを殺した』というものを挙げている。

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  • ドラマ『新参者』か!! -- 名無しさん (2015-12-04 03:09:08)

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