作成日:2015/06/12 Fri 19:40:54
更新日:2024/01/15 Mon 10:32:52NEW!
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航空機 飛行機 旅客機 ヘリコプター vtol 英国面 フェアリー 複合ヘリコプター フェアリーアビエーション 妖精の国からやってきたヘリコプター 空飛ぶパンジャンドラム ロートダイン
フェアリー ロートダイン(Fairly Rotodyne)とは、妖精の国よりやってきたヘリコプターの妖怪である。
▽目次
概要
イギリスにかつて存在した航空機メーカー、フェアリー・アビエーションが開発した中距離旅客用ヘリコプター。
乗員2名・定員48名。
「世界初のVTOL旅客機」という触れ込みでデビューした。
しかし、通常の旅客機と比較して騒音や運航コストなどの面で不利なことが発覚し、試作機が作られたのみで終わる。
詳細
ロートダインは通常のヘリとは異なる点だらけの機体である。
そりゃあまあ人間じゃなくて妖精さんのセンスと航空力学に基づいた設計の機体ですしおすし。
まず、本機のローターは機内のエンジンで発生した回転力で駆動するものではない。
というかローターを機械的に駆動する機構そのものが搭載されていない。
じゃあどうやってぶん回すのかって?
…ローターの先端に小型のジェットエンジン*1を付けてその推進力でグルグルさせている。
こら、そこ!「何だ要するに空飛ぶパンジャンドラムか」とか考えたな!
これは「チップジェット」という方式であり、ローター回転方式の1ジャンルとしてしっかり確立している。
本機以外にもトリープフリューゲルやパーシヴァル P.74、YH-32、エジソンのヘリコプターなどの例がある。
この方式にはテールローターなどでのトルク相殺が不要になる(メインローターは機体とは独立して"自転"しているだけなので)という利点もある。
また、本機のローターは離着陸時にしか使用しない。
巡航時は主翼に装着されたターボプロップエンジンを使用し、プロペラで推進する。
まあ要するに「でっかいオートジャイロ」みたいな感じである。
で、どうだったのか?
ぶっちゃけると失敗。
そこ!「英国ならよくある事」とか言うな!
失敗した原因は妖精さん基準の航空力学で設計されていたから幾つかあるが、主に以下の理由であると推測される。
- 燃費が悪い
本機はヘリコプター、つまりVTOL機の一種である。
VTOL機というのは主翼で揚力を生み出すのではなく、エンジンやローターで無理やり重力に逆らって浮上するので固定翼機と比べて総じて燃費が悪い。
もちろん本機も例外ではない。
- 操縦が難しい
本機は「ヘリのようでヘリではなく、固定翼機のようで固定翼機ではない」という癖のある機体である。
本記事の作成者は飛行機の免許もヘリの免許も持ってないので詳しいことはよーわからんけど、これ故「操縦の難しい航空機」となってしまったと思われる。
自動車で言えば「四輪でもバイクでも、ましてやキャタピラでも無いクルマ」みたいなものかと。
- 騒音が大きい
チップジェット方式のローターは、ローター先端の推進装置で回転させている。
そのため普通のヘリのローターの風切り音に加え、ジェット噴射の音まで加わり、相当な騒音になったであろう事は簡単に想像できる。
しかも50人近く乗せる様なサイズの旅客機を浮かせるとなれば…。
ちなみに真偽の程はわからないが、本機の客室内騒音は想像を絶するものがあったとか。
- 速度が遅い
本機の最高速度は約340km/hとされている。
普通のヘリよりは高い数字だが、固定翼機と比べると論外で遅い。
速度の遅さというのは結構バカにならない問題である。あまり遅すぎると航路で後ろがつかえてしまう。
航路は時折「空の高速道路」とか称されるように、複数の航空機が共有しているもんだからそりゃ遅けりゃ迷惑になる。
これも航空会社が採用を躊躇する理由となったのは想像に難くない。
以上の弱点が露呈したため、試作機が作られただけで終わった。
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*1 但し厳密に言えば、機内のコンプレッサーで発生させた圧縮空気に燃料を吹き込んで点火しているだけの構造であり、一般的なガスタービンとしてのジェットエンジンとは多少なりとも異なる
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