登録日:2014/04/27 (日) 16:51:00
更新日:2023/12/15 Fri 13:28:56NEW!
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ドイツ 航空機 試作機 トンデモ兵器 変態兵器 vtol 戦闘機 迎撃機 フォッケウルフ 三枚羽 テールシッター トリープフリューゲル
トリープフリューゲルは、第二次大戦末期にフォッケウルフ社で設計されていたVTOL機の元祖であり、トンデモ兵器コーナーの常連であり、(ある意味)海を越えた英国面である。
世にも珍しいテールシッター型VTOL機で、その中でも一等珍しい試作すらされなかった部類。でもネタまみれの外観でトンデモ兵器マニアには人気。
外観については画像検索してもらうのが早いが、あえて言葉にするなら「尾翼を4脚にしたロケットの胴体に竹とんぼ風に3枚羽をつけて、羽の先端に横向きのジェットをつけた」というもの。
テールシッター型とは
文字通りケツを下に向けて離着陸するタイプのVTOL機のこと。着陸・移動用のスキッドは尾翼付近に配置されることが多い。
サンダーバード1号とかウルトラホーク2号をイメージするかもしれないが、胴体側でも着陸できるあれらとは異なり尾翼側でしか離着陸できない。
離陸時には垂直から水平への遷移が必須、着陸時にはその逆と、パイロットと機体にすごく負担を強いる。
ジェットエンジンとの併用には絶望的に向いてないのが一目でわかるが、某カエルの国はジェットエンジン搭載型テールシッターを実際に作って飛ばすという暴挙をやらかした。
そもそも着陸時の地面確認がミラー越しでないと不可能というわりと致命的な欠点があり、この手のVTOLはマッハで廃れた。
ただ、離着陸用のスペースが小さく済むという特徴から、現代でもドローンなどではテールシッター型あるいはそれをベースにした型が研究されている。
設計経緯
大戦末期、制空権を連合軍にほぼ完璧に奪われていたナチス・ドイツは爆撃で飛行場を破壊されまくっており、滑走路に頼らない迎撃機の開発は焦眉の急とされていた。
森林などに偽装設置された格納庫から発進し、機首の機銃4門で敵爆撃機を迎撃するのが主任務だったと思われる。
……のだが、見ての通りの凄まじい外観は「ほんとに飛べんのかいな?」という疑問を強く抱かせる。
V2ロケットによく似た胴体に3枚のピッチ角つきブレードフィンを備え、その先端にラムジェットエンジンを括りつけて飛翔出力としている。
ヘリのローターのようだが、動力が翼端配置なのでカウンタートルクが発生しないようにできていたようだ。チップジェットというらしい。
ラムジェットエンジンはファンなどの空気圧縮用装備を一切持たず、高速飛行には適しているが静止状態ではそもそも動かせない。
そして石油不足のため燃料は粉末石炭を予定していたのだが、エンジンへの燃料供給にも遠心力が必須となっていた。
ちなみに本機の飛行様式は「ジェットエンジンの推力でブレードフィンを回し、それで得た推進力でもって機体を飛翔させる」というもの。
つまり、飛ぶためにはラムジェットを駆動させてフィンを回さなければならないが、そもそもジェット推力での外部駆動なので点火しないと回らない。
さらにはフィンが回らないとエンジンに燃料供給されないので点火不可能というアンビバレンス。
素直にジェットエンジンで飛べよ!
というか、主翼がないので水平飛行できないんじゃ……
また、試作される前に終戦を迎えたので実機そのものが存在せず、飛ぶのか、そもそも着陸できるのかさえ不明という謎仕様。まあ試作したとしてもエンジンが実用段階に入ってすらいなかったので結局飛べなかったわけだが
でもデータを接収した連合軍(主にアメリカ)はこいつを基に嬉々として試作機を作った。そして文字通り見事にコケた。
類似品
バッヘム Ba349 ナッター
同じくドイツのバッヘム社が開発したVTOL迎撃機。ロケットブースターで垂直発進し、敵編隊に機首のロケットランチャーをブチ込んで機体を分離。
パイロットとエンジンユニットのみをパラシュートで回収・再利用するという方式。
このため、エンジンやランチャー以外の機体主要構造は全て木製。はて、どっかで聞いたことがあるような……
設計開発は超スピードで行われ、設計完了からわずか2ヶ月で生産ライン稼働、3ヶ月で試験飛行にまでこぎ着けている。
が、初飛行で墜落しパイロットが死亡。10数機が実戦配備されたが実戦経験はないまま終戦を迎えたという。
連合軍人が称して曰く「有人対空砲」。
XFY-1、XFV-1
アメリカで艦載VTOL機としてコンペ方式で試作された迎撃戦闘機。どっちも最後までエンジン・プロペラ関連のトラブルを解決しないまま計画中止となった。
ちなみに前者はなんとか着陸試験に(陸上でだが)成功しているが、後者はそもそも垂直発進すらできずじまいだった。
ついでにジェット機がもうスンゴイ勢いで発展していく時代にレシプロ機、しかも武装は機銃のみ。
迎撃自体こなせるか怪しい上にそもそもスコア献上機にしかならんだろ、というオチがついてしまった。
創作への出演
筆者の知る限りではWSG2にトリープフリューゲルとXFY-1が艦載機として登場している。
ヘリポートや甲板からクルクルビュンビュン飛び出していく眺めはなかなかにシュール。
そして作れる頃には空母と艦載ジェット機がそれなりの戦力になってるので要らない子……という点まで史実通り。
追記・修正は本機で敵機迎撃に成功してからお願いします。
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▷ コメント欄
- 『狂科学ハンターREI』では、狂科学(いわゆるオーバーテクノロジー)で秘密結社が実用化に成功した設定で、3つの羽を持つ竹トンボみたいな形の兵器として登場したなあ -- 名無しさん (2014-04-27 18:42:34)
- ナッターってこれ、ゼーゴックの元ネタかねぇ。エンジン部分とパイロットだけ回収するってあたり。 -- 名無しさん (2014-04-27 21:19:07)
- トリュープたんキタ━(゚∀゚)━! 概要知ってるはずなのに何度読んでも吹くわw -- 名無しさん (2014-04-27 21:38:16)
- その色々おかしな動力の使い方は、回転の方向こそ違うがパンジャンドラムとよくにている。 -- 名無しさん (2014-04-28 04:58:59)
- キャプテンアメリカにはこれと似たような機体が出て来てたな -- 名無しさん (2014-09-17 20:17:44)
- 飛べたとしても乗り物酔い必至で水平飛行できないから横向きの機銃が要って的がでかいから避けられなくて… -- 名無しさん (2017-12-20 10:36:37)
- ↑ アッザム「呼んだ?」 -- 名無しさん (2018-10-01 12:08:17)
- キャプテンアメリカ・ファースト・アベンジャーでレッドスカルがこれに乗ってたけど多分これだと思う -- 名無しさん (2019-09-22 19:48:50)
- 詳しい名前忘れたけど神龍て名前で日本軍が使用する仮想戦記があったりする。 -- 名無しさん (2019-09-22 20:53:56)
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