神鵰俠侶

ページ名:神鵰俠侶

登録日:2014/05/23 (金) 13:31:50
更新日:2023/12/18 Mon 10:50:25NEW!
所要時間:約 7 分で読めます



タグ一覧
武侠 武侠小説 カンフー 金庸 小説 ドラマ 中国 武術 神鵰剣俠 神鵰俠侶





神鵰俠侶『邦題:神鵰剣俠』とは、中華圏で有名な武侠小説家にして萌えを先取りした男・金庸による武侠小説の一つである。
「射鵰三部作」の第2部作品であり、前作に『射鵰英雄伝』続編に『 倚天屠龍記』がある。



○概要
もとは半世紀前に香港の新聞に書かれていた小説。
作中の時代は13世紀初頭の、宋がモンケ・ハン率いるモンゴルに攻撃を受けていた頃。前作から主要人物を引き継ぎつつ、新主人公の楊過たちの成長と壮大な恋愛を描く。
前作とは対照的な要素が見られ、特に楊過は前主人公の郭靖とは正反対の型破りで機転が利くの人物として描かれる。
武侠の大家として名高い金庸の作品の中でも特に人気のある作品であり、金庸自身も楊過を好みの主人公の1人にあげている。
武侠に親しみたいならばこれか『笑傲江湖』がおすすめ。



○あらすじ


前作から十数年後、南宋がモンゴルの脅威にさらされていた時代。
父母を失い浮浪児となっていた楊過は大侠客・郭靖夫婦に引き取られるも、そこで起こしたトラブルがもとで全真教に預けられることとなった。
しかしそこでも冷遇され、たまらず全真教を飛び出し、近くの古墓に逃げ込む。そして古墓の主である少女・小龍女に弟子入りし、生活を共にする間に互いに愛情が芽生えて行った。
しかし武林において師弟の恋は近親相姦にも匹敵する大罪であり、2人は激動する時代や世の掟に翻弄されることとなる。



○主な登場人物


  • 楊過

今作の主人公。
実父は前作の主要人物の1人で郭靖の義兄弟だった楊康であり、後に郭靖の宿敵・『西毒』欧陽蜂の義理の息子になる。
前作での父親の行いのツケや本人の激しい気性から恵まれない少年時代を送るも、小龍女との出会いを経て成長していく。
父親譲りの美男子であり、機知に富み仁義にも厚いのもあってラノベ・エロゲ主人公並にモテる。しかし楊過の中では小龍女>越えられない壁>他の女性。
後に幼馴染のDQNのせいで隻腕になるが、伝説の大侠客・独孤求敗の遺した武術を会得したのに加え、本人の才能も合わさり郭靖らに匹敵する達人になる。



  • 小龍女

今作のヒロイン。そんじょそこらの美人では太刀打ちできないほどの美貌の持ち主。
幼い頃から世間と隔絶した古墓の中で過ごし感情を殺す修行をしていたために初期は冷淡だったが、成り行きで弟子にした楊過の激情に触れることで愛に目覚めて行く。
クールビューティーかと思いきや元々古墓に引きこもっていた世間知らずであり、何かあるとすぐに古墓に帰ろうとしたり失踪したりするヘタレな師匠可愛い。
劇中、毒に侵されたあげく郭芙のせいで治療が困難になったため楊過に「16年後に再会しましょう」という書き置きを残して失踪する。



  • 郭靖

前作の主人公。前作から更に成長を重ね、とうとう達人の域に達する。
武術のみならず弓の腕やチンギス・ハンを唸らせた指揮官としての能力も健在。口下手でとっさに頭が回らないのも変わらない。
また世間の決まりごとなどを重視する性格から当初は楊過と小龍女の恋も断固として反対していた。
黄蓉と結婚した後、三児を授かる。また楊康とは義兄弟だったため、遺児である楊過を引き取る。
本人は義兄弟・楊康やその父への負い目もあって楊過を大切に思っているが、黄蓉が楊康との因縁から影で楊過を冷遇しているのに気がつけないなど迂闊面も目立った。
とはいえその武芸と器の大きさから、楊過からは基本的に尊敬されている。基本的に温厚だが、郭芙が楊過の右腕を切断しながら反省すらしない姿には烈火のごとく激怒した。
この事は相当こたえたようで、後に生まれた二児は自分が厳しくしつけ立派に育て上げた。
現在は義侠心から襄陽の町をモンゴルの侵攻から守る生活をしており、人々からの信頼も厚い。



  • 黄蓉

前作のヒロイン。
策士としての能力や武術は衰えていないものの、私生活においては郭芙を我がまま放題に育てる一方で楊過には辛く当たり
評価を改めたと思ったらまた疑い出すのを繰り返すなど、人間的に問題があるのは相変わらず。
まあさすがに娘が成長してからはその愚劣さに頭を痛め、逆に楊過が大侠客へと成長したことで自分の非を認めたが。
劇中、楊過が自分達を恨んでいるのではと恐れていたが、どう考えても自業自得です。



  • 郭芙

今作の人間の屑。郭靖・黄蓉の長女として生まれるが、黄蓉に甘やかされきったうえに母譲りの美貌からチヤホヤされて育ったため父の頭の悪さと母の高慢さを受け継いだ。
おかげで成長してからは幾度となく周囲を不快な気分にさせ、さらに楊過の腕を切断し郭靖が激怒した時も何故自分が責められるのか理解できずに逆恨みしたほど。
もっとも人としての情自体はきちんと備わっており、後に夫となる耶律斉のことは深く尊敬し、ドラマでは妹の郭襄がモンゴル軍に囚われた時には危険も顧みずに大軍の中に飛び込んだこともある。
楊過とは幼馴染で内心惹かれていたが、楊過が自分より小龍女との道ならぬ恋を選んだことでプライドが傷つけられたことや、高慢な気性も相まってそれを認めず最悪の結末を迎えた。
後に楊過と和解してようやく自分の本心を自覚できたが、その時には何もかもが手遅れであり、ただ己の愚かさを悔いることしかできなかった。



  • 郭襄

郭靖と黄蓉の次女。郭芙とはかなり年が離れており、姉のようには育てまいと郭靖が苦心した甲斐あって父の優しさと母の聡明さを受け継ぐ。
が、祖父の型に囚われない自由奔放さまで受け継いだために姉とは違った意味で母を悩ませることになった。
成長してからは噂話に聞く『神鵰俠(楊過)』に憧れており、実際に合った時は彼を兄のように慕った(実際、義理の兄みたいなもんだが)。
しかしその奥には更に深い思いがあるのだが、彼の小龍女への一途な愛と小龍女への敬愛から妹分に収まり続けた。
楊過も彼女が赤子の頃から気にいっており、実の妹のように愛し3つまで何でも願い事をきくことを誓った。
小龍女が失踪した後のサブヒロイン。



  • 鵰兄

伝説の大侠客・独孤求敗が飼っていた人間大の巨鷲。『鵰兄』とは彼(?)に出会った時に楊過がつけた呼び名。
人間並の知性と独孤求敗仕込み武術を備え、その羽ばたきはモンゴルの大軍をも木の葉のように蹴散らす。
楊過とは互いに馬が合い、片腕を失った後には彼に独孤求敗の武術の片鱗を伝え、その才能を大きく引き出した。
修行が終わった後も楊過の友として一緒に行動し、弱き者を救っていった。その為、楊過は世間の人から『神鵰俠』と呼ばれるようになった。



  • 李莫愁

小龍女の姉弟子にあたる古墓派の使い手。卓越した内功の使い手であり、三十歳を超えた今でも二十歳程度にしか見えない。
またその美貌も並の女性を寄せ付けないほどに優れている。
最も本人は20歳の頃に愛した陸展元という男に酷い裏切りを受け、心に深い傷を負ったために色恋沙汰を嫌っている。
それ故世間の男も信用していないが、楊過や武兄弟のように愛に殉じようとする男たちには多少なりとも好意的な面がある。
そんな経歴のため未だ処女な上に、裸を見られそうになったから恥ずかしくて撤退するなど非情に初心な面が目立つ。
その過去自体は同情できるものなのだが本人の執念深さも相当なものがあり、その後は江湖で八つ当たり同然に暴れ回り多くの人々を傷つけた。
またその素行の悪さから古墓派も追放されており、奥義である「玉女心経」を受け継げなかったことで妹弟子の小龍女をも逆恨みしている。



  • 金輪法王

チベットの高僧であり、その名の通り金の輪がついた棒を獲物としている。
自分の武術を絶対のモノとして自惚れていたが、郭靖ら中国の猛者の存在に考えを改める。
いちおう今作におけるボス格であり、楊過の宿敵とも言える存在。
当初は楊過と小龍女が力を合わせてようやく撃退できた程だったが、後には急成長した楊過1人に圧倒される。
しかし金輪法王もまた長き修行の果てに『龍象般若功』を会得。
襄陽の地での最終決戦では、楊過が切り札である『黯然銷魂掌』が弱体化状態にあり、玄鉄剣も携えてなかったという不利な状況だったとはいえ優位に戦った。
傲慢な悪党ではあるが、作中で何度も挫折を味わったり、己の技を次代に伝えたいと強く願うなどどこか憎めない面も。
だが彼の想いも空しくどうも弟子に恵まれない運勢のようで、一番見込みのあった最初の弟子は夭逝し、二番弟子のダルパは金剛力で誠実な人格だが頭が悪い、三番弟子のクドゥは武術の才はともかく人間的にクズで自分の危機を見捨てて逃げ出す・・・となかなか悲惨。
そのため利発で武術の才もあり人間的にも申し分のない郭襄に出会った時には何としても己の後継者にしようと迫ったことも。



  • ダルパ

金輪法王の弟子。内功はてんでなっていないが、それを補って卓越した金剛力と外功の使い手。
金輪法王につき従い、楊過と一戦交えた。その時は楊過よりも強かったのだが、ひょんなことから楊過を兄弟子の転生した姿と勘違いし、大師兄と敬いだした。
師匠と違って純粋・・・というか馬鹿。師匠にもそのせいで内功の奥深さを悟ることができなかったとダメだしされる始末(もっとも誠実な人格は評価しているが)
ドラマ版では特にコミカルな部分が強調される。



  • モンケ・ハン

実在したモンゴルの大ハーン。
史実では病死したが、今作では襄陽の戦いから撤退するところを楊過に打ち取られた。
しかし迫る楊過の攻撃に対してただ逃げるだけでなく、弓で反撃するなど大ハーンとしての面目は保ったか。



○余談
人気作だけあり、これまで中華圏で幾度かドラマ・映画化されているほか、ゲームソフトや日本と香港で合作したアニメ作品『神鵰侠侶 コンドルヒーロー』が存在する。コンドルヒーローは日本版もある。無駄に声優が豪華。
また武侠パロでお馴染みチャウ・シンチー監督の『カンフー・ハッスル』にもいくつか今作のネタが入っている。









[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,3)

[#include(name=テンプレ3)]


  • 個人的には、武侠小説初心者にはこれよりも射鵰英雄伝の方がおすすめかな。神鵰俠侶は面白いんだけど「前作読んでこそ」って場面が結構ある -- 名無しさん (2022-10-31 22:22:36)

#comment

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧