送電塔のミメイ

ページ名:送電塔のミメイ

登録日:2012/01/15(日) 04:48:01
更新日:2023/10/02 Mon 13:21:23NEW!
所要時間:約 6 分で読めます



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フリーゲーム 和風 伝奇 孤島 離島 ゲーム ノベル 里見しば 送電塔 送電塔のミメイ



『送電塔のミメイ(そうでんとうのみめい)』は、里見しば氏により制作されたビジュアルノベルゲームである。
公開は2007年。前作『TRUE REMEMBRANCE』と同様に氏のサイトから無料でダウンロードすることができる。





【概要】


本作は選択肢や声の無い一本道タイプで進行していく。
それに併せて複数話構成の中で主人公二人の視点が交代していくスタイルは前作を思わせるが、今作では話数を減らして一話ずつの充実が図られている。
演出面にも強化が見られ、特に暗転の“間”が秀逸。より自然に物語へのめり込める。エンディングの演出もなかなかの出来。



ストーリーや設定は前作とは別。
あちらが異国の微ファンタジーとすれば、こちらは一昔前の時代を思わせる和風伝奇といったところ。
どこかから現れ人を襲う『コゴリ鬼』と、それらに立ち向かう人の戦いを主軸にしている。



なお、プレイ時間は三〜四時間程度を想定されている。
二週目ではあちこちの伏線に気付けるので、余韻を楽しんだ後はもう一度のプレイをお勧めしたい。





【作中用語】


◆廃墟離島
本編の舞台となる、時流に取り残された離島。人口は少なく、集落程度の規模しかない。
本島の暮らしに憧れて出て行く者が絶えない典型的な過疎地で、農作や漁、時々の本島との交流などで持っている。
少し昔に送電塔が建てられ、家々には灯りが、また数は少ないものの各所に電話が備え付けられた。



◆鬼
数百年前にこの島に封じ込められた存在。時間や空間を隔てた“この世では無い場所”に閉じ込められているという。
当時の封印には不備があったらしく、その隙間からコゴリ鬼を溢れさせることがある。



◆コゴリ鬼
島のあちこちにある結界の隙間から漏れ出る鬼の呪詛。
初めは無形の黒い塊だが、恐れや未練、思慕や後悔といった人の思いを核に何らかの形を取るのが特徴。この時点で危険度が跳ね上がる。
しかしその際の姿や性格は実に様々。恐怖から生まれた化け物は即座に人を襲うが、特定の人物を想う心から生まれたものはその人物そのものの振舞いをするという。
ただしどのような形になろうとも、最終的には思いの持ち主である『宿主』への殺害欲求に支配されてしまう



◆旧家
鬼を封印した神官の末裔である、矢代、鳥居、境野(さかいの)の三家。コゴリ鬼を退ける術を受け継いでいる。
境野家が絶えた現在、残った二家が島の人間を取り纏めている。ただし両家の仲はよろしくない様子。





【ストーリー】


廃墟離島と呼ばれる、誰にもかえりみられることの無い小さな島。
――ここには、化け物が出る。
名を『コゴリ鬼』というそれは、島のあちこちに沸き、人の念を喰って形を成す。



一基の送電塔が建つこの島に、コゴリ鬼退治の役目を負ってミメイという娘が訪れる。
彼女の戦い。島の人々の日々。
夏の日差しが彩る豊かな自然のなか、様々な人間模様を描く。





【登場人物】


○ミメイ


主人公。
『先識の能』という予知じみた異能を頼りにコゴリ鬼と戦う少女。
無表情で口調も訥々としたものだが、心中では色々と考えているのが彼女の視点では分かる。
しかしその考えや言動は何かとずれており、夜刀に小突かれるのが大抵のオチだったり。
なぜ『傘』を武器にしているのか、それが明らかになるのはずっと後。


「喰うのか。それは少し嫌だなぁ」



○夜刀(やと)


もう一人の主人公。
左目を眼帯で覆った男で、なぜかミメイの異能による先読みが一切通用しない。
本人曰く「喰う」ためにコゴリ鬼を狩って回っているらしく、腕も立つ。
ミメイとの初対面時には、自身も人ではないことを仄めかしたために戦いに。そして彼女を軽くあしらうと、後日の再戦を約束させられて奇妙な共闘関係を築くこととなる。
ハナ・ナギ母子とは古い馴染み。その素振りにはコゴリ鬼とは思えない点も見られるのだが……?


「おまえ、やっぱり頭が悪いだろう」



○ハナ
島でミメイが世話になる家の娘。ほんわか癒し系。
仕事でよく留守にする母に代わり家を切り盛りするしっかり者だが、やはりまだ幼く、亡き父を想って寂しさに暮れることも。
彼女視点で送られる閑話では、それが災いしてコゴリ鬼を引き寄せてしまう。



○ナギ
ハナの母。離島と本島を繋ぐ船頭として働いている。
同じく船頭だった夫を数年前に海で亡くしているものの、明るくさっぱりとした笑顔からはその悲しさを感じさせない。
彼女を主役とした閑話では、夫を亡くした当時にコゴリ鬼と関わったという過去をミメイに語る。これがハナの物語との対比となり、哀愁を誘う。



○総一郎
コゴリ鬼を祓う術を受け継ぐ矢代家、その御曹司である青年。しばらく島を離れていたが、コゴリ鬼が出たと聞き戻ってきた。
幼馴染の杏子と共に第一話のキーパーソンとなる。
人当たりは良いが、達観したように見えて負けず嫌いという本人も難儀する性格持ち。



○杏子
鳥居家の令嬢。かなり勝気で、ミメイ・夜刀との初対面時には夜刀に食って掛かった。
役目を放棄して島を離れた総一郎にもきつく当たり、独りで務めを果たそうと躍起になっている。



○アトリ
総一郎や杏子が小さい頃から世話になっている女性。第二話の中心人物。
島を出て行った思い人を七年間も待ち続けているというが、その想い人を模したコゴリ鬼が現れたと一部では噂となっている。



○シン
どこか控えめでおっとりした男性。島の役場勤め。
アトリに惚れているが、彼女の想い人に遠慮して行動に踏み切れないでいる。



○テツ
本島からやってきた闊達な男。ナギにアタックしているものの気付いてもらえない。
何かしらの理由から夜刀には怯えた態度を見せているが、夜刀自身には心当たりがない様子。
離島の伝承に強い関心を持ち、また送電塔が建てられた経緯についても調べている。



○鬼
第?話から登場。物語の重要な鍵を握る存在。
何か特別な力を持っていたという逸話が残る。





以下、少しネタバレ?













以下の英文はタイトル画面に添えられるもの(意訳込み)。
クリア後に読むと少し感慨深いかも。







A rusty tower links you and me.
(錆びついた塔が私たちを繋いでくれる)



――Before dawn.
(夜明けはまだだけれど)



Go without fearing darkness,
(暗がりを恐れずに行くよ)



and we'll be able to meet again.
(そうすればきっとまた会えるから)




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  • タイトル画面に仕掛けが施されてたり、クリア後に解放されるおまけがあったり、テーマ曲に沿って流れるEDムービーがあったり、ゲームとしての出来がすごく丁寧。CGの絵柄も物語にとてもあってる。文の端々にそれとなく含まれた伏線もいい。伝奇モノや繊細な物語が好きな人は多分ツボを突かれる。…ただ、ラスト付近の展開で好き嫌いが別れるかも、かな。 -- 名無しさん (2014-03-06 14:23:46)
  • 鬼の姿を見たときはマジで何が起こったのかわからなかった -- 名無しさん (2015-08-17 17:50:16)

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