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scp scp財団 scp foundation 火山 神 マグマ 溶岩 コメント欄ログ化項目 因果応報 t rutherford scp-4338
神すらハマる甘い罠。
SCP-4338はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはKeter。
メタタイトルは「ヴァルカン、破滅なるもの」。
概要
SCP-4338は南太平洋にあるモアハ島*1の火山直下に位置するマグマ溜まりに生息する、知性と空中浮遊能力のある火山岩でできた球体である。その大きさは2.3立方km(半径約820m)にも達し、その圧倒的な力からかこの実体はオセアニアの初期文化において“炎上する海の神”などの名で言及され、アルファでありオメガであるような扱いをされていた記録が残っている。人間にどうこうできる代物ではなく、畏怖の対象となるのも当たり前の存在だ。
そしてコイツは神らしく、供物を要求してくる。太陰暦の始まりごと、つまり29.5日に一回以下のものを火口に投入することになっている。
- 40-50kgの野菜 (例: キャッサバ、タロイモ、スイートポテト、ダイジョ)
- 30-40kgの果物 (例: マンゴー、パイナップル、チェリモヤ、パラミツ)
- 50-80kgの魚類 (例: マグロ、サケ、カジキ、シイラ)
- 40-80kgの様々な種実類、ハーブ、海藻
- 60-80kgの細かく刻んだ/燻製にした豚肉
これらは原住民社会の主な食事であるらしく、それに基づいてSCP-4338からの「実りの頂点にあるものを要求する」を受けて財団が定めたリストである。
しかし、この供物はおよそ20%の確率で拒絶される。これは4338-DN事象、通称供物拒絶事象と呼ばれ、火山の大噴火に始まる。その後SCP-4338が火口から出現し、近くに存在する人間集団の社会的指導者に向かって突き進み始める。コイツは融けた岩石と鉱石から成る長い触手をさながら赤犬のように操ることができ、当然そこまでにあったものはすべて破壊しつくされ、指導者が逃げるならば被害は増える。
そしてSCP-4338はその指導者を捕らえるか、さもなくば3~5人の生きた健康な人間が火口に落とされるまで止まらない。どうやら集団内の構成が把握されているらしく、Dクラスをデコイとして指導者にする策は通用しなかった。停止条件は正確には指導者を「捕らえる」ではなく指導者が「死ぬ」なのだが、以下の理由で大差ないだろう。
SCP-4338は指導者を捕らえる(もし生きてても当然この時死ぬ)とこれを取り込み、20分以内に溶岩でできた指導者の複製を吐き出して退却していく。この溶岩人間は以降、SCP-4338が憑依して意思疎通するための端末となる。ちなみにこの時点で過去の端末はガラスになって崩壊し、SCP-4338はこの端末を介して次の指導者としか会話しない。
財団がこの島を6隻のフリゲート艦および研究船ヘロンによる7点封鎖網で隔離して機動部隊ロー-8("クラッシュ・アンド・バーン")が押さえている現在、指導者とはこの島のサイトの管理官のことを意味する。つまり、ここの管理官は年に二人か三人かのペースで殺されていく過酷極まりないポストなのだ。いったいどういう理由でどういう人間を任命しているのか気になるところだ
こんなもん収容できるわけないし、人的被害も数こそ少ないが高位の財団職員を定期的に屠ってくるためかなり痛い。1945年に収容しようとし始めて以来かなりの人的資源を文字通り溶かされてきたのだろうが、コラテラルダメージと見なすしかないのだろうか…
しかし、突然転機が訪れた。それも、全く予期しないベクトルの。
異変
2018/03/09、SCP-4338は太陰暦の半ばであるにもかかわらず突然4338-DN事象(第41回)を発生させ、当時の指導者であったモルガン・ローウェル管理官(女性)含め3人が犠牲になった。これは初めてのことで、複製の出現にかかった時間も14分と早かった。さらに、これまた初めて正式にまだ次期指導者となっていない候補者との会話を要求してきた。何かあったのだろうか、明らかに様子がおかしいというか焦っている。
これにアメリア・ソーンボロー主任研究員(こちらも女性)が管理官代理として志願し、ローウェルの複製の手首足首をタングステンの拘束具で固めた上でインタビューが行われた。見たところ溶岩ローウェルは既にひび割れて冷えかけており、これは過去の端末なら4~8か月経たないとこの状態にはなっていなかったらしい。これもSCP-4338が焦っているせいだろうか。
ソーンボロー主任研究員がなぜ供物を与えてすらいないのに我々を襲ったのか聞くと、ローウェル/SCP-4338ははじめは尊大な態度を取っていたが、そのうち怒り出してこう言った。
ローウェル/4338: お前は私を侮辱している。モル・ガンも私を侮辱した。私は実りの頂点にあるものを求めたはずだ、だが今となって、私はお前たちが乾いた最下等の供物を与えていると知った!
そんなはずはない。財団が投入していた供物はすべて品質の高いものだった。ソーンボローがそう言おうとすると、ローウェル/4338は突然下唇を噛み切り滴った溶岩でテーブルに文字を書き始めた。(テーブルは金属なので大丈夫だった)
ローウェル/4338: これが欲しい。
ソーンボロー: C-… ええと、これは… C-ad… Cadbury ? 誰が—
ローウェル/4338: 私はお前たちの言葉を話すのみ。記号までいちいち覚える気は無い。もしこれが“キャドバリー”を意味するならば、そうだ、私はキャドバリーが欲しい。この甘く蕩けるような脂が欲しい。
ソーンボロー: ま、待ってください… この記号はある種の反射シートの上に記されていましたか? それはこの“キャドバリー”を小さく、茶色の四角にして包んでいましたか?
ローウェル/4338: ああ。お前の従者の一人がこれを私に捧げた。粗末な量ではあったが、味は実に豊かなものだった。この“キャドバリー”をより多く私に捧げよ、或いはそれが可能な者を連れて来い!
…キャドバリーとはイギリスの菓子メーカーで、一般にはチョコレートでよく知られる。日本ではあまり馴染みはないが、100年以上イギリス王室御用達の歴史ある会社である。
しかし供物リストにチョコレートはなかったし、そもそも直近に供物が投入されていない。どこからこのキャドバリーのチョコレートは来たのか。調査の結果、SCP-4338に配属されている地質学者ケビン・エマーソン次席研究員が関与していることが判明した。
彼はジャンクフードが好物で、スーツケースいっぱいのそれらを持ち込んでいた。エージェント・ロードスによるインタビューで彼が言うには、事は以下の顛末で起きたらしい。
エマーソン: そうかい、私がジャンクフードを好むから全部私のせいになったのか?
エージェント ロードス: 何もお前の食生活をとやかく言ってるんじゃない、ケビン — 火山の神を覚醒させた責任を追及してるんだ! さぁ、ここで公式な尋問を開始しなきゃダメなのか、それとも-
エマーソン: 言うよ、言うとも! 捨てた! 収容違反を引き起こすつもりなんか無かった。ただ暇だったんだ、分かるか!? ここに着いてから私はシルトの篩い分けしかしてないんだぞ!
ロードス: …お前は地質学者だろ。
エマーソン: 異常地質学者だ。ここの地質に異常性は無い。財団はこの島で異常なのが例の球コロだけだと50年代にはとっくに知っていた。なのに司令部はウチの部門に仕事を持ち込み続ける。今月の貧乏くじを引いたのが私だった。
ロードス: まだ何故そんな事をしたかの説明には-
エマーソン: いや — それは — ちょっとした出来心だったんだ、な? 私は昼飯を食べようと外に出て — つまりだ、今まで我々は4338と繋がっているのは火口だけだと完全に思い込んでいて、溶岩流が一つ残らず奴との接点だとは知らなかった! だから技術的に見ると、私がこう、残り物を“廃棄”したのはプロトコル違反じゃない。
そう、彼は暇だった。異常地質学者なのに研究対象がもはや手に負えない、しかも数か月に一回しか出てこない巨大な溶岩玉しかない孤島に放り込まれた。彼は砂だか粘土だかをふるいにかける作業しか業務上やることがなかった。何か楽しみでも持ち込まないとやってられないだろう。そして持ち込んで余ったお菓子を…ちょっと捨てたのだ。それをSCP-4338が知ってしまった、ということだった。不用意ではあったが、完全に彼を責めることはできないだろう。
しかし、今に至っての問題はそこではなかった。
ロードス: プロトコルはそう単純なものじゃ- …おい、“残り物”? “残り物”ってのはどういう意味だ? チョコレートだけじゃなかったのか?
エマーソン: それはその、いや、要するに、幾つか… 別な… 物も…
エマーソン氏は手を膝に置き、唇をすぼめ、エージェント ロードスから目を逸らす。
ロードス: どういう“別な物”だ?
エマーソン氏は答えない。
ロードス: ケビン、お前は他に何を溶岩に投げ込んだ?
ローウェル/4338: — あの金色のパリパリした三角形と、夜ほどに暗い色をした泡立つジュースを要求する! 果実の練り物を詰めた噛みごたえのあるふわふわしたスポンジを要求する! 香辛料と塩をまぶした乾燥肉を要求する! 小さな動物の形にくり抜いた甘い色とりどりの蜜を要求する! そして—
ソーンボロー: はい — ええ、我々 — 我々は — 分かりました、すぐに — ねぇちょっと、誰か兵站部門に電話繋いでもらえる!?
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SCP-4338 - Vulcan, the Disaster
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SCP-4338
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SCP-4338はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはEuclid。
メタタイトルは「ヴァルカン、破滅なるもの」。
概要
SCP-4338は南太平洋にあるモアハ島の火山直下に位置するマグマ溜まりに生息する、知性と空中浮遊能力のある火山岩でできた球体である。その大きさは4.6立方km(半径約1030m)にも達し、その圧倒的な力からかこの実体はオセアニアの初期文化において“炎上する海の神”などの名で言及され、アルファでありオメガであるような扱いをされていた記録が残っている。人間にどうこうできる代物ではなく、畏怖の対象となるのも当たり前の存在だ。
そしてコイツは神らしく、供物を要求してくる。太陰暦の始まりごと、つまり29.5日に一回以下のものを火口に投入することになっている。
これらはSCP-4338自身が望んだもので、これ以外の性質は上記報告書に同じ。
…この火山の神は、ジャンクフードにドハマりしてしまった。いや、いくらなんでもハマりすぎでしょ。量がとんでもなく増えてるよ最低12トンだよいくらするんだよ…あとなんか大きくなってない?
この供物には”炎上する海の神”サマも大層ご機嫌のようだが、それでもこの異変が起きてからの5か月の間に4338-DN事象が2回起きており、拒絶される確率はまだわかっていない。そしてSCP-4338の要求はどんどん贅沢になってきているらしく、またジャンクフードにご執心しあそばされるがあまり挙動が不安定になり、ローウェル/4338はもう興奮しすぎて喋るたびにそこら中に溶岩をまき散らすため、プレキシガラスの仕切りを設けて定期的に交換する必要性が生じている。またローウェル/4338の表面には岩石のようなものが成長してきているようだ。
…あれ、4338-DN事象が起きているのに端末が代替わりしていない?と思った方もいるだろうが、これについては後述する。
以下がこの時期のSCP-4338と代理のとれたソーンボロー管理官のインタビューログと、それに続けて発生した第42回及び第43回4338-DN事象の記録である。
ソーンボロー: 私に会いたいという話でしたね、4338?
ローウェル/4338: 羽虫め! まだ己の神に対する口の利き方が分からぬか!?
ソーンボロー: …ご挨拶申し上げます、4 3 3 8様。あなた様のしもべは御呼び出しを受けて光栄でございます。
ローウェル/4338: それで良い。新たな要求がある。
ソーンボロー: クソが いえその、あなた様のしもべはそれを聞いて光栄でございます。
ローウェル/4338: お前たちの大いなる畜獣の肋肉を、前回の二倍の量にして私に捧げよ。
ソーンボロー: お望-
ローウェル/4338: そしてより多くの、甘い粉に覆われた酸い大玉を。
ソーンボロー: お望みの-
ローウェル/4338: そしてあのクリームを詰めた黄色のスポンジもだ! より多く!
ソーンボロー: …
ローウェル/4338: …
ソーンボロー: お望みのままに。それでは-
ローウェル/4338: それと、あの渦巻く琥珀色が詰まった繊細なキャドバリーを五倍にして-
ソーンボロー: 待ってください、それはもう話し合ったはずでしょう — あのチョコレートは非常に遠くから輸入されたものです。いいですか、以前合意したように、高品質である代わりに量を減らすことで、現在の輸送にかかる負担は軽減される-
ローウェル/4338: もうよい! お前たちの“負担”など私の知った事ではない。私の命令に従わぬなら、お前もお前たちのS C Pも焼き尽くすまでだ!
ソーンボロー: ですが — 指定日の3日前に突然そんな事を言いだされても無茶としか-
ローウェル/4338: 無茶? 無茶だと!? いつからお前は私にできるできないを指図する立場になった!? もううんざりだ、アム・イール・ヤ、これ以上は侮辱させぬぞ!
これに続いて、マグニチュード4.0の地震が発生した。ソーンボロー管理官を除く全職員と島を封鎖していた3隻のフリゲート艦及び研究船が島から退避し、4338-DN事象に備えた。
…しかし、SCP-4338は45分経っても火口から出てこなかった。地震は発生し続けていたが、小規模かつ荒々しい周期的なものに変化していた。ドローンを飛ばして確認したところ、SCP-4338は火口から出られなくなっていることが判明した。この火の神様は半年前と比べて十分な速度が出せず、また表面積が大きすぎた。
間もなく、船が1隻帰ってきてSCP-4338へのインタビューが再開された。そして、ここでソーンボロー管理官はある判断を下した。
ソーンボロー: 4338様、あなた様のしもべとして、何故あなた様が脅迫を- えー、“実行”しなかったのかお訊ねしたいと思います。
ローウェル/4338: …もっと私の機嫌を取ったらどうだ。
ソーンボロー: はい?
ローウェル/4338: お前は私を楽しませるために居るのだ、アム・イール・ヤ。私の慈悲次第では、お前は生き永らえることもできる。だが二度と私に質問するな、さもなければお前を待つのは苦痛と死のみ!
ソーンボロー: …そうですか、あなた様のしもべは光栄でございます。話を続けても宜しいですか?
ローウェル/4338: ああ。私はキャドバリーを-
ソーンボロー: 実は、今こそ現行の取り決めの全面的な見直しを話し合う良い機会だと考えていたのです。
ローウェル/4338: 何!?
ソーンボロー: ちょうど30%の供物削減に加え、代用品として—
ローウェル/4338: 馬鹿な! そんなにもお前は死に焦がれるか!?
ソーンボロー: —職員と保安部隊も減らそうと思います。現状を鑑みるに、必要なのはせいぜい1人-
ローウェル/4338: うるさい! うるさい! うるさい!
これに続けてまた地震が発生したが、今度はマグニチュード2.8に留まった。帰ってきていた船はまた逃げようとしたが、管理官はそれを止めた。そして、やはりSCP-4338は火口から出られなかった。溶岩も、ほとんど出ていなかった。
…さあ、清算の時だ。
予想通り、DN-4338-43の間に、ローウェル/4338は叫び、溶融物を吐き、拘束具をねじり切ろうとする様子が観察された。この行動を8分間続けた後、ローウェル/4338は疲労し始め、前屈みに床にへたり込んだ。
ソーンボロー: …それで全部ですか?
ローウェル/4338: 外道め。まだ私の怒りを掻き立て足りぬとでも-
ソーンボロー: あなた様のしもべは怒りを買うことを望んではおりません。あなた様が不服であれば、私と我が民は去る用意を-
ローウェル/4338: 止せ!
ローウェル/4338は座ったまま素早く背筋を伸ばし、テーブルの縁を掴んで身体を引き上げようとするが、前のめりによろめくに留まる。
ローウェル/4338: 駄目だ! そんな事はさせぬ! お前- 私は要求する… よ… 要求を…
ローウェル/4338はゆっくりと身体を下ろし、床に座った姿勢に戻る。
ソーンボロー: …話を続ける用意はできましたか、4338?
ローウェル/4338は8秒間うつむいて無言のままだが、やがて組んだ腕に顔を向けたまま話す。
ローウェル/4338: ああ。
ソーンボロー: 宜しい。では、この見直しについてですが…
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SCP-4338
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SCP-4338はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
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概要
SCP-4338は南太平洋にあるモアハ島の火山直下に位置するマグマ溜まりに収容されている、知性と空中浮遊能力のある火山岩でできた球体である。その大きさは7.3立方km(半径約1200m)にも達し、その圧倒的な力からかこの実体はオセアニアの初期文化において“炎上する海の神”などの名で言及され、アルファでありオメガであるような扱いをされていた記録が残っている。人間にどうこうできる代物ではなく、畏怖の対象となるのも当たり前の存在…だった。
SCP-4338はこの島の溶岩に触れる全ての食べ物を吸収することができる。そして、コイツに高カロリー食品を与えることはその機動性と攻撃的傾向を中和するのに効果的と証明された。もう、SCP-4338は肥え太り、二度と火口から出られない。
現在の供物は以下の通り。
- 1500kgのクッキー (低価格まとめ買い品)
- 1200kgのポテトチップス (低価格まとめ買い品)
- 1000kgのチョコレート (低価格まとめ買い品)
- 1400kgの豚肉、種類問わず
- 1000kgの鶏肉、種類問わず
- 1300kgの牛肉、種類問わず
あと、
SCP-4338を食肉処理場の廃棄肉片、産業廃液、その他の可食廃棄物の処分に使用する案が検討中です。
…もはや悲しさすら感じさせる扱いの落ちっぷりである。総量も7.5tと、30%どころか40%近く減らされてる。
もう機動部隊ロー-8("クラッシュ・アンド・バーン")は存在しない。この島にいる船もローウェル/4338を収容している研究船ヘロンだけ。そのローウェル/4338も、表面の8割近くを岩石に覆われ、チャンバー内にへたり込んで6ヶ月動いていない。
しかし、これもプロトコル。肥えさせることをやめていつかSCP-4338がダイエットに成功してしまえばKeterクラスに逆戻りだろう。これだけの食料でそれをSafeクラスに抑えられるなら安いものだ。
最後に、毎月一日に食料船と一緒に確認に来るソーンボロー管理官とローウェル/4338のインタビューで〆ることとする。
ソーンボロー: こんにちは、4338。今日の調子はいかがですか?
ローウェル/4338は反応しない。
ソーンボロー: 我々の現在の供物に何か問題は?
ローウェル/4338はソーンボロー管理官を見上げることなく、応答として肩をすくめる。この動作は耳障りな音を伴い、肩から幾つかの岩石塊と埃が落下する。
ソーンボロー: それは何よりです。来月また確認に来ますね。
ソーンボロー管理官が収容室から立ち去ろうとした際、ローウェル/4338が殆ど聞き取れない声で話すのが聞こえる。
ローウェル/4338: お前たちは私に何をした?
ソーンボロー管理官がローウェル/4338を振り返る。
ソーンボロー: ん? …失礼、何か言いましたか?
ローウェル/4338は数秒間不動のまま沈黙しているが、やがて徐々に頭を上げてソーンボロー管理官を見る。
ローウェル/4338: …私に毒を盛ったな。
ソーンボロー: はっきり保証しますが、我々があなたに捧げた供物は — どれもあなたが自ら要請したものですが — 全て食べても安全な物ばかりです。
ローウェル/4338: …ならばより巧妙な毒だ… お前たちは私の身体を殺せなかったので、私の野心を殺した… 私は… お前たちを全員滅ぼすべきだったのだろうな… お前たちが島に着いたその瞬間に…
ソーンボロー: ええ、まぁ、後知恵は得てしてそういうものです。話はそれで終わりですか?
ローウェル/4338の頭部が片側に傾く。完全に火山岩に変化した耳の一部が崩れ落ちる。
ローウェル/4338: …お前は最早私を畏怖していない、違うか? …神とすら考えていないのか? …初めからそうだったのか?
ソーンボローは沈黙している。ローウェル/4338はゆっくりと頷く。
ローウェル/4338: …ずっと昔、私は白い布をはためかせて海を行く巨大な木の艀に出会った… 乗っていた人間たちは上等な絹と金属の板を身に付けていて… 私は岸辺に触れる間も与えず奴らを襲った… 何の分際で奴らは鉄を形作る? それほどの力に値するのは私だけだった… だが奴らは逃げ去ったから、少なくとも私を畏れていることが分かった… だがその後間もなく、お前とお前たちのS C Pが現れた… お前たちは船さえも金属製で… 大地と空の秘密を数多く知っていた… それでもお前たちは供物を捧げ続けたから… まだ私を崇拝していると考えた… 私を畏れていると… 分かっていて然るべきだったのだ… あの時お前たちを… 殺してさえいれば…
ローウェル/4338は録音機が検出できない低い声で呟き続けている。ソーンボロー管理官は髪を一つまみ耳の後ろに掛ける。
ソーンボロー: もし今以上に要求があれば、遠慮なく申し出てください、4338。
ソーンボローが出入口に向かって移動する。
ローウェル/4338: ならば… 多分、より多くの… あの甘い、ウエハースを…
ソーンボローは肩越しに振り返る。収容チャンバーが再度密封される直前、彼女は短く大雑把に一礼する。
ソーンボロー: お望みのままに。
追記・修正は歓迎ですが、メタボリックシンドロームには気を付けてお願いします。
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