登録日:2011/03/27(日) 22:02:59
更新日:2026/03/20 Fri 11:32:16NEW!
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mtg マジック 赤 伝統 原点 最強 ブーンズ 復活 原点にして頂点 火力 バーン 最古 元祖 稲妻 赤使いのお友達←いや、親友だ←もはや家族
「しびれるね。」*1
――トレイリアの大魔導師、バリン
稲妻とは、マジック:ザ・ギャザリングに存在するカードである。
初出は最初のセット「アルファ」。
稲妻/Lightning Bolt (赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。稲妻はそれに3点のダメージを与える。
赤を象徴するカードであり、史上初のサイクル「ブーンズ」を成すカードでもある。
そしてTCG史上初の「火力」、すなわち「バーン」や「ダメージによる除去」というコンセプトそのものの起源。
つまり、あらゆるカードゲームにおける「定量ダメージを与える呪文」のご先祖様。
▽目次
概要
大きく分けて3つの使い方がある。
1.クリーチャーやプレインズウォーカーを狙う
直接のダメージにより、タフネス3以下のカードを1マナで破壊できる。
さらに他の呪文と併用することで、タフネス4以上のクリーチャーを破壊することもできる。戦闘ダメージやマイナス修正などと組み合わせるのも鉄板。
このカードが存在する環境において「タフネスが4以上である」ということはそれだけで除去耐性扱いされるほど。
プレインズウォーカーを狙えるというのも重要で、特に《稲妻》が現役だったアラーラ~ゼンディカー~ミラディンの傷跡時代のスタンダードでは《精神を刻む者、ジェイス》に関するプレイングが有名。
このカードは±0の《渦まく知識》能力が運用のメインだったのだが、たいてい着地した直後は+2能力を起動した。こうしないと能力に対応して、あるいは次のターンでの《稲妻》で着地したジェイスを狩られてしまうからだ。
その点+2能力を使えば忠誠度は5になるため、当時存在していたあらゆる《稲妻》互換のカードから逃げられるというわけ。
2.対戦相手自体を狙う
除去として使う理由がない時は、とりあえず感覚で対戦相手の顔面を狙うことができる。
逆に対戦相手のライフを削る役割をメインに据えて、めんどくさそうなクリーチャーがいたらとりあえず除去することもできる。
特殊なギミックで何度もコピーや再利用をすることで対戦相手のライフを着実に削ったり、ライフが残り3点以下の相手に引導を渡したり。
3.自分のライフを削るために使う
非常に特殊な使い方だが、モダンにおいて実際に使われた。《稲妻》を自分に向けて撃つとライフが3点減り、対戦相手が「なんだこいつ」と変な顔をする。
しかし《死の影》にとっては永続する《巨大化》のような効果をもたらすため、これを利用して相手のタフネス参照除去から逃げたり、二段攻撃を付与して大ダメージを与えたりする。
モダンに《死の影》ブームを起こした【Super Crazy Zoo】のSuper Crazy(かなり気が狂ってる)は、本来は単なる箔付けのための名前にすぎなかったのだが、
この正気を失ったような挙動を表現するのにぴったりだったこともあって日本ではすんなりと受け入れられたのである。
……「トマトは赤い食べ物です」程度の当たり前のことしか書いていないのだが、この1.と2.のどちらの挙動をするにしても、「たった1マナ、インスタント、条件一切なし」という柔軟性を常に失わない。
これが《稲妻》の最大の強みである。ダメージ効率だけならもっといいカードは存在するが、《稲妻》は特殊な条件が一切ないので赤の入るデッキならとりあえず採用候補に入れられる。
一時期は赤をタッチする理由にすらなったほどのパワーカードであり、いまだに上位互換が出ていないどころか、使用できる環境では現在でも頻繁に使われるというカード。
ブーンズの中では中堅とされるカードだが、使用できる環境の多さゆえにそこそこの確率で見かける。というより、プレイヤーの比率を考えると歴史上もっとも使われているブーンズである。
2020年以降の急激なインフレ環境の中でも、MTGの単体火力呪文はこの《稲妻》を基準に調整されている。
しかしその汎用性の高さゆえに環境に与える圧が非常に大きく、特にスタンダードにおいてはタフネス3以下のクリーチャーの評価を大きく落とすことにもつながってしまう。
タフネスではないが、どう頑張っても最初のターンに《稲妻》から逃げられない《ニッサ・レヴェイン》の評価が当時非常に低かった理由でもある。
オーラや装備品、Lvアップというクリーチャーを育てていくタイプのメカニズムは大成せず、プロテクションや呪禁や破壊不能というえげつないほどの除去耐性が環境内の標準装備になっていく。
ミラージュ時代は「赤相手にライフ10点はリーサル*2」とまで言われ、
ゼンディカー時代は「ミラージュの再来」とまで言われて恐れられ、メインに色対策カード《コーの火歩き》や、特定戦略を駆逐する《神聖の力線》を入れることさえ肯定されたほどであった。
赤使いにしてみれば「どうして僕をそんなに困らせるんですか」と嘆きたくなるような事態だが、非赤使いにしてみれば「あんたの存在そのものが鬱陶しいんだよ!」なので……。
上述の事情もあり、スタンダードでの再録は基本セット2010・2011を最後に行われていない。
最近「一部カードの相棒条件を満たすために採用を見送られるカードが増えたので相棒が禁止」という事件が起きたが、《稲妻》の場合は存在するだけで多くのカードを相手に「除去られるので使いたくない」という結論を出させてしまい、しかも絶対に禁止にならない。あまり健全な環境とは言えないだろう。
それゆえに結構値段が高止まりしやすく、基本セットで散々収録されたにも関わらず1枚100円程度で取引されている。たけーよ、絶対在庫有り余ってんだろ!
ただし「灯争大戦」あたりから始まった大インフレの波は《稲妻》の採用率を如実に減らしていった。
特に除去耐性として追加された「護法」や、3マナ以上のクリーチャーのタフネスがやたら高くなったこと、ついでのようにライフ回復を行うカードなどが増えたことから、
環境からそもそも【バーン】というアーキタイプ自体が駆逐されてしまい、コントロールデッキも《稲妻》よりも利便性の高いカードを選ぶようになってしまう。
パウパーでは赤が大暴れしてはキーパーツが禁止されるということが繰り返されており、《稲妻》を用いるデッキ自体が弱体化してしまうという憂き目を幾度となく見ている。
また、強いというのはあくまでも「1マナのカードとしては」という但し書きがつく。そのため、マナ自体を払わない横着なデッキで使う場合は弱い。
この性質が如実に表れたのが《血編み髪のエルフ》《瀝青破》の入った「続唱ジャンド」であり、《稲妻》がめくれるとその弱さに苦りきった顔をする人が多かった。
確かに《稲妻》は強い。だが2~3マナにもっとアド取りに特化した強いカードがあるのだから、そっちがめくれてくれた方がありがたいのである。
たとえるなら「そりゃブラックサンダーはうまいが、せっかくタダでもらえるならゴディバとかほしいじゃんよ」という感じ。
環境の最前線を疾走すること30年以上、さすがにそろそろ疲れが見えてきた。
それでもまだまだ現役。多くの長寿TCGがかつての名カードの型落ちを経験して「リメイク版」という全く別のカードによる「復活」を行われている中、
何のサポートがあるわけでもないのに本人がまだまだ頑張っているという恐ろしい長寿カードである。
イラスト
これだけ強力なカードでありながら、コモンかつ使用できる環境が多いこともあってここ最近は大学生が飲み会のメニューを決める際に頼むシーザーサラダのような感覚で収録されており、そのイラストは実に様々。
ストリートファイターとのコラボカードでは「Hadoken(波動拳)」というカード名で収録されている。ベガステージの鐘を背景にリュウが放った波動拳がイラスト化している。
ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズとのコラボセットでは「ルールブック・カード」という、サンプルキャラクターのイラストを模したものが収録されている。モノクロの女性が手から稲妻を放つという実に「らしい」イラストだ。
FINAL FANTASYとのコラボセットではなんと2枚もカード化されている。ひとつがFF13をモチーフにした「異跡の鼓動」、もうひとつがSLDに収録されているFF9モチーフの「ビビの魔法「サンダー」」。
アバターとのコラボセットではアズーラのイラストで収録されている。
ストリクスヘイヴンのミスティカルアーカイブでは、日本語限定版を含めて2種類も新規イラストをもらっている。下位互換の《ショック》も同時収録だ。
但しこれだけ様々な亜種があっても、やっぱり人気が高いのは基本セット2010版。
久々にスタンダードに戻ってきた《稲妻》は、物語風にしたフレーバー・テキストも添えられて非常に人気が高かった。
「火花魔道士は叫び、彼が若かった頃の嵐の怒りを呼び起こそうとした。
驚いたことに、空はもう再び見られないと思った恐るべき力で応えた。」
基本セット2010は「戦闘ダメージのスタック制ルールの廃止」「マナ・バーンの廃止」「《灰色熊》のスタン落ち」「基本セットの新録カード」などをはじめ、MTG自体が大きく動いたセットだった。
そんな時代にあって、大昔のMTGに回帰させてくれる極めて貴重なカードであり、同時にもう二度と戻ってこないと思われていたカードが再録されたという事実を端的に示したものである。
言ってしまえばマローをはじめとしたスタッフたちの「稲妻が嫌いな奴なんておる?www」というドヤ顔がスケて見えるのだが、確かに嫌いな奴なんていないのだ。一方青は《ジャンプ》*3をもらった
ただし新録版の《稲妻の連鎖》とイラストが非常に似通っており、そういう意味では不人気かもしれない。
視認性は大事である。いやマジで。
対策
このカードはとにかく強い。
特にスタンダードでは、環境内の《稲妻》をにらんでデッキに採用するカードを決めなければやってられないレベル。
- プロテクション
《稲妻》は対象を取るカード。プロテクションはダメージをすべて軽減する上に、そもそも対象に取れなくする。
赤という色自体がプロテクションに非常に弱いため、かつては色対策として非常に頻繁に用いられた。
メタゲームの項目に乗っているソリューションというデッキは、単に当時の赤が不器用なだけとも言える。今では迂回の手段がいくつかあるし、プロ赤もそんなに強くないけど。
- 絆魂やラッキーチャームによる回復
《稲妻》はカード1枚で対戦相手のライフを削るという役目を果たす。
つまり効率のいいライフ回復を続けていると、せっかく《稲妻》を1枚消費したのにその分が帳消しにされてしまう。
このアド損を招いて息切れをさせるというのは、かつての対赤の鉄則だった。赤にはドローソースがなかったため、この回復が非常に重くのしかかってくるのだ。
《給食スリヴァー》《暗心スリヴァー》《幸運を祈る者》《魂の管理人》《オンドゥの僧侶》なんかも定番で、これらのカードへの評価の高さで世代が分かる。
赤単相手への勝敗をたった1枚で分けてしまうカードは、ちゃんと遊んでいたプレイヤーにとってはとても印象深いものになる。
- 高タフネスや被覆、呪禁、破壊不能、護法などの除去耐性
ゼンディカー時代のスタンダードなら《クラーケンの幼子》《長毛のソクター》《皮背のベイロス》のようなタフネス4以上のバニラクリーチャーにまで白羽の矢が立ったほど。
《タルモゴイフ》や《精神を刻む者、ジェイス》をさっさと《稲妻》の範囲から逃がすプレイングも大切だ。
このように案外弱点も多いのだが、裏を返せば専用の対策が必要になる時点で環境を大いに歪めてしまっている。
そしてこの強さが採用者を増やしてしまい、《稲妻》ないしその対策カードに否定されるカードがあんまりにも多いことから選択肢を狭めてしまうという、メタゲームの負の連鎖を起こす。
さらに赤に実用的なドローソースがなかったのは、与えてしまうと《稲妻》とその互換カードやそれを基準に作られた赤の軽量クリーチャーを引いてやりたい放題してしまうから。つまり《稲妻》の存在が赤から小器用な動きを奪ってしまったとも言えるのだ。
こういう環境に与える圧の大きさもまた《稲妻》の弱点であった。熱心な愛好家になればなるほど「このカードが許されている限り赤に未来はない」ということが分かってしまう。
つまり多くのプレイヤーに愛されつつ、同時に目の上のたんこぶでもあるという難しいカードなのだ。
亜種
調整版である火力呪文が多数登場している。
1マナ2点だの2マナ以上で3点だのという「ダメージ効率の落ちた亜種」
- 《ショック/Shock》
ダメージが2点に減った下位互換。
度重なる再録によって稲妻なき時代の大半に存在しており、スタンにおける1マナ火力の代名詞。なんだかんだで1マナな点が意外な場面で役立つことも。
かつての赤使いは《火葬》などの2マナ3点火力との選択に悩むのを楽しんだものである。これでもかなり優良な呪文だったのだが、最近はインフレに次ぐインフレによって狙える敵が減ってしまっており、採用されることもすっかり少なくなった。
なお《稲妻》が戻ってきていたゼンディカー時代には《ショック》の完全上位互換が数枚出ているため、下環境で《ショック》を利用することはないだろう。
一方、最近のプレイヤーにはたびたび《稲妻》の下位互換として扱われるが、実際には「活躍した時期が異なる」というニュアンスが強いのでこれを言うとかなり角が立つ。
遊戯王でいえば《半魚獣・フィッシャービースト》と《ジェノサイドキングサーモン》の関係というか、とにかく「カタログスペックでは上位・下位互換の関係だが、それだけじゃ語れないものがある」という感じ。
《ショック》派生の亜種は《稲妻》よりも多いし、ラヴニカで登場した土地「ショックランド」やそれにまつわるプレイング「ショックイン」という俗称の元にもなっているなど、与えている影響は実は《ショック》の方が大きいとさえ言えるのだ。
Shockを「ショック」と訳する当時のセンスがまぶしいカード。とにかくショックならなんでもいいため、かつては「胸に魔法を受けて悶絶する魔術師」というイラストのものが有名だった。
しかしとにかくショックならなんでもいいため、「マルコフ邸殺人事件」では推理の際に衝撃を受けるというモチーフになっている。コナンがテコリン!と閃いて2点ダメージってどういうことだよ。
- 《火葬/Incinerate》
マナコストに(1)追加したら、クリーチャーの再生能力を禁止できるようになった稲妻。ダメージ効率は大きく落ちたがクリーチャー戦には稲妻以上に強いため、デッキによっては稲妻より優先される優良火力。やっぱり相手の顔面を狙えるのが嬉しい。
ただそもそもスタンダードで同居している時間が短い*4ので、多くのプレイヤーは火葬のお世話になった。基本セット第五版や第十版、基本セット2012に再録された。
かつては《神の怒り》《恐怖》とともに「再生がインクの染みになっている」という実態を作り出すほどのパワーカードだった。しかし後に「再生」という能力自体が廃止されてしまい、再生禁止がインクの染みと化す。
現在は《灼熱の槍》《稲妻の一撃》という「再生禁止を取っ払った下位互換にして稲妻の下位互換」という、この説明だけ聞くと眩暈がしてくるような下位互換が印刷される。
決して強いカードとは言えないがバランス的にはかなり良好であり、スタンダード環境で活躍している。
- 発射
マナコストに(2)追加した《稲妻》。完全下位互換。
「吐き気をもよおす『邪悪』とはッ!下位互換のさらに下位互換を印刷する事だ……!!リミテだけの都合でッ!ゆるさねえッ!あんたは今再び赤使いの期待を『裏切った』ッ!」
当時は《稲妻の一撃》さえスタンダードになかった頃。赤は決して弱くはなかったのだが当時は対戦相手の顔面を狙える火力がなく、《稲妻の一撃》程度でいいからインスタント火力が欲しいという風潮があった。
そこにさっそうと現れた下位互換に、赤使いはまさにブチャラティのように慟哭したのであった……のだが、同時期に収録された《削剥》が強かったこともあり、このゴミの存在はすぐに忘れられたのだった。
なおこれの更に下位互換の《正確な稲妻》というカードが後に登場した。なんか赤にうらみでもあるの?
- 幽霊火
「未来予知」で登場した、初の「無色呪文」。赤マナを支払っているのにテキストによって無色。
3マナ3点。《発射》*5の評価を見れば分かる通り、ハッキリ言って性能面はまったくお話にならない。
しかしこのカードは無色なので、《稲妻》をはじめとした赤のカードの弱点だったプロテクションを抜けることができた。2マナ増えた分をきっちりペイできる可能性があったのだ。
今と違って未来予知のカードの再録の可能性が非常に現実的だったこともあり、《ブレンダンの炉の世話人》《コーの火歩き》にゲロを吐くほど苦しめられた当時の赤使いが喉から手が出るほど欲した……そして最後まで手に入れることができなかったカードである。
背景ストーリーでは後に《ウギンの目》を巡る攻防の際、ジェイスのアドバイスを受けたチャンドラがサルカンに向けて「透明な炎」で攻撃するシーンで使用された他、
《精霊龍、ウギン》(精霊ドラゴン、ウージン)がカード化された際の能力に《幽霊火》がモチーフになっているものがあり、
他にもウギンの影響を受けた諸部族、特にジェスカイが《幽霊火の刃》というものを使うなど色々と範を取られている。
しかし肝心の《幽霊火》自体の再録がされないままプロテクションが常盤木能力から脱落して無色の意味がなくなり、完全に旬を失って現在に至っている。
赤使いもストーリーの事情でいつまでも再録されない《幽霊火》のことを忘れ、《四肢切断》などに浮気をしてしまったのだった。そもそもヴォーソスじゃなきゃ「ストーリーの事情なんて知るかよ」でしかないし。
「《幽霊火》よりつよーい!」
「どうしてさっさと再録してくれなかったの!?貴方にはプロテクションに負ける者の苦しみなど分からないのよッ!」
1マナ3点という部分はそのままに、不便になった亜種
- 《稲妻の連鎖/Chain Lightning》
通称「チェンライ」。日本語名が存在しなかった時期が非常に長かったことから、現在でも使われている俗称。
ソーサリーになった《稲妻》。さらに(赤)(赤)を対戦相手に払われるとコピーされてしまう。つまり二重に弱体化しているのだが実際にはデメリット自体は大したことがなく*6、ソーサリーになったこと以外は使い勝手があまり変わらない優良火力。
【バーン】における5枚目以降の稲妻としてよく使われるが、再録機会がなかなかなかったためかなり高額。貧乏デッキだからこそ愛好家が多かったデッキに入れるには矛盾しており、あまり人気のあるカードではなかった。
エターナルマスターズでアンコモンに格上げされて日本語名を得るとともに、初めてパックに再録されたことで価格が落ち着いているが、その時期にはすでに【バーン】はTier2からさえ脱落していた。何もかも遅すぎたんだ。
なおインスタントではなくソーサリーという点を参照できるという強みがある。《窯の悪鬼》などを使うウィー・ゼロックス型の【Zoo】において、《タルモゴイフ》を安定して育てるためにも用いられた。
- 《裂け目の稲妻/Rift Bolt》
普通にキャストするなら3マナソーサリー。《正確な稲妻》じゃねーか。
だが待機(マナコスト先払い能力)により、1マナかつ次の自分のアップキープに撃てる。タイムラグがあり、かつタイミングが限定されるものの「1マナ3点」という優良火力として往時の赤を支えた。
ほとんどハードキャストされないもののルール上は「3マナのソーサリー」というのがミソで、《精神的つまづき》《虚空の杯》などに引っかからない。これらのカードが元気だったころのバーンの生命線でもあった。
ちなみに《稲妻の裂け目》という死ぬほど紛らわしい名前のカードもある。
- 溶岩の撃ち込み
1マナ3点火力だが、プレイヤーしか対象に取れない上にソーサリー。ボード・アドバンテージは取れないしコモンなので本来だったら安く手に入るカードだし、実際「神河物語」時代は安く手に入った。
だが当時は「秘儀」というカードタイプを持つ=再録のビジョンがまったく見えなかったこともあって、妙に高値で取引されていた。全盛期は1枚300~400円くらいしてたわけで。
【バーン】においては「4種類目の《稲妻》」といった趣で採用され、バーンの速度を支えた。
一方スタンダードやブロック構築では「軽い秘儀」という点を参照され、連繋能力の種火として使われることも多かった。
後にファウンデーションズで《稲妻破》としてリメイクされる。秘儀ではなくなったものの、プレイヤーを対象に取らず「各対戦相手」となったことでいろいろ便利になったというほぼ上位互換。
また、黒にも《夜の衝突》という亜種とそこから派生しているカード群があり、一時期「黒赤バーン」や「黒単バーン」などが試される原動力にもなった。1マナ3点というだけで偉大なのだ。
- 《魔術師の稲妻/Wizard's Lightning》
普段は3マナ3点だが、ウィザードをコントロールしていれば1マナ3点、すなわち稲妻と同じ性能になる。
当時のスタンダードの赤には軽くて有力なウィザードが多かったので無理に部族デッキに寄せなくても活躍できた。
ドミナリア期に赤単をトップメタへ押し上げたカードであり、下記の《批判家刺殺》とともに、事実上の《稲妻》8枚体制を築く。
そこになぜか3種類も存在するドローソースが手を組み、当時のスタンダードを赤単の楽園にしてしまったのだった。ハゲゲー鹿ゲー禁止ゲーとどっちの方がマシかな?
- 《批判家刺殺/Skewer the Critics》
普段は3マナ3点だが、絢爛(このターンに相手がライフを失っている)を達成すると1マナになるソーサリー。
バーンなら絢爛達成は容易なので、《稲妻》のかさ増しとして使える。事実上のドローソースである《舞台照らし》とは条件が被るため頻繁に使われる。
- 《火花の精霊/Spark Elemental》
赤マナ1点から3/1速攻トランプルで出てくるクリーチャー。ただしターン終了時に生け贄で強制退場。
要は元祖歩く火力ボール・ライトニングの1マナ3点版。ダメージ効率は稲妻と同じだが、クリーチャー故に止まりやすい。
そういう意味では《ショック》の相互互換なのだが、ハッキリ言うと不安定過ぎてあまり使いたいカードではなく、使う場合は「仕方なく」である。
一方このカードの調整前である《ボール・ライトニング》や、さらなる調整版《地獄火花の精霊》はレガシーでも頻繁に使われていた。
条件次第では《稲妻》を上回るカード
- 炎の斬りつけ
1マナ4点のソーサリーだが、クリーチャーしか狙うことができない。
先に「高タフネスが除去耐性になる」と述べたが、それに対して赤側が用意できる回答のひとつ。タフネス4~7(《稲妻》と組み合わせる)のクリーチャーを重く見る場合に使われた。
あらゆるものを捨てて得た1点のダメージ増加のおかげで唯一無二の個性を手にしたという、一芸は多芸に通ずを地で行くカードである。
こんな訳の分からないカードが許されてしまったのはひとえに《稲妻》が当時のスタンダードに存在していたせい。
- 感電破
普段は《ショック》だが、自分がアーティファクトを3つコントロールしていると1マナ4点インスタントになるカード。
スタンダードの【ゴブナイト】やレガシーの【親和】などで使われた。しかもコモン。ライフが12点あるので安心と思っていたら3枚投げられて死亡という心温まる光景は当時ならでは。
こんな訳の分からないカードが許されてしまったのはひとえに《稲妻》が当時のスタンダードに存在していたせい。
《稲妻》を下地に敷いているカード
- 弧状の稲妻/Arc Lightning
2マナ増えてソーサリーになったら、対象を最大3つに分割できるようになった《稲妻》。
うまくいけば1:3交換を狙える柔軟性や、致死ダメージの余剰分を対戦相手の顔面に投げられる柔軟性が売り。《稲妻》にはこういう亜種もあるのだ。
地味ではあるが《稲妻》にはない強みのおかげで独特の立ち位置を得ており、特に低タフネスのクリーチャーに依存したデッキ(ウィニーやマナクリ、部族デッキなど)には結構効くため、割と採用されるカード。
《紅蓮地獄》《電謀》《地震》のようなカードの方がいいことも多く、それらが使える環境ではお好み状態。基本的にそれらが環境柄使えないか、自陣のクリーチャーを巻き添えにしたくないという事情の時に使われる。
正確には《発火》というカードを小型に調整したら「1枚で3点ダメージって《稲妻》じゃん!」と気づいてフレーバーを寄せた感じ。《正確な稲妻》の立つ瀬がない。
- 《稲妻のらせん/Lightning Hellix》
マナコストに(白)追加したら、3点回復が付いてきた稲妻。見かけ上ドレイン呪文だが2マナ3点ドレインは破格。
黒が泣いている。
稲妻にも負けないパワーカードであり、効果は赤白の定番として定着したものの後発の性能は軒並み劣化している。こいつと(赤)(白)でどこにでも撃てる4点火力のモードを持つ《ボロスの魔除け/Boros Charm》のおかげで、モダン・パイオニアではバーンが赤タッチ白で組まれがちである。
インフレが進んだ時期ではたまにスタンダードに再録されているが、かつてほど活躍することはなくなっている。
黒が泣いている。
モダホラを含め、赤白でボロスが出てくるたびに「らせん」という名前のドレイン呪文が登場する。
黒が泣いている。
- 稲妻造り士/Lightning Crafter
タップしただけで3点のダメージをどこかに飛ばす、つまり《稲妻》のスーパーティム。しかも無条件。4マナ。再利用可能。弱いわけがない。
もちろんそんなうまい話があるわけがなく、「覇権(ゴブリンかシャーマン)」というデメリットを持っている。ゴブリンかシャーマンを1体一時的に追放しなければいけない。
つまりこの2種類のうちどちらかが濃いデッキでないと、そもそも使用がおぼつかない。あまり使われたカードではなかった。
しかしゴブリンデッキでは《ゴブリンの女看守》からのサーチを前提に1枚採用された。
これは素の性能を見込んだものではなく、《鏡割りのキキジキ》と《スカークの探鉱者》《ゴブリンのそり乗り》などのサクり台との組み合わせで無限ダメージを発生させるためのもの。
すべてが《ゴブリンの女看守》《ゴブリンの首謀者》によって手札に加えられる上に《難問の鎮め屋》という打ち消し対策もあったため、無限ライフや長期戦が相手の時にも無限コンボが成立して勝利というもの。
早めにそろえれば事故ったANTを相手にあっさり勝つこともできたという、当時のゴブリンの強さを陰で支えた1枚である。
もちろん素の性能もそこそこであり、あっさり除去されても《ゴブリンの首謀者》や《ゴブリンの女看守》を覇権しておけばETBを再利用可能。《稲妻》を何度もぶっぱできるカードなのに、至れり尽くせりな1枚なのだ。
他にも「稲妻」と調べて出てくるようなカードはだいたい下地に敷いてある。
余談
稲妻の他にアルファから存在する1マナで3つの何かを得られるカード達は5ブーン(Boon:恩恵)カード、またはサイクル名で「ブーンズ」とも呼ばれる。
- 治癒の軟膏/Healing Salve(白、3点回復or3点軽減)
- Ancestral Recall(青、3枚ドロー)
- 暗黒の儀式/Dark Ritual(黒、3マナ加速)
- 稲妻/Lightning Bolt(赤、3点火力)
- 巨大化/Giant Growth(緑、+3/+3)
それぞれの色の性質に合った効果なのだが、青の《Ancestral Recall》はパワー9に名を連ねるぶっ壊れとして有名なのに対し、白の《治癒の軟膏》はどうしようもなく弱いと、かなりパワーにバラ付きがあるのが特徴。黎明期故のバランスと言えばそれまでだが。
ぶっ壊れとまではいかずともモダンリーガルの稲妻は《巨大化》以上《暗黒の儀式》未満の3番目といったところ。
しかし高値でヴィンテージでしか使えないアンリコ、モダンイリーガルの時代にスタン落ちしたダリチューに比べ、《稲妻》は昔と変わらない運用方法でなお使われ続けている。
実力でいえば3番目?その評価は大いに結構。じゃあ一番使われているのを目にするカードは何か?それは絶対に間違いなく《稲妻》なのだ。
たとえ《暗黒の儀式》とともにスタンダードに同居していた時期であっても、《暗黒の儀式》と肩を並べたブーンズ。
「原点にして頂点」という言葉がこれほど似合うカードもないだろう。
いつか《稲妻》が完全に型落ちする日も来るだろう。だがそれが訪れたところで、このカードが築き上げた30年以上の歴史は燦然と輝き続けるのだ。
MTGにおけるX火力以外のあらゆる単体火力の元ネタになったのは先も述べた通りでなのだが、実は他のカードゲームにおいても範を取られている。
遊戯王の「雷鳴」、カードヒーローの「サンダー」など、雷がモチーフかつテキストに3が含まれているカードはだいたい《稲妻》を元ネタにしていると考えていい。
「戦闘によらないダメージを与えるカード」の元祖は、非常に多くのカードゲーム文化に影響を与えた。
テレビにおける黒柳徹子みたいに、黎明期から大活躍して今でも大活躍している超古参を使えるカードゲーム、Magic: The Gathering。
もし興味が出たら、ちょっとだけ触ってみませんか?先っぽだけでいいから。ねっ?この統率者戦ってのがマジでオススメで……。
「アニヲタはおざなりな決まり文句と化した追記・修正の要望を目撃し、それに応えようとした。」
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▷ コメント欄
- 山と稲妻だけのデッキがあったってことは山とバーンカードだけのデッキって現環境ではあるの? -- 名無しさん (2014-02-16 11:07:11)
- 所謂四枚制限が有るからそこまでぶっ飛べないけどバーン自体ははスタンダードのみならずモダンやレガシーでも有るよ。ただスタンダードではカードプールの問題からノンクリーチャーのフルバーンと呼ばれるのは珍しいかな? -- 名無しさん (2014-02-16 11:25:12)
- 火力が多めのビートダウンでも○○バーンって呼ばれたりはする。あと環境が煮詰まってない状態だとバーンなんかの赤系が成績残しやすいイメージ、青やら黒はその逆、一概には言えんけど -- 名無しさん (2014-02-16 11:29:42)
- 1マナ3点だと強すぎて1マナ2点だとうーん・・・ という印象 非常に微妙なライン -- 名無しさん (2014-03-21 11:12:01)
- ↑対抗呪文(2マナ)は強すぎて、取り消し(3マナ)は弱い、に似てるな -- 名無しさん (2014-03-25 12:10:30)
- ジョークエキスパンションであった分数を導入すればいいんじゃね(投げやり) -- 名無しさん (2014-03-25 12:24:20)
- 3点だと3マナ、あるいは4マナ域のクリーチャーも -- 名無しさん (2014-03-25 13:17:55)
- 落とせるからねぇ、火葬ぐらいの+αがちょうどいいと思う -- 名無しさん (2014-03-25 13:19:40)
- アルファは基本セットだからエキスパンションじゃない。 -- 名無しさん (2014-08-25 01:37:19)
- しびれるね。 -- 名無しさん (2022-07-11 09:09:14)
- カードヒーローのいなずまの元ネタか・・・だいぶ狂った性能だったんだな・・・ -- 名無しさん (2023-06-20 12:45:03)
#comment
*2 《山》2枚から《稲妻》×2+ピッチ《火炎破》で10点ダメージ。
*3 1マナのクッソ弱いコモン
*4 《火葬》がオーバーパワーだった時期は《火山の鎚》というソーサリー版が収録されていた。
*5 《幽霊火》の方が10年ほど早く登場している。
*6 相手が赤でないなら問題なし。そして赤のデッキはすぐマナを使い切ることが多い。
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