カバキコマチグモ

ページ名:カバキコマチグモ

登録日:2010/09/28 (火) 01:03:22
更新日:2023/11/20 Mon 13:21:34NEW!
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カバキコマチグモは フクログモ科 コマチグモ属に属する蜘蛛の一種。
学名はCheiracanthium japonicumキラカンシウム・ジャポニカム
漢字表記は樺黄小町蜘蛛。
北海道、沖縄を含む日本全土に生息しており、数少ない日本の毒蜘蛛である。




体長は凡そ1〜1.5cm。オスの方が小さいのは、もはや昆虫界のご愛嬌。
先端が黒い毛に覆われた脚に、大きく立派な黒い牙、そして何より鮮やかなオレンジ色の体色が特徴的。『カバキ』の名前はその体色から取られている。
オレンジWとか思った奴はハドロン砲に撃たれて 死 ぬ が よ い 。


糸を使った、所謂『蜘蛛の巣』は張らず、ササやススキと言ったイネ科の植物の葉を巻いた、何とも情緒溢れる巣を作る。
しかしそこで獲物を捕る事はなく、大抵の場合は夜間に草むらや雑木林を徘徊して昆虫などを捕食する。
また、綺麗好きであり、脚を使ってちょこちょこと身繕いをする姿は結構可愛い。
先述の通り日本で数少ない、人体に影響が出る程の毒を持つ毒蜘蛛であり、日本の在来種の中では最も強い毒を持っている。
しかしカバキコマチグモの方から能動的に人間を噛むような事はなく、多くの蜘蛛と同じように性格は控えめで臆病。



巣の特性上、生息域が草むらや森林などに限られている為、出会う事の方が珍しい。
そもそも在来種の蜘蛛の殆どは、人間の皮膚を貫ける程の毒牙を持っていないので、カバキコマチグモは例外の中の例外と言えるだろう。
今の所、日本国内での蜘蛛による咬傷事故が報告されているのはカバキコマチグモのみである。蜘蛛怖い。




一年を通して活動するが、さすがに冬は身を潜める。
繁殖期に入ったメスは黄色くて大きなあの子と同じく非常に攻撃的になり、巣に近付いたり触ろうとするものには容赦なく噛み付く。
繁殖期は主に6〜8月の間なので、外遊びなどをしていてうっかり巣を壊してしまい、噛み付かれると言った事故が多い。


毒の成分は通常の蜘蛛が持つ獲物を麻痺させる為の神経毒に加えて、カテコールアミンセロトニンヒスタミンと言った毒素を含んでおり、噛まれると激しく痛む。
咬傷部分は赤く腫れ上がり、酷い時には水膨れになったり潰瘍のようになったりする。


腫れ自体は2〜3日立てば自然に引くが、痛みや痺れが2週間以上も続く場合があり、油断は出来ない。
重症になると頭痛や、発熱、悪心、嘔吐、ショック症状など様々な症状に悩まされる事になる。蜘蛛怖い。




以下、余談。


カバキコマチグモのオスは、メスが住む巣の入り口を突き破って巣の中に侵入し、そこで交尾を行う。
そう、オスは住居不法侵入の上に夜這いをかけて交尾するのである。許すまじ。


しかし実際、メスはそうされても全く動じない。それ所か余裕綽々の態度でオスを招き入れ、交尾を受け入れる。
解っているのだ。巣を突き破って入って来るような無粋な輩など、同種のオスしかいないと言う事を。
つまりは(要脳内変換)↓


「よ、よし……今日こそ、大人の階段を上ってやるぞ…見てろよアイツら…!」


バリバリバリッ!


「た、頼もー! こ、子作りに来まs…」


「あら、よう来たね」


「え、よう来たねって……あの…」


「交尾しに参ったんでしょ? ボサッとしてんで、早うここに上がりゃんせ」


「あ……そ、その…」


「緊張してる? 可愛いねえ………ふふッ、そう緊張せんで。うちをたっぷり気持ちようしてくりゃれ」
「え、あ……は、はい!」


(オス言うのは、ほんと解り易いねえ…)


こう言う事である。
いつの時代、どこの世界でも、やはり男は掌の上なのだ。



交尾の果てに、メスは巣の中で産卵。一度に産む卵の数は100前後。
卵は約10日で孵化するが、その間メスは巣に籠もり、外敵から卵を守り抜く。気性が荒くなり攻撃的になるのもこの頃である。


卵から孵った幼虫は、1度目の脱皮の後、生きた母蜘蛛に取り付いて食べてしまう事が知られており、カバキコマチグモを表す特徴として認識されている。


母蜘蛛は一切抵抗しない。愛する我が子の為に、喜んで自らの身体を差し出す。
そうして子供達の空腹を満たすと共に、自然界の掟と厳しさ……弱肉強食の理念を、自らの犠牲を以て指し示す。


生きたまま、自らが守り育んだ子供達に咀嚼されていく――それは耐え難き苦痛であると同時に、至上の喜びでもある。
そう、愛する我が子の血となり肉となって永遠に共に在れるのだから。


正に、最高の家族愛。究極の愛のカタチ。


昨今の身勝手な母親らにも見習って欲しいものである。
「みんな…うちの屍を超えて、大人になってくりゃれ。うちは幸せよ…みんなと、いつも……いっしょ、だか、ら…」



妖艶な橙色の体に耽美な毒、オスを手玉に取る狡猾さ、そして我が子の為ならば喜んで身を差し出す潔さと愛情…正しく小町の名を語るに相応しい、日本の古き良き毒蜘蛛(ははおや)…それが、カバキコマチグモなのだ。


くすッ、ようお出で下さいました。こんな荒ら屋だけど、ゆっくりしてってくりゃれ




それにしても人間サマがうちみたいなのに会いにきて下さるなんてねぇ…




うち、こう見えて毒持ちでありんすよ? 噛まれても知りませんよ?




え……うちの項目を追記・修正する為に、もっとうちの事が知りたい…?




クスッ、…嬉しい事言うてくれるわねぇ。なかなか蜘蛛泣かせな人間サマだこと




うちも、なーんかこそつばい気分になって来ちゃったねぇ……くすくす♪




人間サマぁ? うちをその気にさせた責任はきぃっちりとって貰いますね?





―― HAPPY END ――



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