能面の人々
[ 目が覚めると、見知っている天井が目に入ります。 ]
セツナ
………?
…ん………夢…だったか……。
[ 夢の内容は直前なので覚えてる ]
………あぁ、楽しい夢だったな。
あの子にも会えて、ヤコウのことも知れた………。
……ふふ。刹那の泡沫だろうと、僕は……誰かの為に必死になれたんだなって…!
[ 自分がやっと、誰かの役に立てたことが嬉しかった ]
能面の人々
[ そして、青年が体を起こそうとすると、少し重みがある事が分かる。 ]
[ よく見ると、さっきまで夢の中で行動を共にしていた少女雪慈に似た、そう、山オサキヤコウがその重みの原因だとわかる。 ]
セツナ
あ……ヤコウか。
…って…!
( よりにもよって、上に… )
[ 動こうにも動けない位置にいる ]
能面の人々
ヤコウ:スゥ……Zzz。
[ どうやら、目覚めるのは青年の方が早かったようだ。 ]
セツナ
まだ起きない…よね…。
………。
[ なんとか退かそうと考えた ]
こう、するかな………。
[ 起こさず移動させるため、彼女に触れる必要がある ]
よし………。
[ まず、彼女を横に置く為に、彼女の背中まで腕を回す ]
これを………。
[ 作業に集中しはじめる ]
能面の人々
ヤコウ:うぅ…ん……。Zzz
[ 何とか、ヤコウを退かす事が出来た。 ]
[ そして、部屋を見回しテーブルをよく見ると、何かが置いてある。 ]
「本当の名を知った者は、そのものを使役することができる。他人の本当の名を知っても決して口には出さず、心にしまっておくこと。」
[ それはメモと、金魚鉢の中に日本刀が入ったデザインの、小さなキーホルダーだった。 ]
セツナ
[ 何かあると思い、布団から立ち上がりテーブルに近付く ]
( これって……… )
[ 夢の中の出来事の筈なのに、その結果が現実に現れるだなんて普通思わないだろう ]
[ キーホルダーを見る ]
( 雪花………か。 )
[ 続いてメモを読んだ ]
( 口には出さないように、か。…て、使役ってなんだよ使役って…。 )
[ ふと、寝ているヤコウのほうを振り返る。もう起きてるかもしれないと ]
能面の人々
[ すると、小さな欠伸をして、眠気眼を何とか開こうと瞬きを繰り返していたところであった。 ]
ヤコウ:…………うんん…。
[ そして、ある程度時間を立てた後、目をこすりながら上半身を起こした。 ]
ヤコウ:…おはよう。
セツナ
…おはよう、……ヤコウ。
[ 早速、本名を言いかけた ]
………今日で三日間が終わったね。
あのさ。楽しかった?
ヒトの近くにいて、どう感じたかな…。
[ 夢の中と現実に繋がりがあるとはいえ、それが目の前のヤコウも同じとは限らない ]
能面の人々
ヤコウ:……そうだねぇ、人の近くはやっぱりちょっとまだ苦手。でも、それ以上に楽しかった。
[ 正直な感想を言う、言葉や目に濁りは無い。 ]
ヤコウ:…あなたのおかげ、人の世の苦以上の楽しさは、あなたがもたらしてくれたものだから。
[ だが語るその口調は、ちょっと名残惜しそうである。 ]
セツナ
それは、良かった…。
[ こちらも、少し言葉を選んでいるようだ ]
…楽しかったよ、ヤコウ。
君が居てくれたおかげで、少しだけ前向きになれた。
…少しだけって言ったけど、僕にとっては大きな進歩だよ?
それでさ…あの…。
…うん、ハッキリ言っちゃうね。
[ 遠回しに言っても仕方ない。こんな事が言えるのは、この瞬間しかないのだから ]
これからもどうか、僕と一緒に居てもらえませんか?
能面の人々
ヤコウ:……うん。
[ 立ち上がって、目の前に立つ。 ]
ヤコウ:こんな私で良いなら、末永く…。よろしくお願いします。
セツナ
ヤコウ……。
…ありがとう……!
[ 彼女をそっと抱き締める ]
能面の人々
ヤコウ:こちらこそ、ありがとう、傍に置いてくれて。
[ 腕を回して、とにかく近くに居たかった ]
ヤコウ:ああ、なんでだろうね。幸せだからかな、すごいドキドキしてる。
セツナ
わかる。心臓の鼓動が、さっきから凄いんだ。
…ぅ…。
[ 彼女の顔が予想より近いことに気付く ]
心臓が破裂しそう……顔が近くって……!
[ 今になって恥ずかしくなり、腕を緩めようとするが…… ]
能面の人々
[ まだもう少しこうして居たいという思いと、恥ずかしさや他の感情が昂ってしまって体が上手く動かせない。 ]
ヤコウ:あっ………、ごめん。でもまだ、もう少し。
セツナ
え……う、うん……!
[ 思考回路が恥ずかしさで単純化してしまってる ]
[ 緩めるのを止め、更に顔を近付けることに ]
あ、ヤバい……い…息が………っ……!
[ 近付け過ぎて、互いの荒い息が顔に当たる ]
能面の人々
[ さすがに恥ずかしさが限界に来るものの、そのせいで逆に動けない。 ]
ヤコウ:あっ…。ぅ………。
[ しかし、自分は今、動かなくていいと、ヤコウはそう思っていた。 ]
セツナ
ぁ……あ…………!
[ 気持ちを伝えあった仲だ。ならこんなに顔を近付けて、"やること"は1つだろう ]
……………うぅ……。
前に、間接キスしちゃったじゃん?
……今、とんでもないこと考えちゃってる。
[ 彼女の目を見て伝える。その顔は赤かった ]
能面の人々
ヤコウ:………いいよ。
[ 言い切った後に、目を閉じる。もう、とっくに覚悟は決まっているのだ。 ]
セツナ
ぁ…もう……君ってやつは……。
[ 彼女の方が先に覚悟を決めていたことに驚いた ]
………………。
責任は、しっかり取りますね………!
[ 数秒躊躇い、そして……… ]
………ッ……!
[ 彼女の唇を奪った ]
能面の人々
ヤコウ:…………………。
[ いまは、ただじっとしている。言葉はいらない。気持ちは伝わる。 ]
[ 何もかも、隠すことなどできない。隠すこともしない。全てを捧げたのだ。 ]
[ そのまま、されるがまま、抵抗もしない。 ]
[ 時間が流れるのも気にしない。 ]
セツナ
ん………ぅ………ぁふぅ…。
[ 暫くして、ようやく唇が離れる ]
はぁ………はぁ………。
[ 息が上がっている。ずっと呼吸を止めていたようだ ]
ヤコウ……!
[ 今なら正直に、何でもできそうだ。しかしそれは今するべきではない。色んな意味で ]
……これからも、どうか宜しくね……♪
[ 再び抱き締める。彼女の頭を撫でながら ]
能面の人々
ヤコウ:はい。不束者ですがよろしくお願いします。
[ 素直に答える。頭を撫でられ嬉しそうに、今は幸せでいっぱいなのだろう。そんな笑顔を見せる。 ]
セツナ
ふふ……♪
[ ふと、壁の時計を見る ]
…こんな時間…。
ねぇヤコウ、朝御飯にしよっか。
それから、また……この続きを………っ……!
[ 最後の発言は正直、欲が深すぎると思った。品が無いと言われても仕方の無い劣情だとも考えてしまう ]
能面の人々
ヤコウ:…ふふッ、そうね。まず…朝ごはんにしましょ。
[ そう、今はまだ早朝なのである。 ]
[ 朝ごはんを食べるべき時間だ。二日間、ヤコウが朝ごはんを作っていた。 ]
[ 今日も、そのつもりである。 ]
セツナ
……!
あ、あぁ……。
………。
[ 吐いた唾は戻せないと悟った ]
………こほん。
今日は、一緒に作っても構わないか?
というか教えて欲しいな。
ヤコウ……いい?
[ まだ抱き締めてる。が、心臓は先程よりかは大人しい。互いに心の底を見せ合ったからだろう。絆はとても深いものとなったのだ ]
能面の人々
ヤコウ:わかった。約束もしたしね。
[ この後二人で料理を作って、朝ごはんにした。 ]
[ それは何というか、仲のいい普通の夫婦の様であった。 ]
夢を見た、夢だけど、鮮明に覚えている。
遥か昔に生きた世界に似ていて、どこか違うそんな夢。
私は途方もない不安の中にいた。
とっくに飲み込んで克服していた、恐怖の感情。
私は、この島に来て、また人に恐怖していたのだ。
だけど、そんな不安も、怖くは無くなった。
人がどういう生き物で、どんな風に思っているのか、
何となく思い出すことが出来た。怖がる必要なんてなかった。
改めて、それを教えられた。
私の名前は、もう彼に預けてある。
何もかも、これからは尽くすつもりである。
私はオサキ、山オサキ。
人の言う事を聞かない妖狐。
だから、勝手に力になる。
もしかしたら、要らないお節介をするかもしれないけど。
なんであれ、これからもよろしくお願いします。
私の、旦那様。
夢物語〜山オサキ〜
[ おわり ]
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