能面の人々
[ 階段を登りきって神社を改めて眺めると、拝殿が見えそこには賽銭箱が置いてあります。 ]
[ よく見ると、敷地の中には蔵の様な建物もありました。 ]
[ 障子戸の向こうに人の気配は感じられません。 ]
[ そして、いくつか灯籠が立っています。 ]
セツナ
……不気味だな、夜の神社は。
[ ヒトの目では、やはり獣ほど夜目が利かない ]
……辺りに何かないものか。
[ 周りを見渡す ]
能面の人々
[ よく見ると、一回目来た時には確かに暗かった灯籠の一部に明りが付いていて、注視すれば中の蝋燭で火が揺れ動いている事がわかる。 ]
セツナ
あれ……点いてる?
さっきは真っ暗、だった…よね。
[ 恐る恐る、その一部の灯籠に近付く ]
能面の人々
[ だが、その時。 ]
???:なにあんた?なんかここに用?
[ 後ろから声を掛けられた。そう、後ろからだ。 ]
セツナ
…!
[ 突然の声に身体をビクつかせる ]
す、すみません!気になったもので…。
[ 振り返る ]
能面の人々
[ 振り返れば、まるで隣に居る少女に似た、つまり青年のよく知っている人物に似た女性が立っていた。しかしその女性は少女と違い、青年よりも少し小さくらいの背丈で、耳も尻尾も存在せず、巫女服を身に纏っていて、髪は黒かった。普通の人間の様に見えるがその目は人間の様でありながら何処か狐の様な鋭さも感じられる、どこか違和感のあるものであった。 ]
セツナ
え…。
ヤ…コウ……?
( いや違う。似てるけど、また違う )
[ まじまじとその女性を見つめている ]
能面の人々
巫女服:…え?なに?なんなの?
[ 注視されたことで若干警戒している ]
セツナ
あ、すみません。この子によく似ていたもので……。
[ 目を逸らす ]
ええっと、この神社の関係者さん…でしょうか?
能面の人々
巫女服:見てわからないかな?私は巫女よ、巫女。
[ 若干呆れ気味な態度ではあるものの、人を軽蔑する様な事は無いし、そのような雰囲気は感じられない。 ]
巫女服:なに?もしかして、なんか調べ事とか?困ったとか?
セツナ
はい。実は、外に出ようと思ってて…でも物騒だと聞いてるので、少し躊躇ってたところなんです。
[ 抜け道は既に聞いている。聞くべきは、もっと別のことだ ]
能面の人々
巫女服:そう、物騒な事ねぇ。何も起こさなきゃ何も怖い事は無いんだろうけど。なに?なんか要るモノがあんの?
[ 少し面倒くさそうだが、協力してくれない事は無さそうな態度である ]
セツナ
そうなんです…何か、頂けないでしょうか?
( この人も、お面付けてないのか )
能面の人々
巫女服:何が要るの?それにもよるわね。物によってしまってある場所が違うのよ。何でもいいの?それとも資料?食べ物?それとも………武具?それとも自分で色々調べる?
セツナ
…そうですね。そのほうが色々と助かります。じゃあ、見させてもらいますね?
[ そう言って、蔵の方へと ]
能面の人々
巫女服:はいはい、じゃあこれね。蔵の鍵。
[ そう言って渡されたのは、古い鍵であった。神社にとって大事な物の様だが、簡単に渡してくれた。 ]
セツナ
ありがとうございます。
[ 鍵を受けとる ]
ここに差して…。
[ 鍵穴に差し込み、回す ]
能面の人々
[ 鍵は扉から外れ、力を加えると簡単に解放された。 ]
[ その中は、埃が全く落ちていない綺麗な状態だった。壁に密着するように棚が並び、床に置いてある壺は蓋がしてあったりしてなかったりしている。 ]
[ 全体的にぱっと見て、書物や古風な生活用品、農具や武具など、様々な物が並んでいて、どれもこれもすぐに使えそうなくらい綺麗に手入れがされている。 ]
セツナ
凄い、ですね…。
手入れが通っている…。
…どうするか。何を持っていくか……。
[ 悩んでいる。危険とはいえ、どういう意味で危険かはまだ理解できない ]
能面の人々
巫女服:あ、何でも取ってって良いからねぇ〜。
[ そう言って巫女服は拝殿の方へ向かった。 ]
セツナ
……戦闘を考えれば、武器は必要だよね。なら、ここは王道たる刀かな。
[ と、太刀を手に取る ]
うん。ちょっと振りづらいけど、これなら心強いね。……もうひとつ、必要かな。
[ 少し悩み、和弓を手に取る ]
……あー、でも矢が無くなるとダメだなぁ。
なら、直ぐに使えるモノにしないと。
…そだ。これにしよう。
[ 槍を選んだ ]
持ち心地…いいな。はぁぁあ…!
( こういうの一度使ってみたかったんだよねぇ…! )
[ 心なしか、少し興奮しているようだ ]
能面の人々
[ どちらも戦となれば第一線で活躍する名品が如くの出来である。 ]
[ 心強い助けとなる気がする。 ]
[ 少女は、そんな青年を見て微笑んだ ]
[ 蔵の中には他にも、本や物が多く収納されている。 ]
セツナ
はぁぁぁ…!
[ 目がキラキラしている ]
…ハッ!
[ 視線に気付く ]
( いけないいけない!もう子供じゃないんだから……! )
ん……何か欲しいものがあるのかな?
[ 視線を向けてくれた彼女に聞いてみる ]
能面の人々
少女:う〜ん、欲しいものかぁ。
[ 色々な物を視界に収めているため、迷っているようだがとある物の前でとまる。 ]
少女:これ、とか?
[ それは、古びたお守りであった。少女はそれを手に取ると、青年に渡した。 ]
少女:お兄さんが持ってて。
セツナ
これを?
……お守り、か。
いいの、かな…君が持ってたほうが安心な気がするんだけど。
[ ここは自分の世界と少し違うのだ。危険があるなら、彼女を優先すべきだ ]
能面の人々
少女:私はお兄さん頼りにしてるから、それでいい。
[ 一言そう告げ、また収められてる品を眺めはじめる。 ]
セツナ
…僕を、信頼……?
[ 少し、心臓が締め付けられたような感覚に陥る ]
……うん。
ありがとうね。
[ お守りを懐にしまう ]
能面の人々
少女:うん。……そうだ、お兄さんは村まで、どうに行く気なの?
セツナ
そうだね……うーん。
[ 少し間をおいて ]
脇の抜け道を通る。そこから下山して村にいく。夜だからね、灯りになるものも持っていくつもりだよ。
[ 地図と蝋燭、縄を手に取る ]
君も色々持っていこっか。
[ お札と人型の紙を幼女に手渡す ]
安心して。君の名前、必ず思い出させてあげるから。
[ 最後辺りの言葉。どこかしか、心が籠っているかのような熱意があった ]
[ 頭を撫でる ]
能面の人々
少女:うん、ありがとう!
[ その言葉と心が嬉しかったらしく、少女は笑顔を見せた。 ]
[ 頭を撫でられた事で少し安心もしているようだ。 ]
少女:あ、そうだ。
[ 少女は何かをまた思いついたようだ。 ]
少女:あのね、さっきの地図に”金魚池”ってあったでしょ。…雪花を帰してあげない?何となく寂しそうだし。
セツナ
……!
[ 雪花の顔を思い出す ]
…そっか。そうだよね……こんな小さい袋の中で一生なんて…苦しいよね。
うん。下山の前に、池に帰しに行こう。
…気付けてよかった。君のお陰だね。
[ 撫でる手を少し力を込める ]
能面の人々
少女:ありがとう、お兄さん…。なんだか、ね。
[ どうやら、青年と出会うまで、一人で彷徨っていたためか、自分の今までの境遇と雪花を重ねていたみたいだ。 ]
[ ともあれ、最初の行き先は金魚池に決まった。 ]
セツナ
よし。さっきの巫女さんにお礼してから、池に向かおうか。
[ 持ち物をあらかた整え、いつでも出発できる準備はできた ]
能面の人々
少女:うん。
[ 蔵を出ると、さっきの巫女服が居たので話しかけると ]
巫女服:終わった〜?まあいいや、また何かあったら来て良いから。
[ とだけ言って神社の奥の方へ消えていった ]
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[ さて、この二人の短い旅路ですが、ここで一度区切りる事になりました。 ]
[ 少々長いですからね。 ]
[ さあ、この青年は無事に少女の名を得る事が出来るのか、それはまた後でございます。 ]
[ 語り部が何を申すもございません。 ]
[ さて、それでは。 ]
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