登録日:2011/08/04(木) 15:38:01
更新日:2023/08/18 Fri 10:22:55NEW!
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植物 外来種 草 擬人化項目 スケッチブック 帰化植物 雑草 ×ブタクサ チグリスとユーフラテス ヒゲナガアブラムシ 口に出したくなるワード セイタカアワダチソウ
どうもセイタカアワダチソウと申します。
皆様一度は私を目にしていると思います。
漢字表記だと背高泡立草です。
……どこが泡立ってるかなんて野暮なことは聞かないでくださいね?
……え?ああ、すみません。読みづらいですよね?
ここからは普通の色でいかせて貰います。
自己紹介の続きですが、私はキク科アキノキリンソウ属の多年草で、秋に花を咲かせます。
出身は北アメリカで、日本には明治時代末期にやって参りました。
戦後、米軍の輸入物資に付着していた種子や、養蜂家が蜜源として利用し始めたことによって爆発的に伝播し、現在日本全国に分布させて頂いております。
セイタカの名の通り、高さは1~2.5mほどで、良い土地なら3.5mほどに伸びます。
……デカ女なんて呼ばないでください。私だって……好きでこんな大きくなったわけでは……。
実は現在はかつてほど派手な繁殖は少なくなっております。
その理由としては、
1.土壌に肥料を蓄えてきたネズミやモグラが駆除されてきたこと
2.蓄積されていた肥料をほぼ消費しきってしまったこと
3.後述するアレロパシー原因物質により自らの生育を阻害してしまったこと
が挙げられます。
ああ……お腹いっぱい食べられていたあの頃が懐かしい……。
まあ自業自得な部分が多いのですが……。
さて、先ほど言った「アレロパシー」、日本語では「他感作用」と申しますが、つまりは、微生物を含む植物相互間の生化学的な関わり合い、のことを指します。
例えば私、セイタカアワダチソウは根から周囲の植物の成長を抑制する化学物質を放出しております。
これはcis-DME(シス−デヒドロマトリカリエステル)と呼ばれるものであります。
が、この物質は放出した私自身の成長も抑制してしまうのが困りものでございます。似た事例ではワサビ様なども同様の悩みをお持ちだとか。
……はい?ドジっ娘?いえいえなんのことだかサッパリですが。
ああ、そういえば私とブタクサさまを混同なさってる方々が非常に多くいらっしゃるようですね。
ブタクサさまの受粉は風媒体でございますが、私は受粉を虫媒体で行いますので花粉が空気中を舞うなんてことは滅多にございません。
故に、私は花粉症や気管支喘息とは無関係でございます。
ただし花粉にはアレルギー検査の対象になっているアキノキリンソウさまと同一抗原の蛋白質が含まれておりますので、
少なくとも群生地の10m以内には近づかない方がよいでしょう……。
ほぼ同期であるブタクサさまには悪いですが、風評被害もいいところであります。
繁茂しすぎて在来種を滅ぼしたことや、前述の風評被害などにより私は嫌われ者でございます。
しかし、傾斜地の土砂流出防止や土壌保全機能も有しておりますので、何卒ご容赦をお願いいたします。
以上でございます。
皆様、追記、修正よろしくお願いいたします。
このような外来種の繁茂を許してもいいものか?否。
秋の野を考えよ。日本人たるもの、西日や満月に煌々と輝く銀の花を思い浮かべるであろう。
仮令ブタクサの濡れ衣を着せられた被害者であっても、彼奴等は日の丸の下に在った物に非ず。
異国の跳梁跋扈を許すのか。魂はおろか草原まで異国に屈するのか。銀穂を思い出せ。大和の秋を思い出せ。
秋の野原を取り返すのだ。日本の心を取り戻すのだ。
今こそ土地を蚕食し情緒を蹂躙する黄色の花を、この地より子々孫々に至るまで根絶やしにするのだ!
というわけで、実はススキとセイタカアワダチソウは生育環境がよく似ている。
セイタカアワダチソウが問題視された昭和40年代にはそのアレロパシーをもってススキを駆逐してしまった。
しかし上述のセイタカアワダチソウの自滅のような形での衰勢にくわえて肝心のアレロパシーがセイタカアワダチソウ自身の生育を阻害してしまうため、何年かかるかは分からないとはいえ結局最終的にはススキに抑え込まれてしまうのである。ススキには勝てなかったよ……
湿った土地ではこのアレロパシー物質がうまい具合に広がるようで、ススキをはじめとした他の植物を抑えて優位に立つ。現在も秋に黄色い花畑を作る場所なんかはそういう土壌なので、駆除は半ば諦められている。絶対ススキなんかに負けたりしない!
これは日本人としては「何の役に立つか微妙で気持ち悪い外見の外来種が在来種によって打ち負かされる」というハッピーエンドのストーリーになるのだが、
逆にセイタカアワダチソウの方がなじみ深い北米では「このままじゃ俺たちのセイタカアワダチソウが危ない」とかなり危惧されているんだとか。
なにせセイタカアワダチソウは日本ではとても食用にする気になれない上に悪目立ちする雑草にすぎないが、北米ではハーブティーや薬草、蜜源植物として非常に親しまれている*1。
その一方でススキは日本でもぶっちゃけ何に使うかよく分からない情緒的な植物にすぎず、そんなものを使う文化のない北米では純粋に迷惑なやつにすぎないのである。
といっても外来種ってそんなもんである。ところ変われば品変わるとはよく言ったもの。
故郷で親しまれているものも、別のところでは忌まれているものなのだ。
つまりあの秋に咲く金と銀の植物は、人間の知らないところで骨肉の争いを繰り広げているのである。
追記、修正よろしくお願いいたします。
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▷ コメント欄
- ジョシコウセイタカアワダチソウタイシリロン -- 名無しさん (2015-03-11 13:19:40)
- こんな塩らしい態度をしているが、一度海外に出ると… -- 名無しさん (2015-04-28 16:26:18)
- 花粉症と関係なかろうがなんか見た目が嫌い -- 名無しさん (2020-07-02 13:04:09)
- かわいい -- 名無しさん (2020-07-02 16:02:26)
- 入ってきた当初のイメージが拭われてないけど、ここ20年ほどは勢力が弱まってるとか -- 名無しさん (2021-10-22 20:16:21)
- 薬草として地味に優秀なんだよね(アトピーに効いて入浴剤やお茶にできる) -- 名無しさん (2021-10-23 03:12:31)
- ススキとの争いが面白い -- 名無しさん (2021-10-23 09:22:52)
- 花が泡立っているように見えるな -- 名無し (2022-07-28 21:14:14)
- ある意味昭和後半を象徴する花。昭和モチーフのコンクリートレボルティオでも登場している(サブタイトルにもなってる)。 -- (2023-01-10 19:39:45)
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