ヒョウ(動物)

ページ名:ヒョウ_動物_

登録日:2023/04/16 Sun 18:40:00
更新日:2024/07/05 Fri 12:38:16NEW!
所要時間:約 6 分で読めます



タグ一覧
ヒョウ 動物 哺乳類 肉食 猛獣 アニヲタ動物図鑑 動物園 動物占い ヒョウ柄 パンサー レオパルド 危険生物 女豹 絶滅危惧種 スピードタイプ ネコ科 松島トモ子 木登り ガオグランナー チーター←ではない ジャガー←でもない ピューマ←でもない




ヒョウ(学名:Panthera pardus)とは、食肉目ネコ科に属する哺乳類である。
漢字では「豹」、英語では「leopardレオパード」という。



目次



概要

スラッとした体型と、黄色い体毛まだら模様のある独特な外見が特徴のネコ科の猛獣の一つ。
後述するジャガーやチーターを除けば、ライオントラのような大型のネコ科の猛獣とは外見が大きく異なるので判別は容易い。


鳴き声は「グルル」「ガフガフ」などの野太く迫力のある声。
寿命は野生では10年ほど、飼育下では長くて20年ほど生きる。
基本的に単独生活で、育児も雌単独で行う。多くて6頭、平均して1〜3頭の子を産む。


現生種はアフリカからアジアまで、尚且つサバンナからジャングルなどかなり幅広い地域・環境に生息している。
だがどの種も毛皮を目的とした密猟や環境破壊を要因として数を減らしており、絶滅が危惧されている国もあるため、盛んに保護活動が行われている。


平均した大きさは種にもよるが、大体はオスで1.4m程度、体重50kgと、猛獣の類に入るネコ科の動物の中ではあれでもかなり小柄な方。体重も軽いことから木に登れることでも知られている。
それ故にあまり大きな獲物は狩らず、基本的にシカやガゼルといった小型の草食獣を捕食することが多いが、アフリカにおいてはゴリラチンパンジーの数少ない天敵としてもよく名が挙げられている肉食獣でもある。


狩りの方法は主に、サバンナに生えている背の高い草の茂みや密林に紛れたり、時に木の上から奇襲を掛けたり、という典型的な待ち伏せ型である。


また首の力が強い為、仕留めた獲物はその場では捕食せず基本的に木の上に持ち去ってから食べる習性を持つ。
これは、アフリカやアジアではそれぞれ生息地が被るライオンやトラに力負けして獲物を奪われたり、最悪殺されたりすることも多いから。
特に子供達を襲う天敵駆除が仕事の雄ライオンや、子育て中の雌のトラはヒョウを激しく敵視する上に、地上では同等に近い機動性を有し*1雌の小型個体でも100kg、体格の良い雄なら200kgを軽く超える彼等と真っ向からの戦いになれば万が一つにも勝ち目がないので、遭遇したら全力で逃げるしかヒョウの助かる道は無いのだ。
まして、ライオンは基本的に集団生活だし、トラも大きめの雄の縄張りの中に雌の縄張りが幾つか重複して相互扶助する社会を築いており、危険な外敵が侵入したと判断すれば雄が妻の加勢に駆け付ける事も有り得るので一対一でも勝ち目が無いに数の上でも負けているとなるともう体格の大きい彼等が追撃出来ない樹上に逃げるぐらいしか打つ手は無い。
先述した木に登る能力や木の上で獲物を食べる習性も、これら上位の捕食者に折角仕留めた獲物を奪われたり、獲物を巡る争いで殺されたりしないようにするために得た能力だとも言われているのだ。


一方で同じネコ科の猛獣で見た目も似ているチーターや、イヌ科の動物であるリカオンやドールから獲物を奪ったりするなど負けっぱなしではないが、後者の場合彼らには集団戦法で挑まれて殺されたりもするので、力関係は意外と拮抗している模様。


ちなみに全身がほぼ真っ黒な通称クロヒョウと呼ばれる個体もいるが、これは色彩変異がたまたま密林などの暗い環境に適したものであったために淘汰されずに残ったものであるとされ、そういう種がいるわけではない。
なので遺伝子的には通常の種と全く同じであり、地域差はあれどそうした環境に生息している個体群であれば理論上はどの種からもクロヒョウが出現するのである。
尚、クロヒョウは英語で「(blackブラックpantherパンサーと呼ばれる。「ブラックレパード」ではないのだ。




人間との関係

生息地では家畜は勿論、人間をも襲う事から恐れられている。
とりわけアフリカ諸国やインドにおいては都市部にも姿を現すので、家畜や飼い、そして人間が襲われる事例も後を絶たず、正にクマのような存在の動物となってしまっている現状がある。
そもそも、ネコ科猛獣の体重当たりの出力は人間の一流アスリートの5倍、平均的なヒョウでも200kgもある雄ゴリラの中でも強い個体が辛うじて互角に持ち込める程の戦闘力があるのだ。でもライオンやトラの成獣相手では、勝負にもならずに遭遇即逃走一択。同程度の出力質量比で3~4倍の体格差の壁が有れば勝てる訳が無い。
その一方で毛皮は上質なために密猟が後を絶たず、特にアムールヒョウは絶滅が危惧される種の一つともなっており、絶滅してしまった地域も意外とある。
ヨーロッパにおいてはヒョウは魔性の動物としても扱われ、口から放つ芳香のような匂いで獲物を誘い、食べてしまう動物でユニコーンだけが抗えるという迷信があったという。
勿論あくまで迷信で、実際は肉食獣特有の獣臭だが、ここから転じてキリスト教における伝道師を象徴する動物としても扱われるようになった。


また、妖艶な女性の事を「女豹めひょう」と呼んだり、人が態度や振る舞いを前触れなく変えたりすることを「豹変」*2と呼んだりするように慣用句にも使われている。
また戦国時代から江戸時代初頭にかけ、絵画の一派である狩野派では、虎の群れを描くなら必ず豹も描くことが定法とされ、左甚五郎作の『子宝・子育ての虎』では子虎と戯れる母虎が豹の姿で描かれている
ヒョウの体の柄はファッションにもよく取り入れられる。大阪のおばちゃんの民族衣装やで。


ちなみに海外ではごく一部のセレブがペットとして飼育している場合もある。
無論だがかなりの図体かつ肉食なので、それなりの餌費用と、動き回る動物故に家の敷地の広さは相応に要することになり、何かの拍子で野生に目覚めて飼い主や他の犬猫が餌になる危険性も孕むが。


とはいえ成獣なら兎も角、赤子の頃から人間と共に暮らして上手いこと順応していると、警戒心も薄れて只のデカくて物騒なツラをしたネコチャンに成り下がるという。



主な種類

  • アムールヒョウ

ロシアに生息しており、ヒョウの中でももっとも北方に生息している種。
ベルクマンの法則*3故か平均して1.4mのヒョウの中でも例外的に大きくなると言われ、なんと最大で1.9mにも達するという最大種候補。
だが環境破壊や密猟によって大きく数を減らしており、一説には野生下では100頭程度しか生き残ってないとも言われるほど希少になってしまっている。
同じく絶滅危惧種のネコ科の猛獣だが保護のおかげで数が増えつつあるアムールトラによって殺される事例もあるようで、悩ましい問題になってしまっているようだ。


  • インドヒョウ

名前の通りインドやネパール等の南アジア地域に生息しているヒョウ。
インドでは人里に降りてきては飼い犬や家畜は勿論人間をも襲う為、恐れられる動物の一つとなっている。
ただ環境破壊や密猟によって数を減らしているので極力駆除はせず、捕獲した個体は麻酔で眠らせて山奥に放つという試みがされている。


  • アラビアヒョウ

アラビア半島地域に生息しているヒョウ。
ヒョウの仲間では珍しく山岳地帯に生息している種であり、餌の関係でかなり広い行動範囲を持つという。
一方で多くの仲間に共通して密猟によって数を減らしており、その個体数はアムールヒョウに並んで少ないようだ。



ヒョウが飼育されている動物園

ライオンやトラとも違うその外見から、動物園でも人気でよく飼育される猛獣の一つでもあり、飼育している動物園は多い。
特にアムールヒョウはヒョウの仲間の中でも特に絶滅が危惧されるので保護活動が盛んであり、日本国内ではなんと10か所もの動物園で飼育され、繁殖の計画も試みられているのだ。


ちなみに王子動物園には「セイラ」、広島市安佐動物公園にはセイラの父の「アムロ」がいる。


動物占いにおけるヒョウ

作中では「黒ひょう」として登場。名前はひらがな表記。満月軸で相手軸で、目標志向型。黒ひょうの人は以下の主な特徴を持っている。


  • 段階サイクルでは青年期の精神性を持つ為、気が若く傷つきやすく、ナイーブである。
  • メンツやプライドにとてもこだわる。
  • スマートに全ての中心になりたい。
  • 負けず嫌いで、人より一歩先を行きたい。
  • 多感で、些細な事にも感情的になりやすい。
  • 黒ひょうなのでモノトーンが好きで、なんでも白黒はっきりさせたい。
  • 飽きっぽく、転職が多い。
  • 新製品や情報など、新しいものに目がない。
  • 恋愛では、積極的にアプローチ。

ヒョウをモチーフにしたもの、ヒョウの名を冠するあれこれ

「女豹」という言葉からかトラやライオンと比較すると女性的なイメージが強く、『仮面ライダークウガ』に登場するズ・メビオ・ダや『仮面ライダーアギト』に登場するクイーンジャガーロード パンテラス・マギストラ、『マジンボーン』のリーベルトのように女性キャラが結構いるのが特徴。
後は他のネコ科の動物同様軍事兵器の名前にも付けられることもある。ドイツ製戦車のパンターやレオパルトが有名か。
俊敏さをイメージしてか、シューズメーカーのPantherやスポーツ自転車メーカーのPANTHER、イギリスの自動車メーカーPanther Westwindsといった“走り”に関連する製品のメーカー名にも付けられている。
しかし現実においてそうであるように、トラやライオンをモチーフとしたキャラに比べるとやや実力が劣る存在になってしまうこともしばしばある。


レアケースであるがジャガーと混同されていることも。
例えば、『BLEACH』に登場するグリムジョー・ジャガージャックは名前にジャガーと付くが、実際はヒョウがモチーフとされていたり、先述したジャガーロードも同じくジャガーと名前についているが実際のモチーフはヒョウだったり、ジャガーマンは斑点こそ正しいジャガー紋だが鳴き声が「ヒョウオオ!」だったり『仮面ライダー(漫画版)』ではジャガーはヒョウのかっこいい言い方と認識しているらしき発言をしていたりするのだ。


またその模様から名前を付けられた生物もおり、ペットとしても人気の爬虫類の豹紋蜥蜴擬ヒョウモントカゲモドキやフグ毒ことテトロドトキシンを持つ猛毒生物として有名な豹紋蛸ヒョウモンダコもその模様がヒョウに似ていることから名付けられた生物だ。


ヒョウをモチーフとしたキャラクター

ヒョウ

  • 女爪豹キャロライン(星のカービィディスカバリー)
  • レパルダス(ポケモン)
  • ヒョウ、クロヒョウ(けものフレンズ)
  • バギーラ(ジャングル・ブック)
  • マンチャス(ズートピア
  • ヒョウダブラー(宇宙刑事ギャバン
  • 豹塚昌子(理想の息子)
  • ヒョウの兄弟(むしまるQゴールド内の楽曲「キミチーター(ボクらはヒョウ)」)
  • ヘルキャット(ゾイド)

クロヒョウ


他ネコ科との混同

  • ヒョウタ(どうぶつの森の住人)※種族はトラである

余談


鳴き声
あまり知られていないようだが、ライオン・トラ・ジャガーと並んでガオーと咆哮できる数少ないネコ科の肉食獣の一種でもある。
これは声帯の構造に関係があるからで、同じくヒョウと名前につくが別の動物であるユキヒョウやウンピョウ、そしてオオヤマネコは声帯の構造が異なるので咆哮する事ができないようだ。


  • ジャガー・チーターとの違い

見た目が酷似しているのでよくジャガーやチーターとも混同されやすい。
というか、それぞれ豹を基準に「亜米利加豹アメリカヒョウ」と「猟豹リョウヒョウ」の異名も持つ。
まず生息している地域だがヒョウがアフリカ大陸からユーラシア大陸にかけて広く生息しているのに対し、ジャガーは南米大陸と生息している地域からして全く異なっている。
チーターは分布がアフリカからインド(ただし現在は絶滅)までで重複しているが、ヒョウが森を好むのに対しこちらは草原を好む。
次に体型だがスレンダーなヒョウに対してジャガーは筋肉質でややズングリ、チーターはヒョウ以上にスマートという違いがある。


個体差を含めて一発でわかるのは毛皮の模様。
●ヒョウ:梅の花のように黒点が集まって輪になっている。
●ジャガー:黒点の輪まではヒョウと同じだが、輪の中央にさらに黒点がある(小さい輪だと不明瞭だが)。
●チーター:シンプルな黒い点で輪になってない。


  • 松島トモ子

実は女優の松島トモ子を殺しかけた動物としても知られている。
若き日の彼女はケニアのナイロビに訪れた際にライオンに襲われているが、その10日後に今度はヒョウに襲われており、生死の境を彷徨ったのである。
しかもライオンの時と違って*4ヒョウは捕食の為に襲い掛かったようで、第四頸椎を噛み砕かれる重傷を負わされている。
にも拘らず奇跡的に後遺症は残らなかったようだがそれでも数か月のリハビリを強いられ、あと数ミリずれていたら死亡していたと医者に言われたそうだ。



追記・修正お願いします。


[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,6)

[#include(name=テンプレ3)]


  • 改行多すぎないか?この項目 -- 名無しさん (2023-04-16 19:25:11)
  • ユキヒョウはどっちかというとトラに近い生物なんだっけ -- 名無しさん (2023-04-16 19:53:48)
  • 創作物でスピード系になること多いけど、足の速さは時速58キロと見た目の割にそこまで速くないという。 -- 名無しさん (2023-04-16 20:19:48)
  • ↑足の速さと言うより身軽さが高いイメージ。ライオンやトラがパワータイプ、チーターがスピードタイプなら、ヒョウはテクニックタイプって感じ。 -- 名無しさん (2023-04-16 20:52:53)
  • 頸椎損傷しても生還したどころか後遺症がなかったの奇跡すぎるだろ… -- 名無しさん (2023-04-16 21:19:43)
  • 「エsa…じゃなくてトモ子さん、牙を磨いてお待ちしています。」by猛獣一同 -- 名無しさん (2023-04-16 21:30:07)
  • 「木の上で食べれば安心」なのは確かなんだけどまだ木に登る事ができる若いライオン(完全な大人は無理)やチンパンジーにせっかく取った獲物を奪われることが稀にあるらしい。 -- 名無しさん (2023-04-16 21:44:39)
  • 環境適応能力の高いオールラウンダー的なイメージだ -- 名無しさん (2023-04-17 01:57:19)
  • ↑5 ライオンはメスがスピードタイプ、オスがパワータイプだよ。ライオンは雌雄で身体能力の方向性が全然違う -- 名無しさん (2023-04-17 02:48:33)
  • 何故かなかなか立たなかった項目 …そうか? -- 名無しさん (2023-04-17 14:59:55)
  • 新規ページ一覧に大江戸線と並んでるせいで『江戸の黒豹』(杉良太郎)を思い出した -- 名無しさん (2023-04-17 18:24:03)
  • そういやこれをモチーフにしたポケモンっているのか?SVのパオジアンか? -- 名無しさん (2023-04-17 20:09:22)
  • ↑レパルダス -- 名無しさん (2023-04-17 20:50:14)
  • ピンクパンサーも豹では? -- 名無しさん (2023-04-18 02:23:42)
  • 創作だと、かわいいイメージの「猫」に収まらない、猫然としていながらも強かである表現として「豹(パンサー)」になることもある。ペルソナ5の杏や、ラブライブのμ’sの「つかまえちゃー」がこれ。 -- 名無しさん (2023-04-18 15:44:37)
  • 好き嫌いが偏食の域に達しててシカ専門、イノシシ専門みたいに気に入った肉しか食べないって話を読んだことがある。同じヒョウの肉を気に入ってしまった個体もいるとか -- 名無しさん (2023-04-18 20:41:51)
  • 生後数日から完全に飼育されてるヒョウがYoutubeに居るけど、本当にネコと大差無いかネコより優しいまである。賢いし、運動神経も高い。散歩疲れたから抱っこで車まで運べというワガママな所も。クッソ重いのを頑張って運ぶ飼い主本当に笑う。 -- 名無しさん (2023-04-20 11:07:39)

#comment(striction)

*1 ライオンもトラも本気を出せば高さ3m、幅10mぐらいの跳躍をやってのけるし、急加速や急旋回能力も非常に高い。
*2 元々は「君子は豹変す」といい、「誰でも過ちを犯すものだが、立派な人間は豹の毛替わりの様にハッキリと同じ過ちを繰り返さないよう行いを改める」と言う「表面だけ取り繕って誤魔化す人間より遥かにマシ」と良い意味で使われていた。
*3 「寒冷地に棲む恒温動物は、温暖な地にすむ近縁種に比べて巨体になることが多い」というもの。
*4 このライオンは子育て中の雌で、子ライオンと戯れる余所者を我が子から引き離そうとしただけで殺さない程度に手加減をしていた。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧