登録日:2022/03/24 Thu 01:14:18
更新日:2024/06/18 Tue 11:42:57NEW!
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サトノダイヤモンドは、日本の元競走馬。
「呪い」とも言える過酷な運命に抗い、確かな輝きを放った名馬である。
『ウマ娘 プリティーダービー』におけるサトノダイヤモンドはこちら→サトノダイヤモンド(ウマ娘 プリティーダービー)
【データ】
生年月日:2013年1月30日
父:ディープインパクト
母:マルペンサ
調教師:池江泰寿
馬主:サトミホースカンパニー
生産者:ノーザンファーム
産地:安平町
セリ取引価格:2億4,150万円
獲得賞金:8億6,512万円
通算成績:18戦8勝
主な勝鞍:16'菊花賞、16'有馬記念
受賞歴:JRA最優秀3歳牡馬(2016年)
【名門牧場のおぼっちゃま】
2013年1月30日生まれの牡馬。
父は説明不要の英雄ディープインパクト、母はアルゼンチンのG1を3勝している名牝マルペンサというとんでもない良血。
生産者はノーザンファーム。名門社台グループの筆頭格として多くの活躍馬を送り出し、日本一の誉れも高い大牧場である。
アルゼンチン競馬は日本同様の高速馬場として知られており、同年に生まれたディープインパクト産駒の中でも
有数の期待株として注目を集めていた。
そして誕生から僅か5ヶ月後。
「マルペンサの2013」*1は一流の中の一流とでもいうべき良血の競走馬のみが集う競り市、セレクトセールに上場される。
7000万円からの競りという強気の設定であったが、本馬を見初めた多数の馬主が手を挙げ、あれよあれよと価格が高騰。
最終的な落札価格はなんと2億3000万円。この年全体でも上から2番目という超高額での購買となった。
見事落札を果たしたのはセガサミーホールディングスの会長を務め、「龍が如く」シリーズの製作総指揮者としても知られる里見治氏*2。
「サトノ」の冠名で多数の馬を走らせており、競馬ファンにも馴染みの深い大物馬主である。
……超高額での落札に、「サトノ」の冠名。
この2つの事実が、「マルペンサの2013」の未来に暗い影を落とすこととなる。
【背負わされた十字架】
ここからはディープの仔だけにディープな話になる。
まずはこの記事を読んでいる方々にひとつ質問をさせていただきたい。
「あなたが馬主資格を取ったなら、どうやって馬を手に入れますか?」
……当然ながら、何もないところから馬が湧いてくるわけはない。
サラブレッドを生産している牧場とコンタクトを取り、お金を払って売ってもらうことになる。
場合によっては調教師や他の馬主の力を借り、顔をつないでもらう流れも考えなくてはならない。
こうした形式での購買を「庭先取引」と呼ぶ。
しかし、ここで考えてもらいたい。
あなたが牧場側の人間だとして、どこの馬の骨ともわからない馬主に自分が育てた期待馬を売りたいと思うだろうか?
庭先取引をするにしても、前々から馴染みのある、あるいはお世話になっている馬主に買ってもらいたくはないだろうか?
ぶっちゃけてしまうと、日本の馬産界はこうした「一見さんお断り」の傾向が非常に強いと言われている。
新興の馬主が庭先取引でよい馬を確保することは難しく、年月とお金をかけて気長に牧場とのパイプを築き、
期待馬を売ってもらえるだけの信頼を得ていく必要があるのだ。
まあ、こういう閉鎖的な状況を打破すべくセレクトセールの開催を決断したのがほかならぬ社台グループなのだが、それはさておき……
他の手っ取り早い購買ルートとしては「セール(競り市)」がある。
前述したセレクトセールもこのひとつで、出品されている馬の中から走りそうなものを選んで手を挙げ、お金を積んで他の馬主と落札を競う流れとなる。
期待馬ともなればその価格は文字通りの青天井、1億2億なんてお値段がつくこともザラである。
それでも手持ちのお金次第で欲しい馬を多数手に入れられるわけで、新興の馬主にとってはまたとない機会といえるだろう。
……しかし、ここで競馬界に数多存在するジンクスのひとつが顔を出す。
「2億の馬は走らない」
前述したとおり、セールというのは馬主どうしの札束の張り合いである。
期待馬ならどんどん金額が上がり、億円単位の決着になることも珍しくはない。
しかし、その中でも選りすぐりの有望株―――お値段が2億円以上になった馬はなぜかレースで結果が出ないのである。
唯一の例外は牝馬のアドマイヤグルーヴ*3で、牡馬に至っては2013年時点で誰ひとり「元を取れた」馬が存在しなかった。*4
この時点でもう「マルペンサの2013」が走らないことは確定的とみるファンも多かったくらいである。
そのうえ、実はオーナーの里見氏自身もここまでG1を勝てていなかった。
馬主業への参入からすでに20年、ここ最近は毎年10億円単位のお金を費やして馬を買っているのに、G1では惜敗・惨敗の繰り返し。
もはや呪われているといってもいいくらいの不遇ぶりは逆にファンの耳目を集め、「サトノの馬は走らない」との声まで聞かれる始末であった。
2億の呪い。
そしてサトノの呪い。
2つの重すぎる十字架を背負い、マルペンサの2013―――「サトノダイヤモンド」はターフを駆けることになったのだった。
【磨かれる原石】
無事に馴致を終えたサトノダイヤモンドは栗東気鋭の三冠トレーナー、池江泰寿調教師のもとに預けられ、競走馬としてのキャリアをスタートする。
資質自体は抜群のものを見せていたのだが、どうにも背腰の甘さ*5が抜けず、新馬戦はやや遅めの2015年11月となった。
手綱を任されたのはクリストフ・ルメール。
ハーツクライを駆ってディープインパクトに国内戦唯一の敗北を味わわせたフランス出身の名手であり、
サトノダイヤモンドがデビューした2015年当時はミルコ・デムーロと共に日本での通年騎乗免許を取得したばかりだった。
迎えた2015年11月8日、京都5Rの芝2000m戦。
落札価格2億4000万円の超高額馬ロイカバード(鞍上・武豊)も出走し、「5億円対決」として注目を集めたレース本番。
サトノダイヤモンドは先行策から悠々と先頭を捉え、そのまま直線を独走。デビュー戦を見事勝利で飾った。
続く条件戦も快勝し、2戦2勝で2歳シーズンを終了。
来たるクラシックに向け、束の間の休息を取ることとなった。
【栄光を求めて】
明けて2016年。
サトノダイヤモンドはきさらぎ賞から始動し、圧倒的1番人気に応えての勝利を飾る。
賞金はもう十分だし、背腰の甘さも気になるしということで、春のトライアルは使わず皐月賞に直行するローテが組まれた。
当日は朝日杯FSの覇者リオンディーズや弥生賞を制したマカヒキを抑え、堂々の1番人気に推される。
レースも中団から上手に進めていったのだが……直線斜行したリオンディーズに前を塞がれる不運に見舞われ、痛恨の失速。
体勢を立て直し巻き返しを図るも、大外から追い込んできたディーマジェスティとマカヒキに屈し3着で入線。
初めての敗北を喫し、サトノ軍団初のG1制覇はまたもお預けとなってしまった。
続く日本ダービーではディーマジェスティに1番人気を譲り、2番人気で出走。
……もっとも、ディーマジェスティの人気には鞍上を務める蛯名正義騎手のダービー初制覇がかかっていたという事情があり、
サトノダイヤモンド自身の評価が落ちたわけではなかったりする。
レースでは皐月賞同様中団を進み、直線での末脚勝負を志向。
陣営悲願のダービー制覇は、手を伸ばせば届くところにまで近づいてきていた。
だが……ここでまたしてもサトノダイヤモンドに不運が襲いかかる。
父から受け継いでしまった蹄の宿痾がここにきて顕在化し、向こう正面にて左後肢を落鉄*6。
人間でいえば靴が脱げたまま走るような状態に追い込まれてしまう。
それでもサトノダイヤモンドの闘志は萎えず、直線ではあがり3F33秒4の豪脚を繰り出して前を猛追。
馬群をまとめて差し切り、先頭を征くエアスピネルに並びかける。
……しかし落鉄の影響は大きかったか、外に膨れてしまったところに今度はマカヒキの末脚が炸裂。
2頭が馬体を併せる形で入線し、勝負の行方は写真判定に委ねられる。
勝者―――マカヒキ。決め手はわずかにハナ差8cm。
勝負の世界にたらればはないとはいえ、落鉄さえしていなければ……と思わずにはいられない惜敗であった。
皐月賞に続き、日本ダービーも敗北。それも両方がどうしようもない不運に見舞われてのものである。
2億の呪い。
サトノの呪い。
2つのジンクスに抗う術は、もはや残されていないようにも見えた。
【解かれた呪い】
夏の休養を挟み、サトノダイヤモンドは秋の緒戦として神戸新聞杯に出走。
実はこの時点で凱旋門賞遠征のプランもあったのだが、ダービーの落鉄で蹄を傷めたこともあって国内専念となった。
しかし悪いことばかりではなく、この時期からようやく馬の背腰に芯が入り始め、強い調教をかけられるようにもなってきていたのである。
マカヒキは凱旋門賞挑戦のため不在、ディーマジェスティも関西輸送を嫌ってセントライト記念を選択したため不在となり、単勝オッズは1.2倍の一本被り。
レースでは内から伸びてきたミッキーロケットをクビ差抑えて勝利。確かな成長ぶりを示しつつ、菊花賞に駒を進める。
そして迎えたクラシック三冠最終戦・菊花賞。
当日はディーマジェスティを抑えての1番人気。3番人気以下の単勝は10倍を超え、完全な2強対決と目されていた。
皐月賞は3着、ダービーは2着。ここまで積み上げた賞金、2億2560万円。
菊花賞を勝てば文句なしに購入費をペイし、里見氏もG1オーナーの栄光を手にできる。
多くのファンと関係者が見守る中、サトノダイヤモンドは淀3000mのスターティングゲートに馬体を収めた。
……もっとも、彼の背負うものはそれだけでは済まなかった。
実はこの年まで、ディープインパクトの産駒は菊花賞を勝ったことがなかったのである。
もっと言えば、鞍上のルメール騎手も日本競馬のクラシックを勝ったことがなかった。ジンクス2つ追加入りまーす
なにより、春の負け方は「勝てない運命」を痛感させるに十分なインパクトがあった。
今回も同じように不運に見舞われ、勝てたはずのレースを落とすのではないか?
馬もオーナーも、そういう星のもとに生まれついてしまったのではないか?
そんな不安と期待とをまとめて背負いこみ、サトノダイヤモンドは菊花賞のスタートを切った。
レースではいつもどおり中団を進み、第3コーナーから絶好の手ごたえで進出。
ディーマジェスティを瞬く間に突き放し、栄光のゴールに向かって猛進する。
外から追い込んできたエアスピネルらをも抑え込み、2馬身半のリードを取ってゴールイン。
譲れなかった最後の一冠!
完勝でした!楽々と抜け出しました!
──中野雷太(ラジオNIKKEI)
サトノ軍団、悲願のG1タイトル獲得。
この勝利でサトノダイヤモンドの獲得賞金額は3億7150万円となり、購入費の2億3000万円を大きく上回った。*7
ディープインパクト産駒としても初の菊花賞制覇。ルメール騎手も初のクラシック制覇。
すべての呪いは、今ここに解かれたのである。
余談ながら、この後の里見氏は16年香港ヴァーズや17年宝塚記念を制したサトノクラウン、17年安田記念を制したサトノアラジンなど
立て続けにG1勝ち馬を手にすることとなる。現金すぎないか競馬の神様
年内最終戦は有馬記念。
ファン投票では1位のキタサンブラックに2万票ほど離された2位となったが、当日は僅かな差で1番人気の支持を受ける。
前年覇者のゴールドアクターが大きく離れて7.9倍の3番人気となり、菊花賞に続く2強対決の様相となった。
レースはキタサンブラック得意のスロー逃げに持ち込まれるが、第3コーナーから一気に捲りをかけ、直線ゴールドアクターを交えての競り合いに挑む。
粘りに粘るキタサンブラックを一完歩ごとに追い詰め、クビ差差し切ったところがゴール板。
一線級の古馬たちをまとめて破り、サトノダイヤモンドは堂々競馬界の頂点に立ったのである。
ディープインパクト産駒の牡馬は概して完成が早く、春のクラシックでは無類の強さを誇った。
一方で秋以降は伸び悩むケースも多く、「早熟」「早枯れ」などと揶揄する声もたびたび聞かれた。
しかしサトノダイヤモンドは前述のとおり背腰に甘さがあり、秋になってようやく強い調教をこなせるようになった馬である。
つまるところ、サトノダイヤモンドは未完成の状態で菊花賞と有馬記念を勝ってしまった*8ことになる。
G1級のディープインパクト産駒としては異例の成長曲線であり、卓越した才能を存分に示した秋であったと言えるだろう。
数々の呪いを断ち切り、更なる勝利に向けて邁進する。
サトノダイヤモンドの行く末は、煌びやかな栄光に満ちたものであると思われた。
【曇る輝き】
迎えた2017年。
陣営は未だ日本馬の勝利がない世界的大レース、凱旋門賞への出走を表明。
過酷な消耗戦となることを考慮し、阪神大賞典から天皇賞(春)を経て渡仏、前哨戦のフォア賞に出走してから本番というプランが立てられた。
阪神大賞典は連覇を狙うシュヴァルグランに1馬身半の差をつけて勝利。天皇賞(春)は有馬記念で破ったキタサンブラックとの2強対決となった。
レースは例によって中団を進むも、番手で緩みのないペースを刻み続けるキタサンブラックの術中に嵌り、うまく位置取りを上げられないまま直線に入る。
得意の末脚勝負に持ち込もうとするも前を捉えきれず、3分12秒5のレコードタイムで駆けたキタサンブラックの3着。
有馬記念のリベンジを果たされ、当初のプランは早々に破綻をきたしてしまった。
それでも陣営は予定通りに渡仏することを決め、宝塚記念を回避。
……しかし、この時点ですでに運命の歯車は狂っていた。
血統と実績から現地ブックメーカーも本命に挙げるほどに有力視されてはいたが、フォア賞は直線伸びを欠き4着敗退。
大目標の凱旋門賞も重馬場に苦戦し、いいところなく15着大敗。失意の中で帰国することとなってしまう。
帰国後は有馬記念への出走を検討するも、休養を優先し回避。
本番ではこのレース限りでの引退が決まっていたキタサンブラックが逃げを打ち、1番人気に応えての勝利。有終の美を飾った。
サトノダイヤモンドは2018年も現役を続行したが、始動戦の金鯱賞は3着敗退。
大阪杯は直線伸びを欠き7着。国内戦では初めての掲示板外となってしまう。
宝塚記念ではかつて破ったミッキーロケットが和田竜二騎手を乗せ、テイエムオペラオーの01年天皇賞(春)以来となる中央G1制覇を果たした中で6着。
かつて彼が見せた才能の煌めきは、もはや完全に失せてしまったようだった。
それでも秋緒戦の京都大賞典は勝利し意地を見せたが、これが競走馬・サトノダイヤモンドの放った最後の輝きであった。
ジャパンカップと有馬記念はともに掲示板外となり、2018年限りで競走生活から引退。
通算戦績は18戦8勝(8-1-2-7)、獲得賞金は8億6630万7000円。
「凱旋門賞の呪い」という言葉がある。
凱旋門賞は数々の日本馬を跳ね返してきた高い壁なのだが、この言葉にはもうひとつの意味も含まれる。
凱旋門賞に挑戦した日本馬は、その後明確に調子を崩すのである。
同期のマカヒキは帰国後長きに渡って苦しみ続け、サトノダイヤモンドもかつての輝きを取り戻すことは叶わなかった。
国内路線に専念し、じっくり馬体の完成を待っていれば更なる大成を望めたかもしれない。
数々の呪いを断ち切った馬は、新たな呪いにその身を蝕まれることになってしまったとも言える。
運命の荒波に翻弄され続けた、波乱万丈の競走馬生であった。
【ダイヤモンドは砕けない】
引退後は社台スタリオンステーションにて種牡馬入りし300万円に設定。
キングカメハメハ産駒は皆無、ディープインパクト産駒も僅か6頭という混迷した状況下での産駒デビューとなったが、
ダイヤモンドハンズが2022年最初の新馬戦を幸先よく制覇。
牡牝両方のクラシックに産駒を送り出し、ディープインパクトの後継としての存在感を示した。
だがその後勝ち上がり率は社台で与えられる肌馬の質を考えると物足りなさがあり、さらに3歳以降での勝ち上がりも増えてきたことで社台の方針と合わなくなってきた。
2023年の種付け数は前年まで100頭を超えていたがシンジケートの口数と同等の58頭まで減少、減少数が初年度からダービー馬を輩出したサトノクラウンに流れるなど先行きが怪しくなり
2024年からはブリーダーズSSへの移動と150万円に減額となってしまった。
アルゼンチン牝系をルーツにもつ種牡馬はかなり貴重であり、今後の活躍が大いに期待されていただけに社台からの移動はかなり今後にも影響が大きい。
新天地で父の果たせなかったダービー制覇、凱旋門賞制覇を成し遂げる産駒は現れるのか、要注目である。
以下は2023年5月時点で重賞を勝利した産駒。
サトノグランツ
初年度産駒。
父親と同じ里見氏の所有馬であり、セレクトセールでは1億500万円という高値で落札。日本ダービー3勝の名伯楽、栗東・友道康夫調教師に預けられた。
曰く「姿や形にダイヤモンドが出ていた」とのことで、サトノダイヤモンドに対する里見氏の思い入れの程がうかがえる。
母馬のチェリーコレクトはニジンスキーのクロスを持つなど若干重めの血統だが、それがかえってサトノダイヤモンドの血とマッチしたのかもしれない。
川田将雅騎手を相棒とし、3戦目で未勝利を脱出。続くゆきやなぎ賞(1勝クラス)も勝って賞金の積み増しに成功。
まだ身体に緩さが残っていたため、目標をダービー1本に絞っての調整となる。
ステップには「東上最終便」こと京都新聞杯(G2)を選択。レースは中団から進め、ゴール前の叩き合いをクビ差制して勝利。
サトノダイヤモンド産駒として初の重賞勝利を成し遂げるとともに、父の勝てなかったダービーへの優先出走権を獲得。ダービーでも川田騎手の続投が決まった。
なお、友道調教師と川田騎手は2016年のダービーにマカヒキを率いて挑み、サトノダイヤモンドを2着に負かして勝利を掴んだコンビである。
この2人が里見氏所有のサトノダイヤモンド産駒を率いてダービーに挑むという構図には、不思議な因縁を感じざるを得ない。
レース本番では皐月賞を勝ったキタサンブラック産駒、ソールオリエンスとの対決も見込まれており、親の因縁が様々な方向で繋がってしまったようである。
そして迎えたダービーウィーク。
サトノグランツは痛恨の大外枠、8枠18番を引き当ててしまう。仔の代に至っても不運に祟られるのか……
調整自体は順調だったものの、レースではやはりポジション取りがうまくいかず、後方待機から11着に沈没。
それでもあがり2位タイの末脚は使えており、素質の一端を示すことはできたといえよう。
夏場は休養に充て、神戸新聞杯(G2)から始動。
直線進路が狭まる苦しい展開となったが、ラスト100mで力強く抜け出し勝利を掴んだ。
勝ちタイムはなんとコースレコード。父仔3代の神戸新聞杯制覇は史上初の快挙であった。
しかし必勝を期した菊花賞は追走にも苦労する有様で、終始いいところなく10着に大敗。
川田騎手も「完成にはもう少し時間がかかる」と語っており、どうやら古馬になってからが本番ということになりそうである。トライアル大将にならないことを切に願う
4歳になって古馬初戦の日経新春杯(G2)では重賞馬として57.5kgを背負うも上り3位の脚を使い3着。次走はカタールまで遠征して1着賞金142万5000米ドル(約2億円)の高額レースであるロンジン・アミールトロフィー(国際G3)に参戦。22年BCターフ覇者のレベルスロマンスに逃げ切られたが3着に入り賞金27万5000米ドル(約4000万円)を稼いだ。
なお、彼の同期であるマカヒキとエアスピネルは2022年3月時点でもまだ現役で走っており、
ひょっとしたら同期の子供と戦う羽目になるのでは、とも言われていた。
しかしマカヒキは同年10月、エアスピネルは11月に引退したため、結局その機会が訪れることはなかった。なくてよかった
エアスピネルは乗馬となったが、マカヒキはレックススタッドでの種牡馬入りが決定。今後は互いの産駒どうしが競い合い、競馬界を盛り上げてくれることに期待したい。
【創作作品での登場】
慈善家としても著名な資産家「サトノグループ」*9の生まれであるマジモノの箱入りお嬢様。
周囲の大きな期待という重圧を受けつつも、それを自らの力へと変える意志の強さを持つ。
「サトノのジンクスを破った」という要素はそのままレースまわりの設定に反映されている一方、日常でも(何かと興味津々なお嬢様キャラと合わさって)あらゆるジンクスに挑戦したがるという持ちネタがある。
アニメSeason2でキタサンブラックと共に幼少時代の姿で初登場し、「キタサンブラックの親友で、メジロマックイーンの大ファン」という設定。
「言うほどキタサンブラックと縁深いか?」「マックイーン似はキタサンの方では?」等とツッコまれるのは(おそらく作品側も承知の上だろうが)恒例行事。
Season2放映終了と共に成長後の姿で正式に登場し、Season3では主人公となったキタサンブラックと共にメインキャラを務めた。
なお、成長後と言っても諸々の描写から中学1年生相当と思われるのだが、相方ともども物凄く発育が良く、幼少時代から急成長しすぎだろとツッコまれるのも恒例行事。
追記・修正は永遠に輝きを放ちながらお願いします。
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▷ コメント欄
- コロナ前に社台SSに見に行ったけど、種牡馬入りして凱旋門のトラウマも払拭できたのか、馬体が現役レベルまで良くなった、今の状態でもう一度レースを見たいくらいって解説をうけたなぁ… -- 名無しさん (2022-03-24 09:33:28)
- 2023世代最初の新馬戦で産駒勝利か、ちゃんと走る馬産めたようでまず何よりだ -- 名無しさん (2022-06-04 15:30:13)
- マカヒキおじさんもついに引退か... -- 名無しさん (2022-10-26 23:35:11)
- ↑2 牡馬だから産めるというより遺すだな。どちらにせよ血が繋がる可能性が出来たのはいいことよね。 -- 名無しさん (2023-03-04 03:58:29)
- 不調になったのを凱旋門賞のせいにされがちだけど、サトノダイヤモンドの場合は前哨戦のフォワ賞の時点で酷かったから、春の天皇賞のハイペースで潰れたか単純にピークアウトした可能性の方が高そう -- 名無しさん (2024-06-16 18:46:43)
#comment(striction)
*2 2017年にそれまで個人事業だった馬主事業を法人化させ、名義を「株式会社サトミホースカンパニー」に変更している。
*3 父サンデーサイレンス、母エアグルーヴの超良血馬。2億3000万円という高額で落札され、競走馬としては5億5000万円少々を稼いだ。
*4 一応フォゲッタブルが2億4500万円の落札で2億6500万円少々を稼いでいるが、消費税と維持費を考えると元を取れたかは微妙なところである。
*5 「馬体がまだ発展途上で、後躯の力が足りていない」というような意味合い。後ろ脚の蹴り出しが弱く、スタートで後手を踏んだり登り坂で失速したりする。
*6 蹄に装着している蹄鉄が外れてしまうトラブル。競走能力への影響については諸説ある。
*7 馬主の取り分は賞金全体の8割とされており、掛け算すると2億9720万円。消費税込みの購入費は2億4150万円であり、維持費を踏まえても黒字は確定である。
*8 ただしサトノダイヤモンドの斤量は55kgであるのに対しキタサンブラックとゴールドアクターはハンデとして2kg多い57kgの斤量を背負っている
*9 クレーンゲーム機を「実家に置いてある」と言うなど、明らかにセガサミーグループの要素が混じっている。
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