斑鳩(STG)

ページ名:斑鳩_STG_

登録日:2021-08-28 Sat 12:31:41
更新日:2024/06/03 Mon 13:45:34NEW!
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我、生きずして死すこと無し。


理想の器、満つらざるとも屈せず。


これ、後悔とともに死すこと無し…



斑鳩(IKARUGA)』は、トレジャーから発売された縦STG。
レイディアントシルバーガン(以下前作と表記)の実質的な続編。
現在では、前作と今作共に伝説のSTGとして語り継がれている。


2001年12月20日に稼働を開始し、 前回出すのが早すぎた反省からか2002年9月5日にドリームキャスト、 2003年1月16日にはゲームキューブに移植されている。
他にもXbox 360(Oneの後方互換にも対応)、Steam、PS4、Switch、Android、NESiCAxLiveと多数のハードに移植がされているため、前作よりも遊ぶハードルが下がった。


いわゆる弾幕系シューティングにカテゴライズされる事も多いが、一般的な弾幕系シューティングとはプレイ感覚が大幅に異なる。


前作で7種の武器をフルに使ってパターンを組む楽しさを示し、その独特すぎるゲーム性からたくさんの脱落者を生み出したトレジャーが、今度はどのように敵の弾を回収し、どのような順番で敵を倒すかといった所に焦点を当て、前作とはまた違うSTGの可能性を提示した。
そして、たくさんの脱落者を生み出した。


AC版にはNAOMIという基板で発売された物とNESiCAxLiveで配信されている物の2種類がある。
区別する必要がある際は、前者をオリジナル、後者をNESiCA版と表記する。



ストーリー


強国「鳳来の国」は「石の様な物体」の圧倒的な力で世界を支配し、人々から自由を奪った。
鳳来の反抗組織「天角」もついには壊滅し、たった一人の青年「森羅」を残すのみ。
単身立ち向かうも返り討ちに会った森羅は、老人たちが集う姥捨て山「斑鳩の里」にて拾われる。
森羅は老人たちが一矢報いようと開発していた最新鋭機体「斑鳩」の乗り手に選ばれ、
斑鳩の里に流れ着いた鳳来の逃亡兵士「篝」と共に、まだ見ぬ自由のために戦いを挑む。


◆森羅(シンラ)
「技師長...制御装置...外してくれるか?」
今作の主人公。 ”たった一つの事でいいから後悔のないことをしたい”と言う信念と若さゆえに時々無鉄砲になってしまう事がある青年。 壊滅した”天角”の生き残りでもある。
1面ボスの浅見 影比佐との戦いで敗れた後、斑鳩の里に墜落。そこで今作の自機である飛鉄塊「斑鳩」を授かり、浅見との戦い、ひいては鳳来の国との戦いに再び身を投じる。
◆篝(カガリ)
「"我、生きずして死すことなし...”私達は、自由を見られるかしら?」
今作の2P側。 元々鳳来の人間だったが、森羅と同じく斑鳩の里に墜落。 森羅含む里の住人に助けられるも、自害しようとする。だが、時と共に落ち着きを取り戻し、森羅と共に飛鉄塊「銀鶏」に乗り、鳳来の国へと戦いを挑む。
ちなみにノーブラである
◆風守老人(カザモリ)
「我、生きずして死ぬことなし。理想の器、満つらざるとも屈せず。これ、後悔とともに死すこと無し…」
斑鳩の里の長老。鳳来の国との戦いのために天内技師長と飛鉄塊「斑鳩」を作り上げる。
里の住人と共にサポート役として戦いに身を投じる。
◆天内技師長(アマウチ)
「おいっ、色男!壊すなよっ!」
斑鳩の設計、組み立てを行った技師。
斑鳩には相当な愛情を注いでおり、最終決戦で森羅の意志が変わらないこと*1を悟った際には泣き崩れた。
少々ひねくれた性格だが、面倒見の良いツンデレである。
◆新海里長(シンカイ)
「やれるだけの事は、やってある。後は奴の腕次第じゃ。」
斑鳩の里の里長。監視役みたいな役職。 面倒見が良いため森羅の兄貴分でもある。
天内と共に斑鳩を整備するが、ガサツな性格が災いし力仕事しか頼まれない。
◆浅見 影比佐(アサミ カゲヒサ)
「曲がりなりにも、私は鳳来の人間でな。貴様等の立場は解しても、見逃す訳にはいかぬのだ……」
1面ボス。 斑鳩に乗る前の森羅を撃墜した男。
義理堅い性格が故、国を壊滅させられた森羅に同情しながらも敵対する。
◆法角(ホウカク)
「何を騒いでいるかと来てみれば、性懲りも無くまたおまえらか。今更廃墟と化した阿魏を取り戻してどうするつもりなのやら……」
2面ボス。 かつて、鳳来の国と敵対していた”阿魏ノ国”を一般人にも執拗に攻撃を加え、強制的に降伏させた非常に冷酷な人物。
その冷酷さの前に、森羅と篝も一度は撤退するが、雪辱を晴らし、阿魏ノ国を取り返すため再び戦いに身を投じる。
◆鳳来 天楼(ホウライ テンロウ)
「おまえ達を生かしているのは、この私。 正しき道を歩めるようにと... だが、おまえ達はそれを理解できぬというのか?」
鳳来の国の支配者。少女のような見た目をしているが、顔には皴があり、一体何歳なのか誰も知らない。いわゆるロリババアである
ある日発掘された産土神黄輝ノ塊(前作で言う”石のような物体”)の遭遇を境に次々と奇跡を起こし、その力で鳳来のトップに上り詰めた。
しかし、産土神黄輝ノ塊の力を自分の力に取り込もうとした結果、暴走。 狂気に取りつかれるようになった。


ゲームシステム

1撃死、その場復活、残機制。 残機はスコアで増える方式。
自機を8方向に動かすオーソドックスな作りとなっている。全5面の1周エンド。
武器の多さに唖然とした前作に対し、今作はパワーアップ(レベルアップ)なし、常に使える武器はメイン1種類サブ1種類と、他のSTGと比べても武器は少ない。


だが、本作には他の作品でもなかなか見られない特徴的なシステムがある。敵弾の吸収と、吸収した弾を武器として使う”力の開放”だ。
まず、このゲームは敵味方問わず機体と弾に白と黒の2つ属性がある。
自機の色は任意に変更可能で、弾は自機の色に対応したものが発射される。
自機の色が敵の弾と同じ色の場合、被弾せずに吸収できる
そして、敵の機体と異なる色の弾で撃つと、ダメージが2倍になる
自機が黒の場合は弾が黒ければ吸収&敵の機体が白だったらダメージ2倍って感じ。
かなり端折るとどっかのゲームを進化させたって認識でOK。
同じトレジャー製のアクションゲーム「シルエットミラージュ」のダメージシステム*2をシューティングむけに簡略化したとも言える。


力の開放は、弾を吸収したら貯まるケージを使ってホーミングミサイルを打てる
非常に追尾能力は高く、雑魚なら一発で蹴散らせる。
ただ、後述の”コンボ”を考えると慣れない内はむやみに使えないのもまた特徴である。*3


他の要素としては、当時のアーケード縦STGではあまり見られなくなった「接触するとミスになる地形」が積極的に取り入れられている。
2面の移動するコンテナや破壊不能な壁を皮切りに、3面の狭い通路や後方から追撃してくる大型機から逃げる為に入り組んだシャッターを潜り抜ける等90年代ゲームのような「地形避け」をするシーンが増えてくる。


各ボス戦においても、真っ向勝負の1面以降、力の開放や接近戦を駆使すれば早く倒すことが出来る2面、自機の属性と地形に気を配る必要のある3・4面とアイレムの「イメージファイト」のような工夫が試される敵は、見る人に強烈な印象を残すだろう。
特に、とあるボス戦での「撃ちあい」はそのリズムもあって音ゲーを思わせたりもする。



コンボ-神業への道

今作の得点源となるコンボも前作とは打って変わって、”同じ属性の敵を3回連続で倒すことでコンボが決まり、それを連続で成功させることでチェーンが続く”というシステムに変わった。
そして、前作と違い”コンボが決まった後は、違う属性の敵を倒しても3回同じ属性を倒せばコンボが続く”システムになった。
つまり、前作のようにコンボのためにほとんどの敵を見逃さなければいけないといったことは解消され、コンボを繋ぎながらSTGの楽しさである弾を避け、弾を撃ち、敵をめちゃくちゃ倒すことが出来るようになった。
スコアを稼ぐ場合は、敵を素早く倒すことで次々と出てくる増援をいかに効率よく倒すか考えなければならない。力の開放をより多く利用するため撃破時の撃ち返し弾やビーム発射オブジェクトでのエナジー補給、誤射によるコンボ切れを防ぐ為の事前準備などやるべきことは多い。


他にも、ボスを倒した残り時間が早ければ早いほどボーナス点逆に時間切れ1秒前に倒すとボーナス点など前作よりは手段が少ないもののスコア稼ぎの楽しさは前作に勝るとも劣らない。
そして、コンボシステムの変更により、パターン構築の手段が前作よりもかな――――り広がった。
しかし、このコンボがまた脱落者を多く生む原因ともなった。



トレジャーお得意の癖がありすぎる難易度

まず、得点源は打ち込み点と弾の吸収点、そしてコンボの点である。 つまり、敵を倒した時の素点が存在しない。
前作のように”稼がないと後々詰む”といったことはないが*4、斑鳩はキャッチコピーが撃て!避けろ!そして…当たれ!であるように、属性を切り替えて積極的に弾を吸収しないと圧倒的な弾幕に殺されるため、まず慣れないと序盤からアホみたいな難易度が押し寄せてくる。


コンボを気にしないとしても、1面から左右それぞれ違う属性の弾が飛んでくるため、”どっちを先に倒すべきか?”と言ったことを常に考えないといけない。
そんな状態でコンボを繋げようとすると地獄である。むやみに”力の開放”をすると間違えて属性の違う敵を倒してコンボが途切れることもあるため、力の開放を使うタイミングも考えないといけない。トレジャーはSTGプレイヤーの脳を爆発させたいのか?


ステージは全5面と少ないが、コンボを繋げることに慣れてないと1面からその洗礼を受けることになる。一見さんと初心者さんお断り仕様である。
練習モードや敵撃破時の撃ち返しを設定できるなど救済システムはあるが、それでも2面中盤からのコンテナ地帯やボスの倒し方等慣れるまで時間がかかるのも確か。
慣れないうちは敢えて敵を倒さずに敵弾吸収に専念するのも一つの手だろう。
しかし、そのコンボシステムを理解し、あらかた出てくる属性を覚えるまでプレイを続けられたら、コンボを繋ぐ快感とパターン作成の楽しさが見えてくるだろう。完全パターンゲーなので運に殺されるということもない。


ちなみに全てのステージにおいて弾を一切撃つことなくクリアーすることが可能になっており、コンティニューせずにステージをクリア―すると「DOT EATER!」という特殊な称号が与えられる。
XBOX版やPS4版では同名の実績・トロフィーにもなっている。
これについてはロケテスト時にこのプレイを行うプレイヤーが居たことに感銘を受けて実装した逸話がある。


2人同時プレイも想定されており、1P2Pの合計スコアも同時に記録される。当然、1人プレイよりも高い数値が出る(弾吸収等で差が出る)。
本作の2人同時プレイの難易度は高い。一発でも弾を吸収しそこね相棒に逆属性の弾を漏らしてしまえば死が見えるし、コンボパターンも複雑化する。
恐ろしい事に、2つのコントロール系を1人で操作するダブルプレイでスコアに挑むプレイヤーも存在する。…人間かそれ…?


前述した2面中盤からのコンテナは一見破壊しないと進むことができないように思えるが、実際はコンテナ同士の間にわずかな隙間が存在し、すり抜けることが可能となっている。


点滴石を穿つということわざがあるように、努力し続ければ違う世界は確実に見える。是非ともめげずに頑張ってほしいゲームだ。 



見る者を釘付けにする演出

しかし、斑鳩を語るうえで欠かせないのはそれだけでない。演出も他の演出系STGに引けを取らない美しさを見せる
白と黒で構成された敵味方の弾幕は唯一無二でとても美しく、他の弾幕系STGにも引けを取らない。


BGMの相乗効果も見事であり、1面の悲壮感と勇猛さが入れ替わった瞬間にステージ構成が切り替わる演出は見事の一言でしかない。
そして、2~5面BGMの全てに1面のBGMのメロディーが出てくる。特に、ラスボス~石のような物体戦でのBGMは新曲と言うよりは1面のアレンジと言えるほど1面BGMの要素が散りばめられている。その美しさは、スーパープレイと合わさって思わず涙が出そうになるほどである


ステージ開始時のテロップもかなりかっこよく、どれも印象深い物となっている。
中には、人によっては座右の銘にしてもいいレベルの名文もある。*5
テロップにさえ引き込む演出を入れるのはさすが都市が言いようがない。
これらの点から、シビれる演出を観たい!って人は是非とも遊んでみて欲しい。


これらは他の演出系STGに勝るとも劣らないクオリティである。
文字だと美しさがフルで伝えきれないため、興味が出た方は実際に自分の目で見て欲しい。涙腺が崩壊しても責任は取りません。



(ゲーセンでの)現実-Reality-

しかし、家庭版ならともかく斑鳩はアーケードのゲームである。アーケードでは複雑すぎるゲームは利益が出ない……。
かつて、レイディアントシルバーガンがそうだったように、斑鳩もゲーセンからの評価はよくなかった。
ただでさえ前作のインカムが悪すぎたため今作を導入するゲーセンは少なかった上に、”まず慣れるまで時間がかかる”ゲーム性が災いして、撤去されるのも早かった。前作よりとっつきやすいとはいえ、それでもまだとっつきにくかった。


ちなみにシステムそのものだけでなく、スコアを無視しても普通に高難易度である。
2面から即座に狭い通路とボスが登場するため、ライトプレイヤーはまずここで脱落。
3面以降は職人技の域であり、「他人のプレイを観戦する分にはいいが自分でやるのはちょっと…」という人が続出した。


結果、今作も前作と同様に高品質なゲームだが、好き嫌いが真っ二つに分かれる結果になった。
だが、クソゲーと言った声は全く聞かない。徹底的にこだわり、なおかつ完成度が高かった故人気が出なかった不運のゲームである。


2013年にNESiCAxLiveで配信が開始され、対応している筐体さえあればどこでも遊べるようになった。
ただし、現在はSteam版がベースとなっており、オリジナルとは細かな差異がある。



移植

斑鳩は、2021年現在トレジャー製STGのなかで一番移植されているゲームである。
どれも移植度は高い為、アーケード版を遊ばないのであれば好みのハードや価格で選んでも構わない。
練習目的の場合、オリジナルに近いのはDC版かGC版、NESiCA版に近いのは各種ダウンロード版と言われている。
ダウンロード版は安価で入手できる為、STGの中でも定番のタイトルとなっている。


ほぼ完璧な移植。プレミアがついてることを考えなければ、あえてこれを選んでみるのもいいかもしれない。


こちらも概ね忠実な移植であり、DC版よりスーパーリプレイの実装やスローモードなどの練習環境が充実しているのだが、BGMにズレがある事が惜しまれる。
完璧な斑鳩をやりたい!という人はDC版、練習したい!という人はGC版をやるといいだろう。
ただし、NESiCA版とはパターンが異なる為、そちらの練習で買う場合はSteam版がお勧めである。
ちなみに今買うとGC版の方がDC版より50%くらい安い


XBOX(XBLA)版
Xbox 360向けに発売されたが、2015年にXbox Oneの後方互換にも対応した。
処理落ちが無い等、オリジナルとは細かな差異があり、同様のパターンが使えない事もある。


Steam版
XBLA版とオリジナルの中間の感覚で遊べるように調整されており、NESiCA版のベースでもある。
HD画質になっており、アップデートでのブラッシュアップも経た為、今現在の完成度はかなり高い。
斑鳩の設定画なども見れるため、ちょっとした設定資料集としても使える。
このゲームの登場人物も描かれているが、斑鳩の世界観に合っていてとてもかっこいい。一見の価値あり。
値段も安く、定価でも980円、セールでは半額くらいになっている事も。
NESiCA版のクリアを目指す際は、こちらで練習すると良いだろう。


Steam版をベースにした移植。
Steam版同様に値段も安価なので、自分の遊びやすいハードで選んで構わない。
ただし、今買えるのはDL版だけであり、パッケージ版はプレミア価格になっているため注意。



追記、修正は力を開放してからお願いします。

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*1 森羅は”石のような物体”を破壊するため斑鳩の力を全て開放する=斑鳩が耐えきれず破壊される可能性がある
*2 同属性なら攻撃性能ダウン、反属性・無属性ならダメージ。
*3 ホーミングの特性を熟知すればコンボの中に組み込むことも可能である。
*4 点数を稼ぐことで残機が増えるので、クリア目的であっても意識しておくと楽になる。
*5 2面のテロップなど

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