ラム(名探偵コナン)

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登録日:2020/12/16 Wed 19:19:05
更新日:2024/05/23 Thu 13:00:05NEW!
所要時間:約 15 分で読めます



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画像出典:映画『名探偵コナン 純黒の悪夢』/製作 トムス・エンタテインメント/配給 東宝/2016年4月16日公開



キュラソー…君には色がない。あるのはただ純黒の闇


その闇が君を苦しめているのなら他の色に染まればいい…



名探偵コナン』の登場人物。
CV:???*1



●目次


【概要】

黒の組織にて「あの方」と呼ばれるボスの側近を務める参謀で、灰原哀曰く組織における事実上のNo.2
基本的に黒の組織の幹部のコードネームは全て片仮名表記で統一されているが、ラムに限り原作中では「RUMラム」と英語で表記されることも多い。
緋色の真相』のラストにおいて、組織に潜入中の水無怜奈から送られてきたメールによって初めてその存在が明言された。
劇場版『純黒の悪夢』で原作に先駆けて、変声機を通したような声のみであるが初登場を果たす。また、同作では腹心の部下であるキュラソーを主軸として物語が描かれた。
更に、劇場版『黒鉄の魚影』では正体判明後の姿で登場。キュラソーに代わって新たなラムの側近となったピンガというメンバーが登場した。



【人物】

組織のNo.2とまで言われるだけあって他のコードネーム持ちの面々とは一線を画す地位に君臨しており、幹部たる彼らにも命令を下す権限を有するなど組織内では強大な影響力を持つ。
赤井秀一によれば「ジン以上の大物」とのこと。
それ故にあのジンまでも「ラムからの命令は確実に遂行しなければならない」と宣言し、
更にあの方のお気に入りとして権勢を振るうベルモットですらラムの登場時にはおののく様を見せたばかりか、誰に対しても不遜な態度を崩さない彼女にしては大変珍しいことに敬語で受け答えをしていたほど。
その他、組織の人間を気配で察知することの出来る灰原は、ラムが今自分と同じく帝丹小学校のどこかにいるのを感じ取っただけで、今までの構成員(スパイや脱退者も含む)との接触時のように冷や汗をかいて震えるだけでなく、思わず地に伏せるという一際苛烈な反応を示していた。


主にあの方の補佐や実動部隊の後方支援に従事しているようで、機械を使って変えた声で通信機越しに影から様々な指令を送ることはあっても、任務の現場に本人が直接出向くことはほぼ皆無の様子。
組織の幹部級のメンバーですらラムの姿を実際に見たことのある者はほとんどおらず、
以前組織に在籍してコードネームまで与えられていた赤井と灰原に加えて、現在所属しているウォッカ、キャンティ、キール、バーボンも異口同音に「ラムがどんな人間なのかよく分からない」と語り、朧気で断片的な特徴しか把握していない。
赤井が組織に身を置いていた頃、僅か2、3回程度しかその名を耳にした記憶が無いという証言からも如何に雲を掴むような底知れない存在かということがうかがい知れる。


その外見に関しては「屈強な大男」「女のような男」「年老いた老人」など、様々な噂が組織内で囁かれている。中にはこれら全てが影武者なのではないかと推測する者もいるらしい。
唯一共通しているのが、何らかの事故によって左右どちらかの目を失い、義眼を嵌めているということのみ。
謁見したことのあるジンにウォッカが聞く所によれば、これらの人物像はどれもラムが護身用に流した誤情報ブラフで、片目が義眼という一点だけが事実の模様。そして「顔を変えてふざけた名前を名乗りながらどこかで活動している」のだという。
どうやらジンは、ラムの詳細なパーソナリティーや現状の活動内容を知ってはいるものの、その意思を遵守してかあまり多くは口外していないようだ。


ウォッカはラムと対面した機会が無いながらも、ジンから話を聞いた上でのイメージに基づいて「RUMの旦那」と呼ぶこともあるなど、彼なりに敬意を払っている様子が見られる。
逆にジンはあの方のことは敬う一方、ラムに対してはあまり良い感情を抱いていないのか「17年前にラムが抜かった仕事ころしなんざ知ったことか」と吐き捨てていた上、兄貴もあんまり人のこと言えませんぜ……
ウォッカがラムの采配を繰り返し称賛した時には若干の苛立ちを見せていた。
ただし先述のように『純黒の悪夢』でラムから任務を仰せつかった際には「ラムからの命令だ。確実に遂行しねえとな」と発言しており、何だかんだ上に立つ人間としては認めているようにも見えなくもない。あるいはたまたまこの時は彼の気分に合う命令だったのだろうか?


性格は、安室曰く一言で表せば「とてもせっかち」
実際作中では、彼に与えた任務を速やかに遂行するよう再三メールで急かす姿が垣間見られ、その文面にも「急げよ」とある。
ベルモットが「慎重居士で石橋を叩き過ぎて壊しちゃうタイプ」だと語るあの方とは一見対照的なようにも思えるが、決して短慮ではないらしく、キュラソーから組織のスパイに関するメールが再度送られてきた際にもそれを鵜呑みにせず、「本当に彼女が自らの手で送信した物かどうか確認が取れるまで待つように」とジン達に釘を刺している*2
更に構成員の仔細な情報についても几帳面に把握しているのか、灰原の姉・宮野明美が帝丹小学校のOGであったことまで調べ上げていたようで、歴代の卒業生の中でも彼女が19期生だったという部分まで正確に覚えていた。


基本的には自分より格下の相手にも丁寧語を交えた冷静な口調で接するものの、時折少々荒っぽい言い回しを用いることも。
なおベルモットはラムに対して敬語で話していたが、本人は部下の言葉遣いに関して寛容なのかキャンティが「ラムさん」呼びしつつタメ口で話しかけてきても特に咎めていない。
ただし流石に彼女が任務中に集中力を欠いた所作を見せた時には厳しめに叱責している。




【ラムと疑わしき者達】

江戸川コナンは当初、長野県警の大和敢助がラムなのではないかと疑っていたが、ゲーム『とびだせ どうぶつの森』の中で、プレイ中の原作者・青山剛昌本人がその可能性を否定している。
まあ仮に彼がラムだとすると、自身の実体をひた隠しにしていたせいで劇場版『漆黒の追跡者』では同胞のアイリッシュに気絶させられた、という大変間抜けな事態に陥っていたことになってしまうので妥当な結果と言えよう。


ところで、一時期には群馬県警の山村ミサオがラムという説も少なからずファンの間で提唱されていたのだが、
彼に組織との繋がりは一切無いと青山先生が断言したことにより、無事味方であることが確定した。
ついでにあのヘッポコぶりは演技ではなく本物だということも確定した。
(この説の詳細を知りたい方は【山村 万年筆】での検索を推奨。)


先生がそれを語ったのは、黒の組織について振り返る公式解説書『名探偵コナンBLACK PLUS SDB』という書籍であり、同書によるとラムは次の3名の中の誰からしい。


現警視庁刑事部捜査一課管理官。階級は警視。
顔の右側に火傷を負っており、右目に義眼を入れている。


帝丹小学校の教諭。コナン達のクラスの副担任。
コナンと灰原は、彼女の日常での振る舞いから実は右目が見えていないのを隠しているものと解釈している。


板前。毛利探偵事務所の隣に位置する「米花いろは寿司」という店で働く。
酷いできものが左目に出来ているという理由で左目に眼帯を着けている。
(「時間経過的にできものはもう治ったのでは?」と思った小五郎が尋ねると、「痒みに耐え切れず、思わず掻いてしまったためにぶり返した」と言って眼帯姿を続けている)




【過去】

17年前に組織の一員としてとある任務を請け負っていたことが早い段階で判明している。
その任務の中でFBIやCIAにコネクションを持つアメリカ人の資産家アマンダ・ヒューズ、そして将棋棋士の羽田浩司の2名をアメリカのホテルの客室にて初期型のAPTX4869で毒殺。
(補足しておくと、羽田浩司は赤井の実弟である羽田秀吉の義兄に当たる。)


この任務でラムは重大なミスを犯してしまったとのことで、本来であれば組織の掟に準じて粛清されていてもおかしくない。
しかし『BLACK PLUS SDB』に掲載されている青山先生への質問コーナーでは、「ラムがそれでも始末されないのは何故?」というファンからの疑問に対して「No.2だから」だと先生は答えていた。
この回答により、ラムが17年前の時点で既に組織の二番手の座に就いていたことがうかがえる。よって組織に仕えた年数もおそらく相当な物であることが察せられる。


この17年前の事件で当時アマンダのボディーガードを務めていた「浅香」という人物が容疑者として挙がっていたが、それ以来今に至るまで行方不明になっているらしい。
しかもアマンダ以外の人間とは一切接触しておらず、年齢や性別を初めとする素性を知る者は現在まで1人もいないそうだ。唯一残されていた写真も顔自体はほぼ写っていなかった。
果たしてこの浅香なる人物は、ラムのミスと何らかの関係があるのだろうか?


更に、もう1人の被害者である羽田の部屋にはアルファベットを用いたダイイングメッセージが残されていた。
コナンと赤井は一時それを「ASACA RUM」と解読し、浅香とラムの関係に着目する。
なおこのメッセージについては後に別のとんでもない人物を示唆している可能性が浮上した。




【劇中での活躍】

前述の通り、初登場は『純黒の悪夢』。
手始めに直属の部下のキュラソーを使役して、NOC(スパイ)リストを奪取。彼女から伝達された情報の下、組織を蝕むスパイ達に刺客を差し向けた。
次いで、紆余曲折を経てキュラソーが裏切ったと報告された時にはジンに彼女を葬り去る許可を与える。


映画終盤のキュラソーの回想では彼女を配下に引き入れた経緯が判明。見た物を瞬時かつ正確に記憶できる特殊能力【瞬間記憶能力(カメラアイ)】を持つ彼女が、組織にとって重要な機密情報*3を目にしてしまったことで、ベルモットに危うく処分されそうになっていた所をラムがモニター越しに語りかけたのが始まりだった。
モニターに顔は映し出されず、代わりに「CODE NAME RUM NO.002」と表示され、組織のアジトの一室と思われる部屋全体が毒々しくサイバーチックな様相を呈しているなど、ラムの異質さが際立っていた。
また、こちらの一幕においてラムがキュラソーに告げた言葉は本作のタイトル及びテーマとも密接に結び付いている。
この時、ラムの加工された声を聞いてマツコ・デラックス氏を思い浮かべた人もいるとかいないとか。



一方原作では、かつて組織の手で抹殺したはずの工藤新一が生存して京都を訪れていたというSNS上のゴシップを訝しみ、真偽を調査するようバーボンにメールで指令を出すと共に、
組織にとって脅威になり得る実力者と判断した父親の工藤優作をベルモットに探らせるなどといった暗躍を進めた。



その後は、単行本第100巻収録(テレビアニメ1077~1079話)のエピソード『黒ずくめの謀略』にて、FBI捜査官の連続殺害計画を主導するべく作戦に参加する。


待て…私の話を聞きなさい…


ここでラムは司令塔としての本領を遺憾無く発揮。

  • FBIの連絡用の暗号に使われていたローマ字表記が、今までのヘボン式(FU)から訓令式(HU)に切り替わっているのを根拠に、別人が暗殺者を誘い出すため偽の暗号文を書いたと見抜いて逆に罠を張る*4
  • 逃走中のFBIが車ごと海に転落したと聞くや否や、時期と時間帯も考慮して東京湾の海流が「海猿島」という無人島の方へ向かっていると推算。彼がそこまで泳いで逃げたと特定する*5。しかも前以て追跡用のクルーザーも手配していた。

こうしたラムの手腕に、作中随一の推理力を持つ優作すらも警戒を強めざるを得なかった。


くして前線で指揮を執るジンの機転も相まって、罠にかけた捜査官達を次々と血祭りに上げていった挙句、死に物狂いで逃げ惑うキャメルも着々と追い詰めていく。


海猿島キャンプ場のカフェで、コーヒー豆が大量にぶちまけられているのに袋だけが消えていることに目を付けたジンは、キャメルが麻袋の上に土砂や葉っぱなどを振りかけて袋の中に隠れる(土遁の術の要領)ことで島のどこかに息を潜めていると推測する。
ただ、そうはいっても島中の地面を探し出すのにはかなりの時間を要する上、夜が明けて島の関係者が来るまで猶予はもうあまりない。
そこでラムは森に放火してキャメルを炙り出す強硬策を提案した。これには探索時の指紋や銃弾などの様々な痕跡を隠蔽しようとする意図もあったものと思われる。


優作も「自分がもし組織側の人間ならばその手段を取るだろう」と逸早くこれを読み、コナンと赤井がキャメルに電話で警告。火の手が回り切って焼け死ぬ前に彼を森から避難させることに成功する。
だが、キャメルは桟橋付近で待ち構えていたキャンティに見つかってしまい、銃撃を喰らって万事休す。
……かと思いきやコナンと赤井の策のおかげで、何とか組織の側には自分が死んだと誤認させつつ九死に一生を得るのであった。


通報を受けた消防艇が来たことで組織の面々も速やかに島より離脱。
一段落した所でコルンは今しがた目撃したキャメルの顔を、2年程前にラムから送付された写真で見ていたことを思い出したと語り出す。



果たしてラムはその頃に何故キャメルの写真を彼に送っていたのか?
ラムとキャメル─────両者の間に存在する過去の接点とは……?




追記・修正を要求する
Time is money!
急げよ バーボン


─RUM─


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以下、正体に関わる重大なネタバレ


第100巻未読&アニメ1079話未見の方はご注意ください


















【その正体】



今回の件はあの方からお叱りを受けました…


少々目立ち過ぎだと…



明け方、都内を走る1台のロールス・ロイス・ファントム。
その後部座席でラムはジン達と通話していた。前には運転手およびボディーガードと思しき2人組の従者*6を乗せている。
そして目的地に到着すると、かつら、付けひげ、付け歯、眼帯を装着して毛利探偵事務所を睨み上げながら目の前の寿司屋に足を踏み入れる。




ヘイ大将!仕込み手伝いやすぜ!!




その人物は板前、脇田兼則だった……。











[[ラム/脇田兼則>ラム(名探偵コナン)]]


登録日:2020/12/16 Wed 19:19:05
更新日:2024/05/23 Thu 13:00:05NEW!
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名探偵コナン 名探偵コナン登場人物項目 黒の組織 参謀 側近 旦那 古参 せっかち no.2 rum ラム 隻眼 義眼 ロールス・ロイス ブレイン hage 司令塔 純黒の悪夢 ネタバレ項目 重鎮 幹部 意外に地味な変装 中ボス 慇懃無礼 伏線回収 裏方 アクティブ 曲者 時は金なり 犯罪者 最高幹部 フォトグラフィックメモリー 葉巻 達眼の悪魔 邪気眼 黒鉄の魚影 千葉繁 襲名 コメント欄ログ化項目




CV:千葉繁


上述の組織内で噂されている外見や脇田としての姿は全てフェイク。
ラムとしての素顔は、禿頭で左目が白目の義眼となっている初老の男性。
黒いスーツを身に纏い、葉巻をくゆらせながら不敵な笑みを浮かべる姿はマフィアのドンを彷彿とさせる。



彼が2年前、コルンにキャメルの写真を見せた経緯も回想の中で明らかにされてゆく。


当時、組織にスパイとして潜り込んでいた赤井はジンとの任務に漕ぎ付け、それを利用してFBIはジンを捕縛しようとしていた。
しかし、赤井とジンの待ち合わせ予定の場所には杖を持った老人が何故か座り込んでおり、キャメルは「危ないからすぐ立ち去るように」と善意で呼びかけた。が、皮肉にもその老人が組織の一員だったため計画が敵にバレてしまった。その後ジンが来ることはなく、FBIの作戦は失敗に終わる。
以降、赤井は組織から追われる身となり、彼の恋人だった宮野明美*7は彼を組織に引き入れた危険分子として処刑されるという悲劇的な結末を辿ることとなった。
…と、ここまではかつて『赤と黒のクラッシュ』中盤で既に語られていた内容である。


─────ところが、この話には続きが隠されていた。


実は、その密告者の老人こそがラムだったのだ。
ラムはその場で赤井とキャメルの写真を撮影*8して、この2人をもし見たら射殺するよう、見張り役のコルンに指示していたのだった。
何故組織の重鎮たる彼が自ら民間人に扮して鎌をかける役目を買って出たのかは現在のところ判然としないが、おそらく予てより赤井ライを怪しんでいて、その腹の内を己の目で見極めようとする意向があったのではないかと推察される。


結論として、意外にもラムは作中のかなり早い段階で一瞬だけその姿を見せていたということになる。
どうやら青山先生はこの伏線を何年も前から上述の『とびだせ どうぶつの森』の中で仄めかしていたようで、2014年の9月1日には「じつはもうラムはでてたりしてw」とゲーム中にコメントを出していた。


更に言えば一体何の因果か、「屈強な大男」「女のような男」「年老いた老人」というラムが流した3つの誤情報は、
例の待ち合わせ場所に居合わせた「大柄な体格のキャメル」「当時長髪だった赤井」「老人に扮していたラム」に全て合致しているようだ。
これもまたラムへと繋がる伏線の1つだったと考えられよう。


それに加えて、ラムが直々に毛利探偵事務所に探りを入れるということをジンが本人から聞かされていたならば、今まで彼が
俺はまだ毛利小五郎を完全なシロだとは思ってねぇしな」「気がかりなのは眠りの小五郎だ。今朝のその事件、奴がまた一枚噛んでたらしいじゃねぇか
と、2度にも渡って毛利小五郎に疑いの目を向けているにもかかわらず、未だそのことに対して深入りする動きが見られないことにも説明が付く。ただ単に気が向かなかっただけという可能性も無きにしもあらずだが。



一方、キャメルが偶然ウォッカとキャンティの会話を盗み聞きして得た情報を頼りにラムの正体を探り続けるコナン。
相談した服部平次助言によって「ふざけた名前=何かの言葉のアナグラム」という仮説に思い至るが……?







以下、更なるネタバレ






【17年前の真実】



RUMラム」というのはアダ名ではない…


長年あの方に仕えた父から受け継いだ…


コードネームですよ…



ラムの回想の中で、17年前に彼が引き起こしたアマンダ・ヒューズ及び羽田浩司の殺害事件における詳細な経緯が語られた。



当時ラムは、様々な政府機関と捜査機関にコネクションを持つ次期アメリカ大統領候補のアマンダを無理矢理にでも組織に引き入れるため、ホテルに宿泊している彼女と接触した。
その際にアマンダを自分達に従わせるべくボディガードのレイチェル・浅香を人質に取ろうとしたのである。浅香はアマンダにとって単なるボディガードの一人ではなく、娘のように大事に育ててきた存在だった。


部下を使って浅香以外のボディガードはほぼ全員制圧しており、後はもう浅香に対して「お前が出てこなければアマンダの命は無い」と脅して炙り出せば目的の達成は間近かと思われた。
しかしアマンダは、勝ち誇って油断していたラムの手からAPTX4869を奪って自ら命を絶ってしまう。
計画が狂った中、ラムは浅香を直ちに始末すると決断。ホテルのどこかに隠れていると思われる彼女を探して奔走する。


その過程で羽田が浅香を匿っていると疑ったラムは、拷問して居場所を吐かせようとするも彼は一向に口を割らない。
既にアマンダの遺体が発見され、警察が駆け付けていることを悟ったラムは羽田にもAPTX4869を飲ませて逃走する。


一方、同じホテルに滞在していた黒田兵衛*9は紆余曲折を経て羽田の部屋に辿り着いていた。
そこで先程まで本棚の隠しスペースの中に身を潜めていた浅香と鉢合わせて一悶着あったものの、黒田は彼女を気絶させた後トランクに詰めてホテルを後にする。


黒田が浅香を連れ去ったことに気付いたラムは彼を車で追いかけるが、ちょうど追い付いて銃を向けた所で黒田が乗っていた車にトラックが衝突。
大規模な事故が発生したせいで野次馬がたくさん集まってきているのを見たラムは、黒田と浅香の抹殺をその場では取り止めたのであった。
事故時に助手席に乗っていた浅香は、混雑に紛れてどこかへと逃亡した模様。



以上が17年前の事件の一部始終である。


現在のラムは個人的な諜報活動を除けば常に裏方に徹しており、コードネームを持つ幹部の中でも(判明している範囲では)ジンにしか正体を明かしていないばかりか誤情報まで敢えて流すほど徹底的に正体を秘匿している。ところが、この頃は大勢の構成員の前に姿を現していた。
その上、勝利を確信して高笑いしていた隙を突かれてアマンダに薬を奪われたり、羽田が残したダイイングメッセージにその場で気付かなかったり*10と不用心な一面が目立つ。
こうした数々の苦汁を経て、用心深く陰に身を潜めるようになったのだろうか?


私のこの左眼はねぇ


一度まなこに焼きつけた物は


忘れはしないから!!


このエピソードにてラムの目は【フォトグラフィックメモリー】という特殊な能力を生まれつき宿していることが明らかになった。
これは視覚で捉えた対象を画像として脳に刷り込むという言わば瞬間記憶能力の一種であり、前述のキュラソーとよく似た体質である。
これによって、たとえ他人が変装していようと細かい動作の癖などを事前に記憶していれば見破ることが出来る。
ハッキングした監視カメラの映像を見ただけで、十数人いるアマンダのボディガード達がホテル内のどこに紛れ込んでいるのかを見抜けたのもこの能力の賜物。彼は以前からアマンダの周囲を観察して、彼女が毎回決まったメンバーに自分を護衛させていることを突き止めていた。
また、今まではこの力で集めたネタで政財界の大物達を脅しては操り*11、組織を大きくしてきたのだという。
黒田はこのような事情は知らないものの、本能的に何かただならぬ物を感じ取ったのかまるで蛇の眼のような印象を受けたと吐露している。事実ラムの左目は蛇眼のような異様な瞳である。
ラムによれば若い頃は両目共にフォトグラフィックメモリーだったそうだが、この回想の時点ではもう右目からは力が失われてしまっているらしい。


なお、こうした卑劣な悪事を重ねるラムの背後に烏丸蓮耶の存在があることにはアマンダも言及しており、ラムの側も一切否定していない。
羽田も昔、国際経済フォーラムにおける烏丸グループ会長の代理人をラムが務めた事実を知っていたために彼と烏丸蓮耶に繋がりがあることを推察していた。


更にアマンダが言うには、50年前──本編から数えて67年前にラムはとある大富豪(烏丸蓮耶)の誕生パーティーに参加していたらしく、まだ子供だった彼は周囲からRUMラムと呼ばれていたのだとか。
本人曰くこれは組織の一員だった父から受け継いだコードネームであるとのこと。よって彼は二代目のラムと考えられる。
ただ彼自身も今や相当な年齢のはずだが、新たにラムの名を継がせる予定の親族などがいるのかは不明。




【正体判明後の動向】

コナンが黒田から当時の状況を聞いていた頃、ラムも動き出していた。
若狭留美の正体が17年前に殺し損ねたレイチェル・浅香だと気付いた彼は、キャンティとコルンに命じて彼女の暗殺を企てる。


かつての苦い失態の記憶に眉をひそめつつも、例によって機械で声を変えてキャンティと通話していたラムは、彼女の無駄話を元に若狭が銃砲店からライフルを盗み出したことに気付く。
そのことをキャンティに警告しようとした矢先に若狭が彼女の腕に銃撃を浴びせて先制したため、不利を悟ったラムはキャンティとコルンを撤退させた。若狭が何故自分が狙われていることを前以て知れたのかは不明。


いずれにせよ若狭が一筋縄ではいかぬ相手だということを実感し、警戒を強めたラムは一つの決心をする。



やはりこの右目の…


時を戻すしかなさそうですねぇ…


あの薬の効力が…私の想像通りならの話ですがねぇ…



義眼となった左目を押さえ、残された右目を見開きながら、APTX4869を脳裏に浮かべて……。


『黒鉄の魚影』では姿を見せて登場。


突き止めるのに使えると思ったんだがなぁ


最近姿を見せないあの方の所在を


実はラムでさえも「あの方」こと烏丸蓮耶と連絡こそ取れてはいるものの、ここ最近は姿を確認できていない状況であった。
その為、劇中に登場する海洋施設パシフィック・ブイのメインシステムである老若認証システムを利用し、烏丸の居場所を探し出そうとしていた。このシステムを奪取する理由として表向きには、組織の犯行を円滑に揉み消せるようにするためだと部下達に説明していた模様。
だが、ある人物の工作により、老若認証システムが欠陥品である可能性が浮上し、ジン達にシステムへの爆撃による廃棄処分を命じていた。



【余談】

  • ラムとは元来サトウキビの廃糖蜜または絞り汁を原料として作られる蒸留酒である。
    作中でもコナンが軽く触れていた通り、17世紀頃から壊血病の特効薬と信じられていたが故にカリブ海近辺の海賊が愛飲していたという。
    (※壊血病はビタミンCの長期的な欠乏が原因なので実際はあまり効果がありません。)
    海賊=眼帯をした海の男というイメージに則るならば、眼帯を付けつつ寿司屋として海の物を扱う彼に結び付くのも道理と言えなくもない。

  • 上記に付け加えると彼は初登場時、競馬の話題になった折には「パイレーツスピリットなんて駄馬に大金をぶっ込むなんて」と大穴を見事選び抜いた小五郎の強運ぶりに苦笑を浮かべていた(実際は小五郎が自分でその大当たりの馬券を購入したわけではないが)。
    この回に出てきた馬名は全て劇場版作品のタイトルや題材に由来する物であり、「パイレーツスピリット」も『紺碧の棺』を意識したものと見られる。
    このような海賊に見立てた名前の馬について言及するシーンが用意されていたのも、これが過去の劇場版になぞらえただけの何気無い小ネタ要素に留まらず、その正体を示唆する描写でもあったというダブルミーニングだったためなのだろう。

  • ラムの安室へのメールで文章中に挿入されていた「Time is money」という一文は、日本語では「時は金なり」を意味する。
    「時は金なり」をローマ字にすると「tokiwakanenari」。更にこれを並べ替えれば「wakitakanenori」→「脇田兼則」となる。
    ウォッカの発言における「(ジンが言う所の)ふざけた名前」というのはこのアナグラムを指すと思われる。
    また、他の並べ方をすると「tekiwakonanrai」→「敵はコナン、ライ」にもなる。

  • 青山先生はラムの名前がコナン作中に登場する遥か以前に「漫画『うる星やつら』のラムがヒロインとしてお気に入りなので、ラムのコードネームをあまりコナンで使いたくないが、いずれ使ってしまうだろうからその時は笑ってほしい」という述懐を同作の新装版第21巻に寄稿している。
    その他、同じ巻で『うる星やつら』のラムがジンやウォッカと共に組織のメンバーとして描かれた挿絵も載せており、現在は『名探偵コナンカラーイラスト全集 1994-2015』でもその絵を見ることが出来る。
    • ちなみに作中で灰原がコナンにラムの話を初めて振られた際には「だっちゃ?」「いや漫画のキャラじゃなくて…」ある意味ギリギリな会話を繰り広げていた。しかもその場面の背景には、原作・アニメ共にちゃっかり鬼っ娘の方のラムの姿が……。
    • ラム候補の1人とされていた若狭留美役の平野文氏はそっちのラムちゃんの声を担当している。
      そのため諸星あたる役の古川登志夫氏が演じる山村と同じ回に彼女が登場した時にもコナンが「うるせぇ奴ら」という単語を口にしていた他、犯人が何度も「ダーリン」と発言していたりも。
    • なお、こちらのラム役である千葉繁氏はそちらの作品では80年代版はメガネ役、2022年版では藤波竜之介の父親役を演じている。

  • コナン世界でロールス・ロイスに乗る人間は彼が初めてではなく、以前にもこの事件の被害者が自家用車としている。
    とりあえず静電気にはご注意を。

  • 正体判明前のキャスト欄はエンディングクレジットでも空白になっていたが、2023年3月25日に放送された『黒づくめの謀略(狩り)』でのキャスト欄では正体判明前に関わらず、「ラム:千葉繁」とラムの正体が脇田だと放送前にバレてしまった。




追記・修正は寿司屋に潜入するため板前の修業を頑張った方にお願いします。

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*1 正体判明前のテレビアニメEDのキャストクレジットではラムの声優欄がこのように記載されており、劇場版「純黒の悪夢」の場合は役名の右側が空欄になっている。
*2 事実このメールは、阿笠博士がキュラソーのスマホを解析するため預かっていた間に彼女を装って送った物だった。
*3 キュラソーが何を見てしまったのかは全くの謎だが、その時に彼女に詰め寄っていたのがベルモットであったことや、後に灰原の正体がシェリーだと即座に見破ったことを鑑みると、APTX4869に関連する内容だったのかもしれない。
*4 彼女の名誉のために擁護しておくと、赤井は事前にチェックしたのに気付けなかった自分にも非がある旨を口にしており、おそらく謙遜込みではあろうが優作さえも仮に自分が見ていたとしても敵のように瞬時に違いを見抜けたか分からないと語っている。
*5 島に流れ着いているという確信を得られたのは、海猿島の浜辺でキャメルが起こした火が消える瞬間をジンが目撃していたおかげだったようだが。
*6 組織の部下なのか私的な使用人なのかは不明。
*7 この2人の母親は姉妹で、実は赤井と明美はいとこ同士でもあったことが後に判明する。
*8 写真は2人の正面から間近で撮られたもので、衣服、杖、左目のいずれかにカメラを仕込んで隠し撮りしていた可能性が考えられる。
*9 公安警察の上司の密命を受けて、アマンダと会う約束をしていたのだという。
*10 一応、羽田が死亡したバスルームが異様に荒れていることを深く訝しんでいたので、直後に切羽詰まった状況に追い立てられなければ意味に気付けたのかもしれない。
*11 本人は「『こんな秘密を見つけました。気を付けてくださいね』と親切に知らせているだけだ」と嘯いている。

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