登録日:2020/07/22 Wed 14:15:03
更新日:2024/05/20 Mon 13:19:17NEW!
所要時間:約 4 分で読めます
▽タグ一覧
成田亨 封印作品 日本テレビ 第二次怪獣ブーム 特撮 ヒーローショー ライブ感 打ち切り 演劇 マイナー特撮 突撃!ヒューマン!! 公開収録 ヒューヒューヒュー! まさかの生収録 伝説の最終回←漫画版
5!
4!
3!
2!
1!
チェンジ!!
『突撃!ヒューマン!!』とは1972年に日本テレビ系で放送されたモ・ブル制作の幻の特撮番組である。
【概要】
おそらく、日本の特撮ヒーロー番組の歴史の中でも最高レベル(あの『サンダーマスク』とほぼ互角かそれ以上)の不遇っぷりを誇り、今なおマニアの間で語り継がれる作品。
というのも、この作品、空前絶後の公開収録型特撮番組であり、日本中のホールや公民館などで公開収録を行い、舞台上でヒーローと怪獣が戦う様子を録画して放送するという、極めて斬新な形態の番組だったのだ。
これは、当時大流行していた『8時だョ!全員集合』を参考としたのは間違いないだろう。
そのあまりに特殊すぎる製作方式のためかそもそも映像が現存しておらず、本作が“幻”と言われている理由の大半はそのせい。
どんな百戦錬磨の特撮マニアだろうと、本編を全く観られないのでネタにしようにも出来ない(海賊版が流出したという噂すら無い)というのだから余程である。
その一方で、ヒューマン1号2号兄弟やフラッシャー軍団の怪獣のデザインは『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』でヒーロー・怪獣デザインを担当したかの成田亨が務めており、氏のデザインワークスで取り上げられる機会もあるので一定の評価を得ている。
また、主題歌は普通にレコード化されているので、現在でもオムニバス盤などで聴くのは容易。
ウルトラセブンのデザインやウルトラマンの銀に対する成田の反省から、ヒューマンのスーツは素材自体が金属光沢を持つステンレスを使用している。
ミニチュアや合成も使えず、アングルを指定することもできず充実した舞台装置もない公民館で映える怪獣をデザインするのに成田は苦労したそうである。
「大学の体操コーチを務める岩城淳一郎の正体はヒューマン星の宇宙人である。
ドクロ星雲からやって来たフラッシャー軍団の地球侵略を阻止する為、日本中を旅してフラッシャーの怪獣と戦うのだ!」と、ストーリーはごくシンプルかつ王道である。
しかし、あまりに斬新すぎる企画だった事、そして裏番組が初代『仮面ライダー』だったこともあって視聴率が伸び悩み、わずか1クールでの終了となった。
先述したとおり、現在では本編映像のVTRのマスターテープが殆ど残っておらず、いわゆる封印作品となっている。
ただし、2009年になって宮城県内のデパートの屋上で行われたショーを一般人が撮影した映像が発見されており、これが現在動く「ヒューマン」を記録した唯一の映像となっている。
いつか本放送並びに再放送時の録画映像が発見されるのか、今後に期待したいところ。
【主な登場人物】
- 岩城淳一郎/ヒューマン1号 演:夏夕介
本作の主人公であり、ヒューマン星からやって来た元大学の体操コーチ。
観客席にいる子供達が「ヒューマンサイン」と呼ばれる円盤の赤い面を回す事で変身し、青い方を回す事で飛んでくる。
キングフラッシャーを倒したものの、直後に現れたグランドフラッシャーの率いる軍団に敗れ、ミラクルゾーンに入り肉体を回復させるためとして途中離脱した。
ちなみに演じた夏氏はバンド「オックス」(1971年解散)の2代目キーボード奏者(「田浦ユキ」名義)から俳優に転身した経歴の持ち主で、本作後『宇宙鉄人キョーダイン』(こっちも兄役)や『特捜最前線』にレギュラー出演している。
一説にはかの松田優作も主演オーディションを受けたという。
- 岩城淳二郎/ヒューマン2号 演:西島明彦
淳一郎の弟で兄を探す旅をしている。グランドフラッシャー率いる新生フラッシャー軍団と戦った。
最終回では復活した兄と共に変身してグランドフラッシャーを倒し、ヒューマン星に帰る前に子供達とビリー・バンバンの「さよならをするために」を合唱した。
- 星山ルミ子 演:田中好子
怪獣新聞の記者であり、昭和を代表するアイドル「キャンディーズ」のスーちゃんの下積み時代。
- キングフラッシャー 演:村越伊知郎
- グランドフラッシャー 演:〃
それぞれ1~9話、10~13話に登場したフラッシャー軍団の親玉であり、怪獣や戦闘員フラッシャーを使役する。
ヒーローショーではよくある事だが観客席の子供達をさらって拷問を加えたり、洗脳して少年フラッシャーとしてヒューマンと戦わせる事もある。
【余談】
- 劇中に登場した「ジャイロック」や「キングタコラス」などは後に『行け!グリーンマン』で再登場している。同じ日本テレビ系だからだろうか?
- 企画段階でのタイトルは「強人!スカイダー」だった。さらにその前に成田亨が持ち込んだ企画は「さすらいのマヤラー」。
- 淳一郎役には当時『仮面ライダー』でスタントを担当していた大野剣友会所属の中村文弥にオファーがかかっていたが、中村は「仲間の出ている番組の敵に回りたくない」と断ったという逸話がある。
ちなみに「敵に回る」というのは比喩ではなく、そもそもこの番組自体が「打倒仮面ライダー」を掲げて企画されたという経緯からきている。
- 突然の打ち切りだったためか、漫画版の最終回が2ページしかなかった事が下手すると本編以上に有名。
ヒューマン2号がグランドキングフラッシャー(名前を間違えられている)をワンパンで倒して「ぎゃあ。」(1ページ目)→にいさん、かたきはうったよ…という超速解決は、数ある打ち切り漫画の中でも有数の唐突さである。
復活イベントが飛ばされヒューマン1号が死んだことになっている点もポイントが高い。
なお、本作の漫画版は小学館の学年雑誌「小学一年生」~「小学五年生」の5誌でそれぞれ別の漫画家によって描かれており、2ページとして知られているのは「小学二年生」版の最終回である。
淳一郎「みんな、ヒューマンサインの赤い方を回して追記・修正するんだ!」
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,8)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
- 黒柳亮「ヒューパン」 -- 名無しさん (2020-07-22 14:33:21)
- これの漫画版も、ある意味伝説 -- 名無しさん (2020-07-22 14:38:23)
- ジャイロックってレッドキングに似てるよね。スカルゴモラにも似てる。 -- 名無しさん (2020-07-22 16:37:28)
- ↑成田御大が彫刻家だもんで、レッドキングの立体的な体表とかゴモラの張り出したツノみたいな立体にした時に映えるデザインが好きだったってのはあると思う。それだけその二大怪獣が御大の中で完成されたデザインだったって事だな -- 名無しさん (2020-07-22 16:41:51)
- 宮城県の郷土史のDVDを宮城と縁もゆかりもない特撮マニアたちがこぞって買い求めた理由。ちなみにこのDVDは音楽をウルトラセブンなどで知られる冬木透氏が手掛けていることでも一部で有名 -- 名無しさん (2021-02-28 16:19:38)
- 初期数話以外の怪獣の設定が不明だったりする -- 名無しさん (2021-07-04 21:44:48)
- 「封印作品」のタグ付いてるけど、これ別に封印作品じゃなくない?単に視聴不可能作品なだけで。 -- 名無しさん (2022-10-15 23:53:04)
- 上記の漫画版の最終回、ある意味ソードマスターヤマトを先取りしたような...。しかも、たった2コマしかないこともまた伝説。 -- 名無しさん (2023-03-04 18:56:02)
- ↑訂正 2ページしかないことにくわえて2コマしかないことも -- 名無しさん (2023-03-04 18:58:12)
- 作品の認知度に反してヒーローの呼び方のパロディがやたら多い -- 名無しさん (2023-08-20 19:34:44)
#comment(striction)
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧