疎遠

ページ名:疎遠

登録日:2019/08/27 (火) 21:41:07
更新日:2024/05/09 Thu 13:39:19NEW!
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友情 人間関係 シチュエーション 友人 友達 親戚 状態 あの人は今 疎遠 クラス替えの定番 隙間が遠くなる 状況 マルチ商法勧誘フラグ 宗教勧誘フラグ





運が昇れば 人は友達面して寄ってくるものよ


されど本当の友とは 日頃疎遠でも難儀の時にこそひょっこり現われ 救いの手を差しのべるものよ


―『花の慶次』 徳川家康





疎遠とは、関係が遠ざかって薄くなることを指す単語である。


【概要】



遠ざかって関係が薄いこと。音信や訪問が久しく途絶えていること。また、そのさま。*1


かつては交流があった人間が、現在では交流関係が薄くなったことを指す言葉として使われる。
人間関係は変化が起こりやすいので、疎遠の発生率は極めて高い。
ただし、人間関係などは人によって捉え方や定義が曖昧な部分があることなどから、疎遠の明確な基準も存在しないというか人によって異なる場合も。


「疎」は「隙間」という意味の漢字なので、単語だけ捉えて解釈すると「隙間が遠くなった」とも読める。
人間関係の間に「隙」という空間が存在する構図で考えると中々に興味深い意図が読み取れる。


なお、状態を表す形容動詞なので「疎遠する」という言い方は存在しない。
「疎遠になる」とか「疎遠になった」と表現する使い方が基本。


類語としては「希薄」「敬遠」などの単語が挙げられる。
なお、「敬遠」は人や物を自発的に遠ざけることを表現する単語なので、自然と距離が離れた状態を指す「疎遠」とは似てるようで対照的な単語になる。
逆に対義語としては「親近」「親密」「懇意」などが存在する。
また、「腐れ縁」と評される関係もある意味「疎遠」とは真逆な立場にある言葉だろう。


【疎遠になる主な理由】



  • 単に忙しい

別に人間関係を切る予定もなかったのだが、単に忙しくて会う暇がないという事もある。というか疎遠の典型的例。


忙しい日々や新しい日々を送って交流が鈍っていき、そのうち互いに忘れるか勝手に気まずくなって疎遠になる。
就職や結婚で他地域に移り住んだ場合にこの例が発生する確率が高く、友人や親戚を飛び越えて実家とも疎遠になりやすい。


  • 職場や学校の環境の変化

これも疎遠になる理由としてはよく語られる展開である。


職場の同僚やクラスメイトは大切な友人になる関係性も多い一方、良くも悪くも上辺の関係や知り合い以上友人未満みたいな関係性になる事が多い。
その程度の友情関係だと、少し物理的に距離が離れればあっさりと関係性が薄まっていくことも少なくないのだ。


  • 喧嘩

何かしらの出来事で喧嘩を起こし、そのまま疎遠となって互いに人間関係を薄くしていく例。
完全に喧嘩状態のまま険悪になってしまう場合もあれば、一応和解しても何となく疎遠になってしまう場合もある。


  • 連絡が取れなくなった

片方が音信不通のまま生存確認が出来なくなり、そのまま疎遠になるパターン。


音信不通の理由は様々だが、連絡用のルートが受け取る側の意図によって切断される事で起こる事は確か。
人間関係の完全なリセット癖がある人にとっては、過去の友人との連絡ルートを何となく破壊してしまう事はよくある。


現在ほど電話やSNSなどの連絡手段が発達していない時代は、物理的に距離が離れた後に音信不通になって疎遠状態になる事が現代よりも多かった。
何かしらの理由で誤って連絡ルートを切ってしまう(例:近い時期に互いに引っ越しが起きた際に忙しさも余って新しい住所や電話番号を伝え忘れた)と、そのミスをフォローする手段が今より少なかったためである。


【疎遠状態からの急接近】



疎遠になっていた元友人から唐突に接触を図られる事もある。


ここから元の友人関係を取り戻す場合もあるし、逆に悪化して関係性が完全崩壊する事もある。
まあこれに関しては接触理由と接触された側の感情の動き方次第だろう。


ただし、疎遠からの再会は碌な目に合わないとネガティブに捉えられやすい傾向にあり、無視される展開も珍しくない。
理由としては「今まで関係を断っていた人間が急に接触してくるなんて、何か裏があるはずだ」と邪推されやすいため。
実際問題、邪な理由で再接触を試みる例も多く、それによるトラブルも各地で報告されている。


だが、「相手は本当に善意で連絡してきたのに接触された側が邪推しすぎて無視する」パターンも多い。
このようなすれ違いも多発しやすいのが、疎遠状態からの回復の難しさを物語っていると言える。


近年はTwitterやFacebookなどのSNS発達により、疎遠状態の人間同士が接触をする場面が増えている。


◇疎遠からの再接触の主な経緯


  • 懐かしさから

卒業アルバムを読むことや別の友人との思い出話で疎遠になった相手を思い出した、という物。


ポジティブな再接触の理由としてメジャーな物で、人間関係を再構築する切っ掛けにもなりやすい。
一方で、この理由が最初だったのに再会して話すうちにネガティブな目的に話が移行し始めるパターンもある。


  • 意図せず偶然バッタリ遭う

なんとも運命めいている。
この世は広いようで狭いから、ある日街角で懐かしい顔を見かけることだってないわけではないはず。


  • 金銭の要求

地味に多い理由。お金を貸してちょーだいという欲望全開な要求である。


友人や家族に借りれなくなった末に縋ってくるタイプと、友人や家族には要求できないので中途半端な関係とも言える疎遠な相手に縋るタイプに分かれる。
前者だと相当ヤバい状態だし、後者の場合は他人に対して格差を付けているのを見せつける下衆さがある。どちらにせよ碌な背景事情ではない。
しかも一度疎遠になる関係性なので、借金をしたら踏み倒される可能性は高いと言われる。貸したつもりでいるよりあげたつもりでいるほうがいい、なんて説く人もいる。


一応、ちゃんと仁義を切って返済する人もいるので、その場合は良い意味で人間関係が再構築される展開になる事もある。
疎遠になった相手からでも踏み倒さなかった分、人間性の信頼性が高まるという事だろう。


  • 宗教勧誘/マルチ商法勧誘/政治活動の勧誘

ある意味金銭の要求よりも質が悪く、トラブル報告も頻繁に起きる事例。


久々に再会しようと言われたので待ち合わせ場所に向かうと、そこには友人と知らない人間がいる。
そうなると、その知らない人間は「友人の友人」で、自分に謎の胡散臭い商法や宗教を紹介してくる……という展開が待っている。
物理的に2VS1になる可能性が高いので逃げるにも囲まれるので難しい面があり、酷い場合だとあきらかにやべえ人間が裏で待機している事態も。
宗教の場合だと、相手が「疎遠になっていた懐かしい彼も素晴らしい宗教に誘ってあげようという」みたいな、一方的な善意全開な場合も考えられる。


政治活動への勧誘から派生するタイプとして、電話などによる政党への投票呼びかけがある。
疎遠になっていた奴がいきなり電話かけてきたと思ったら「○○党お願いします」との頼みだったという例。


  • 現在の人間関係の悪化

疎遠になった後、新しい職場や学校での新たな人間関係でトラブルや悩みを抱え、現実逃避のような意図もあり疎遠になった相手と縁を戻そうと接近してくる例。
このような接触理由に対し、「弱った時に頼られて嬉しい」と思う人もいれば「連絡を寄越さなかったのに都合の良い時だけ友達(親戚/子供/親)面か?」と思う人もいる。
ただ、縋ってきた後の相手の対応次第で認識が逆転する可能性は常にある。


  • 同窓会などで半強制的に再会

同窓会に出席したら、疎遠になった友人も参加してきたというパターン。
そういった集まり自体が疎遠になった仲間との再会が最大の目的の一面もあるので、ある意味疎遠の関係なのが重要である。
結婚/離婚や里帰り出産等での再会はこれの亜種と言えるかもしれない。


  • 接触してきた側に別に疎遠の感覚がない/接触された側が疎遠と思い込んでいる

疎遠という認識が互いにずれているという例。「疎遠」自体に絶対的な定義がない抽象的な面があるため。


数年ぶりの連絡でも接触してきた側は別に「これまで疎遠だった相手」と自覚していない場合がある。
理由としては「あまりにも忙しかったので感覚が崩壊気味」「疎遠の概念自体を持っていない」などが考えられる。


逆に接触された側が、別に第三者から見ると疎遠でもないのに、接触してきた相手を「疎遠の相手」と思っている場合もある。
数か月程度接触がない連絡関係は、疎遠になったと思う人もいれば別にそうでもないと感じる人もいるだろう。
特に社会人の身分なら、仕事への忙しさで数か月程度連絡を取れないのは珍しくないため、疎遠が成立していないと解釈される事も多い。


このような感覚のズレは「社会人←→無職・学生・主婦」などの人間関係だと、互いに起きてしまう可能性がある。


【フィクションでの疎遠】



創作でも疎遠関係が描かれる事が多いが、パターンは思ったより多種多様。


  • 新キャラ登場の前振り

物語中で登場人物と疎遠になったキャラの存在が示唆されると、いずれ良くも悪くも疎遠ではなくなる。
そもそも本当に疎遠のまま終わる相手は物語中に名前が出てこない訳で、再会して疎遠じゃなくなるのは当たり前の展開と言える。
恋愛作品の場合は、何かしらの理由で疎遠になった後に再会し、新たなラブコメ展開に繋がる可能性が高い。


  • 裏切り展開

仲間の裏切りや離脱展開のある作品では、最終的に疎遠のまま終わる例は少なからず見られる。
裏切り展開は大雑把に分類して再度仲間になるか主人公に制裁されるかの二択だが、「物語からフェードアウトしてラストに少しだけ登場」というパターンがある。
フェードアウト展開は正に疎遠の典型的例と言えるだろう。


  • 恋愛要素のある作品でのヒロインとの決別

ギャルゲーやエロゲーのバッドエンド展開でも、物語終了後にヒロインや友人と疎遠になる結末が用意される事が。
特にギャルゲーやエロゲーでのバッドエンドでヒロインと疎遠になるオチは、最悪NTR展開も待っている。
ラブコメ作品でも、選ばれなかったほうの負けヒロインと主人公が疎遠になった展開の作品もある。


  • 疎遠になっていること自体が重要なパターン

少年時代の青春を描く作品などでは、青春の終了以降はかつての仲間といずれ関係が薄くなるというオチは結構見かける。
例えば、歴史的名作の『スタンド・バイ・ミー』は、現在では疎遠になった友人との過去話が「思春期の思い出」を描く重要な要素になっている。
あれだけ共に過ごした仲間のキャラが物語が終わると疎遠になることで、一種の儚さや無情観を出す効果が作りだすのだ。
過去の人間関係の美しさや思い出補正による美化を重視する作品では、今は疎遠になっている事はかなり重要な設定になる。


  • 前回から時系列設定の間が開きすぎて結果として疎遠になっている

シリーズ作品やエピローグで前回(前作)から一気に年月を経過させるタイプの作品も、疎遠が発生している事が多い。
「あれから数年後…」展開で前回からの再会を描くとなると、結果的に数年会っていなかった空白期間は疎遠の時期になってしまう。
例を挙げると『ドラゴンボール』の最終回では時系列が一気に飛んでいるが、主人公の孫悟空とヒロインのブルマは5年も顔を合わせていないことが判明し、正に疎遠だったと言える*2


  • 疎遠と錯覚する

あまりにもキャラが多い作品やシリーズだと、一部キャラが再登場して主人公達と再度絡むのに数年使う場合がある。
作中感覚的には数週間~数か月程度の場合でも、物語を見る側の感覚からすれば数年ぶりの再会であり、それまで主人公と疎遠だったような気がするのである。



フィクションでの友情は永遠の物のように見えるが、案外現実と変わらず疎遠の発生率は高いのは興味深い…かもしれない。







追記・修正は疎遠になった友人を思い出してからお願いします。


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  • 去る者は日々に疎しとはよく言ったもの -- 名無しさん (2019-08-27 22:31:25)
  • あかほりさとるは冒頭の文とは反対なこと言ってたなぁ。曰く「ブームの時にすり寄ってきて終わったら即疎遠になって、最近少し息を吹き返したらまた戻ってきた。故に利害関係者として信頼できる」とのこと -- 名無しさん (2019-08-28 00:08:28)
  • 結婚や子供ができると -- 名無しさん (2019-08-28 02:58:01)
  • ↑↑それビジネスライクな関係であって「友人」じゃないよね…… -- 名無しさん (2019-08-28 09:16:01)
  • 利害関係者としては情で動くよりは金で動く方がよっぽど信用できるのは確かだけど、じゃあそれが友人として信頼できるかって言うと全く別の話でしょ -- 名無しさん (2019-08-28 11:25:54)
  • 特に女性だと結婚して子供ができるとお金と時間の余裕・欲しい情報や行きたい店の種類が変わっちゃうからね。 -- 名無しさん (2019-08-28 12:26:53)

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*1 出典:デジタル大辞泉
*2 ただし、原作漫画の正当続編とされる『ドラゴンボール超』の時系列設定の影響で、5年間疎遠だった設定は徐々に矛盾ある話として破綻しつつある。『超』自体が原作の後付け作品なのでそうもなるのは仕方ないが。

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